平成20年12月11日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<県受動喫煙防止条例について>

松崎       ● 11月20日の連合調査会におきまして、会派を代表して質疑を行ったこともありますので、山口委員に引き続き何点か質疑をさせていただきたいと思います。まず、今答えがあったように先般の連合調査会の中で疑問点あるいは明らかにならなかった部分がありました、今はわが会派といたしましてもまだまだ課題が多いと答えさせていただいたところでございます。今日ご説明があった素案ですが確かにいろいろな点で検討されたんだなということも受け止めさせていただきますが、しかしながら指摘をさせていただいたところに関してなお残る課題というものが浮かび上がっているのも事実です。そこで、まずお聞きしたいんですが、執行体制について横浜、川崎の政令市だけでなく保健所を設置している横須賀、藤沢そういったところまで人口にすれば600万人を超える方がお住まいで、そこを本庁組織で対応するということになる。質疑の中では、暮らし安全指導員といった方々にも参加をいただくというようなことでありました。実際にこれが現実的な執行体制として果たして十分なのだろうかろかと思うのは私だけではないと思います。そこでお聞きしたいのですが、素案の中で、考え方の中で示されている執行体制についてこういった考え方で十分であると考えているのか、そこをまず確認させてください。

答弁要旨               ○ 榎並委員の質問にもお答えさせていただきましたが、執行体制についてどの程度まで対応できるかどうか素案にありますが、保健福祉部が中心になって対応することになると思いますが、全庁的に連携体制もとることになると思いますが、そうした中でこれから検討していくのではないかと考えております。そうした中で私どもとして出来る限り特に周知の部分については、いろんな関係団体がありますので、そういうところと連携、周知ができるのではないかと考えています。具体的な執行体制は、保健福祉部でこれから検討していくということで承知しています 。

松崎       ● 今の説明ですと周知の部分については特に商工労働部も関係する団体があるからとあるいは全庁的な連携ということもおっしゃっているわけです。具体的には過料というものを設定し、実効性を担保しようというものですから過料を具体的に課されるというまでの間に、様々な指導、監督であるとか手続きが規定されているわけですからそれらの各段階においても全庁的な対応をとっていくということでいいですか。

答弁要旨               ○ 現段階では、保健福祉部中心に具体的な手続きの検討を進めていると思います。そうした中で全庁的に対応していく必要が出てくる場合には、商工労働部だけでなく他の部局も含めて対応していくのではないかと考えています。

松崎       ● 次にお聞きしたいのですが、小規模事業者の定義ですが今まで商工労働常任委員会の中では、従業員の数ということで、具体的には10名未満、細かく言うと1名から4名とそれ以上に分けて説明をされてきたわけですが、今回そういった基準は採用にならず、100平方メートル以下という面積と言うことで定義されています。そこでお聞きしたいのですが、なぜ定義の変更が行われたのか伺いたい。

答弁要旨               ○ 今回100平方メートル以下を小規模事業者としております。激変緩和措置ということで対象をひとつは施設の状況、利用者の実態さらには現行面積の分布状況等を総合的に勘案して、現行面積100平方メートル以下の飲食店としたというところでございます。規模が小さいほど効果的な分煙方法をとることが困難という傾向もあります。県が19年に実施した受動喫煙に対するアンケート施設調査によると受動喫煙防止対策を実施していない理由として喫煙室を設けるスペースがないという理由が多くあげられている。各調査の結果でも現行面積100平米、それ以上になると相対的に分煙を実施している割合が高くなっている傾向が出ております。昨年と今年の10月に商工労働部が中心に調査をやっていますが、同様な傾向が出ています。いろいろな統計を勘案して、県民や事業者にとってわかりやすい数値、面積100平米以下としたということでございます。

松崎       ● 従業員数で定義をし区分するのはいい方法であり、評価していたところであります。委員会でもそのことに触れたと思います。客の受動喫煙もあるが、従業員の方々の受動喫煙にも着目をし、施策を推進する必要があると考える。そのことは重要な項目であると思う。そうすると100平方メートルという定義もひとつの考え方ですが、従業員数ということを基準として小規模店、そして3年猶予その前段の施行期日の関係からすると1年も禁止に入っています。そうするとトータル4年でしょうか。その間様々な施策を周知をしていくんだということでありましたから、従業員数の少ないところについては適用しないという考え方もあると思うが、それをとらなかった理由をお聞きしたい 。

