2011年9月14日(水) 本会議代表質問

(質問要旨)

5. いのち輝くための施策推進について

(2) 医療のグランドデザインについて

知事は「いのちを守る日本一の医療体制」を実現する「神奈川モデル」を目指していくと表明され、県では8月に「医療のグランドデザイン策定プロジェクトチーム」を設置し検討を開始した。

検討テーマは、救急をはじめとする医療体制の整備、医療と介護の連携などが位置づけられており、知事の目指す「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けた取組として評価しているが、特に、周産期医療、救急医療と脳卒中の対策を強化させていく方向性を打ち出す必要があると考える。

そこで、今後、知事の目指している「いのち輝く神奈川」を実現するためには、医療のグランドデザインの検討の中で、周産期医療体制、救急医療体制の整備・充実、脳卒中対策についてどのように取り組んでいくのか、所見を伺いたい。

(知事答弁)           

  最後に、医療のグランドデザインの検討の中での、周産期医療体制などの取組みについて、お尋ねがありました。

  「医療のグランドデザイン」については、「地域に根ざした医療」、「開かれた医療と透明性の確保」、「病気にならない取組みの推進」の3つの視点から、検討を始めたところであります。

周産期医療、救急医療、脳卒中対策につきましては、安全な医療を効率的に継ぎ目なく身近なところで受けられる体制が必要であると考えております。

  現在、周産期医療につきましては、出生児の1割が低出生体重児であることや35歳以上の高齢出産が4人に1人の割合まで増加する一方、病院勤務の医師や助産師を中心に医療従事者が不足しております。              

  そこで、グランドデザインにおいては、NICUの整備、後方支援病院を含めた医療施設間の連携や医療人材の確保のあり方などについて、検討してまいります。

次に、一般救急医療につきましては、二次救急医療機関に軽症の患者が集中して、本来の機能である重症者の対応に支障をきたしている状況がございます。               

  そこで、限られた医療資源の有効活用の観点から、医療機能の集約化・重点化と県民の適正な救急受診を推進し、二次保健医療圏で完結する体制づくりを検討してまいりたいと考えております。

  また、脳卒中対策につきましては、急性期から回復期のリハビリ、在宅での医療を円滑に進めるため、医療機関相互で共有する脳卒中の診療計画表、いわゆるクリティカルパスの導入と普及を進めております。

  今後は、このパスの地域的な拡大や医療と介護の連携について、ICTの活用を含めて検討してまいります。

  こうした検討を進め、それぞれの地域の実情に合わせた医療、「地域に根ざした医療」の実現を目指してまいりたいと考えております。

(再質問)           医療のグランドデザインということに関しまして、先ほど知事の答弁におきましては、現在策定を進めているとのことで、問い掛けの中でありました周産期医療、救急医療、脳卒中の3点について取り組みの側面からお答えをいただきました。いずれも重要でございますが、特に周産期医療につきまして、周産期の救急医療という観点で、即応できる医療体制が整備されているかという観点で、本県ではどういう状況なのか、課題とグランドデザインにおける取組みについて伺います。

(知事答弁)           

  県内では、平成22年の調査で、低出生体重児にあたる児が約7,500人、35歳以上の高齢出産となる人が約22,000人おり、特に高齢出産は増加する傾向にあります。

  また、周産期救急の中心的な役割を担っている基幹病院(8病院)へ様々な症状の患者が集中している状況や、救急患者の搬送受入先が容易に決まらない(平成22年産科・周産期救急の現場滞在30分以上が11.9%(全国6.9%))という問題が発生しております。

  そこで、グランドデザインの中では、

・NICUやGCUなどの施設の充実

・医療人材の確保や、チーム医療の推進、医師以外の医療スタッフの活用

・医師と助産師との連携

・周産期救急を担う中核病院(13病院)での患者受入れの促進

・救急と医療の連携の強化

・健診を受けていない未受診妊婦の対策

などについても検討を進めまして、「出産をするなら神奈川」と言われるような体制の実現に向けて、取り組んでまいりたいと考えております。