平成21年11月9日 神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ
○ 平成20年度の財政運営について
松崎 ここまでの落ち込みは予測できなかったということだったと思いますが、年度途中にですね300億以上も落ち込むということは、大変なことだと思うわけです。それと、今年度につきましても、9月定例会の提案説明の中で知事からですね、大幅な減収を始めから見込んだ当初予算をですね、さらに500億を超える落ち込みなんだという説明が聞かれたわけでありまして、その点から考えますと、税収見積もりにつきましても、これは精度を向上させていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
それと、20年度に話を戻しますけれども、年度途中に発生した300億円の税収減をどのように埋め合わせたのかお伺いします。
財政課長 20年度は、年度の途中で税の300億円の減収のほかに、介護・措置・医療関係費こちらが年度内に大幅に増加するという見通しもございました。このままですと11年度以来の赤字決算にもなりかねない、このような危機的な状況であったものですから、緊急財政対策プロジェクトチームを設立いたしまして、20年度中の経費の節減・抑制、これを全庁にお願いをいたしました。
その結果、税が減りますと、市町村への税交付金の当然減などというのもございますけれども、歳出の削減ということで298億円の削減をすることができました。それでも足りなかったものですから、192億円臨時財政対策債を追加発行するとともに、減収補てん債につきましても発行させていただいて全体の収支に対応させていただいたというところでございます。
松崎 今、説明の中では県債を追加発行したという答弁がありました。私自身が2年前に18年度決算を審査した決算特別委員会の総括質問におきまして、プライマリーバランスの黒字化について質問をいたしました。
当時は黒字化まであと少しというところまできていたわけですけれども、目標である22年度当初の黒字化を1年前倒しで達成するくらいの意気込みで取り組むんだという力強い答弁があったのを記憶しております。
ただ、昨年秋からの財政環境が急変をしたということでありまして、20年度当初の段階で90億円の赤字だったものが、21年度当初では987億円と、10倍以上に赤字額が拡大をしております。
急激な県税の減収とそれを補てんする対策、これの多くが地方交付税ではなくて臨時財政対策債によってなされた結果であるということなんですけれども、我が会派といたしましては、地方税財政制度の改革、これが是非とも必要だということを主張しております。
そこで臨時財政対策債について伺います。臨時財政対策債は、地方全体の財源不足を国と地方が折半をして補てんすることをルール化し、地方が補てんする部分を賄う地方債であるという理解でよろしいか確認をいたします。
財政課長 臨時財政対策債は、平成13年度に、地方の財源不足を補てんするために、地方交付税の振替財源として、地方が発行することとされた赤字地方債でございます。
地方の財源不足は、まず、建設地方債の充当率を引き上げまして、その残りの部分を国と地方とで折半するとされております。国の負担分は、一般会計からの繰り入れ、地方の負担分について、委員がおっしゃいました臨時財政対策債の発行により補てんをするという形になっております。
当初、3年間の時限でしたけれども、2回延長されまして、今の期限は21年度末までとなっております。
松崎 そういう答弁をこれまで何度か繰り返されているんだろうと思います。じゃあ伺いたいんですけれども、こちらにですね、総務省自治財政局が20年1月に作成をしている「地方財政計画の概要」、20年に関してのものなんですが、こちらにこのペーパーがあるんですけれども、この中にですね、折半対象財源不足は、平成19年度に引き続き発生せずと、はっきり記載をしているわけであります。
一方で財源不足額は5兆2,470億円、そしてその補てんとして臨時財政対策債の発行が2兆8,332億円と記載しております。さらに、既発債の元利償還金分とありますけれども、折半対象の財源不足が発生していないのに、ではどうして3兆円にものぼる臨時財政対策債を発行する必要があるのでしょうか。
財政課長 地方が発行いたします臨時財政対策債の元利償還金は、税、交付税などの一般財源ですべて返済をしなきゃいけませんけれども、その金額を地方交付税の基準財政需要額に全額算入するというルールになってはおります。