答弁要旨               ○ 小規模企業事業者というのは、中小企業法の中では、製造業で20人以下、サービス業で5人以下ということになっています。小規模事業者という定義を使いますと従業員が5人以下ということになってしまって、必ずしも5人以下の飲食店が規模が小さいかというとそういうことでもなく、5人以下でも大きいところがある。そういうことで分煙の構造を作り難いということで、100平方メートルに賛同したわけでございます 。

松崎       ● そうするとまずは施設での設備の困難性ということに着目をし、そして次に従業員数でみればより面積を広くとることによって、猶予するところしかも実際には、施設の困難性はすでに伴っているからということで100平米がよかろうという判断に立ったわけですね。では、従業員の数というものと顔ぶれと言うことで考えてみたいと思いますが、未成年の方々を何らかの形で臨時的にお手伝いをいただいている事業所もあると思うが、未成年の方々がおられるところは実際どうなるのでしょう。3年間猶予の後は働けないのか、従業員の方は受動喫煙をしながら雇用が継続されていく形になるのか。その辺の考え方はどう整理しているのか。

答弁要旨               ○ 現在、条例の施行後について、未成年の方が入ることは禁止されるが、従業員の方については、決まっておりません。というのは職業選択の自由という法的に部分について弁護士と相談をして調整をしていると聞いております 。

松崎       ● わからないんですが、弁護士に相談しているというのは、検討状況としてはわかります。ただそこのところは県民の皆様にわかる形で説明をしないと、実際に飲食を伴う場面で未成年の方が働いている場合がある。例えば短期のアルバイトとかで雇用されている場合がある。ごく日常的なことだと思うが、条例ができたらどうなるかということを決めていただき議会はその辺を議論しなければいけない。保健福祉部でとおっしゃったんですが、労働、雇用という側面を持っているからこの点について聞いているので、商工労働部としてはどのように考えるのかというところをまとめてお示しいただきたい 。

答弁要旨               ○ 喫煙できる場所で未成年の従業員が働けないということですと、就業の場を狭めることになりますので、私どもとしては、そういったことも勘案して調整しくくださいという話もしています。一方、労働安全衛生という面で健康を守るという側面もあります。そういったことも含めて、未成年の就労の場を狭める規制が法的にできるのか早急に検討するよう保健福祉部に申し入れていきます。

松崎       ● 未成年者の立ち入り制限をかけていこうというのも、お客様という場合ですが、お客様であろうと従業員であろうと未成年であっては健康に対する影響は全く同じである。長い時間いるということを考えれば、お客様より、従業員の方の方が、さらされる時間は長い。その辺も含めて労働衛生上の観点とおっしゃったので、とりあえずとは思うのですが、深く検討していただいて早急に考えを示していただきたいと考えます。

もう一点、面積基準に関係するんですが、雇用ということにも関係しますが、施設管理者という定義をなされています。例えば名ばかり店長といわれるようなファーストフード等の店長も施設管理者に入るのでしょうか 。

答弁要旨               ○ 委員お話しのとおり施設管理者に該当します 。

松崎       ● 過料の対象にもなるのか。

答弁要旨               ○ 施設管理者として対象になります 。

松崎       ● 名ばかり店長は、実際には一般労働者と同じで過酷な労働条件にあるので、かねてから問題にされていると承知しているが。

答弁要旨               ○ 名ばかりの店長であれば管理監督者でございませんので、表向きは店長ですが、建物の全権の管理を委任されていないとすれば、本社のしかるべき管理、監督責任者ということになると思います 。

松崎       ● 総務課長の名ばかり管理者も管理監督者に該当するというのは、どうなりますか。この条例では、管理者になるが労働基準法のほうでは本社のほうになるということですか。

答弁要旨               ○ 先程お答えしたのは、名ばかりというより施設管理者として委任を受けているという前提でして、ですから実際にそこの管理者が例えば飲食店として本社が届出をしていればそこの人間が管理者になるかと思います。ただ、そこでどう判断するかというのは、実態に合わせて考えなければいけないのではと思います 。

松崎       ● 整理してお答えいただきたいのですが、実態をみて実際の管理監督の権限を持ち、そういう位置にある、名ばかりで実際の店長には当たらないという場合には、管理者に当たらないということでいいでしょうか。

答弁要旨               ○ 飲食店は、保健所等への届出というのがあります。そうした場合に届出者がそこの実質の管理者になると私としては理解しています。

