平成22年3月3日 商工労働常任委員会質疑のまとめ

雇用対策:<派遣労働問題の現状と県の取組・その他>

松崎       ● 派遣労働問題の現状と県の取組についてお伺いする。製造業への労働者派遣を禁止する法案の審議が続けられているが、法改正をめぐって、労働、産業それぞれの側面についてこれまでこの委員会でも議論してきた。審議の動向を把握することはもちろんだし、この委員会において、商工労働部長からも産業界、労働界からそれぞれ意見を出していただくような場面設定をするという答弁もいただいている。

 そこで、この問題に関し、現在、そしてこれからどのように取り組んでいくお考えなのかお聞きしたい。

雇用労政課長       ○ まず、派遣労働法の現在の状況からご説明します。昨年の12月28日に今後の労働者派遣制度のあり方についてという労働政策審議会の答申が出され、その後本年2月17日に労働政策審議会におきまして法律案の諮問が行われ、24日に審議会から概ね妥当であるという答申が出されております。今後法案提出に向けて、政府与党間の調整が行われるという状況でございます。

 これに対する本県の対応ですが、産業労働問題懇話会という労使、学経を加えた懇談の場があり、その中で労使の代表から問題提起を行っていただき、活発な意見交換をしていただきました。

 労働者側からは、規制緩和から労働者保護への転換は概ね評価できる、3年間の猶予期間についてもやむを得ない、中小企業の要員の確保に向けて支援が必要であるという意見をいただきました。

 使用者側からは、規制の方向については概ね理解しつつ、厳しい規制強化により労働者の就業機会を失う可能性があるという懸念に留意する必要があるとの意見が出されました。

 労使意見が一致した部分としては、中小企業への配慮についてです。

 派遣労働者の雇用安定と人材育成につきましては、労使双方から教育訓練や処遇の均衡について意見が一致したところでございます。

 県として、県内労使からこうした意見が出たということを、職員が厚生労働省に行って、文書で伝えてまいりまして、今後の審議の参考にしていただきたいと申し上げました。今後、法律案がどういうかたちで審議され制定されるかを見守りながら、制定された場合には、法の周知等を県としてしっかりやっていきたいと考えております。

松崎       ● 厚生労働省へ行って職員が文書を持って内容を説明したということだが、厚労省側から特段の発言はあったのか。

雇用労政課長       ○ 内容を説明した後、厚労省としても法改正の審議に向けて十分に参考とさせていただきたいとのコメントをいただいております。

松崎       ● 十分に参考とされたかどうかフォローをしていただきたい。法律ができて終わりではなく、強行法規なので、スタートして罰則も厳しいものがある。法を施行していくと現場は神奈川県にある。主には労働局だが、県も関わっていくと思うので、現場の声を引き続き今回のかたちでもよいので、柔軟に吸収して反映するよう、また、議会にも報告していただくようお願いしておきたい。

  雇用対策の個別化についてお尋ねする。先日、私自身が委員を務めている県の労働審議会において、例えば、雇用保険を例にとると、実際に必要としている人が受給していない、3割ぐらいしかと受け取っていないのではないかという指摘もある。これは非正規労働の問題とも関わりが深い。全体としての政策を全体として手厚くした、県としても様々な手を打ったつもりでも、個別の労働者にはその施策が行き渡らないことが見受けられる。

 そういうことからすると、雇用対策や就労支援を全体の政策として打ち出すことはもちろんだが、個別化する、その人自身がどういう状況にあって、何が必要なのかということに、しっかりと見合った施策が県民に届くことが必要だと思う。雇用対策や就労支援の個別化をもっとやらなければならないと率直に思う。この点について、お考えがあれば伺っておきたい。

雇用労政課長       ○ 労働施策、各種制度、例えば助成金についてもかなり多岐にわたっており、制度として難しい部分もあると認識しております。制度の中で雇用保険のお話が出ましたが、法の規定の中で適用にならない方が出ているのも現実だと思います。法制度の作り方の問題と、法制度や助成金制度が確実にニーズを持った方に伝えられているかどうかというPR・普及の問題の二つがあると考えます。

 県も事業を持っているが、国がかなり施策・事業を行っています。県の方も非正規労働についての事業主啓発セミナーやいくつかの事業を国とタイアップしてやっておりますし、労働センター等の職員が事業主を回って国の制度を紹介しながら、労務改善の指導を行うなど、県としても頑張ってやっているつもりだが、知らなかったとか後で知っていればよかったということもあります。普及啓発は県としても引き続き一生懸命やっていかなければならないと考えております。

 特に非正規労働問題につきましては、先の労働審議会におきましても、いろいろとご議論がありましたが、非正規の中でもパートや派遣といった形態があります。例えば配偶者がいて補助的労働である方についてはある程度本人の選択ということもあるが、主たる生計の維持者である方が派遣ということになりますと、失業が生活不安につながるという部分もございます。そういった意味では、非正規労働という一くくりではなく、そういった部分にも目配りしながら普及啓発を行っていかなければならないと考えております 。

松崎       ● 沢山の生き方があるので、短い時間の中で一つ一つ回答を求めたいと思わないが、そういう目線で取り組んでいく必要があることを私自身も会派の中での議論も感じることが沢山ある

 それぞれの人にどれだけ寄り添えるか、ベストの選択に近づける努力を県も、議会・県民もともにやっていければと思う。