平成21年9月30日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

<県試験機関(産業技術センター)について>

菅原委員               ● まずは、産業技術センターの目的について伺いたいと思います。

工業技術担当課長               ○ 産業技術センターの目的につきましては、工業技術、その他の科学技術の向上及び発展に必要な試験研究、及び技術支援を行うために設置をすると規定されております。

それにつきまして、産技センターでは、具体的な数値目標を定めまして、企業支援に励んでいるところでございます。

菅原委員               ● 数値目標を設定して取り組んでいることは、大変重要な取組であると思っています。  

お客様である企業からの意見をホームページで公開していることにも、大変評価をしているところでありますが、産業技術センターが扱う内容は大変専門的な分野でありまして、私も実際拝見されていただいて、如何せん、判断がしかねるところがたくさんあったのですけれど、実際問題、県民が求めるニーズにこの機関は応えているのでしょうか。

工業技術担当課長               ○ 平成14年から民間の副所長を招聘いたしまして、その民間的な手法を取り入れて、事業を進めてまいりました。

これはまず、ひとつに、県民のニーズ、企業ニーズでございますが、それから社会的な産業界のニーズ、これをどうして取り入れていくかに、腐心して取り組んでまいりました。

また、現在は出前相談という形で、それぞれの各地域、もしくは企業のニーズを把握することを努めるようにがんばっております。

菅原委員               ● 具体的に応えた実績を挙げてもらえますか。

工業技術担当課長               ○ 例えば、出前相談でございますけれど、平成20年度には303件、実施をしてまいりました。

菅原委員               ● 具体的に研究の成果で県民に応えたものはありますか。

工業技術担当課長               ○ 産業技術センターでは4本の柱に基づきまして、事業を展開しております。そのうちの一本が研究開発でございます。

研究開発は、あくまでも企業のニーズ、産業界のニーズに基づきまして、実施するものでございまして、その研究開発をした実力を元に、企業支援をしていくという考えであります。

具体的には、例えば製品化ということに、今、力を入れておりまして、製品化をするために、いろいろな支援が必要でございます。

その一つといたしまして、製品開発室という部屋を、インキュベーションルームのようなものですが、産技センターの中に設置し、そこに企業に来ていただきまして、製品化・事業化を図るといった事業を行っております。

菅原委員               ● 今、お話を伺っても、専門的で分かりにくいのですが、具体的に企業の商品に繋がって、売上が上がりましたなどの、数値的に分かりやすく示されたものは無いのですか。

工業技術担当課長               ○ 産業技術センターでは、技術支援成果事例集というものを発行しております。これは、具体的に産業技術センターの職員が支援をいたしました内容と、それがどのような製品として世の中に出て行ったかということを示しております。そして数値目標といたしまして、その件数と売上高に相当する額、これを指標として、支援をしております。

具体的には、平成18年、19年、20年の3ヵ年の計画では、平成20年度で、13億7千万円の売上高相当額を支援したということになっております。

菅原委員               ● その事例集、私も持っているのですが、この事例を見ますといろいろな開発がなされていることが分かります。

 ただ、これが実際、具体的にどう使われているのか分からないのですが、今、お話が合った13億7千万円の売上があったということですが、この数字自体は、このセンターが目標とする数値に対して、どういう数字なのですか。

工業技術担当課長               ○ あくまでも、全てを数値化している訳ではございません。3ヵ年計画の第二期目のものづくり技術支援強化活動ですが、そのなかで、3年間でその製品化、商品化したものの数を倍にする、それから売上高相当額を倍にするという目標を設定して、得られた数値でございます。

菅原委員               ● 倍、倍というお話だったのですが、具体的に、これだけの売上高、という数値はないのですか。

工業技術担当課長               ○ その数値目標が、3年間でもって、28件であったものを倍にする56件、売上高相当額を倍にする、13億8千万円を目標値といたしました。

菅原委員               ● 目標設定がどうなのかは、私、分かりませんが、目標値にほぼ届いているということであります。

 そういった中で、もろもろ研究成果があります。実際、研究しているところも見ました。皆さん、熱心にやられています。いろいろなものが足りないといったご意見もありました。

あまりにも専門的で分からないので、失礼な質問かも知れませんが、研究が本当に企業のためになされているのか、私、分からないのですが、全ての研究が県民ニーズに応えるためになされているのか、時としてわき道に逸れるような研究になってしますことはないのですか。

工業技術担当課長               ○ 確かに、研究は非常に幅広いために、そこだけを見ますと、すぐ企業化ですとか、製品化に役立つものだけではございません。しかし、大体、製品化するのに4段階くらいあるのではないかと考えております。

