2011年9月14日(水) 本会議代表質問

(質問要旨)

3. 行財政改革の推進について

(1)県財政の課題認識について

本県を取り巻く経済情勢は、大震災や最近の急激な円高により依然不透明だが、政府の月例経済報告など一部で明るい兆しも公表されている。また、生産に大きな影響を及ぼしていた電力使用制限令も予定より早期に解除され、景気回復の条件が整い、景気が好転し、本県財政にその効果が波及することを期待している。

さて、今定例会では補正予算案として150億円を超える事業が提案されているが、施策を実施するためには、様々な財源を活用しなければならず、健全な財政運営がその鍵となる。

そこで、本定例会に提案されている9月補正予算案は、様々な財源を活用し、編成されたものであると考えるが、この9月補正予算案を提案するにあたり、現在の本県財政状況をどのように認識したのか。また、神奈川の舵取りを行う上で、将来に向けた本県財政の課題については、どのような認識を持っているのか、率直な所見を伺いたい。

(知事答弁)           

  次に、行財政改革の推進について、何点かお尋ねがありました。

  はじめに、現在の本県の財政状況と将来に向けた県財政の課題認識についてでございます。

まず、現在の財政状況ですが、歳入の多くの割合を占める県税収入については、法人二税の減収などから、当初予算額の確保は厳しいものと見通しており、歳出面では、介護・措置・医療関係費の増加が見込まれるなど、今後も厳しい財政状況にあると認識しております。

こうした中で、今回の9月補正予算については、取組みが求められている喫緊の課題にスピード感を持って的確に対応する必要があるため、国庫支出金や基金などの特定財源を最大限活用する工夫をしながら、一般財源を極力抑えて編成したところであります。

次に、将来に向けた本県財政の課題ですが、歳入面では、法人二税の割合が比較的高いことから、県税収入が景気変動の影響を受けやすい不安定な構造であることに加え、人口一人当たりの地方税や、地方交付税等の一般財源が全都道府県で最小であるなど、十分に財源が確保されていないことであります。

  一方、歳出面では、まず平成27年には県民のおよそ4人に1人が高齢者となる超高齢社会の到来などに伴う介護・措置・医療関係費の急増が見込まれております。

さらに、ここ数年の臨時財政対策債の大量発行により、県債残高が3兆3千億円を超え、今後も償還に関する公債費が増大していくことが見込まれており、こうした義務的経費が年々増加し、硬直化が進んでいることが最大の課題であります。

  したがって、将来的にも、非常に厳しい財政運営を余儀なくされることが見込まれますので、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現を目指し、エネルギー関連の新たな産業や雇用の創出により、県内経済を活性化させ、税収増を図ってまいります。              

併せて、安定的な税財源の移譲を今後も国へ強く働きかけるとともに、より一層「選択と集中」を徹底させ、必要な施策に財源を重点配分できるよう、努めてまいります。

(再質問)          

  それから、行財政改革の推進については、2点お伺いをいたしました。

県財政の課題認識というところで、お伺いをしたわけですけれども、この点については再質問させていただきたいと思います。

当初予算におきまして、補正予算対応の財源としては、県税の計上50億円を留保したというところでございます。我が会派ではこのことについて、言及をさせていただいてきたということもございますが、5月、6月補正予算において計上したのは18億円ということで、残り32億円をこの9月補正で計上するところを今回税収見込みが厳しい中、見送ったということでございます。

知事の御答弁でも現在の本県の財政状況に関して、東日本大震災の影響から、法人二税の減収が見込まれるなど税収確保が厳しいこと、それから、子ども手当への負担金など歳出面での負担増が見込まれることなどから、今後も税収動向などを注視しながら、慎重な財政運営が必要であると、また、さらには、本県の税収構造などから、将来的にも厳しい財政状況が続くと、こういう認識が、今、示されたわけでございます。

この財政状況におきましては、より慎重な議論と検討の上に、そしてまた、仰っているように、「選択と集中」という観点のもとで、喫緊の県政課題に対応できるように舵取りをしていくことが必要だと、私もそう思います。今、知事がお述べになっている、この「慎重な財政運営」ということと、それから今も知事が常々発言をされておられますけれど、「圧倒的スピード感を持った県政運営」、これを、ではどのように整合性を図っていかれるのか、ここのところを改めて知事に御所見をお伺いしたいと思います。

(知事)   

  「慎重な財政運営」と「圧倒的なスピード感を持って取り組む県政運営」と、どのように整合性を図るのか、伺いたい、ということでありました。

この財政状況厳しいという状況の中で、慎重な財政運営を行うということは、これはもう何度も申し上げているところであります。

  しかし、喫緊の課題には迅速に対応する必要があります。そこで私は、知事就任以来、県政史上初となりました5月補正予算、これに続く6月補正予算を編成しまして、東日本大震災の発生に伴う電力対策や地震防災対策等に圧倒的なスピード感を持って取り組んできたところであります。

今後とも、財政収支をできる限り見通した上で、「選択と集中」による施策事業の重点化、特定財源の最大限の活用など、厳しい財政状況を踏まえた慎重な財政運営を行うとともに、取組みが求められている課題にはスピード感を持ってしっかりと対応することにより、財政運営と政策推進を整合させてまいりたいと考えているところであります。

(松崎)              

  再度の発言をお許しいただきたいと思います。知事、御答弁ありがとうございました。

まさに、「いのち輝く」という部分で、しっかりと県政を推進していくということの思いを受け止めさせていただいたところでございます。

私どもでは、これからまた、代表質問、一般質問、そしてまた各常任委員会におきまして、本日お答えをいただきました諸点につきましても、深く掘り下げて審議を行わせていただきます。

 どうかよろしくお願いします。ありがとうございました。