平成20年11月20日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<神奈川県の緊急経済対策の更なる充実を求めて>

松崎       ● まず、今の厳しい経済情勢についてどう認識しているのか伺いたい。

答弁要旨               ○ 県内の景気は、日本銀行横浜支店が11月12日に公表にした「県内金融経済概況」によれば、「停滞している」とされ、9月の「減速している」との見方に比べ、下方修正されている。

また、輸出や個人消費は弱含んでいるとされ、今後、県民生活や企業活動への影響は、一層深刻化することが懸念されており、そうした状況に対応して行かなくては行けないと認識している 。

松崎       ● 原油・原材料等高騰対策を5次対策までうち、緊急経済対策を11月18日に2次対策を打ったところまで聞いている。金融面での対策とならんで相談が打ち出されているが、これまでのところ、どのような相談があって、それについてどのように対応されているのか、伺いたい。

答弁要旨               ○ 相談の強化として、これまで行っていなかった土曜日に相談を実施している。すでに、11月1日、8日と2回実施している。 両日合わせて12件の相談が寄せられており、内容としては、金融、いわゆるお金を工面するための相談、あるいは取引をもう少し拡大したいという相談、さらには経営を改善したいといった相談が含まれている。それぞれ相談については、例えば、金融機関で融資を受けるための助言や経営に対するアドバイス、そういったことで対応した。

松崎       ● 相談の傾向として、緊急経済対策の枠組み中に位置づけているということもあるので、今までと何らかの違い、変化といったものがあれば、お伺いしたい。

答弁要旨               ○ 従来の原油・原材料等高騰対策実施時においても企業の厳しい状況に違いはないので、厳しさを受けた相談という点では、現在も状況に変わりはないと考えている。

松崎       ● 引き続き厳しい、あるいは、厳しさがより深刻さを増している状況なのかなと思う。

 50代、60代の方で、働かなければならない人達の相談として、「中高年のための働き方相談」という名称は、ゆるい感じで、差し迫っている感じがしない。

生活に困窮している方の場合の状況や、対処についてどうか 。

答弁要旨               ○ 中高年齢者全般の就業を支援するために、ジョブスタの相談を、県内各地域で実施している。

街頭労働相談にジョブスタのカウンセラーが出かけていって、相談を受けている。10月29日の大船駅での相談から11月18日の橋本駅での相談で、23人の方から相談を受けている。

ジョブスタでも、1階のハローワークと連携して、就業支援を行っている。

定年退職した方など、特定の技能のある方は割合すぐ就職先が見つかっている。しかし、中高年の方の具体的な仕事としては、ビルメンテナンス、清掃、パトロールなどが多く、ご本人の希望と現実的な労働市場とをマッチさせることが難しい状況である。「中高年のための働き方相談」の名称は、幅広い中高年のニーズを受けるために、このような名称にしている 。

松崎       ● 仕事の内容として、ものづくりなどその人でなくてはならないものは探しやすいが、サービスに関するものは、代わりがきくもので、企業も若くて賃金が安い人を求めるものであり、探しにくい分野なので、強化をしてもらいたい。

 金融面の報告もされたわけでありますけれども、報告資料の13頁のところに融資実績、これは制度融資についてですが、経営安定型については7割、体質強化型については8割、といったものが前年同月比であるというように、声として伺っているところは、借りたくても借りられないという声です。これには2億円超の部分、つまり、借りられる枠一杯使っている経営者の方々の声だったり、あるいは状況から考えると短期のものはともかく、ボリュームとして借入れを新たに起こすということ自体が、既にきつくなっているという2つがあると受け止めている。

