平成24年第1回定例会予算委員会総括質疑(3月9日)

【本県の情報システムと行政情報化の推進体制の強化】

松崎        ひき続きまして、民主党かながわクラブ松崎淳でございます。

まず一問目は、本県の情報システムについて何点か伺います。去年の3月11日に発生した東日本大震災による影響を受けた第二分庁舎のコンピュータセンターの再整備について何点か伺います。

 まずはじめに、既存設備の活用についてです。予算資料における外部データセンターのイメージ図には自家発電装置などがいかにも強化をされるというように記載されておりますが、そもそも第二分庁舎にはサーバ等の機器の為に、高価な発電機や電源装置であるCVCF等が設置されております。サーバが移転してしまえば、これら高価な機器が大幅に無駄になると感じますがどう活かすのか伺います。

設備管理課長        現在、第二分庁舎には、コンピュータ用に1台、災害対策本部等の災害情報管理システム用に1台、及び一般事務室の非常用として1台、計3台の自家発電設備があります。また、CVCF、いわゆる無停電電源装置でございますが、これはコンピュータ用に1台と、災害情報管理システム用に1台あり、計2台設置されております。これら電源設備については、コンピュータセンターが外部データセンターへ移転した場合でも、外部データセンターと県庁を結ぶ回線の県庁側の出入りとなる通信機器や行政情報ネットワーク全体を監視するための機器、外部データセンターにあるサーバや、ホストコンピュータを操作するための端末機など、システムの運用管理や業務継続にために、第二分庁舎内に残る重要機器への電源設備として引き続き必要になると考えています。

松崎        私の知る限りでは、より規模の小さな安全防災局のサーバ用の発電機、こちらが6000万円。無停電電源装置、「UPS」というものですが、こちらも6000万円ということで、これらだけでも台帳価格で合わせて1億1000万円を超えております。より規模の大きな総務局のサーバー用の機器はリース品以外でも相当高価なものと考えられます。県民の財産であるという認識を持ち検討していただきたいと思います。

 続いて、防災関係のサーバについて伺います。第二分庁舎は大規模災害時に災害対策本部等が設置される建物でございます。この第二分庁舎は東日本大震災の揺れに際しましても、大きな損傷はなかったと聞いております。その第二分庁舎の6階には防災関係のサーバが設置されておりますけれども、こちらも今回の揺れに際して、大きな損傷が発生したとは聞いておりません。防災関係のサーバーにはどのような免震・耐震対策がなされているのか、お伺いします。

災害対策課長        本県の防災関係のシステムサーバ等は施行方法等の設備の固定に関する基準を定めました、国土交通省が監修する指針に基づきまして、建物に直接固定しております。また、これらの機器につきましては、二重の構成としておりまして、片方の機器に障害が発生しても予備側の機器に自動的に運用が切り替わり、通信に障害が発生しないように対策をとっております。

松崎        今の答弁を聞きまして、今回のコンピュータセンターの外部移転について非常に違和感を覚えるところでございます。第二分庁舎の耐震性も高く、同じ建物に設置された安全防災局のサーバにも被害が出ていないという状況で、なぜ、総務局のサーバには外部移転が必要なほどの大きな被害が出てしまったのか、その違いを総務局長に確認します。

総務局長                お答えいたします。第二分庁舎の建物の構造でございますが、これは高層階に行くほど揺れが大きくなるもので、建築時の構造計算によりますと、コンピュータセンターがある9階の揺れは、防災センターのある6階の揺れに比べて4割程度強くなる、ということでございます。

 今回大地震で免震床が破損したわけですが、この地震の周期等は建物の固有周期と比較的近かった、また、揺れの時間が長かった、ということで、建物の固有周期と地震動が共振したため、私どもが設置していた免震装置は機能したのですが、揺れが免震装置が受け皿を超えてしまった、ということが原因となっております。これは鹿島建設から調査報告を受け、第三者機関で検証していただきましたので、そういうことが原因と理解しています。

松崎        生じてしまった結果について元に戻せということはできませんが、返す返すも残念なことでございます。専門技術的な分野でもありますけれども、県民の貴重な財産であるという認識というものをもって取り組んでいただいていたならば、ということを一言だけ申し上げておきます。

 つづきまして、神奈川県のシステムの統合化について伺います。コンピュータセンターを外部データセンターに移行するためには、コンピュータセンターにある各システムの改修等にも、少なからず費用が発生をいたします。県の保有するシステムは、色々なメーカーやベンダーが、様々なプログラム言語でシステムをそれぞれ開発、運用していると聞いています。今回の外部データセンターへの移設を機会にこれらバラバラのシステムや開発言語などを統合する考えはないのかお伺いします。

