2012年6月19日(火) 本会議代表質問

(質問要旨)

1. 知事の県政運営における基本姿勢について

 (5)神奈川県のめざす地方制度について

我が会派は昨年の本会議で、大都市制度などの質問をしてきたが、横浜市の研究会の第1次提言の公表前までの知事の姿勢は、特別自治市構想に対して特段の言及はなく、基本的には大都市制度などの制度論には距離を置くものであった。しかし、4月下旬に、突然、知事が神奈川独立国構想なるものを打ち出すとの報道があり、これからの神奈川県のあり方は、特区制度の仕組みを活用した神奈川の自治モデルとしてまとめていきたいと発言した。特区制度を活用すれば、一定の規制は緩和され、一国二制度のような状況は生じると思うが、地域主権型社会の実現のためには、国、広域自治体、基礎自治体の役割分担を根本から見直し、住民自治のあり方、税財源のあり方も含めて、地方制度のあり方についてまで検討していくことが必要である。これまで本県は、道州制への移行を国に働きかけるなど、地域主権実現のための取組みを全国に先駆けて進めてきており、こうした蓄積を活用し、地方制度のあり方についても骨太の構想を提案していくべきである。

そこで、これまで県として取り組んできた道州制とこれからの神奈川県のあり方との関係について、どのように考えているのか、所見を伺いたい。

(知事答弁)           

  次に、道州制とこれからの神奈川県のあり方との関係について、お尋ねがありました。

本県では、これまで、広域自治体としてのあり方として、道州制を目指し、国への提案などを行ってまいりました。

首都圏においても、九都県市首脳会議において、その前段である広域連合へ向けた提案を行いましたが、具体化には至りませんでした。

全国的にも、道州制が議論されているにもかかわらず、国民にとってのメリットが分かりづらく、なかなか現実の姿が見えてこないという状況が続いています。

国と地方を通じた権限と税財源の配分を作り直すために、道州制は、ひとつの有効な選択肢であると考えております。

本県は、全国2位の905万の人口を擁し、デンマークに匹敵する経済力を持って、我が国の発展を支えており、将来、道州制が実現したとしても、本県のエリアのままで一つの「州」として機能する規模であります。

そこで、全県を対象とした特区制度を活用しつつ、国の出先機関の事務・権限の移譲や規制緩和を実現し、それによって、県民の皆さんにメリットを実感していただけるよう、検討してまいります。

また、これからの神奈川県のあり方の検討においては、これまでの本県の研究・検討の蓄積を活かし、道州制を視野に入れつつ、国、広域自治体、基礎自治体の役割分担やこれに見合った税財政制度のあり方等についても、議論を深めてまいります。

(要望)                何点か要望を述べさせていただきます。まず、知事の県政運営における基本姿勢についてであります。

神奈川県の地方制度についてであります。国民、あるいは県民から見て、この議論は大変わかりにくいということを申し上げさせていただきます。また、本県のめざしている方向性につきましても、先ほど知事からは、道州制を視野に入れつつという形の答弁をいただきました。

ただ、これまでの総務政策常任委員会での議論を振り返りますと、道州制は大改革でなかなか進まないので、道州制に近い効果を持たせるため、特区制度をいわば中間段階として検討しているというお話もあったわけでございます。

しかし、特区制度というものは、いわば国が政策目的を達成するための仕組みでございまして、いくら積み重ねても、道州制など、新しい地方制度改革には至らないのであります。

いずれにしても、地方制度改革は大きな課題であると同時に、県民、そして住民自治という視点からは、市町村などへの影響も大変大きいものがありますから、十分な議論と丁寧な説明を求めていきたいと思います。