平成21年4月20日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<神奈川R&Dネットワーク構想の取組について>

松崎       ● 「神奈川R&Dネットワーク構想の取組」について伺う。

先ほど、ソニー㈱で共同研究のための実験室「オープンラボ」が開設されたとの報告があったが、中小企業の技術力の向上に資する大きな成果だと思う。また、以前に私が当委員会で質問した「EV用リチウムイオン電池研究会」が、先日NHKの番組で「世界との競争に勝てる新産業の創造」といったテーマで取り上げられるなど、注目を集めている。これらに関して何点か伺いたい。

まず、改めて、「オープンラボ」について、開設の経緯も含めて概要を伺いたい。

答弁要旨               ○ これまで、県内の中小企業のオンリーワン技術を大企業で活用していただきたいということで、「神奈川R&D推進協議会」メンバー企業である、ソニーや日産自動車、キヤノンを対象とした個別企業の技術展示会、複数のメンバー企業が参加する合同の技術展示会を開催してまいりました。

 こうした中、ソニーを対象とした技術展示会に県内中小企業が開発した産業用レーザー加工装置を出品し、その技術がソニーの技術者の目に留まり、結果的にソニーへの導入が決定しました。

 この産業用レーザー加工装置は、加工精度が非常に高く、さまざまな技術分野での応用が期待される先進技術でもあるので、ソニーからの提案により、社内の研究開発で利用するだけではなくて、産学公連携等の共同研究に活用するため、オープン利用が可能な実験室として、開設されたものです。

松崎       ● 次に、「EV用リチウムイオン電池研究会」の最近の活動について伺いたい。

答弁要旨               ○ 「EV用リチウムイオン電池研究会」の最近の活動でございますが、3月17日に情報交換会を産業技術センターで開催をいたしました。

当日は、電気自動車関連の研究開発の最前線で活躍されている企業の方々による講演ということで、本県が電気自動車の普及を目的として設置した「かながわ電気自動車普及推進協議会」のメンバー企業である富士重工業と、「神奈川R&D推進協議会」メンバー企業であるアルバックに、ご協力をいただき、電気自動車の研究開発の状況、リチウムイオン電池の生産技術についてのご講演をいただきました。

また、講演会に加えて、会員相互の情報交換を図る場や、ビジネスチャンスのきっかけ作りとなるように、交流会も行いました。当日は、参加企業数が100社、参加者数が165名と盛況な研究会であり、活発な議論や意見交換が行われました。

松崎       ● テレビ放送では、県内中小企業が高精度な加工技術を生かして、新たにリチウムイオン電池の部品加工に参入しようとする様子が放送されていたが、そうした場合の県による支援について、伺いたい。

答弁要旨               ○ 県は、これまでも、厳しい経営環境にあっても前向きに取り組んでいる中小企業者を技術面、経営面から幅広く支援をしております。その支援制度の一つとして、県内の中小企業者が行う新商品・新技術開発や販路開拓の経費の一部に対して、補助金を交付しています。

  (テレビの)放送で、取り上げられた中小企業につきましては、自動車部品加工で培った高精度金属加工技術を生かしたリチウムイオン電池用部品の加工技術の開発を行っており、平成20年度に県は、この部分に対して補助を行っております。

 また、その他にも、平成20年度の神奈川工業技術開発大賞の地域環境技術賞を受賞しました「電気自動車用急速充電器」につきましても、平成19年度に支援をさせていただきました。

 このように、新規成長分野の一つであるEV・新エネルギー分野で、県内におけるものづくり中小企業の集積を基盤として、新たな事業活動といったものの取組が進んでおり、県といたしましても、引き続き、県内の中小企業者が行う新商品・新技術開発を支援するとともに、神奈川工業技術開発大賞などにより、先進的な中小企業をアピールしてまいります。

松崎       ● 県内ものづくり企業の競争力強化のためには、先進的な中小企業と「神奈川R&D推進協議会」メンバー企業を始めとする大企業や大学等との技術連携が重要だと考えるが、現在の推進協議会の活動終了後の平成22年度以降に向けて、どのように取り組んでいくのか、伺いたい。

答弁要旨               ○ 神奈川R&Dネットワーク構想の取組は、これまでお話しましたように、目に見える成果もあがってきております。県内産業の活性化を図っていくためには、今後ともこの構想を推進していく必要があると考えております。

そのためには、インベスト神奈川の助成を受けた大企業だけではなく、それ以外の県内大企業、インベストで助成を受けた中小企業など、多くの企業に参加してもらうよう、輪を広げる必要があると考えております。

 そこで、新しい企業に参加をしていただくために、平成21年度から、オンリーワン技術を持つ中小企業の技術を、出前方式で県内大企業に紹介するセミナーあるいは、インベスト大企業以外の県内企業に参加を拡大するための事業を実施しまして、ネットワークを広げて、平成22年度以降を展望した新たな推進体制を構築したいと考えています。

松崎     ● 「神奈川R&Dネットワーク構想」の成果を、より多くの県内企業等に波及させていくためには、平成21年度で終了する神奈川R&D推進協議会の活動を引き継ぎ、持続的に構想を推進する新たな体制を構築する必要がある。

 是非、今後とも県民、中小企業から期待のもてる取組を積極的に推進していただくよう要望する。