平成18年3月1日と3日の環境農政常任委員会での質疑のまとめ
1 木質バイオマスの普及について
(3)自然環境保全センター施設整備にあたっての質バイオマスボイラーの導入について
松崎 自然環境保全センターには年間、何人ぐらいの人が訪れるのか。
答弁
(緑政課長) 過去3年間来訪者の数を申し上げますと、平成14年度が26,000人、平成15年度が40,100人、平成16年度が37,400人でございまして、平均いたしますと年間35,000人ぐらいの人が自然環境保全センターを訪れております。
松崎 35,000人というのは、他の県機関と比較して多いのか、少ないのか。
答弁
(緑政課長) 他の施設との比較はしたことがございませんが、足の便が良くない厚木の七沢で、1日平均にいたしますと120人ぐらいの人が訪れるということは、研究部門や事業部門をもった施設として、決して少ない数字ではないと思います。
松崎 木質バイオマスボイラーを導入するPR効果があるということだと思う。
木質バイオマスボイラーを導入するということだが、岩手県大迫(おおはざま)町の例をはじめスウェーデン製などの外国製のボイラーを導入している事例が多いが、自然環境保全センターの場合は、やはり現在出回っている外国製のものを導入するのか。
答弁
(緑政課長) 導入が20年度ということですので、施設を暖めるために必要な暖房能力を充足することが条件となりますが、それ以外の仕様や形式につきましては、現段階におきましては、未定でございます。
スウェーデン製は高いと聞いておりますので、今後検討して良いものを入れていきたいと考えております。
松崎 自然環境保全センターの施設整備に県産木材を使用するということは否定することではないと思うが、一つ心配な点がある。
岩手県大迫(おおはざま)町が建てた庁舎は震度7まで耐えられるということだが、自然環境保全センターは骨格を除いてほぼ県産材ということだが、耐震強度は大丈夫なのか。
答弁
(緑政課長) 説明が不足しておりましたが、構造については、防火壁が入るエントランス部分がRCであるのを除いて、基本的には全体が木造になります。
耐震強度につきましては、建築物の耐用年限中に一度遭遇するかもしれない程度の地震(震度6強程度の大地震)に対し、部分的なひび割れ等の損傷が生じても、最終的に瓦解しない程度の耐震強度がございます。
松崎 岩手県の木質ペレットボイラーの例では、含水率が低くて乾燥している木質ぺレットを導入しているように、チップの含水率によって燃焼効率が変わってくると思うが、チップの含水率についてはどう考えているのか。
答弁
(緑政課長) おっしゃるとおり、含水率が10%のチップと、50%のチップでは発熱量が違うし、出る灰の量も違いますので、どのようなチップを導入するかについて、2年後のバイオマスボイラーを導入する時期までに、検討してまいりたいと考えております。
松崎 具体的には、自然環境保全センターではどのくらいの量のチップを消費するのか。
答弁
(緑政課長) 1日あたり2~3m3で、年間約173m3ぐらいとなる見込みであると試算しております。
松崎 自然環境保全センターへ木質バイオマスボイラーを導入しようとすることは、評価したいと思う。
実際に全国を見ますと、高齢者介護施設にもチップボイラーが一部導入がされている。
自然環境保全センターの木質バイオマスボイラーの導入にあたっては、チップを使うと聞いているが、チップにするかペレットにするかについて、どのように考えたのか。
答弁
(緑政課長) ペレットにつきましては、私どもは注目しておりましたが、チップに比べて、製造するのに手間がかかると考えております。
単位あたりの発熱量では、ペレットがチップの2倍強ありますが、逆に燃費コストにつきましては、ペレットよりチップの方が50%程度効果が高いということがあり、一長一短がございますので、現在検討している自然環境保全センターに導入する木質バイオマスボイラーはチップとペレットの両方使えるものにしたいと考えております。
松崎 それでは、必ずしもチップで未来永劫いくということではなくペレットを使う可能性もあると言ってよいのか。
答弁
(緑政課長) ペレットを使う可能性ももちろんあるのですが、自然環境保全センターの研究部の木質バイオマスボイラーに詳しい研究員の話ですとチップもしくはチップを少し加工したピンチップがよいのではないかという話を聞いております。
松崎 より好ましい方を、客観的、合理的に判断して使っていただければ構わないので、チップとペレットのどちらを使用するかについてはお任せしたいと思う。
自然環境保全センターの木質バイオマスボイラーの燃料を何にするかということと県が本格的にチップとペレットのどちらを普及させていきたいかということを連動させていったほうが良いと思う。
先ほど森林課長や環境計画課長が答弁されたときに話したように、チップとペレットの供給と需要の見合いというものを、スケールを大きくしていくPRの原動力として、自然環境保全センターの木質バイオマスボイラーの存在もあると思う。
もちろん、自然環境保全センターの仕事をする上での作業環境や生態系に与える影響もトータルで考えなければならないが、なぜ自然環境保全センターに木質バイオマスボイラーを先導的に導入するかというと、やはり県としての姿勢やPRであると思う。
県として、チップで行くか、ペレットで行くかということを、今回の自然環境保全センターへの木質バイオマスボイラーの導入の中で物語るものなのかどうかについてお聞きしたい。
もし、保全センターのバイオマスボイラーの燃料をチップで行くということならば、県としてチップの生産をこれからどうするのか、や、今後どうしていくかという政策について配慮しなければならないと思う。
そこで、自然環境保全センターの今回の木質バイオマスボイラーの整備と県として木質バイオマスの政策の方向性はどう重なりあっているのかを伺いたい。
答弁
(環境計画課長) まず、木質バイオマスについて、カーボンニュートラルということがございますので、今後、地球温暖化対策の上で積極的に導入を図るべきものと考えております。
ただ、チップボイラーにしてもペレットストーブにしましても、それらが神奈川県に適しているかどうかということを考えていかなければならないということもございます。
ペレットストーブは「篠原の里」でご覧いただいたように、暖かみがあるし、評価されております。そういうことを見据えた上で、最終的にどこにどれだけ使っていくかということを考えて、需要を喚起するためにも供給を確保するためにも県費を投入することを検討することになりますが、地球温暖化対策の面だけで考えますと、どの手法が一番効率的なの考えていく必要がございます。
また、木質バイオマスを使っていくことは考えておりますが、経済性の問題で、神奈川県内で全て確保したほうがいいのか、岩手県からもってくるわけにはいかないにいたしましても、埼玉県、千葉県といった近県を含めた広がりの中で確保したほうが効率的であるかどうかも検討していきたいと考えております。
最終的には、木質バイオマスの重要性、使い勝手を知っていただき、皆さんのご意見を伺った上で、県としての役割が決まってくると考えております。
答弁
(緑政課長) 自然環境保全センターに木質バイオマスボイラーを導入するということをPRをしていくことは非常に重要だと考えております。
展示室がありますので、その中でチップやペレットを展示して、それぞれどのような違いがあるのかおわかりいただくだけでなく、併せて森林循環の役割を含めた全体をおわかりいただくようにしたいと考えております。
松崎 せっかく、木質バイオマスボイラーの導入という新規の取組みを行うわけなので、県民に対して、県としての姿勢が現れていることや政策的な裏付けが明確に伝わる形で積極的に検討するよう要望する。