2007年10月 文教常任委員会質問要旨

教職員人材確保・育成基本計画(仮称)について

松崎:    関連して、午前中に説明のあった教職員人材確保・育成基本計画について、いろいろ書かれているところを詳しく読んで、何点か確認したいところがあるので質問する。冊子の14ページに教職員研修の充実ということが書いてあり、今の答弁の中でも、今後の方向についての話があった。

  新聞を開いてニュースで、我が県の小・中・高校教員の中で、大多数の方は熱心に真面目に仕事をされていると思うが、先日も残念なことに、こともあろうか教え子とふしだらな関係を持ったということで教職員の不祥事があったという記事がでており、私どもにも、教育委員会の方から説明があった。

  こうしたことが、まったくもう、日常的にといえば言い過ぎになるが、しょっちゅうある。いったいどうなっているのかという気持ちを抱くのは私だけではないと思う。

  そこで、この文章を読むと、②のところに信頼確立のための研修の実施というふうになっているが、ここで2行目のところに意識啓発を図りますとあるが、今さら意識啓発について今後の方向として示しているのは、県民の一人として、切迫感がなくしっくりこないというか、何かもっと、差し迫った課題として、危機感を持って、それではどうしていくのかということがあまりよく伝わってこない。

  それから、その次の行にアンダーラインが引かれているが、「保護者や地域に開かれた学校運営を推進するため、情報公開への対応等の研修を実施します」とあるが、これも親あるいは子どもと学校との信頼関係で、情報公開という、これも問われれば応えるというニュアンスに受け取れてしまってしかたがない。開かれた学校であれば、あえて情報公開ということに意識を置くことなく、開かれた学校そのものを作っていくためにどうするかという点で、具体的な取組みを方針とするべきだと感じる。

  それから、⑤のところに、「危機管理も含め」とあるが、まさに、日頃先生方がどのように子どもたちと接しているのかということを、校長、副校長、教頭といった方々が、日頃からどのように把握しているのかということが問われるのであって、何か起きたときにどうするのかということについて、マニュアルのようなものを作って危機管理にあたろうということではなく、もっと日常的にどうするかと、どういうふうに学校を作り変えていくのか、という点での取組みが必要であり、その中に初めて教職員研修ということも位置づけられてくるのではないかという問題意識を持つわけだが、まず、この点についてどう考えているのか。

教職員人材担当課長:        まず、信頼確立のための研修における意識啓発について質問があった。これまでも私どもが取り組んでいる信頼確立のための事故・不祥事防止等に関する研修には様々なものがある。例えば、県立学校に対する教職員課の退職校長による出前の研修であるとか、そういったものを踏まえた形の研修を実際、現実にやっているところであるが、さらにこういった取組みを学校別に、学校の実情に合わせた形で一つ一つ取り組んでいくというような形でより充実させていくということで取り組んでいるところである。

  また、意識啓発ということで書いてあるが、さらに、今後の基本研修などの研修の中で、きちんとそれぞれのライフステージ、教職経験に応じた研修を充実する中で、そういった基本的な信頼確立のための研修についてもより一層取り入れていくというような形での充実をしたいというふうに考えているところである。

  それから、情報公開への対応についてであるが、県民意見の中で、学校の信頼を確立するためには、積極的な情報公開と個人情報の適切な取り扱いが不可欠であり、問題が発生した場合の適切な危機管理も含め、教職員の研修に明確に取り込む必要があるというような形で県民意見が出ているところである。この結果、下の⑤のところの危機管理というような形を含めて今回波線で書いてあるとおり追加したものである。

  委員お話しのとおり、保護者や地域に開かれた学校運営を推進するためには、単純に受身の情報公開への対応というばかりでなく、積極的に校長が意識を持って、例えば学校評議員であるとか、様々な学校開放の機会を通じて、いろいろ情報提供をやっていく必要があると考えており、併せて日頃から校長先生のリーダーシップのもと学校運営を作り変えていくという実践をしていくような取組みが大切だと考えているところである。

