平成18年12月14日 県議会定例会 厚生常任委員会質疑のまとめ

<災害時における要援護者対策について(保健福祉総務課)>

松崎       ● 知事から、「19年度に新たに圏域ごとに支援する体制を整える」との答弁があったが、具体的にはどのようなことなのか。

健康危機管理担当課長       ○  県では、市町村の要援護者に対する支援対策を整備する際のガイドラインとして平成8年に「災害時における災害弱者支援マニュアル作成指針」を作成し、その後、介護保険制度など社会状況の変化を踏まえて、平成15年には「災害時における要援護者支援マニュアル作成指針」を作成し市町村に示したところである。

 その後、個人情報保護法の施行等を受け市町村から要援護者の情報が共有できない、あるいは要援護者一人ひとりの特性に応じた避難支援プランが作成できないなどの課題があるとの指摘を受け、平成18年9月に、市町村、福祉関係者、個人情報保護関係者などで構成する「災害時における要援護者支援対策検討会」を新たに設置し、市町村が要援護者対策を効果的に取り組むための条件、方法等について検討している。

 検討会では、個人情報保護法との関係を踏まえて、いかにして要援護者情報の共有化を図り関係者間で活用できるか、また、要援護者一人ひとりの特性に応じた避難支援プランを作る必要があるが、具体的にどのような項目を盛り込むべきかについて検討している。

 検討会は、現在までに2回開催されており、平成18年度中に現在の指針を改訂する予定であり、その後、市町村会議等を開催して県としての考え方を説明するなどにより、市町村における要援護者対策を支援する予定である。

 そのうえで、平成19年度は、市町村の要援護者対策は、地域により、大きな市町村から小さい市町村まで様々であることから、保健福祉圏域ごとに、新たに保健福祉事務所が中心となって市町村を交え個別の課題について検討する場を設ける予定であり、そのことを踏まえて「新たな支援体制を整える」と知事答弁させていただいた。

松崎       ● 今後も要援護者対策について検討が続くということか。

健康危機管理担当課長       ○ 今までも市町村は要援護者に対するマニュアルを作成しているが、国が避難支援ガイドラインを平成18年3月に出したことを踏まえ、県としては、広域的な観点から新たな課題について検討を行い、市町村のマニュアルづくりを支援していく。

松崎       ● マニュアルづくりを支援する体制を整備するとは具体的にどのようなことか。

健康危機管理担当課長       ○ 要援護者対策は議員がすでに十分ご承知のように市町村が第一義的に実施するものだが、県としては、検討会での成果を踏まえ、要援護者支援マニュアル作成指針を見直し、市町村ごとに異なる課題について調整していきたい。

松崎       ● 地域では、消防、民生委員等関係者の間で個人情報保護法の関係で情報共有ができず、個別のプランの作成が進んでいない。これは個人情報保護法の問題といえる。県では、個人情報保護法による情報共有が進まないことについてどのように考えているのか。

健康危機管理担当課長       ○ これは個人情報保護法に伴う「過剰反応」が大きく影響していると考えている。この件について、国では、平成18年2月に個人情報保護関係省庁連絡会議が「個人情報保護の円滑な推進について」申し合わせており、この申し合わせを受けて、厚生労働省では、この3月に「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」を改訂し、その中で、災害時は本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になる場合に当たるとして、個人情報の目的外利用・提供ができるとした。この趣旨を現在の指針を改訂し盛り込みたいと考えている。

松崎       ● 関係者は、この問題についてどのように取り組んでいいのかわからず萎縮している。県としての考え方を示すべきではないのか。

健康危機管理担当課長       ○ 県では、災害時には、個人情報を保護することより、消防等に個人情報を提供し活用することのほうが価値が上回るものと考えており、その上で、市町村は個人情報保護審査会に諮問する際には、要援護者情報の目的外利用だけを単に諮問するのではなく、要援護者対策全体、つまり市町村として災害時に要援護者の安否確認をどのように行い救助するのか、また、情報の取扱い目的と範囲を限定し安全性・正確性を確保する方策について説明することが重要であると考えている。

松崎       ● 指針の改訂時期は何月か。

健康危機管理担当課長       ○ 平成19年3月を予定している。

松崎       【要望】

● 大規模地震に備えて横浜市では具体的な被害想定を出しており、その中で建物の倒壊は約11万9千棟、救出が必要な人は2万人となっている。また、私が住む約22万人の金沢区でも4,569人が救出必要とされており、短期の避難者は9万5千人、長期になると7万5千人にのぼる。この多くが要援護者である。各市町村は、個別の避難支援プランを作成しなければならないという差し迫った課題につきあたっている。県には、災害時に一人でも多くの要援護者が無事避難することができ、また、避難所から日常生活に復帰できるよう、市町村の要援護者対策について、今まで以上に市町村への指導力を発揮し、具体的に支援していただくよう要望する。