神奈川県議会平成18年6月定例会
厚生常任委員会質疑のまとめ
5 自殺の実態とその対策について
松崎 ● 本県における自殺による死亡者はどれくらいなのか、数年にわたる統計データがあれば示して欲しい。
地域保健福祉課長 ○ 厚生労働省「人口動態統計」によると、神奈川県の自殺による死亡者は、平成13年1,649人、平成14年1,670人、平成15年1,791人、平成16年1,716人、平成17年はまだ確定値ではないが、概数で1,705人である。
松崎 ● 本県の数値は、全国的に見てどのような位置づけなのか。
地域保健福祉課長 ○ 平成17年の概数であるが、総数としては、東京2,667人、大阪府2,072人に次ぎ、本県は3番目である。総死亡に占める自殺の割合は全国の2.82%に対して、本県は2.90%、人口10万当たりの死亡率は全国24.2に対し、本県は19.7で全国最低となっている。
松崎 ● 年代別に見て、自殺による死亡者はどの年代に多いのか。
地域保健福祉課長 ○ 自殺による死亡者の数は、5歳ごとの年代別にとっているが、男女とも50歳台が山で、50歳台後半が最も多く、男性は172人、女性は59人、計231人で、自殺死亡者全体に占める割合としては、男性14.4%、女性11.3%となっている。
松崎 ● 20代、30代、40代といった若い年代層の死亡原因のうち、自殺の占める状況はどのようになっているのか。
地域保健福祉課長 ○ 年齢別構成では50~54歳が10.1%、55~59歳が13.5%、30~34歳が10.1%、25~29歳が6.8%を占め、若い人にも少なくない。死亡原因では15~19歳、20~24歳、25~29歳、30~34歳は死亡のトップが自殺となっている。
松崎 ● トップというのはどのくらいの割合か。
地域保健福祉課長 ○ 15~24歳はだいたい4割、25~29歳が約45%、30~34歳が約40%という状況である。
松崎 ● 自殺を防ぐ対策といっても行政の取組みに限界もあると思うが、これまでにどのような取組みを進めてきたのか。
障害福祉課長 ○ 本県では、こころの健康や、うつ病対策を重要な施策として位置づけ、独自に各種の、こころの健康作りの関係事業を実施し、具体的には、精神保健福祉に関する相談事業や自殺の大きな原因としてあげられる、うつ病等への理解や対応についての普及啓発事業並びに精神科救急における取組みが上げられる。
本県のように人口の多い、首都圏に位置する都道府県では、働き盛りの年代の自殺者が多いと考えると、自殺の原因に、うつ病等の問題があり、早期の医療機関の受診が有効なことや、相談機関の周知など、できるだけ早期に相談いただくことが必要であり、相談機能や普及啓発の充実が重要であると考えている。
このような中、平成18年度においては、自殺予防対策として、こころといのちのサポート事業、自殺予防、という名称で、新たに事業を立ち上げ、実施しているところである
具体的な内容は、家族を対象としたうつ病家族セミナーを、一般住民を対象とした講演会を、関係機関の職員を対象として自殺防止実践研修をというように内容を整理し、実施しているところである。
松崎 (要望)
● 自殺というと本人の問題とする傾向にあるが、JRの遅れで人身事故ということになると、自殺だろうということになる。最近は、そうしたことが珍しくなくなっているが、珍しくなくなることは、社会としては健全とは言えない。もちろん、全てのことを社会が負うかは疑問だが、今回、自殺対策基本法ができたことは、社会として対応していこうということだと思う。この問題については、今後、会派としても取り組んでいくので、対策を強めていってほしい。