松崎:    次のページ(16ページ)には、児童・生徒による授業評価の実施が書かれているが、ひとつ引っかかるのが、「小・中学校等の児童・生徒による授業評価の実施を推進します」というふうになっている。これは、実践としてこれをやっていくのだということであると思うが、一方で、十分に事柄の是非、あるいは評価をしていく、きちんと適切に判断していく能力というのは、いくつかの年齢にならないと達しないということもあり、また、好き嫌いがいい先生悪い先生に直結することが、年齢が至らない場合には考えられる。

  推進していきますと書いてあるが、その点についてはどう考えているのか。

  推進するのは結構だが、こういう方向で考えていこう、子どもたちの評価というものについても、複眼的に見て行かないと、好き嫌いイコールいい先生悪い先生ということになると、いい先生だってたまったものではないという面がある。この点は、どのように考えているのか。私がなぜこれを聞くのかというと、4年前に文教常任委員であったときに、高校生によって授業評価をしていくべきだということを提案させていただき、実際そのとおり今実施されている。で、高校生といったのは、そこらあたりのことがあるからである。やはり、15歳以上でないと、いろいろな面があるだろうと思ったから提案したのであって、小・中学生、特に小学生についてはどうなのか。

教職員人材担当課長:        小・中学校の児童・生徒による授業評価の関係だが、現在でも教育委員会として、学校評価の取組みの一環の中で、授業評価を実施しているところである。そういった中で、小学生、中学生にふさわしいような様々な意見を聞く場合について、質問とか設定とか、そういったものがあるかと思うので、そうしたものを配慮した形での取組み方法もあるというふうに考えている。

  そういった面で、学校評価の一面の取組みの中で授業評価の実施を推進していくべきというふうに考えている。

松崎:   本日報告のあった「教職員人材確保・育成基本計画(仮称)(案)」の15頁に「児童・生徒による授業評価を実施し、授業改善を図る」とあるが、私は、例えば、これを小中学校で実施した場合、教員にとっては決してよい結果にならないのではないかと思う。子どもに媚を売ることにもなるし、「学級王国」と言われているように、閉鎖的でいかがなものかと思う。小中学校の授業評価の現状はどうか。

子ども教育支援課長            所謂開かれた学校ということで、学校評価が小中学校でも実施されているが、全ての小中学校が客観的な外部評価を実施しているわけではない。内部評価として、教職員あるいは保護者による評価が実施されるなどこの進め方は多くの学校で実施されている。それから、小学校は学級担任制ということで、委員ご指摘のように、学級をいかに開いていくかということが課題である。中学は教科担任制になっているので、担任としての比重は小学校ほどではない。やはり(授業評価について考えるとき、それを評価する児童生徒の)発達年齢ということもあり、一部専科という考え方もあり、小学校でいえば、美術や体育など専科制をとって工夫をしながら、授業交換もしているなどということも聞いているので、こうしたところが(授業評価を取り入れていく)一つの方向性ではないかと考える。

松崎:    言われているのは、映画のハリーポッターに出てくる子どもたちのように、幼いのだけれども、自分で教科を選んで、勉強しにいく、教科ごとにクラスがある、毎時間教科が再編成されることだと思う。そういうことであれば、授業評価導入の方向性は出てくるのかもしれ ない。

 次の項目について聞きたい。18ページであるが、教職員の士気高揚の促進の今後の方向の中で、①優れた教員の認定制度の導入ということで、スーパーティーチャー(仮称)というものがある。このスーパーティーチャーというのは何なのか。

教職員課長:        これは仮称にあるとおりで、これだという定義をまだ形作れていないというのが事実である。他県では、鉄人先生とかエキスパート教員というような名称で表彰制度を入れたり、また、職として認定したりといような様々な動き出しが始まっている。

