平成19年11月1日神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ

○ 外国人犯罪対策について(県警の通訳体制と経費について)

松崎      大きく2つの項目について質問いたしますが、一つ目は外国人犯罪及び薬 物対策、それから2点目はテロ及び大規模災害対策についてであります。

 まずそのうちの外国人犯罪対策について何点かお伺いいたします。昨今我が国、特に我が県のように様々な諸外国と接する機会が多い地域におきまして、やはり不法滞在外国人の問題、あるいはまた様々な来日をした外国人による犯罪はますますその多様化、多国籍化しているというふうに大変気になる所であります。また最近では、来日外国人グループと暴力団が結託をして強盗を行ったり、あるいは歓楽街を舞台に来日外国人による薬物乱用、或いはまた犯罪グループの組織化など、およそ過去に類例の無い事件が報道されています。

そして来日外国人による犯罪が発生した場合には、捜査によりこれを逮捕し取調べることが必要であることは言うまでもありません。

 また、一方で犯罪の被害に遭う、或いはまた事件に巻き込まれる、そういった外国人の方も大勢いらっしゃるんじゃないかと危惧しているところでございます。犯罪被害に遭われた場合には一刻も早くその方の母国語でどのような犯罪がどのように行われたのか速やかに話を聞く、そして捜査という点から見ても被害届を受理して捜査に着手するということが当然必要となります。

 しかし、多国籍化、多様化していくという現状を考えますと、その母国語にきちんと対応するということも非常にこれはだんだん大変になってきているんじゃないかという点も心配しているところであります。そこでまず我が県の警察の通訳体制についてお聞きします。

組織犯罪分析課 片平課長:            県警の通訳体制についてでありますが、職員通訳としまして5言語21人の職員がおりますが、今委員のおっしゃったとおり国際化が進んでいる来日外国人犯罪に対応するため、民間通訳としまして46言語211人の方を登録しまして、必要に応じて通訳をお願いしているところであります。

松崎:    今お聞きをしたところでは、通訳を担当している職員の方の人数それから 民間通訳の方々も含めて通訳体制が整っているということでありますが、警 察官それでは皆さん自身も捜査という課程におきまして、外国語を使用する ということが当然あると私は思います。

 そこで県警察には、外国語を使用して捜査することができる警察官はどの位おられるのかお聞かせください。

組織犯罪分析課 片平課長:            県警察としましては、外国語を使用して捜査が可能な警察官の育成に現在 努めておりますが、このような警察官は現在15言語189人おりましてこの者につきましては、国際捜査員として登録して、捜査の現場で運用しているところであります。

しかし捜査の現場、とりわけ取調べ時の通訳等につきましては、様々な言 語とか高度な語学力が要求されますので、その多くを民間通訳の方々にお願いしているのが現状であります。

松崎:    今のお話、2つお聞かせいただいたわけですけれど、1つは通訳を担当している職員の方のこと、それから外国語を使って捜査ができる警察官のことについてお聞きをしましたが、最後のお答えの中に民間通訳の方を依頼するというお話がありました。そこでそれではお聞きしますけれど、民間通訳を依頼した場合、経費についてはいかがなものでしょうか。

組織犯罪分析課 片平課長:            民間通訳を依頼した場合の経費についてでありますが、平成18年度は延べ人員で9,437人を運用しておりまして、そのうち民間通訳が8,778人で、全体の93パーセントを占めているところであります。その中で、県費で対応した通訳謝金は1億1,976万3,149円となっております。

松崎:    今のお答えで実は県警察においてですね90パーセント以上外国語使用の場面では通訳の方にお願いをし、そしてその費用が1億円を越えているということが分かりました。

 このお話を聞いて改めて思いますのは、現在外国人登録をされている方は本県において18年度末でありますが、16万600人おられるということでありまして調べましたところ、10年前、平成8年と比べたらですね5万1,476人増えているということであります。 そしてこれからも外国人の方は増えていくのではないかと、これは私の勝手な推測かも知れませんけれど、そのように思います。

 そう致しますと通訳の方を頼む、そして経費を支出するというのは1億円台ですが今は、それがまた増えていくんだろうというふうに思うんですね。そのへんは県警察としましてはどのような見通しをお持ちなんでしょうか。

組織犯罪分析課 片平課長:            委員ご指摘のとおり、今後も益々来日外国人の増加が予想されますことから、来日外国人犯罪者はもとより、利害関係者など警察による外国人に係わる事案の取扱いは、さらに増加するものと思われます。従いまして、通訳の需用も益々増加するものと考えております。

松崎:    そう致しますと、先程は外国語を使用して捜査にあたる警察官の方の人数だとか、ご報告をいただいたわけですけれども、そうした通訳の方、民間の方を依頼するという場面もこれからも増えるとは思うんですけど、一方では捜査ということ、あるいは組織化されていく犯罪だとかあるいは水面下で行われていく犯罪だとか、そうしたより巧妙化し、また被害に遭った場合なかなか救済することが難しく、しかも一分一秒を争うと、被害届をまず受理しなければ動けないと思うのでそれを考えるとですね、県警察において、あるいはその捜査手法を熟知した方自身がやはり外国語において、その犯罪の原因、被害の状況等を直接知ることができるかどうかがより大事になってくる と思うんですね。

 それを考えますとやはり通訳体制というか、あるいは外国に絡む形の捜査の体制というものを、語学力を中心に強化をしていく必要があると私は思うんですけども、見解があればお聞かせください 。

組織犯罪分析課 片平課長:            ただいま委員ご指摘のとおりでございまして、来年度は通訳センターを検討して県警としては設置しようと準備してございまして、それによりまして語学のできる職員を採用したり、それから今の警察官をいろんな意味で教養充実するということによって、委員ご指摘のとおり警察官が取調べをできる、生の声でできる、それを増やしていけば通訳謝金の方も減っていくのではと思っています。そのような気持ちで頑張っていきたいと思います。

松崎:    今、片平課長の方から非常に熱心な答弁をいただいたわけですけれども、私どもといたしましても、是非ですね県警察の通訳体制が一層強化されて、適正な通訳業務が行われて、犯罪被害から県民を守る、外国籍の方についても同じであるということの体制が整うことを要望しましてこの質問については終わります。