平成24年11月7日 神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ

○ EPA経済連携協定に基づく看護師候補者の扱い等について

松崎        財政問題、まだまだ取り上げたいんですが、時間があと10分となってまいりましたので、第3番目の質問に移らせていただきます。3つめの質問はEPA、経済連携協定に基づく看護師候補の扱いについてであります。これに密接に関連する議論が23年度に行われているので、それが行われた知恵袋会議について、決算額の内訳について確認をさせていただきます。

藤澤総合政策課長                平成23年度の知恵袋会議の経費でございますけれども、合計で99万余円となってございます。

内訳といたしましては、6月、8月、11月、2月の4回開催しており、延べ40人の委員に1回19,000円の謝礼をお支払いしております。合計で76万円でございます。

このほか、知恵袋会議と連動いたしまして開催しております「対話の広場」に知恵袋会議の委員が出席した際の謝礼などが23万余円となってございます。

松崎        知恵袋会議の議事録を見ますと、県政の課題について、かなり具体的な議論、提言がなされて、県の施策に反映させた例もございます。具体的には、昨年度、自殺をテーマに対話の広場と知恵袋会議において出された意見に基づきまして、精神保健福祉センターで行っている心の電話相談をより多くの人ができるように、回線の増設とか、フリーダイヤル化が図られたところでございます。

そこで、これ以外に、知恵袋会議の意見を具体的な施策に反映した例があれば、お伺いします。

藤澤総合政策課長                知恵袋会議の委員からは、大所高所からのご意見・ご提言をいただいており、知事自身がそうした意見や提言を受け止めまして、必要に応じて個別の事業の実施について対応を指示されているところでございます。

 政策として、実現につながったという点で申し上げますと、例えば、インドネシアやフィリピンから神奈川に来日している、いわゆる「EPA外国人看護士・介護福祉士」の候補者の激励会を実施したほか、24年度にはネットワークづくりの支援や、国家試験対策などの取組みを行ってございます。

 また、留学生など神奈川に親しみを持つ外国人の方々を支え、神奈川に魅力的な情報を発信、交換し、活力ある神奈川をつくることをめざす「かながわ国際ファンクラブ」も設置にもつながったところでございます。

 さらに、いじめと不登校に関する議論の具体化といたしまして、スクールソーシャルワーク・サポーターの派遣ですとか、スクールカウンセラーの拡充などの対応を図るとともに、「かながわグランドデザイン」に「水のさと かながわ」のプロジェクトを盛り込むにあたりましても、様々なアイディアをいただいているところでございます。

松崎        2月13日に開催された第4回知恵袋会議では、EPAに基づき来日する看護師候補者に対して、自治体レベルで資格を与えることについても岡本委員などから議論があった。看護教育のあり方検討会では、こうした意見を踏まえて、どのような議論が行われてきたのか。また、平成23年度は、EPAによる看護師候補者に対して、県としてどのような支援に取り組んできたのか。

水町保健福祉人材課長      看護教育のあり方検討会は、本県における看護教育の課題とその解決の方向性を明らかにすることを目的として設置されたものでございます。EPAについては検討の対象になっておらず、EPAをテーマとした議論は行われておりません。

県では、平成23年度は、EPA候補者の相互交流の促進、受入病院への支援という2つの観点から支援を行いました。

 具体的には、まずEPA候補者の相互交流の促進として、本年3月19日に、かながわ国際ファンクラブの取組みの一環として、インドネシアとフィリピンから本県に来られている看護師候補者と介護福祉士候補者をお招きし、鎌倉市内の見学や、激励会を開催し、お互いの交流を深めていただきました。

 また、受入病院への支援では、主要施策説明書99ページに記載しました「外国人看護師候補者就労研修支援事業補助」として、候補者を受け入れている8病院に対し、総額3,451千円の補助を行いました。これは、候補者の日本語学習に必要な経費や、国家試験対策を行っていただく病院が負担する経費への支援でございます

松崎        厚生労働省の通知で5月にEPA看護師候補者の准看護師試験の受験と業務従事をする場合の取扱いについて、就労を認めるとあった。准看護師養成停止については、県議会でも議論され、12月には看護教育のあり方検討会で最終報告が行われる予定であるが、EPA看護師候補者として来日した方々は、国家的な要請に応じて、日本の医療に貢献しようとする意欲のある方々である。そこで、県として今後どのような支援をしていくのか伺いたい。

菊池保健福祉局課長:        本県のEPA看護師候補者に対する支援ですが、候補者や、受入れ病院の交流会や激励会の開催、受入れ病院に対する受入れ経費の助成、国家試験対策や日本語学習など、候補者への支援、の3点から支援を行っております。今年度から新たにきめ細かい国家試験対策、日本語学習対策を講じております。

ただ、現行のEPA制度そのものは、制度的に非常に問題の多い制度だと考えております。在留期間が短いこと、国家試験に合格しない場合の取扱いが厳しすぎること、先ほど委員がおっしゃった准看護師として働くことも可能ということについても、国家試験に合格しなくても准看護師試験に合格すれば准看護師として働くことはできるけれども、かといって在留期間が延長されるかといえばそうではなくて、あくまでもこの看護師の国家資格を得ていないといけないという矛盾した制度になっております。ですので、国に対しては制度の課題について引き続き改善を求めてまいります。

また、「かながわ国際ファンクラブ」があるので、外国から神奈川を訪れた方に神奈川のファンになってもらう取組みを進める中で、EPA看護師候補者にも、ぜひ神奈川を好きになり、定着していただきたいと考えております。 松崎        今うかがいをお示しいただきましたけれど、これについてはそれぞれその目的や効果について見直すという方針に基づいて、さらにどのような点が課題なのかということをご検討いただく余地があろうかと私は思っています。県財政、危機的な状況であるわけですから、このような二つの団体に関わらず、全国団体に対する支出というものを精査をしていただくことをお願いして終わります。