  また、国で新たな職ということで指導教諭という職を、副校長、主幹教諭、指導教諭という形で、新たな職を持ち出してきている。私どもは、今年度この報告をまとめるにあたって、仮称を使っているが、表彰制度を今年度導入していく中で、授業力に優れた教員、この方たちを誉める制度から、何かの役割をやってもらう「職」を作れないか、というような検討をしたいということでここにコメントを入れたものである。

松崎:    この人はスーパーティーチャー、この人はスーパーティーチャーにならない、という前提となる評価とか、あるいは具体的な選定の基準だとか、あるいは職としての適応性の判断だとか、その辺はどのように考えているのか。言葉だけが独り歩きしていく可能性も考えられるので、この辺は何か考えがあってのことだと思うので、その点についてお聞かせいただきたい。

教職員課長:        職としてのあり方について検討するという段階で書かせていただいている。今、委員ご指摘のとおり、本県では、平成18年度に総括教諭を導入した。この総括教諭は、校内でこれまで様々な分掌、委員会、会議形式で持っていた仕事を、グループいわゆる行政でいえば班形式に学校内の分掌を変えて、班長を総括にする、管理職を校長、教頭にするという形で総括教諭を入れた。また、今年度の4月からは副校長を入れ、校長、副校長、教頭、総括教諭という形で学校運営組織が体制として整えられたと考えている。

  今度は、横というか、校内あるいは学校間で授業力を高めていくためには、どういった教員の活用が必要なのか、それには、一定の通常の教諭とは別の職という形で授業力を高めていくような教員たちの位置づけを付けてもいいのではないか、というふうに問題意識を持っている。

松崎:    私自身も、小学校、中学校、養護学校と様々な教育の場を見ているが、そこで教育の姿は、秀でた教員がいて、その人のもとに集まって何かを進めていくというやり方を現実には見たことがない。逆に、たいていの場合、チームとして職務を遂行していくという形を志向した取組みを進めてきたと私は記憶をしてきた。その流れからするとかなり方向が変わっているような気がする。いい悪いではなく、この人はスーパーティーチャー、この人はスーパーティーチャーにならない、どうしてそのような形をとろうとしているのかということをもう少し説明いただきたい。今の説明ではいまひとつ納得できない。

 そして、19ページには、情報機器の整備について書かれているが、どうもこの辺は教員の方々が煩雑な会議だとかにより、忙しくなっている。そうしたところの解決策として書いているのかと思うが、一方で、打ち合わせとか会議とかが山のようにあるということも聞くわけだが、その状況についての取組みとかについて、あまり進捗する雰囲気のないままに、一方でスーパーティーチャー、あなたはひょっとしたらスーパーティーチャーかもしれないし、スーパーじゃないかもしれないという形で持ち運ぼうとするのは、先生方の未来を、将来を示す文章としてはもう少し検討が必要なのではないかと率直に思うがどうか。

教職員課長:       委員お話しのとおり、特に養護学校では担任という意味では1つの教室に2人、3人と常時入って、そのチームワークで授業を進めている。また、小学校でもT.Tだとか、課題のある子どもに対し、少人数的な形で位置づいていく中で、学年団で協力し合うという形をとってきている場合もある。ただ、その中で、何人でも、誰でもというわけではないが、頑張っている先生が、よりモチベーションを上げるための仕組みづくりができないかというところが問題意識のもとにあるので、別に、決して現場を壊すような新たな志向を投げ込むようなつもりで検討を進めているわけではない。

松崎:(要望)      その答弁を聞いて安心した。また、頑張っている先生について、頑張っているということを評価するという点は、私も、全く同感である。ただ、そういった意味合いがもし答弁のようにあるならば、ここのところはもう少し検討していただき、現場に混乱をもたらすなというような言い方はしないし、積極的に変えるところは変えるべきだと思うが、良くなる方向で変わるんだということが県民の皆様にも見える形で是非とも取り組んでいただきたいということを申し上げて私の質問を終わらせていただく。