飲食店を届出している者が通常ですといます、届出者が施設管理者です 。

松崎       ● 届出者が名ばかり店長であった場合は、その人が管理者になってしまうのですか。

答弁要旨               ○ 考え方としてはそうです 。

松崎       ● ここのところは、未成年者の問題もそうですが、街中歩けばそういった例がたくさんあります。ほとんどがみかけ上と実態が違う、正社員として採用されていない場合がほとんどですから、この条例は最後に過料を行政罰として課すわけですから、過料を予定する条例で実効性の担保について非常にこれからも議論をしていく部分であると思うので、そこを考えあわせれば雇用と従業員の方々の立場あるいは、その健康面についてもどうなるかということ、適用することが厳しい結果を生みかけないということがありますので、よくよく答弁の中で明瞭でない部分があると思うので、ここはさらに詰めていただいてお示しいただきたいと思います。

  次に、支援の内容についてお聞きしたい。融資、利子補給について示されているが、日本政策金融公庫においては健康増進法に連動する形で受動喫煙防止資金というものを3,000万円までの枠で、スタート当初は0.6%、現状でも1.75%あるいは2%という超低金利で融通するという体制がとられている。しかしながら、横浜支店把握の中では現状需要は全くないという。こうした超低金利を国の政策金融の中で用意しておきながら利用がないのに、新たにここで融資と融資に関連する利子補給を打ち出しているが、利用が見込める形での融資というものが成り立ちうると考えているのか 。

答弁要旨               ○ 今後、条例が施行された場合には100㎡を超えた事業所は禁煙措置か分煙措置をとらなければならなくなるため、今後は支援策として日本政策金融公庫の融資制度の活用が多くなり、有効な支援策となってくるのではないかと思います 。

松崎       ● ここに含まれている融資というのは、県独自に新たに融資制度を作るというのではなく、既にある日本政策金融公庫の融資を活用するという趣旨なのでしょうか。

答弁要旨               ○ 今の話は日本政策金融公庫の融資制度であり、県独自の融資制度を今検討しています。融資制度をもっている商工労働部としても、この検討の中に入り調整しているところです 。

松崎       ● 現状の中小企業に対する融資は、制度融資が代表的なものであると思いますが、これは、中小企業の経営その他、現状の円高や原油・原材料の高騰対策など様々なものがあります。緊急経済対策は、一番最近のものだと思います。それらと、受動喫煙防止条例施行に伴う融資制度は、性格が違うものだと思います。つまり、受動喫煙防止対策を推進するという、特定の政策目的の実現のための融資であって、特別なものであると思いますが、それは間違いないでしょうか。

答弁要旨               ○ 制度融資の中には、原油・原材料等高騰対策融資のように、使途が運転資金のものや、フロンティア資金のように、ある程度特定の目的のために設けているメニューのものもあります。

例えば、環境関係のものとかありますので、そういう意味からいえば、全く性格が違うといえるのかどうか、必ずしも違うとは言い切れないと思います。制度融資の中にも、県が施策として推進するものを支援するために作られたメニューもございます 。

松崎       ● そうすると、現行の制度融資の中で、新たな条例施行に伴う施設・設備をつけるための資金を融通しようとするものなのでしょうか。

答弁要旨               ○ そういう仕組みを作ることも、可能性はあるということでございます 。

松崎       ● 可能性があるということは、検討がどこまで進んでいるのかが、いまひとつ、わからないのですが、資料には融資やそれに対する利子補給ということがはっきり書いてあるのですが、どこまで検討しているのか教えてください。

答弁要旨               ○ フロンティア資金は、いろいろな県の施策目的のものでございまして、その一つに、環境のクールネッサンスというものがございます。これは、環境農政部が施策推進しているものをメニューとして制度融資に取り込んでいます。

基本的には、事業を所管している部局が主体的にどういう形のものにするのか考えていただくもので、予算措置が必要なものと、必要でないものがありますが、予算措置が必要な場合は、所管部局で予算計上することになっております。例えば、制度融資の中でお使いになりたいということであれば、保健福祉部と、いろいろ調整し検討しなければなりませんが、そのようなことも可能ですし、また、保健福祉部として単独で制度融資とは関係なく、利子補給のメニューを考えるということもできるということです。

