2010年9月定例会での本会議一般質問

<質疑と答弁のまとめ>

保育施設と子どもの安全確保について

●松崎  

2 保育施設と子どもの安全確保について

(1) 待機児童対策

本年4月1日時点の本県の保育所入所待機児童数は4,117人と、平成14年度以降で最も多くなっている中、本県では、今年度当初予算で、認可保育所の保育所緊急整備事業を打ち出したところである。

特に、低年齢児に特化した分園の整備、本園と分園との一体的運用のための園バスの購入、保育士を確保しやすくするための雇用促進という3点セットの新規事業は高く評価している。

安心こども基金を活用し、保育所整備の急所を手当する的を射た施策のパッケージとして、大いに効果を期待しているが、問題は今年度限りとなっている財源である。

そこで、待機児童の大半を占める低年齢児に着目したこの対策について、来年度以降も引き続き取り組むべきと考えるが、財源の確保を含め、所見を伺いたい。

○知事答弁           次に、保育施設と子どもの安全確保に関し、保育所待機児童対策の今後の取組みについてのお尋ねをいただきました。

  保育所の施設整備については、市町村が国の交付金を受けて実施してまいりましたが、待機児童対策を重点的に推進するため、平成21年度から、国が新たに設けた交付金を基に、県が設置した「安心こども基金」により、市町村に補助することで整備を進めることとなりました。

 現在、本県では、待機児童が急増しており、0歳から2歳の低年齢児が約8割を占めていることから、その対策に積極的に取り組む必要があると考えております。

 そこで、今年度から、低年齢児を中心とした保育所の緊急整備を「安心八策」に位置付けて、市町村や事業者に取り組んでいただくよう、働きかけてまいりました。              

 その結果、県全体で、21市町村において、97か所の保育所の整備が行われ、4,764人の定員増が図られる見込みとなっております。  

 こうした、低年齢児に着目した保育所整備は、市町村や事業者の関心も高く、事業効果も見込めることから、県としては、来年度以降も引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 しかし、保育所整備補助の財源は、全て、今年度が期限となっている「安心こども基金」であるため、その延長について、これまでも国に対して様々な機会を捉えて要望してまいりましたが、未だ、明確な延長方針は示されておりません。       

 そこで、今後とも待機児童対策を計画的に推進するため、「安心こども基金」の延長について、他の自治体とも連携し、国に対して強く働きかけてまいります。

【再質問】          

再質問させていただきます。

「安心こども基金」の本県への交付額は、基金全体で168億円であるが、現時点の活用見込額は81億円にとどまり、残りの87億円分は国に返還することになる。

ついては、交付された基金のうち87億円分について、みすみす返還が見込まれている点について、知事の所見を伺いたい。

そもそも「安心こども基金」は、子どもの保育支援のため制度化しているものである。

しかし、制度の利用にあたっては、自治体の裏負担があることや、現在実施している事業ではなく新しい事業ではないと利用できないなどの制約があるなど、使い勝手の悪い制度となっている。

その結果、交付された必要な基金を活用できず、みすみす国に返還しなければならないという事態になってしまっている。

このような仕組みになっていること自体、大変おかしなことであり、基金を交付されたにもかかわらず、活用できなかった場合に、国に返還しなければならない仕組みについて、知事の所見を伺いたい。

「安心こども基金」については、裏負担の仕組みがあり、利用に当たっては市町村も4分の1負担しなければならないこととなっている。

県内市町村の財政力はまちまちであり、財政力が弱い市町村では交付された基金を活用できず、国に返還しなければならないことになる。そのような市町村は、大変残念な思いでいることと思われる。

ついては、財政力が弱い市町村に対し、県として支援していくことが必要であると考えるが、知事の所見を伺いたい。

○知事答弁           この安心こども基金でありますが、市町村や事業者にも活用をさまざまな形で働きかけてまいりました。しかしですね、非常に使い勝手が悪い。まず、これ、極めて短期に活用しなければならないこと、それから、市町村負担が、さっきおっしゃっていたように、裏負担が必要なこと、それから、当然、事業者負担も必要であること、公立保育所の整備には充当できない、あるいは、ソフト事業については新規事業でなければ対象外であると、国によるさまざまな制約が付いているんですね。市町村にとっては、なかなか活用しにくい制度だと思います。このままでは、相当な残金が残ってしまって、それを国に返還しなければいけないというルールですので、まず、我々は

これを使ってできるだけ保育所整備をやっていただける事業者、市町村が現れるように今後も積極的に市町村、あるいは事業者を含めて働きかけていくということと、それから国に対して、こういう使い勝手の悪い内容をですね、改めていただきたい、あるいは、期限を延ばしていただきたいと強く要望してまいりたいと思います。ずっと、これ、言い続けているんですが、何せ、国の方も堅いんですよね。なかなか、これ、全国知事会でもいつも議論に出てますけれども、応援していただけません。ぜひとも皆さんの政党を通じて、地方の声を国に伝えていただきたい。心からお願いしたいというふうに思います。

それからですね、これ返還しなければならない、ここはおかしいと、今、答えてしまいましたけれども、そういう質問だったと思います。これ、基金として、地方にいただいて、地方が条例として作っているわけですから、これをまた2年なり、3年なりで期限を決めて、残っているものは全部返せと、それでまた、さまざまな条件が付いていると、これじゃ、そうなっちゃうに決まっているんですよね。ですから、返さなくてもいいという判断をしていただくか、期限を延ばすか、あるいは、メニューを相当、柔軟化させて使いやすいものにするか、こういう要望を続けていくしかないと思っております。

それから、財政力が弱い市町村に支援していく、待機児童が多い市町村は、具体名を挙げますと、川崎、横浜、それから、藤沢、大和とかですね、都市部のある程度財政力のある市町村なんですね。ですから、こういう所で作る場合は、市町村も財政力ありますし、事業者がやろうと思えばできます。逆に、財政力の弱い市町村の所では、待機児童がいないんです。そんなに。ですから、そういう意味ではですね、県が支援するのはいやだと言っているのではないんですが、とにかくこの政令市、そして、大和とか、藤沢とか、こういう所で少しでも保育所ができるように、待機児童解消に向けてですね、いろんな形で応援をしていくというのが、県の立場でございます。

【要望】              

ここで、たまたま市町村の財政力ということが出たのであるが、知事の考えでは待機児童の多い所が財政力が比較的余裕がある所であろうということであったが、総じて、国と地方との関係においては、国からのこうした交付金や返還をするいうやり方は今までは通ったかもしれない。そうしたことを、唯々諾々ではなく知事は戦ってきたわけであるが、結果として返してきた場面もあったと思う。今後、そうしたやり方をこれ以上認めていいかということについて、国と地方の協議の場の公正化の問題もあるが、総務大臣も替わったことでもあり、しっかりと協議、あるいは、議論、時には戦う議論もやっていただきたいということをお願い申し上げる。