情報システム課長                現在のコンピュータセンターではWindowsサーバで運用しておりますシステムにつきましては、既に標準的なプログラム言語で作られておりますため、比較的小規模なシステム改修により移行可能となることから、外部データセンターの機器で、効率良く、効果的な運用を行えるようシステム改修を行う方針でございます。一方、ホストコンピュータなどWindowsサーバ以外で運用しているシステムにつきましては、特にオンライン業務では特別なプログラム言語で作られておりますため、外部データセンターの機器向けにシステム改修を行うためには、大規模なシステム改修が必要となってまいります。そのため、このようなシステムにつきましては、ひとまず情報機器ごと外部データセンターへ移設し、当面は移設した機器で運用を行いながら、その運用経費とプログラム言語の標準化といった統合のための改修費用とを比較するとともに、業務が求めますシステムの安定性などを総合的に判断いたしまして、統合したほうが効果があると明らかになった場合には、統合してまいりたいと考えております。

松崎        今のお話を聞いていますと、少し隔靴掻痒の感もございますけども、比較衡量をし、客観性を担保して、説明責任も十分果たしながら取り組んでいただくようにお願いいたします。

 つづいて、情報技術専門職員について伺います。情報システム部門を預かる総務局長に伺います。システムの開発や運用管理に関して、外部のベンダーやあるいはメーカーに依存するのではなくて、県職員自らが自分でできる体制を築くことが重要ではないかと考えております。例えば、大規模災害の際、迅速な障害対応策の検討や実施に繋がるなど、安定的に業務を継続していく上で必要だと考えるわけでございます。システムが10秒早く立ち上がれば、何十人もの命を救えるという局面も容易に想像ができます。非常時において安定的、継続的に業務を遂行することを保障するためには、情報技術に精通した職員を県庁自前で育てることが重要であると考えますが、こうした取組みについてどのように考えておられるでしょうか。

総務局長                本県では、外部ベンダーに委託し、業務に必要なシステムの開発や運用を行っており、そのことによりまして、質の高い行政サービスの提供でございますとか、職員の運用負荷の軽減、さらにはコスト削減を図っております。このような外部ベンダーの活用は今後も有効でありますことから、システム開発等を委託する際に、県が必要とする業務上の要件を的確に事業者に提示できること、また、事業者から提出された設計書などにつきまして、しっかりと検証できること、こういった能力や専門性を有する人材を育てることが重要であると考えております。また、大規模災害時には、職員自らがシステムの障害状況を迅速に把握し、神奈川県業務継続計画に定める非常時優先業務に係るシステムの早急な復旧作業等を行うことが必要となります。そこで、今後は、業務継続などの視点から、職員が大規模災害時の障害対応に関するノウハウを習得することをはじめ、情報技術分野専門能力を高め、求められる役割を的確に果たせるよう、研修や訓練の充実を図ってまいります。

松崎      

 申し上げた点について何点かは取り入れていただけるということでございますので、ぜひとも本県自前で職員を養成するということの基本に立ち返っていただいて取組みを進めていただくようお願いをいたします。

 つづきまして、本県の最高情報責任者いわゆるCIOについて伺います。今回のコンピュータセンターの再整備、また今後、社会保障・税番号制度の導入が見込まれておりますことから、その際にも、また新たなシステム改修等が発生することとなります。これらのシステム改修をより効率的・効果的に行うためには、今申し上げた専門人材の育成とともに、情報化の責任者たる最高情報責任者=CIOの強化が必要であると強く感じております。CIO職に情報技術に精通した外部人材が就任し、自身がリーダーシップを発揮できるようにするなど、行政情報化の推進体制を抜本的に強化する必要があると考えますが、知事のご見解を伺います。

黒岩知事                本県では、業務分野への情報通信技術の導入に当たりまして、その効果やリスクなどを継続的に把握し、庁内全体の行政情報化を適切にコントロールする、そのための情報分野を所管する副知事を最高情報責任者、いわゆるCIOとして配置しております。現在は古尾谷副知事がその任に当たっております。最近の情報技術の世界というのは技術革新が早く、これまでは自前で運用・開発するということも必要でありましたが、最近はクラウドコンピューティングなど外部にデータを持っていくという流れになっております。県側の最高責任者というのは情報通信技術の専門家というよりもむしろ県庁組織の全体のことをしっかり把握している人間がふさわしいと思っておりまして、古尾谷副知事が適任だと考えております。ただ、委員ご指摘のとおり、最高責任者一人だけではなく、それをサポートする人材も必要だと思いますから、こういう分野に精通した外部の人材の活用というものも考えていきたいと思います。

松崎       知事からもご答弁がありました。私が申し上げている趣旨もまさにそういった情報技術と県庁組織とをしっかりと繋いでくださる人材という意味でございますので、そういった観点でお取組みいただきますようにお願いを申し上げて、次の質問に参ります。