平成18年11月2日 厚生常任委員会質疑概要

<薬物乱用防止対策について(薬務課、病院事業庁)>

松崎       ●  先日横浜で神奈川県警察本部組織犯罪対策本部が、横浜市内のディスコを覚せい剤取締法違反容疑等で捜査し、外国籍の方々が逮捕された。麻薬や覚せい剤のように取締法規があって警察も力をいれて取り組んできたものとは別に、今、違法ドラッグと言われるものについて、どういうものがあり、取締等はどのような状況であるのかお聞かせいただきたい。

薬務課長               ○  全般として、薬物としてコカインやMDMAといった麻薬、昔ヒロポンと言われたメタンフェタミンのような覚せい剤、或いは乾燥大麻といったもののほか、違法ドラッグというものがある。この違法ドラッグについては、陶酔感、幻覚、興奮作用を高めるものとして販売されているものの総称であり、麻薬や向精神薬に指定されておらず法の間をすり抜けるものということで、合法又は脱法ドラッグと呼ばれていた。しかし、現状ではその販売方法によっては薬事法に違反し、また、法規制が及ばないとの誤解を与えかねないので、違法ドラッグと呼んでいる。違法ドラッグとしては、鼻から吸引して陶酔感を与えると言われているラッシュというものがある。これらについては、試買検査等を行っているというのが現状である。

松崎       ● こういった違法ドラッグはどこから、どういった形で持ち込まれるのか。

薬務課長               ○ MDMAという錠剤型麻薬は、警察庁の発表した17年中の薬物情勢の資料を見ると、オランダから約19万錠、フランスから約4万錠が日本に密輸されている。違法ドラッグについては、どこから入ってくるのかはっきりしたことは分かっていないが、この10月にラッシュを販売し薬事法違反で逮捕された業者を調査したところ、アメリカから輸入したということであった。このように違法ドラッグは主に外国から輸入されていると思われる。

松崎       ● せりがや病院における薬物依存治療の内容はどういうものか。

薬務課長               ○ 中心となるのは入院治療であり、薬物の場合1ヶ月でのプログラムを実施している。最初の期間は体の治療を行う。併せて患者さん同士で話し合ったりする集団精神療法、教育、レクレーション、作業療法等を行う。   また、薬物の場合、患者さんだけでなく、家族との情報交換や話し合いをすることも重要である。

松崎       ● 患者さんと接する病院サイドから、薬物の乱用防止のためにどういう対策が必要と考えるか。

薬務課長               ○ 病院サイドとしても、予防が大切と考えている。臨床現場では、薬物に対する治療は、昔から大きく変わっていない。予防という点では、いろいろなところから依頼を受けて、講師として看護師や福祉職の職員を派遣している。

松崎       ● 患者さんと接している中で、それを予防等に繋げていくということか。

薬務課長               ○ そのとおりで、病院の看護師や福祉職は患者さんと実際接しており、リアルな話ができ、効果が上がると考えている。

松崎       ● 保健福祉部の中には麻薬Gメンがいると聞くが、仕事の内容等、今どういうことを行っているのか。

薬務課長               ○ 麻薬Gメンには麻薬取締官と麻薬取締員の2種類があり、取締官は厚生労働大臣が厚生労働省職員の中から任命し、取締員は知事が地方検察庁と協議して任命する。取締官が国で取締員が地方の職員である。職務内容は、取締官は主に捜査官として麻薬及び向精神薬取締法等の違反関係を専門的に捜査する。麻薬取締員は司法警察員として職務は取締官と同様であるが、実際には薬物乱用防止啓発活動といった色々な活動を兼務しており、これが主な職務となっている。法に基づき麻薬取扱施設の立入検査をして、麻薬の適正管理の監視指導を行うとか、薬物相談業務、薬物乱用防止キャンペーン、学校における薬物乱用防止教室の講師などの業務を行っている。また、捜査については、国の捜査を手伝う場合もある。

松崎       ● 麻薬取締員は何人ぐらいいるのか。

薬務課長               ○ 本県の麻薬取締員は薬剤師4名、法律を専攻した事務職員1名の計5名である。

松崎       ● 覚せい剤、大麻、あへん等の薬物事犯検挙状況によると、平成17年中に県下で68件877人が検挙され、その44%は暴力団で、年々その割合は上がってきている。薬剤師等の手、目、豊富な知識、経験が大切である。海外から新たに入ってくる違法ドラッグというものもあり、その全体状況が把握されていない。薬物乱用防止教室等の開催もある。そうした活動を踏まえると、今の体制では少し厳しいのではないか。これからもやらなければいけない対象事案や仕事が増えていくと思われるが、その辺のところの認識を率直にお聞かせいただきたい。

薬務課長               ○ 違法ドラッグのように海の物とも山の物とも分からないものがある中で、摘発は警察にお願いすることになるが、まず、そういった薬物に手を出さない、誘われても断るという意識をもたせるために、特に小学校高学年、中・高校生への普及啓発が大事だと思っている。

松崎       ● 充実を図る必要があるのではないか。

薬務課長             ○ 麻薬取締員などの業務については、先ほど申し上げたとおりで、こういった業務については薬物乱用防止対策の上で本当に重要だと認識している。今後も麻薬取締員等の職員の育成、資質の向上を図りながら、職員の増員を要求して薬物乱用防止体制の充実を図っていきたいと考えている。

松崎       ● (要望)

 今、職員の増員という話があったが、非常に抜き差しならないところに来ているというのが私の率直な実感である。冒頭で紹介したディスコが摘発されたときの状況を聞くと、来るところまで来ているということ、しかも県庁から歩いて行けるところにそういう実態があるということを非常に重く受け止めている。小学生の高学年、中学生に蔓延していく危険性、高校生の薬物乱用の状況等を聞くと、薬物乱用防止の取組みをまだまだ強化していく余地があると思うので、是非とも今後薬物対策については、一層の充実強化を図られるよう、増員も含めて検討されるようお願いしたい。