平成19年2月 民主党・定例会意見発表

○ 民主党・かながわクラブとして、本委員会に付託された、平成19年度一般会計予算をはじめとする諸議案について、賛成の立場から意見を申し上げる。

○ はじめに、保健福祉部関係について申し上げる。

  平成19年度当初予算は、本年4月の知事選挙を踏まえ、骨格予算として編成されているが、その中にあっても、少子・高齢化の進展や医療制度改革など、医療や福祉をめぐる新たな課題・状況の変化に対応し、県民の保健福祉の向上に向けた施策をしっかりと位置づけ、取り組んでいくことに意を用いたものと理解している。

○ そこで、今後の施策の推進に当たりご留意いただきたい、いくつかの項目について申し上げる。

○ まず、自殺対策について申し上げる。

  我が国における自殺者数は、平成10年に3万人を超えて以来、高い水準で推移し、本県においても、平成17年における人口10万人あたりの自殺率は全国で一番低い状況にあるものの、自殺者数が全国で3番目に多く、1,705人となっている。

○ このような状況の中、昨年10月から自殺対策基本法が施行され、県としても、本格的に自殺対策に取り組んでいく必要があると考える。

○ 県では、これまでも自殺予防の観点から、自殺で家族を失った家族へのサポート事業や相談、普及啓発などに取り組んできたが、来年度は、これまでの取組みを「自殺対策」として充実強化するとともに医療関係、教育関係、経営者団体など、さまざまな分野の有識者等による「神奈川県自殺対策連絡協議会(仮称)」を設置し、今後、自殺対策について検討を進めていくとしていることは承知している。

○ 自殺対策の推進にあたっては、自殺の背景に健康問題のほか、経済や生活の問題、家庭の問題、職場の問題、学校の問題など、さまざまな社会的要因が関係していることを十分認識する必要がある。自殺対策連絡協議会の場を活用して関係機関との連携を図り、今後とも積極的な取組みを進めていくことを要望する。

○ 次に、精神科救急医療体制について申し上げる。

  本県においては、精神障害のために自らを傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれのある方について、精神保健福祉法に基づく警察官からの通報に対応する体制については24時間化が図られているが、精神疾患の急激な発症や精神症状の悪化を呈した方が入院を要する場合に当番病院を紹介し調整する、いわゆる「二次救急」については、これまで24時間化が図られていなかった。

○ しかし、県は、19年度から、横浜市及び川崎市とともに、救急医療提供が可能な基幹病院の確保等により、今までの空白時間帯へ対応するための体制整備を行い、精神科救急医療の 24時間体制を拡充するとしており、これは高く評価できるものである。

○ また、身体合併症の問題についても、しっかりと対応しており、県の精神科救急医療体制については、大変心強く感じているところである。

  精神科救急医療は、医療の提供や保護を迅速かつ的確に行わなければならない。今後もしっかりと施策を進めていただくことを要望する。

○ 次に、がん対策について申し上げる。

  本県の乳がんによる死亡率は、全国ワースト2位となっており、「がんへの挑戦・10か年戦略」において、死亡率をベスト10以内へ引き下げることを目指している。

○ 2月補正予算では、乳がんの早期発見に有効なマンモグラフィ機器の整備も行い、これにより、県内のマンモグラフィ機器の整備台数は146台となり、国が目標としている乳がん検診対象者の50%以上の方に対応できる体制が整ったと聞いている。

○ しかしながら、せっかく検査体制を拡充しても、乳がん検診の受診率向上に取り組まなければ、マンモグラフィ機器の整備も意味がない。

○ 今後は、整備された検診体制を活用して、一人でも多くの県民に乳がん検診を受診していただくため、乳がん検診の重要性を普及啓発するとともに、市町村と連携して、受診率の向上に取り組んでいただくことを要望する。

○ 次に、次世代育成支援対策について申し上げる。

  いじめや児童虐待など、子どもをめぐる状況はますます深刻化している。そのような中、県では、子どもが安全かつ健やかに育つことができ、県民が安心して子どもを生み、育てることができる環境の整備を一層推進するため、今定例会において「神奈川県子ども・子育て支援推進条例案」を提出されている。

○ この条例には、基本的な理念だけではなく、子育て支援に取り組んでいる事業者の認証制度や、子ども・子育て支援月間など、具体的な施策につながるような内容も含まれており、特に、事業者の認証制度は評価できるものと考える。

○ 条例が施行される本年10月までに、条例に基づく具体的な施策内容をしっかりと検討していただき、なるべく早く事業をスタートさせることができるよう、県民や中小企業等の事業者への制度周知に様々な工夫を行い、取組みを進めていただくよう要望する。