ただ、20年度の地方財政対策の結果、この臨時財政対策債の元利償還金、このすべてを賄う交付税が確保できずに、結果として、臨時財政対策債の償還のために必要な額、これを新たに臨時財政対策債を発行して確保すると、そういう形での対策が講じられたということでございます。
松崎 それはおかしいと思うわけですね。臨時財政対策債の元利償還金は、これ100%地方交付税の基準財政需要額に反映するという約束だったと思います。ですので、借金の返済のために新たにまた借金を繰り返すということでは、これいつまでたっても際限なく続いてしまうということになります。
こういう約束違反というものが、どうしてこういう風にまかり通っていくわけでしょうか。
財政課長 最終的には、臨時財政対策債の元利償還金は、交付税の算定上、全額算入される仕組みは維持はされております。ただ現段階で、その償還財源を臨時財政対策債の発行で賄っているというのが現状でございます。
これは、いずれ地方の収支が改善されれば、臨時財政対策債を発行しなくとも返済可能になると、そういう総務省の説明でございます。ただ、私どもとしましては、裏を返せば、収支が改善されない限りは、この臨時財政対策債の発行がずっと続くと、そのようなことになりかねないという状況でございますので、今の経済情勢を考えますと、とても地方税の大幅な増収が見込める状況じゃないということで、国のこの対応については今後も含めまして大きな懸念をもっていると、そういう状況でございます。
松崎 要はですね、景気が回復すれば臨時財政対策債を発行しなくても済むという事でありましょうが、規模を見ますとね、20年度で3兆円もの規模があるということで、しかもこれから、今の現状考えれば、毎年発行額が積み上がっていき、積み上がれば積み上がるほど、その元利償還金も増えていくということでありますから、今、言われた論理というのは非現実的だなと思うわけで、臨時財政対策債の発行を抑制するべきだと考えるわけですけれども、見解をお聞かせください。
財政課長 委員のご指摘ももっともなところがございますけれども、臨時財政対策債は、交付税の代替措置ということでございます。交付税というのは即ち、標準的な県民サービスを行っていくために必要な財源、そういう性格でございます。県税収入が毎年、大変大きく落ち込んで、それがさらに厳しい状況になっていく中で、この臨時財政対策債の発行をしなければ収支が合わないということで発行を余儀なくされている、そういう状況がございます。
今後も巨額の財源不足を抱える中で、まず徹底した歳出削減、人件費の抑制なども行っていく必要がございますし、これまでも行ってまいりましたけれども、それだけではとても補てんしきれない財源不足でございました。こういう中で県民サービスを維持するためには、臨時財政対策債を抑制するということは、大変困難で現状ではできないというのが率直なところでございます。
松崎 危機的な財政状況ということについては、理解をしているわけですけれども、それならば余計この措置についてですね、やはり改善を求めていく必要があると私は思います。これまでどういう改善を求めてきたのか、また、これからどういう改善を求めていこうとしているのか、この点について伺います。
財政課長 本来、地方の財源不足が連続する場合には、これは地方交付税法の規定で、国税から地方交付税への算入をする税率、これを引き上げるというような根本的な改善を図っていかなければならないということになっております。ところが現段階では、臨時的なこの臨時財政対策債で、時限的な措置をやっておりますので、私どもとしては、この臨時財政対策債というのは、あくまで時限的・臨時的な措置なんだということを前提に考えております。
したがいまして、現状2回も時限を延長している、こういうやり方というのは、とても容認できるものではないとの考え方をもっておりますので、臨時財政対策債を速やかに本来の地方交付税に復元をするように、これまでも時限のタイミングで必ず要望をしてまいりました。今回、21年度につきましては最終年でございますから、こちらも本県独自にやらせていただいておりますけれども、関東地方知事会や全国団体とも一緒にこの点については要望を続けてまいりたい、このように取り組んでいくつもりでございます。
松崎 まさにこの点ですね、地方税財政制度の改革、そして課題ということを我が会派として主張してきているわけですけれども、交付税総額が足りずに、その分、借金ということでございますので、改善を強く求めていただきたいと思うわけです。
もう一つお伺いをしてまいりますけれども、こちらに9月定例会で配付された行財政改革特別委員会での説明資料がございますが、住民1人当たりの地方税そして地方交付税、それから臨時財政対策債の額を示したグラフがございます。21年度の当初予算ベースなんですが、1番多いのが島根県で36万6千円、本県は埼玉県の次に低い全国46番目ということで14万6千円、この差が住民1人につきまして22万円であります。全国平均よりも5万9千円少ない額になっております。20年度につきましても同様の傾向かと思うのですが、20年度の状況をお答えください。
