平成18年3月1日と3日の環境農政常任委員会での質疑のまとめ

1 木質バイオマスの普及について

(1) 森林整備と木材の搬出について             

松崎       まず、基礎的な話として、県内の森林の樹齢、また樹種などの状況なのか。

答弁

(森林課長)       本県の森林面積は、全体で95,276ヘクタール、県土の39パーセントを占めております。

その森林については、通常、大きく所有形態別に国有林と民有林に区分いたしますが、国有林については全体の11パーセント、11,861ヘクタールで、民有林は全体の89パーセントの84,415ヘクタールでございます。

樹種、樹齢につきましては、県の行政対象である民有林についてお答え申し上げますが、民有林は全体として県などの公有林と私有林からなりますが、その樹種については、スギ、ヒノキの人工林は、全体の4割、31,954ヘクタール、広葉樹林などの天然林は、全体の6割、48,400ヘクタールでございます。

樹齢につきましては、通常、森林の保育を35年生まで行い、その後40年生以降伐採をしていくことから、36年生が一つの分かれ目になっております。

その36年生のところで状況を見ますと、人工林では、36年生以上が74パーセント、天然林では99パーセントを占めており、全体として県内の森林が高齢級化している状況でございます。

松崎       その中でも、首都圏では、一時期集中的に植えたということが、逆に今となっては、そのあとが続かないということで、ある樹種、ある樹齢のところに偏った形で、森林が構成されているということも聞いているが、そのとおりなのか。

答弁

(森林課長)       委員ご指摘のとおり、県内の森林は、ほぼ戦後造成されてきたのがほとんどでございますけれど、その中では、拡大造林ということで広葉樹を伐採して人工林を造成してきたという経緯もございまして、先ほど答弁申し上げたとおり、人工林は全体の4割で、山の真ん中から下の方は、人工林がほとんどで占めているという状況がございます。

林齢につきましても、人工林で74パーセント、天然林では99パーセントが36年生以上ということですので、人間の年齢構成と同じように、山の木についても高齢化しており、そういう意味ではかなり揃った形の山になりすぎているといった状況にございます。

松崎       津久井地域を視察したときに感じ、また今、話を伺っても感じたことだが、民有林から木材が出てこないので、公有林で森の循環を考えていかなければならないということを聞いているが、しかし、民有林から木材を出すための議論も必要だと考える。その点の認識はどうなのか。

答弁

(森林課長)       民有林全体で県内の森林の9割を占めているわけでございますけれども、そのうち県有林が16パーセント、15,000ヘクタールございまして、私有林が66パーセントの62,000ヘクタール程度でございます。そういう意味で県内の森林のかなりの部分が私有林となってございますので、公有林だけを、あるいは県有林だけを整備いたしましても、神奈川の森林全体は良くならないという状況でございますので、委員ご指摘のとおり、私有林の整備についても積極的に取り組んでいく必要があるという状況にあると認識しております。

松崎       森林所有者のお金の問題や経済がまわっていかないという問題があると思うが、山の手入れをしなくても困らないというところも森林整備にとってはマイナスになっているということが問題であり、そういった意識を変えることが必要と思うが、どうか。

答弁

(森林課長)       委員ご指摘のように、現状の木材の値段等々の状況の中では、森林所有者の方々の、いわゆる経済的な活動を念頭においた意欲だけでは、森林の積極的な保全管理は難しい状況ということが全体的にございます。

こういうことを踏まえまして、県としては平成9年度から水源の森林づくり事業、これをスタートさせまして 私有林の公的管理支援ということで、水源の森づくり事業に取り組んでいるという状況がございます。

また、こういった取組を進めるとともに、所有者の方々の自主的な取組を更に活性化させていくという必要がございますので、そうした観点から、林道から近く資源としての活用が可能な森林については木材の有効活用として持続的な森林管理を進めていくことが重要と、このように考えまして、平成17年度から間伐材の搬出促進の補助事業を試行的に取り組まさせていただき、この取組を森林組合あるいは森林所有者等の方々に徹底をさせるということで、普及啓発を図り、意識の転換を図るというこのような取組を進めているところでございます。以上です。

