平成21年3月17日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<政労使の合意形成について>

松崎       ● 昨日の予算委員会で、はかりや議員から「雇用対策にかかる政労使の取組」について質問し、知事からは「政労使が一致協力して、この難局に立ち向かっていく」と答弁がありました。

 そこで、政労使による取組について、何点かお伺いします。

 協議会を設置したとのことでしたが、どのような協議会か、また、構成団体についてお聞かせ願います。

答弁要旨               ○ 協議会でございますが、名称は「神奈川県緊急雇用対策政労使会議」といたしまして、先月26日に県が呼びかけをいたしまして、設置を致しました。

構成メンバーにつきましては、行政は県と神奈川労働局の監督課、職業安定課及び企画室、経済団体は、商工会議所連合会、商工会連合会、神奈川経済同友会、神奈川県経営者協会及び中小企業団体中央会の経済5団体、労働団体は、連合神奈川でございます。経済団体及び労働団体につきましては、事務局長にメンバーに入っていただいております。

松崎       ● 県が労働団体や経済団体と政労使合意を行おうとした基本的な考え方はどういうものでしょうか。

答弁要旨               ○ 雇用情勢の悪化を受けまして、昨年の暮れに知事と神奈川労働局長によりまして、直接経済団体に対し、雇用の維持あるいは新規学卒者の内定取り消しの回避といったことにつきまして、要請を行うと共に30人規模以上、約8,500の個別の事業所につきましても知事と神奈川労働局長の連名で要請をいたしました。

 しかし、年が変わりましても、雇用情勢はさらに悪化をいたしまして、厚生労働省が発表いたしました12月時点での非正規労働者の県内の解雇等予定人数が2,500人でしたが、2月にはそれが5,400人と倍増しております。また、内定取り消しにつきましても、12月段階に43名だったものが61名といずれも厳しい状況となっているところでございます。

 そんな状況にある中で、政労使に加え学識で構成いたしまして、県と労働局で設置をいたしました「神奈川における仕事と生活協和推進会議」等の会議からも「緊急の雇用対策を政労使一丸となってやるべきである」という提言をいただいております。また、県が設置をしております「神奈川県労働審議会」の中でも委員の方から「ワークシェアリング導入に向けた政労使の協議を進めるべき」というご意見をいただきました。

 そこで、行政だけの取組だけでは限界があるので、政労使が一緒になって情報の共有をし、労使でどのような協調を図ることができるのか。また、安易な雇止めや内定取り消しが行われていますので、改めての法令遵守といったことにつきまして、利害を超えて合意点を見いだそうということで、協議会を設置したという経過でございます。

松崎       ● 利害を超えてと答弁がありましたが、労使の意見の一致を図ることは非常に難しいことだと思います。そこで、一致を図るためのどのような一押し、どのような目標を現段階で考えているのかお聞かせ願います。

答弁要旨               ○ 現在の雇用情勢でございますが、非正規労働者の大量解雇、雇止めが発生していますが、この状況が正社員まで及んできております。先ほどの厚生労働省の発表では、全国ベースで原則100人以上の事例でございますが、約1万人がこの6か月の中で離職されるといった状況がございます。労働行政を担当するものといたしまして、雇用の維持をどう図っていくか、ということが大命題であろうかと思っております。

企業または経済界にとりまして、スキルを持った人材を解雇するということになりますと、せっかく長い間かけて蓄積されたすばらしい技術力等が失われていくという懸念があるわけです。

現在、製造業を初めといたしまして、国の雇用調整助成金等を活用していただいて、雇用を繋いでいただくという動きが強くなっております。前年比100倍の雇用調整助成金の申し出があるという報道もございます。

企業にとりましては、スキルのある人材を確保していくということが、まずは重要なことであろうと思います。

また、労働者にとりましては、雇用が確保され、生活も安定が図れるという、こういった部分がございます。

手法として、緊急避難的なワークシェアリングを導入していく企業もあると聞いているところでございますが、その際に重要なのは、労使間で話し合いが行われるということでございます。ワークシェアリングは、雇用調整でございますから、労働時間の短縮であり、賃金にも影響が及んで参ります。

現在は、企業にとっても痛みが伴い、また、労働者にとっても痛みが伴い、国にとっても雇用調整助成金を拠出するという、いわば三方一両損のような状況であろうかと思います。

そういった中で、県では、政労使が一体となって、具体的に取り組んでまいります。例えば、国の支援制度につきましても、まだまだ知られていないということがあります。先般もこの制度につきまして説明会を実施いたしましたところ、約300社から申込をいただきました。こういうことにつきましても積極的にやっていかなければならないと思っております。また、法令遵守につきましては、現在国会で労働関係法令の改正も審議されておりますので、国会を通過しましたら、みなさまにご理解いただくよう周知して参ります。

このように様々な取組を政労使一丸となって取り組んでいく時期にあるのではないかと思います。

松崎       ● 現在の雇用情勢の悪化は、中小企業、零細企業など弱い所を中心に厳しい現状があります。そして、その雇用の悪循環を断ち切っていかなければなりません。

そこで、政労使の取組について、商工労働部を代表して、商工労働部長の決意を伺いたいと思います 。

答弁要旨               ○ 内閣府が発表いたしました月例経済報告では「景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある」とされており、先行きにつきましても、「当面、悪化が続くとみられ、急速な減産の動きなどが雇用の大幅な調整につながることが懸念される。」とされております。これは、大変なことだと思っております。

こうした状況を踏まえ、昨年の11月以降5次にわたる神奈川県緊急経済対策を実施し、また、21年度につきましては、緊急雇用創出事業をふくめ、第6次の緊急経済対策を実施します。

こうした中で、現在、春闘で労使交渉が行われているわけですが、労使に行政を加えた政労使で合意ができないかということで、検討をしてきたわけでございます。経済団体、労働団体と行政、三者が一体となり、知恵を出し合って、県の雇用対策に活かしていくということが固まりつつあり、まもなく合意できるというところまできております。これは、全国で初めての取組になると思います。

具体的には、「雇用の維持」「雇用のミスマッチの解消」「関係法令の周知」この3つにつきまして、政労使で一体となって取り組んでまいります。

そういったことが、県民のみなさまに向けてのアピールになると考えております。マインド効果といって、神奈川県ではこのような合意ができている、という前向きな明るさを提供できることが大きな意味を持つと考えています。

これから政労使合意を進める中で、雇用の維持に努め、ミスマッチを解消していくように取り組んでまいります。