平成25年10月2日 福祉作業所における作業の安全確保について

松崎:    公営企業会計制度の改正に伴い、具体的にシミュレーションを行ったという報告があった。まず公営企業会計制度の特徴、民間企業会計、県の一般会計との違いがあると思うが、その違いを踏まえて会計制度が改正されたことで企業庁の経営にどんな影響がでたのか具体的にお答えいただきたい。

小嶋財務課長:    まず、民間の企業会計と公営企業会計との違いであるが、地方公営企業の会計制度は、主に地方公営企業法及び関係政省令で定められており、民間の会計制度と同じく、発生主義の考えに基づいた複式簿記による会計である。企業会計原則に基づいた民間の企業会計であるが、会計制度は予算制度がなく、決算を重視した決算主義である。公営企業会計については、一般会計と同様に、予算に対しても議会の議決を要するなど、予算と決算、両方を重視したしくみとなっている。

 次に、一般会計との違いであるが、一般会計との違いは、経理上、現金のみに着目し、現金の移動があった時点で、その事実を収入、支出に区分する現金主義を採用している。また、利益の概念がなく、収支均衡の予算執行となっている。これに対して、地方公営企業会計は独立採算制と発生主義をとっているところが違いである。

 今回の公営企業会計の改正に伴う影響であるが、民間の企業会計に準拠した取扱いをするという形で非常に透明性が高まるということで、民間企業との対比がしやすい形であり、一般の県民の方々、会社を経営されている方々においても、非常に見易く、経営の実態が分かりやすくなるということである。

松崎:    透明性が高まるということであるが、民間企業と比較がし易くなって、一般の方にも分かりやすくなるというのは、大変結構な改正だが、具体的に退職給与引当金とか、減損会計とかポンポンと出てくるが、シミュレーションを行った結果、その評価はどうなっているのか。

小嶋財務課長:  

 シミュレーションを行った結果であるが、利益が出る3会計についてお答えする。

まず、水道事業であるが、退職給与引当、または減損会計により費用が膨らむ。ただし、収入についても、長期前受金等の戻入があり、24年度の決算を例にすると、11億円から4億円となる。貸借対照表について資産の減損により13億円の資産の減、あとは企業債等の借入資本金が負債にまわるので、負債が2,183億円増、資本は同じく2,196億円減となる。

 続いて、電気事業であるが、同じく退職給与の引当等で5億8,100万円の純利益から、3億7,000万の損失となる。しかしながら、この損失は今までの利益剰余金で補てんできるので、繰越の欠損はない。なおかつ、26年度からの制度変更であるが、単年度のみの費用となり、これ以降については大きな影響はないと考えている。

最後に公営企業資金等運用事業会計については、固定資産の減損が大きく、費用が34億9,000万出てくるため、この結果10億6,000万の純利益から24億3,000万の大幅な赤字に陥るが、これも利益剰余金があるので、単年度限りの赤字ということである。

松崎:    今伺っていると、今後に不安なことはないのかなと。先日、ご報告のあった経営計画であるが、電力システム改革、もっと大きく落ち込んでいくと給水量、給水人口などを見込んでいくと、10年後、20年後、30年後を考えると、今は利益剰余金の当て込みでなんとかなっている感じだが、今後はそれでいけるのか。これまでの会計制度と、これからの会計で大きく開いていくリスクがあるのではないか。心配は全く無いのか。

皆川課長:            財務諸表上、損益計算上の計算は悪化する形にはなるが、悪化するものの現金支出を伴わない公営企業会計独特の長期前受金などがあり、それが収益としてあがってくるため、26年度の改正の時期限りの大幅な赤字となるが、それ以降は影響ない。今後、10年、30年後の将来をどうしていくかは、まずは施設の統廃合などをし、施設を適正化することや、後は単年度ごとの費用の平準化、例えば、長期間使用可能な管を使用する等、ただし、10年、30年後の将来どうなるかの不安がないと言えないが、収支計画を作る5年間についてはなるべく値上げをせずに頑張っていく、10年、30年後にできるところまでやるためには適正な投資をしていくことを考えている。

松崎:    企業庁長へお聞きしたい。会計制度が変わって、その目指している方向を考えると、これから先、今の状況についても説明責任と経営努力の両方が強まると思う。経営環境の詳細な分析が今まで以上に問われてくると思うが、そのご決意とお考えがあれば是非お聞きかせ願いたい。

古谷企業庁長:    今回の会計制度の見直しは、できるだけ民間企業に合わせるということで、よく言われる透明化といいますか、外部の方が分かりやすくということで、今回この会計制度を改正させていただく。それに伴って期間をどう組むかはそれぞれの自治体の公営企業の考え方であるが、私どもは切り替えにあたって、できるだけ単年度で処理をしてしまいたいと思っている。その関係で、26年度は見かけ上の赤字と言いますか、整理のための赤字が出ているが、現金が伴っていないので、経営自体には大きな影響は出ていない。

 ただ、これをやると、その後よく分かりやすい、民間の企業と同じ会計に近づくので、私どもも経営をしていくにあたり、指針が決めやすくなり、外部の方々からも公営企業の今の状況というものを分かりやすく示されるということになるので、お互い土俵を同じくして、我々も努力し、点検もしていただけるとこのように思っている。

せっかくのこのような機会をとらえ、私どももしっかり経営状況を分析しながら安定的な経営を進めていくよう努力してまいりたいという考えである。

松崎:    健全経営に努めていくようお答えがあったと理解した。