松崎       それでは少し間伐材に絞ってお話を伺いたい。材木として利用する場合、木一本のうち何割くらい活用されるのか。残りの部分はどうなっているのか。

答弁

(森林課長)       お答えいたします。森林整備の中で間伐をしておりますけれども、間伐材のうち、林道から200m以上離れているところについては、搬出経費は相当高くなりますので、それについては林内に間伐した木を放置するという形が一般的でございます。

私どもの取組として、林道から近い森林については、200m以内の森林についてはできる限り材として使うことで取り組んでいる。その材で見ますと、一本の材で見た場合に、切った木の大体6割が丸太という形になって林道まで出てまいります。

そうやって出てきた丸太の大体さらに6割が製材所で挽かれまして、柱等になるということですから、一本の木ベースで見ますと、それを100といたしますと、6割の6割ということで36%、3割強程度が一本の材としては利用されると。

さらに、間伐をしましても実際には使えない曲り材、虫食い材、これらが大体林道から200mのところでも4割程度ございますので、その部分については林内に残材として置かせていただく、このような形をとっております。以上です。

松崎       木質バイオマスということになると、まさに残りの64%のところを活用するということになるわけだが、その点についてはいかがか。

答弁

(森林課長)       森林資源については、山で木を伐る、更にその木材を材として使うことによってCO2が固定される。もうひとつは、間伐をすることによって山の手入れが進み、水源かん養等の機能も高まる、そういったこと等を考えますと、間伐をし、その材を積極的に、できる限り利用していくということは、森林の保全、そして地球温暖化対策等々の公益的な意味合いから考えましても非常に重要なことだと、このように考えております。以上です。

松崎        岩手県の住田町で聞いたところ、先ほど林地残材についてお話がありましたが、林地残材が300ミリの雨で流出して、集中豪雨ですね。これによって町に被害が出た。その被害を教訓にして林地残材について積極活用しようと木質バイオマスの利用に取り組んでいる。そうした林地残材について、どういうふうなお考えか。

答弁

(石黒森林課長)                林地残材につきましては、先ほど1本の活用率で申し上げましたが、全体量で申し上げますと、平成17年度は間伐の全体の木材の材積は、11万7千m3、これに対して実際の木材として利用される部分は、最終的には3千600m3。2千400m3は木工所での製材の端材として出ますので、全体としては11万m3近くが、林地に残材として残されていくというのが現状でございます。

 こうした林地残材につきましては、林道に流れ出して、人に危害を与えたり、あるいは大雨等によって被害が出るといった心配もありますので、林内の一部の箇所に集中して、まとめておきまして、豪雨の時に崩落しないように分散して処理をする、こういう形で取り扱っております。その措置については、今後とも、林地残材の部分を全くゼロにするということは大変難しいこともございますから、私どもとしては、そういった災害の原因にならないような林地残材の適正な処理を今後とも、森林整備の中で徹底してまいりたいと考えております。

松崎       木質バイオマスの供給体制確立のためには、間伐材を搬出するための人手、すなわち山で働く人材

が必要になるが、現状、全県ではどのくらいの人が働いているのか。また、間伐材の利用が進んだとき、その人数で足りるのか。

答弁

(森林課長)       現在、県内で木材の搬出に係わっている人の数ですが、木材生産については、枝打ち等の森林整備

と異なり、技術が必要なため、実際に働いている人は森林組合、林業会社といった事業体であり、そこで働く人は、平成16年末で県内に332名と把握しております。

今後それで足りるのかという質問については、水源環境保全再生の取組を進める上で、間伐量の増

大が重要なポイントになると考えておりますので、人数を増やし、技術を身につけていくため、H18年度から森林組合等を中心に間伐材搬出の技術研修をスタートさせたいと考えております。こうしたことを行うことで、人数を増やすということと、技術の底上げにより間伐搬出事業量の増大に対応できるようにしたいと考えております。