2007年10月 文教常任委員会質問要旨
親になるための教育
松崎: 高校で親になるための教育について、どう考えているのかということを、昨年来お答えもいただいているところだが、特に本年2月の定例予算委員会において、教育長から「親になるための教育」の必要性をお認めになり、「現在、その内容や指導方法の基盤づくりを進めていく」とのお答えをいただいた。
そこで、確認させていただきたいが、これまで、今日に至るまで県立高校では、親になるための教育についてどのように取り組んできたか。
中岡 課長: 高等学校の教育活動においては、教科「家庭」の「家庭総合」、「家庭基礎」、「発達と保育」、教科「公民」の「倫理」、教科「福祉」の「社会福祉基礎」といった科目の中で、親の役割と保育や家族関係について学習することが学習指導要領に定められている。
具体的には、「家庭総合」の中の「子どもの発達と保育・福祉」という項目で「子どもの発達」や「親の役割と保育」について学習している。また、「総合的な学習の時間」の中で保育実習などの体験的な学習を取り入れている学校もある。
また、インターンシップ、ボランティア活動などの、教科外活動の中で、保育園・幼稚園において、子どもたちとの交流や保育実習などを行っている学校もある。
また、今年度1校だけではあるが、特色ある県立高校の取り組みの中で、親になるための体験的学習を学ぶために「ティーンエイジャーのための赤ちゃんを知る講座」という地域プロジェクトに生徒を参加させて、「赤ちゃんにふれてみよう」とか、「赤ちゃんを科学的に知る」といった数日間のプログラムを体験させるなど、先進的に取り組んでいる学校もある。参加した生徒からも「非常に勉強になった」といった感想があり、効果が上がっていると聞いている。
松崎: 「今年度、もうすでに走っている」という理解でよいのか。
中岡 課長: 学校での取り組みについてはそうだが、もう1点、私ども取り組みとして、神奈川県高等学校教育課程研究会の「総合的な学習の時間」部門の8名による研究グループを立ちあげて、「親になるための教育」を推進するための実践・参加型の授業プログラムを作成し、年度末には全校に配布するとともに、次年度以降の活用についても周知を図る。
先ほど申し上げたが、今年度、「家庭・生活教育」をテーマとして実践研究を行う学校を1校指定して、家族や家庭を大切にする心や態度を育成するための指導計画やカリキュラム開発などの研究を行っている。
松崎: それでは今後、どういうスタンスに立って、具体的には来年度以降になると思うが、どういう取り組みをしていくのか、明確にお答えいただきたい。
中岡 課長: 先ほど、ご説明した「家庭・生活教育」をテーマとして実践研究を行う学校について、来年度はさらに拡大して、10校程度を指定し、3年間、「親になるための教育」について研究・実践に取り組んでいただく予定である。
指定した各学校においては、神奈川県高等学校教育課程研究会の「総合的な学習の時間」部門の研究推進委員により作成中の実践・参加型の授業プログラムを各指定校の生徒の実態に合わせて実践し、その成果について検証するとともに、成果を他校に広めていきたいと考えている。
松崎: よく新しい取り組みで、実践研究が取り入れられるが、3年経つと「あれはどうなったんだろう」ということがある。念のために聞いておきたいが、3年経ったその後、これを県立高校としては、根付かせていくのだという心構えをお持ちの上で取り組みを展開されるのか。
中岡 課長: 学力向上など指定させていただいたが、「家庭・生活教育」をテーマとしたものも同様である。3年間終わって何もしないということではない。すべてのテーマにおいて全県立高校に広めていきたいと考えている。
松崎: 今後の取り組みについては、大いなる期待をもって次の質問をさせていただく。