 金融課としての受け止めもそういった借りたくても借りられないという声はそういう風に受け止めているのか 。

答弁要旨               ○ この委員会でも何回か答弁させていただいたが、金融機関又は信用保証協会は、支払い能力、返済能力に応じた融資ということで支払い能力に応じたという中で、もう一杯一杯に借り入れをされている方が、さらに新しくプラスアルファの融資を受けたいというときに、なかなか借りられないということもあり、そこのところで引き当てになるような担保、売掛債権であるとか流動資産担保というものがあれば、これをもとにして新しく融資ができるわけですが、業績がなかなか振るわない、また、お約束どおりの返済ができていない条件変更をしているということで、金額で例えれば50万円を返すべきところを10万円しか返していらっしゃらない、さらにいえば、延滞されているといった方が新しく借り入れされる場合に、なかなか難しいといったものが多くのケースである。

 確かに枠というお話がありましたけれども、いずれにしても支払い能力との問題で借りられないということが多いのではないかと考えている 。

松崎       ● 経営が厳しいというと、最初の質問でお答えのあった県内の厳しい経済状況の中で、経営が厳しいということもありますが、返済能力あるいは返済の状況は既に厳しくなっている。もし、順調に返済ができていて経営が良い循環をなしているということであるならば、厳しい。

ですから、厳しくなっているところに対して、どうするのか。そうすると、制度上、あるいは返済能力あるいは返済の状況は残りつつある。

 国も制度を持っていますし、対策を県が講じていることは私も承知しております。

今、市町村レベルで申請を受けていると聞いている。

 先程報告のあった6頁のところでは、中小企業支援対策の第1に上げてあるのは中小企業者に対する金融の円滑化の要請、そして、下請取引の適正化というものが、貸し渋り、貸しはがしあるいはまた、下請けに対する単価をもっと安いものにしなさいといったようなものを文書で要請したとありますが、要請したあとはどうなっているのか 。

答弁要旨               ○ 県で要請申し上げたという前提には、県には金融機関に対する直接の監督権限もないので、お願いと言う形、要請という形をとっている。引き続き、状況を見て、必要があればこういうことを繰り返していくということしか県としては、施策支援としては難しい。具体的に実態を県として把握するために状況を報告いただくということは難しいのではないか。

松崎       ● 県としてはということは説明があったが、日ごろ関係機関と連携を深めてきたと思うので、関係機関と連携して、文書で要請した後、どのようなアクションを第2弾第3弾ととっていくのかということを検討する余地があるかと思うが、そこについてはどうか。

答弁要旨               ○ 中小企業金融は事業資金が回らないと血液が回らないという形で、各事業者は非常に苦労していると思う。特に年末を控え、この正月をどう迎えるかということで切実な中小零細事業者の方がたくさんいると承知している。ただ、先ほど金融課長が申し上げたとおり、金融機能上、返済能力に合わせてお貸しすると言うのが最大の条件である。ただ、この暮れを乗り切れば春先には仕事が増えてなんとかなるという方もいらっしゃるので、そういった事情に関しては金融機関に御説明又は御理解をいただく。また保証協会にも御理解をいただいて、なるべく貸せる方には貸していただきたいという要請は引き続きしていきたい。

 新聞紙上でも大手自動車メーカー減産ということで、従業員の方、特に季節工や派遣の方も途中で解雇という状況もありますし、暮れにかけて様々な面で経営・雇用に対する不安が出ているので、そういう方にも県としてもできることは最大限やっていく 。

松崎       ● 答弁でかなり県としての姿勢を打ち出されたと受け止めた。先日第25回神奈川工業技術開発大賞の表彰式に出席したが、神奈川を支えるものづくりの分野を含め、県内の職場・事業所の元気が出てくる様々な施策を講じていかなければいけない。今答弁があった金融に関する部分、あるいは相談といった部分とともに、次の時代を開いていく、あるいはこれまでの苦しい時代を乗り切った支援が、それぞれの企業がおかれた状況に応じてあると思うので、眠っているかもしれないノウハウ、あるいは県の産業振興センターを含めたところに蓄積された知恵を総動員して、これから年末にかけて厳しい状況が予想されるので、一丸となって厳しい経済情勢に対して乗り切っていただきたい。