○ 次に、障害福祉施策について申し上げる。

  昨年10月から本格施行された障害者自立支援法においては、障害者地域作業所について、法定内事業である地域活動支援センターに移行することが想定されている。このことは、地域作業所が果たしてきた役割を、国が高く評価したものと認識しているが、一方で、地域作業所が、その歴史の中で柔軟に運営されてきたという経緯があり、障害の程度、年齢、利用日数など多様な利用者に対して、障害の枠にとらわれないニーズや生活支援に日常的に取り組んできたところである。

○ こうしたことから、地域作業所が障害者自立支援法の法定内事業に移行した場合でも、これまでの柔軟性・即応性といった機能や役割が失われることのないように、県が平成19年度からメニュー補助事業を創設したことは評価するが、すぐに法定内事業に移行できない地域作業所に対する支援をどのようにしていくかということも、同様に大変重要なことと考える。

○ 県では、現行の運営費補助制度について一定期間の経過措置を設ける予定としていることは承知しているが、市町村との負担割合は変更されることとなるし、経過措置の期間も明確とはなっていない。また、法定内事業に移行することが困難な場合も考えられる。

○ 今後、地域作業所が円滑に法定内事業へ移行できるよう、十分な支援を行うとともに、法定内事業への移行が困難な地域作業所についても、しっかりと対応を図っていただくよう要望する。

○ 次に、災害時の要援護者対策について申し上げる。

  本県に阪神淡路大震災のような大地震が発生した場合、現状では、横浜市内だけでも救出を必要とする要援護者は2万人以上と言われており、災害時の要援護者対策は緊急の課題である。

○ これまでも、県では、市町村がその実態に応じて要援護者の支援対策を整備する際のガイドラインとして「災害時における要援護者支援マニュアル作成指針」を作成するなど、取組みを進めてきた。しかし、個人情報の保護に関する法律の施行に伴い、要援護者情報が、実際に災害が発生した場合に救助にあたる消防機関、自主防災組織などに届かなくなり、地域において要援護者の名簿づくりが進まず情報の共有化が図れないこと、要援護者一人ひとりの特性に応じた個別の避難支援プランの作成が求められていること、といった課題も先に指摘したところである。

○ これらの課題を踏まえ、県では、今年度中に「災害時における要援護者支援マニュアル作成指針」を改訂し、平成19年度には、保健福祉圏域ごとに、保健福祉事務所が中心となり、市町村を交えて個別の課題について検討する場を設けるとのことである。

○ 今後は、これらの検討を精力的に進め、災害時に一人でも多くの要援護者が無事に避難することができ、また、なるべく早く避難所から日常生活に復帰できるよう、今まで以上に指導力を発揮していただき、広域的観点から具体的に市町村を支援し、要援護者対策の充実・強化を図っていただくよう要望する。

○ 次に病院事業庁の所管事項についてである。

○ 先ほども自殺対策の重要性について述べたが、自殺者の多くはうつ病等の精神疾患と関連があるとされていることから、精神科救急医療の基幹的な病院であり、また、重症患者への対応など、本県の精神科病院の中で大きな役割を果たしてきた精神医療センター芹香病院が、自殺防止対策においても重要な役割を担うべきであると私は考える。

○ 病院事業庁では、うつ病を中心としたストレスケア医療の充実を図るため、芹香病院にストレスケア病棟を整備するとしているが、平成20年4月のオープンに向けて、静養のための快適な環境を整える内装や外装の改修、個室の整備等を行う準備が着実に進められていることについては評価したいと思う。

○ 今後は、先ほど触れた「神奈川県自殺対策連絡協議会(仮称)」ともよく連携して、芹香病院における取組みを、より効果的に自殺防止につなげるよう要望する。

○ 最後に、県立病院の医療機器の整備についてである。

○ 我が会派の茅野委員長が9月定例会の一般質問において、今現在、治療が必要な患者さんのために、がんセンターの総合整備までの間においても、医療機器の整備を着実に進めるよう主張してきたところであるが、がんセンターについては、来年度は18年度より医療機器の予算を約9千万円増額し、リニアックなど2億円を超える治療装置も導入を予定していると伺い、その点については評価したいと思う。

○ がんセンターだけでなく、他の病院においても、医療機器や検査機器が古くなっていると、我が会派で県立病院を視察した際に伺ったので、今後とも医療機器の整備に取り組んでいただくよう強く要望する。 

○ 以上、意見、要望申し上げ、本委員会に付託された諸議案に賛成する。