平成19年2月28日 厚生常任委員会質疑のまとめ

<乳がん検診の充実強化について(健康増進課、病院事業庁)>

松崎       ●  10か年戦略では「都道府県別がん死亡ベスト10」以内を目指すという数値目標を掲げており、乳がんについては、ワースト2位からベスト10以内へとされている。これはいつまでに達成する目標なのか。

健康増進課長       ○ 戦略の計画期間である、平成17年度から26年度までに達成を目指す。

松崎       ● 戦略期間の各年度ごとにどこまで目標を達成するかは定めていないのか。

健康増進課長     ○ 年度ごとの目標設定はしていない。10か年戦略の具体的な取組みを推進する上では、戦略期間を3つのステージに区分し、19年度からは第2ステージとして展開、整備を図る時期と位置づけている。目標自体は10年の計画期間を通して達成することとしている。

松崎       ● ローリングというか、戦略の途中見直しはしないのか。

健康増進課長       ○ 戦略の中間評価は平成21年度に実施する。

松崎       ● 予算の状況を見ると、2月補正予算でマンモグラフィ機器を4台追加整備することとしているが、これにより乳がんに関する数値目標を達成できるのか。

健康増進課長       ○ マンモグラフィ機器については、16年度の調査で県内に診療用も含め120台あった。県の助成により17年度に9台、18年度に補正予算対応も含め17台を整備するので、整備後の台数は既存のものを含め146台となる。

○ 国は17、18年度の2か年で乳がん検診対象者の50%以上に対応できることを整備目標としており、本県では整備後の機器により、約38万人分と市町村の乳がん検診対象者の50%以上に対応できるので、国の整備目標値は達成した。

松崎       ● 乳がん検診の受診率の最近の傾向はこれまでと比較してどうなっているのか。

健康増進課長       ○ 国の指針が16年4月に改正され、従来は視触診で実施していた乳がん検診がマンモグラフィにより隔年で実施することとされた。検診方法が変わったので、従来の受診率との比較は一概にはできない。

松崎       ● 乳がん検診の受診率は全国で12%と聞いているが、そのとおりなのか。

健康増進課長       ○ 16年度の実績値の受診率は約15%となる。受診率の算定については、国の要領に基づき、市町村が自由に対象者を把握しており、40歳以上の住民に一定の係数をかけているところ、国保加入者としているところ、受診希望者を対象者としているところなど、各市町村によって分母の設定が異なり、受診率をどう把握するかは国の検討会でも課題となっている。

○ 同じような受診傾向であっても、対象者の設定が40歳以上の住民すべてであれば受診率は低くなるし、受診希望者を分母としていれば受診率は高くなるなど、実態を反映していない。

○ そうした統計的に正確ではない数値をあえて集計すれば、県内の受診率は約15%であり、各都道府県の数値を集計した全国の受診率は約22%であるが、一概に比較できる数値ではないと考える。

松崎       ● 10か年戦略を推進するためには、がん検診について、データを収集、分析する必要がある。がん検診の受診率について、市町村ごとに算出方法がバラバラでは県民に実態がわかりにくい。統一的なデータの取り方を市町村と協議する、国に要望するなど、県としての対応が必要ではないか。

健康増進課長       ○ がん検診の受診率については、本来、国際的に統一された把握方法があれば、それに従うべきであるが、そうしたものはない。また、各都道府県も同一の方法で算定すべきであるが、そうしたものもない。

○ 県としては、県内だけでも統一の方法が必要と考え、この2年間検討してきたが、今後は、国保人口を分母として統一し、市町村間の受診率を比較し、受診率の低い市町村に対しては、受診促進を促すなど受診率の向上に取り組んでいきたい。

松崎       ● 受診率について、目的的にデータを収集、分析するということだが、その後、具体的に検診受診率の向上に向けて、来年度予算での取組みを含め、どう進めていくのか。

健康増進課長       ○ 19年度予算は骨格予算であり、「早期発見」のところでは、検診従事者やマンモグラフィ読影医等の講習会に係る費用のみ計上した。今後、必要となる経費についてはさらに予算対応を図ってまいりたい。

○ がん検診は平成10年度以降、市町村の事業となっており、県が関与することは法的根拠もなく難しい面もある。各市町村では広報誌、ホームページでの広報、対象者への案内などにより周知しているが、市町村によっては、未受診者に受診勧奨をしているところ、土日に検診日を設定しているところがある。県としても、乳がんチェックシート、県のたより、県のホームページ、さらには新聞広告などを活用し、乳がん検診の受診促進を働きかけている。

松崎       ● 県立病院においても、がん検診の受診促進について、取組みを強化できるものであれば強化するべきだと思うがどうか。

県立病院課長       ○ がんセンターががん医療の中心であるが、検診の場ということは考えていない。ただ、いろいろな機会を捉え、啓蒙などで力を活かしていきたい。

松崎       ● 県民から見れば、保健福祉部なのか病院事業庁なのかはあまり関係なく、がんと名のつくところには専門家がいるのだろうという漠然とした期待がある。例えば、がんセンターの医師が機会を捉えて、話をすることが、早期発見の重要性や、マンモグラフィの存在を知ってもらうことにつながる。県立病院でも県の姿勢を示す意味でもそういう機会をつくることが重要だと考えるがどうか。

県立病院課長       ○ 公的医療機関としての使命は十分に認識している。医師だけでなく、患者さんと直接接する看護師は、いろいろな場面で検診の重要性についてお話をする機会があると思う。講演会や講習会などの堅い場面だけでなく、常日頃接する中で、お話できるようなことも考えていきたい。

松崎       【要望】

● これまで10か年戦略で様々に取り組んできているが、乳がん検診の受診率の向上は課題であり、1人でも多くの県民女性に乳がん検診を受診してもらえるよう、がんセンターの医療従事者による普及啓発も含め、県として乳がん検診の重要性を普及啓発し、乳がんの早期発見に努めてほしい。

● 今年11月21、22日には、乳がん検診の受診率向上をテーマに、日本乳がん検診学会が横浜で開催され、全国から医師、診療放射線技師等が参加するので、こうした学会の開催も契機とし、県として一層乳がん検診の受診率向上を目指してほしい。