財政課長 20年度の普通会計決算ベースということでございますが、まだ総務省の方で正式な発表がございません。私どもが各都道府県に確認をさせていただいて集めている資料がございます。それに基づきましてお答えさせていただきますが、本県の20年度決算ベースでの「住民1人当たり地方税・地方交付税・臨時財政対策債」は全国最低で15万2千円でございます。トップが島根県で38万8千円。島根県よりも1人当たり23万6千円も少ない。全国平均は21万6千円でございますので、こちらと比較しても6万4千円少ないという状況でございます。
ちなみにトップの方の団体は、島根県そして鳥取県、高知県、徳島県と、このような団体の順になっておりまして、最下位が神奈川県、そのすぐ上が埼玉県、千葉県ということで21年度当初と、ほぼ同様の傾向になっております。
松崎 これを見ますと、一番格差があるのが地方交付税でありまして、島根県の場合、住民1人当たり21万5千円なんですけれども、本県はわずか5千円ということでございまして、全国平均6万3千円ですから、これと比べても12分の1以下ということになっております。この実態について率直にどういうふうに受け止めていますか。
財政課長 地方交付税の算定上の問題として、私ども都市部の財政需要、これが財政需要額として反映されている部分が不十分じゃないか、そういう基本的な認識を持っております。
具体的には、例えば都市部ですと土地価格が大変高い、そのために建設事業、用地買収などのコストが高いわけですけれども、これについて交付税措置というのは不十分であるという点がございます。
また、介護・措置・医療関係費、この義務的経費についても都市部はかなり大きくなっていますが、積上げが不十分である、さらには教員や警察官の人件費についても、こちらも十分には算入されていない。このような状況がございますので、そもそも交付税というのは、恒常的なサービスを財源面で保障すると、そういう制度でございますから、このような需要は的確に反映をして、その分、交付税の必要額を確保すべきだと、このように考えております。
松崎 そのように考えて、これまで国にはどのように求めてきたのかお伺いします。
財政課長 まず、交付税の算定につきましては、毎年度、交付税制度改正の要望というものをやらせていただいております。その他、毎年、国の施策・事業また予算などに対する提案もさせていただいております。
この中で、特に交付税の制度改正要望につきましては、具体的な提案内容、細かなところまで含めて試算も含めまして要望をさせていただいております。
また昨年、これは21年度に向けて大変財政状況厳しいということで、愛知県、大阪府と三団体で特別に要望させていただいて、地方交付税の増額など、地方の一般財源総額の安定的確保ということを要望もさせていただいているという状況でございます。
松崎 要望しているということは分かったんですけれども、そこからさらに考えていくと、この間の説明からずっと気がかりな点なんですけれども、1点伺いたいと思います。
健全化判断比率についてご報告がありました。その報告によれば、20年度の本県の財政状況、これは健全だという印象なんですね。その中に様々な指標が出ていますけれども、実質赤字比率あるいは連結実質赤字比率は47都道府県とも赤字がない、その中で言えば人並みであるということでありますが、一つお伺いしたいのは実質公債費比率についてなんですね。18年度から20年度の3ヵ年平均で8.9%で昨年よりも0.3%改善し、全国で2番目に低い、非常に良好な値だという報告なんです。
ただ率直に言って、おかしいなと違和感があるわけです。つまり、何かというと、20年2月の定例会の提案説明でも知事が20年度の予算編成につきまして、「バブル経済崩壊後の国の経済対策に対応して大量発行した県債や臨時財政対策債の償還が本格化していることに伴い、公債費が大幅に増加する」というふうに述べておられるわけです。会議録にもそのように載っています。ほか、いろいろな場面でですね、当局から同じような説明を何度も受けているわけですけれども、それが当委員会における説明ではですね、全国トップクラスの健全性だというふうに報告されているわけですけれども、どう認識しているのかお聞きしたいと思います。
財政課長 実質公債費比率でございますけれども、こちらは全国に先駆けて、県債の新規発行額を自主財源の10%以下に落とそうと、そういう抑制基調を組んでやってきた、そういう影響が一つはあろうかというふうには考えてはおります。