今、保健福祉部でサポートシステムとして広く検討されていることと思いますが、具体的には把握していない状況です 。

松崎       ● すぐ対象になってくる事業者と3年猶予の事業者があり、3年猶予の事業者への影響が厳しいから支援が必要ではないかという議論がずっと続いています。逆に言うと、3年猶予の間に効果的な支援策を考える時間ができたんだろうと私は受け止めています。ただ、条例をスタートすることは間違いないわけで、そういった時点で融資或いは利子補給を考えておられる。しかも今までの融資については、政策金融の部分について言えば利用実績がないという厳しい現状が既にあるのだから、それをクリアしながらどういう制度を作るのかと言うことについては相当検討しないといけないと思います。その点については、どのような見解をお持ちですか。或いはどういう見解を持ったから融資、利子補給という選択肢を示すようになったのですか。財政的なお金を直接お渡しするような支援は難しいが、だから融資にするという消極的な選択ではないはずです。個々の店の経営状況はそれぞれ違うが、厳しい経済状況の中で新たに受動喫煙防止に関する設備のために借入を起こそうということに踏み切れる経営者がどれだけいらっしゃるかというという厳しさもある。そういったところも踏まえて融資、利子補給についてどうお考えですか。施策を利用される側から、これを効果的な支援として位置付けているのですか。

答弁要旨               ○ 融資、利子補給については、実際には商工労働部としてではなく保健福祉部として、今回の条例の施行にあたって、こういう形での支援メニューが考えられるだろう、サポートの仕組みの中の一つの要素としてできるだろうということで進めており、商工労働部としては融資制度を所管しているため財政的な面も含めてどういう方法論があるか相談を受けております。今の段階では相談を受けて、こういうふうな形でやらないといけないと経験を踏まえてお話しさせていただいています。今後も保健福祉部とのやりとりを進め、県民に不安を与えないように調整してまいりたいと考えております 。

松崎       ● 表示についてお聞きします。例えば視覚障害のある方が、具体的にどのような規制を受けているお店なのか、或いはどのように分類されているお店なのか分かるようにしなければならないと思いますが、表示ついてはどのようにお考えですか。

答弁要旨               ○ 表示については、表示を促進しないと受動喫煙防止の環境は作れないということで、今現在保健福祉部中心に検討していますが、今のところ私どもで承知しているのは、表示については統一的なものを一定程度準備するということです。まだ、具体的には示されておりませんが、示されれば委員お話の条件についても当然指摘していきたいと考えております 。

松崎       ● 店の側で用意するのではなく、県で用意するのですか。

答弁要旨               ○ 県が統一的基準を示し準備すると承知しておりますが、数量など手続き論を含めてまだ検討段階にあります 。

松崎       ● 検討中とお答えになった部分は早急に詰めていただきたいと要望します。

次に、今回は経過措置として3年ということが盛り込まれているが、考え方をお聞きしたいのですが、なぜ3年なんでしょうか 。

答弁要旨               ○ なぜ3年かという点について、明確な説明は非常に難しいのですが、例えば1年では短い、5年では条例を作っても長過ぎるといったような議論などの中から、3年という期間が出てきたものと認識しています。

この3年という期間においては、世論の盛り上がりということも期待できますし、また、実際にスタートしている店の事例なども学んでいただき、そうした手法なども取り入れていただくといったことでも、必要な検討期間といった意味での3年であると考えています 。

松崎       ● 部長から答弁をいただきましたが、今の答弁を持って3年が短いとか5年では長いとかいった断定的な議論をするつもりはありません。

ただ、実際に3年の猶予、またその前段の1年を考え合わせると4年という期間が条例の骨格に入っているわけですが、その期間というものをどのように捉え、どういう形で推進しようと考えているのかお聞かせいただけますでしょうか 。

答弁要旨               ○            猶予期間についてですが、仮に条例が成立された場合、来年4月に公布となり、施行は半年後となりますので、実際には3年半の猶予期間となります 。

松崎       ● 保健福祉部に聞いたところでは、部分によっては4年ということになると聞いたのですが。

答弁要旨               ○ 公布があり、半年後に施行があり、さらに準備期間が半年あるのですが、3年間猶予の施設については、3年間の中に準備期間が含まれますので、実際には3年半の猶予期間ということになると聞いております 。

松崎       ● それでは、保健福祉部の説明が違っているのでしょうか。

答弁要旨               ○ その点については再度確認しまして、次回に答弁させていただきたいと思います。

松崎       ● その点は、確認いただきたいと思います。今日は、様々な観点から質疑させていただきましたが、本日の時点でご回答をいただけなかったところ、また、現在検討中であるといったところについてはまた、次にお答えいただける機会にお願いしたいと思います 。