 まず初めにシーズ、自分たちでどのようなことができるのか、また、社会的にどのようなことが必要とされているか、その基本的なことをやる。

それをある程度目安を付けましたら、例えば重点基礎研究のような形でもって、少し大きめにやっていく。

そこで、第3段階といたしましては、それを例えば国の機関からの支援等を受けるなどいたしまして、実用化に向けた研究を行う。

そして最終的には、それを製品化し、世の中に出していくというようなことを考えておりまして、特に基礎的な段階のところの研究というのは、非常に重要ではございますけれど、確かに、今すぐ、企業化とか商品化とかに役立つようには見えないかも知れません。

しかし、決して、わき道に逸れたことをやっているのではないということを、自負しております。

菅原委員               ● 私、その答弁を信頼したいと思います。と言いますのも、難しいと思うんですね、いつか花開くからいろんな無駄をやっているのと、確実に無駄をやっていることの境は、専門的な見方をできる人しか分かりません。そこだけは、しっかりやっていただきたいと思います。

 さてその産業技術センターですけれど、機関評価委員の評価を受けたと思うのですが、その中で、産業技術センターの海老名のものと、もう一つ、工芸技術所ですか、小田原の方に、それも調査させていただきましたが、そちらの方も評価の対象になったのでしょうか。

工業技術担当課長               ○ 小田原の工芸技術所も、産業技術センターの一機関でございますので、同時に評価を受けております。

菅原委員               ● そちらの方について、少し伺いたいのですが、拝見させていただいて、工芸に対する様々な支援をしていただいていること、そして、熱意のある職員がいらっしゃることをすごく感じました。

 そういった中で、木のおもちゃや工芸品があったり、様々な保管をしてあったりしたのですが、結構手狭になっているようでした。

 ああいったものを、収集、保管していくことも、センターの一つの業務ということでよろしいのでしょうか。

工業技術担当課長               ○ 様々なものを、本来なら展示をして、皆さん方に見ていただきたいことなんですけれど、場所の制約もございまして、ある程度、やむなく、しまっているものもございます。

しかし、それを保管して、いつでも出せるようにしておく、というのは重要な使命の一つと考えております。

佐藤工業振興課長             ○ お話ございましたように、保管、収集と併せまして、今年度につきましては、西湘地域のセンターと連携いたしまして、地域センターの庁舎の中に、展示スペースを設けまして、県民の方に見ていただこうという取組を進めております。

菅原委員               ● なかなかいろいろ興味深いものがあって、あれを保管しておくだけというのは、事業として、よく分からないなという感じたことがあって、ああいうものを保管していくことが一つの役割としてあるのであれば、それをぜひ、出していくのも大切だと思います。

 こういった中で、現在、産業技術センターというのは、県の直轄という形でやっているのですが、例えば、他の都県の事例などを見ると、独立行政法人に運営を変えていくことを行っているところも、いくつか見受けられます。

 本県においては、この産業技術センターの運営について、今後も直轄でやっていくということでよろしいのでしょうか。

工業技術担当課長               ○ 県の方針を直接指示されてはおりませんが、いままでの検討段階から言いますと、これまで独立行政法人化するのが、県民のためであるのかどうかが重要でありますが、それらは、立場によって意味合いが違うと思います。

そこで、私たちといたしましては、県民として、県として、企業として、本当に独立行政法人化するのがいいのかどうかという視点から、検討していかなくてはならないと考えております。

具体的には、これまでも民間の手法を入れまして、技術支援の量的な、質的な拡大を図ってまいりましたが、既に独法化しております東京都とか、岩手県ですとか、その各機関の状況を見まして、判断をしていくべきものではないかと考えております。

菅原委員               ● ということは、独法化は一つの検討材料として、選択肢としてあるということでよろしいですか。

工業技術担当課長             ○ 独法化すべきであるとか、ないとかということは聞いておりません。ただ、当然のことながら、他の都県で実施しておりますので、そういう運営形態がありうるということは、承知をしておりますし、選択肢の一つだと思います。

菅原委員               ● 私は、独法化をした方がいいと言っている訳ではなくて、一番適した運営形態を、一度、検討はして欲しいと思うのですね。

 検討した上で、一番、県民に応える最適な形を選んでいただきたいとお願いをする次第であります。

工業技術担当課長             ○ 産業技術センターのみで、できる内容ではございませんので、県試全体の状況を見て、政策部の方でもって、考えている結果だと思います。

松崎       ● 今の質問に関連して、機関評価委員会への対応方針を読ませていただきましたが、何点か気がかりな点がありました。

 まず、5ページのところ、産業技術センターについては、22年度、23年度にそれぞれ見直しを行う。

 23年度には運営体制の検討を行うとありますが、この辺、もっとスピードアップして、早い時点でできないのかと思いますが、2年くらい掛かりそうな、2年後にやらなければならない事情はありますか。