ただ、今、委員おっしゃっていただいたお話、実際の公債費の負担の厳しさと、この比率の、いわゆる「格差」の問題は、指標の算定上の要因であろうと考えております。
具体的に申しますと、この実質公債比率は、臨時財政対策債など、償還を交付税措置されるものは、分子・分母から全部除くというルールになっております。そのため、全体の値が低くなるという形になります。
全国的な比較をする際には、相対的に神奈川県はこの点については健全だという指標にはなりますけれども、実際には、交付税措置があろうが、なかろうが、その実額は、県としては償還をしていかなくてはいけない。一方で、交付税措置がされても、交付税として、いわゆる現金が必ずしも来るわけではございませんから、そういう面では、実際に償還をしている公債費の負担の増を、私ども今、大変厳しいと感じているものというのが、率直な状況でございまして、比率とは少し状況が異なっているというのが、私ども基本的な考え方でございます。
松崎 そういたしますと、そういうようなあいまいというよりは正確でない指標に基づきまして、全国47都道府県の中で、神奈川県の財政状況というものが比較をされ、ましてや重要なお金の計算だとか、いろいろなものに反映されていくというのは由々しき事態だと思うわけでありまして、ものさしそのものを考え直した方がいいんじゃないかと思うわけであります。交付税措置額を引いてしまうと、臨時財政対策債の償還費、さっき取り上げた分ですが、これ全く指標に反映されないということになるわけであります。
実際には、さっき取り上げた通り、交付税は満足に交付されておりませんから、県税などの一般財源を確保して、返済しなければなりません。率直に言って、見かけを繕って、財政状況をよく見せていると、県が意図してそうしているのではなくて、そういう指標であるからそうなるということでありますが、この指標は、逆に言うと、この指標そのものが悪いということは、相当ひどいということになるわけであります。ぜひ、改善する方向で、これは働きかけをするなり、あるいは考え方そのものを提案するなりという形が必要だということを、まず指摘します。
その上で、本県財政の厳しさというのが現実にはございますから、こうした指標から明らかにならないのに、本県財政は厳しいんだということをお伝えしなければならない。その相手はまさに県民の皆様でございます。その皆様に誤った認識を持たれるということを大変深く懸念し、憂慮いたします。財政状況の実態を正確に県民の皆様にお知らせする必要が一層あるんだなと思うんですが、どのような取組みをしているんでしょうか。
財政課長 本県は、これまでも「県のたより」ですとか「県財政のあらまし」、こういうものなどにより毎年度、予算の概要や決算の状況などを説明するために、いろいろと広報活動に努めております。また、そのほか、県のホームページでも他の類似団体とグラフによって財政状況を比較するような「財政比較分析表」などの情報の提供をさせていただいております。
ただ、かなり状況が指標とは違ってくるという、先程のご指摘の通りでございまして、先程、委員がお示しいただいた、9月の「行財政改革特別委員会」に報告させていただいた資料でございますが、本県の財政状況について、県税収入や義務的経費の推移など、グラフを中心に、かなり、私どもとしてはわかりやすくまとめさせていただいたつもりでございます。
この資料を議会に報告をさせていただいた後、県のホームページにも掲載をいたしまして、県民の皆様に、財政状況の現状を分かっていただくようなものとして提供をさせていただいております。
また、先日、22年度の予算編成の方針を決めまして、その説明会をやった際にも、中期の財政見通しも併せて庁内にお示しをさせていただきました。それに基づいて、報道各社から当日、かなりいろいろな取材を受けまして、その際にもできるだけ正確に、その状況を分かっていただこうということで、私ども、できる限りの取材に応じさせていただいた結果、新聞報道では、かなり、この先の厳しい財政状況を正確に報道もしていただいているというふうに考えております。今後も、状況を分かっていただくことは本当に大事なことだと思っておりますので、いろいろなツールを使って、情報提供をさせていただきたいと、そのように考えております。
松崎 そこで伺いますけれども、そういたしますと、21年度も厳しいと、そして22年度以降、さらに厳しくなると、危機的状況なんだということだと、私も財政状況は承知をしておりますが、今後の健全化判断比率に、これらが当然、また当てはめて発表されていくんだと思うんですけれども、どういう影響があるんでしょうか。