商工労働総務課長               ○ ただ今、委員のほうからお話しのありました、組織、執行体制の見直しということについて、機関評価委員会からの提言の対応方針に、22年度の見直しを図って、23年度に運営体制の検討を行い、次のものづくり技術支援中期活動計画に反映させていくという、私どものスタンス、考え方が載せられております。

この間、担当課長からも答弁申し上げましたが、まず、私どもといたしましては、機関評価委員会からの、こういった提言をまとめたわけですが、ここ一年の大変厳しい財政状況、あるいは行政システム改革の状況、選択と集中という話も受けました。

また、試験研究機関につきましては、産業技術センターだけではございませんで、オール県庁の中には、さまざまな試験研究機関がございます。そういった業務全体の見直しを図りつつ、あるべき執行体制、あるいは運営の効率化というものを見据えていく。こうしたことが、機関評価検討委員会での大きな流れになってございます。

そうした中で、個別の課題、あるいは個別の進め方について、これら業務を洗い出しながら、あるべき姿というもので議論させていただいているものでございまして、先ほど来からでております、独立行政法人化、先行している自治体、都、県、市含めて、六つの事例があることも承知しておりますが、こういったところも参考にしながら、検討の対象にし、また、メリット、デメリットも考えながら、最終的な判断をさせていくという内容でございます。

松崎       ● いまの独法化の話も、そうでないのですか。ずっと、課長がお答えになっているけれど、これは県の重要な財産ですよね。それを独法化するかどうかの議論、検討というのは、所管する課で検討しておしまいということではいけないでしょう。影響も甚大なものがあるし。あるいは独法化したほうが、より県民にとってプラスだということであれば、判断は誰がするのかという問題もありますよね。 どうですか。

工業技術担当課長               ○ 所長裁量権で一番大きなものは、手数料、使用料の額の決定であると認識しております。

総務課長               ○ ただ今の答弁を補足させていただきますが、通常ですと、使用料、手数料については、一件、試験計測ではいくらと、条例で決めておりますが、産技センターの条例ですと、上限を決めておりまして、上限の中で、実質的に効果配分を考えながら、所属長、所長が判断しながら決めていく、こうゆうことでございます。

松崎       ● やっている側自身が検討するというのは、ともすると、どれだけ客観性を担保できるのか、また、こういった委員会での提言などもよく踏まえる必要があると思いますし、我々は議会人でありますので、2年を待たずして、即やるべきだという見解もあろうかと思います。

 その場合に、じゃあ、急いでやる場合に、どういうことを欠かさず検討しなくてはならないかということは、お互いの議論があろうかと思います。その余地は、残しておきたいと思っております。

 もう一つ、気になるのですが、報告の15ページなのですが、現在、認められている所長の裁量権の最大限の活用を図るとあるのですが、これはどういう意味ですか。

工業技術担当課長               ○ 平成15年から始めまして、現在、ほぼ、3千件でございます。

松崎       ● 図るということは、どういうことなのかと聞いている。

工業技術担当課長               ○ 委員からご指摘のありましたように、アンケートをとりますと、リピーター客が産技センターには多いことが分かり、満足度アンケートでも90%以上の人が、もう一度、さらに利用したいという、お答えをいただいております。

 ですから、そういった意味からも、来ていただいた方に、メールマガジンの配信をお願いできますでしょうか、ということを必ずお願いしております。

 もちろん、拒否されれば登録はいたしません。

 そして、メールマガジンを増やすということですが、初めは月一度づつ行っておりました。しかし、タイムリーに出す必要が出てまいりましたので、やっていくうちに改善を行い、平均的には2回ぐらいになっておりますが、その都度、例えば、この10月に「ものづくり技術交流会」がございますけれど、大きな事業があるときには、その都度発行していくよう、努めております。

松崎       ● 関連ですので、この辺にしておきますが、いずれにせよ、現行の組織ありき、あるいは、今までの枠組みを前提として、発想するということではなくて、もう一度、ゼロベースから、見直していきましょうというのが、先日の知事からの提案説明の中に取り上げられておりました。これは、当然のことながら、部長も、部の皆さんも共有されている見解だと思いますので、ぜひとも産業技術センターが優秀な機関であるということを前提とはしますけれど、だからといって、今のあり方からスタートするということではなくて、ゼロベースで見直す必要かと思います。2年という期間を掛ける、本当に必要な2年なのか、それとも、官としてできるものなのか、できないものなのか議論を続けていく必要があると思います。質問を戻します。