財政課長 例えば、21年度ですと、県税収入が500億を超える大幅な減収ということになります。仮に、このまま決算の段階で赤字決算になってしまえば、これは赤字比率というところでは、そのまますぐに、21年度決算という形で出てまいります。全国47都道府県、20年度はどこにも赤字がございませんでしたけれども、まさにそういうところに名前を連ねてしまうと、そういう状況になってくるわけでございます。
そしてこの赤字の度合いでございますけれども、21年度の標準財政規模は、神奈川県、1兆2,500億余万円ということになっています。決算において、この5パーセント以上の赤字、すなわち約630億円の赤字ということになりますけれども、これを超えてしまいますと、財政再生団体というレッテルがはられてしまいます。国の指導の下で、徹底的な歳出削減、または歳入についても、いろいろなものを県民の皆様にもご負担いただくと、そのような計画を作って、しかもずっと管理をされると、そのような状況になってまいります。
22年度以降も、今の段階で、仮に、22年度1,250億円という財源不足を見込んでおります。これは、財政再生団体の基準の倍になります。そして、その先、2,000億円を超えるという、この先の中期で見ますと、それは4倍ぐらいの財源不足が見込まれると、このような状況になっておりますので、こういうものが先々、この健全化判断比率の中で、悪い方に数字として出てくるおそれがあるということで、大変危機感を強めている、そういう状況でございます。
松崎 今、言われた財政再生団体に陥るということになりますと、実質国の管理下に置かれるということでありますから、地域主権そのものがふっとんでしまいます。その最悪の事態に陥らないように、対策を講じなければいけないんですけれど、問題は、その最大の対策が、今、やりとりをしていても、地方税財政制度の改革ということが最大の眼目となっているということは大変大きな矛盾だと思います。
なぜかというと、本来、これは地方の税財源というものを保障するという役割を担っているからにほかならないわけですけれど、そこで、ではお聞きしますが、22年度の予算編成は今、進行中でございますけれど、1,250億円と今、おっしゃった財源不足を解消しながら、同時に収支均衡ということをきっちりと達成をする、そのためには地方税財政制度の改革が必要だという、この三つの突出した課題というものを、どのようにバランスして、実際に予算編成を成し遂げようと思っておられますか。
財政課長 まず、財源不足がこれだけ大きいわけですから、先程答弁させていただいた、自ら努力ができるものについては、歳出削減を徹底してやっていかなければいけない。それはすべての大前提になっているというふうに考えております。
ただ、率直に申しまして、この地方税財政制度上の問題が、大変大きなウェイトを占めていると考えております。
神奈川県は、全国に先駆けて、経費の削減に取り組んでまいりました。人件費の削減も、かなり進んでいる団体だというふうに考えております。
ちなみに、19年度決算が、先程の行財政改革の資料の最後に載っておりますけれども、人口規模がほぼ同じ大阪府と比較して、人件費の額でいきますと、神奈川県は1,000億円も下回っております。これだけの努力をやっていても、すぐにこういう財政危機に陥ってしまう。これはやはり、自らの努力、そういうものを超えて、制度的なものとして考えていかなければいけないものだと、そのように考えております。
率直に申しまして、人件費を大きく削っても、介護・措置・医療関係費など、法的な部分が毎年、どんどん増える、そして赤字債などの対策で収支均衡合わせれば、その公債費というのが財政状況をどんどん厳しくしていくと、こういう状況にあるわけですから、今の地方税財政制度が十分に機能していないというふうに考えております。
そういう面では、本来、先程委員がおっしゃっていただいた地方のサービスを保障するというのが地方税財政制度でございますから、本来の機能を果たしてもらう、そういう制度にしていかなければいけないというのが、基本にございます。
それは、地方分権改革という中で、税財源の問題を解決していくということがございますけれども、当面、22年度についても大変厳しい、これだけのギャップがある中でございますから、まずは、22年度、的確な需要、または地方の税収の動向などを正確に把握をした上で、地方財政対策を講じてもらうと、このようなものに向けて、私どもとしては、国に対して、しっかりした対応を、具体的な提案も含めてやっていかなければいけない。そのような形で、何としても、ギャップを埋める手立てを講じてもらうように働きかけていきたい、そのように考えております。 松崎 分かりました。