平成25年11月6日決算特別委員会での質疑のまとめ

(1)県の公金運用について

松崎:     厳しい財政状況の中で県としては緊急財政対策に取り組んでおりまして、少しでも歳入を増やす取組を続けているわけであります。

  そうした中で、平成24年度の決算調書の歳入の箇所を見ますと、一般会計や特別会計の諸収入、預金利子が計上されております。

  そこで、県の公金運用を中心に歳入確保につきまして伺います。

  まず、24年度の一般会計と特別会計の運用収入は合計でいくらでしょうか。

花田会計課長:     会計局では、一般会計と特別会計における資金、これは通常「会計管理者保管現金」と言っておりますが、この資金の支払までの間の手持ち資金について運用しております。その他、基金管理者からの依頼に基づいて運用を行っております。

  このうち、委員お尋ねの会計管理者保管現金における平成24年度の運用収入は、合計で1億9,017万余円となっております。

松崎:     前年度と比べ運用収入はどうなっているのでしょうか、またその増減の理由も伺います。

花田会計課長:     会計管理者保管現金における平成24年度の年間運用収入額は、前年度と比べ1,648万余円約8%少なくなっております。

  その主な要因ですが、平成24年度は、1日当たり平均の資金量が2,012億円で、23年度の2,216億円に比べて204億円減少したことによるものでございます。

  これにより、運用収入額そのものは減少いたしておりますが、平成24年度は6月から運用方法を更に工夫したことにより、運用収入の減少率自体は、資金量の減少率9.2%より小さい約8.0%にとどまっているものでございます。

松崎:     現在、預金をしてもわずかな利息しかつかない超低金利が続いている。こうした厳しい運用環境で、より多くの運用収入を確保していくために、どのような工夫をしてきたのか伺います。

花田会計課長:     平成24年度、全庁で緊急財政対策に取り組む中で、会計管理者からの指示によりまして、新たに平成24年6月から会計管理者保管現金の運用方法を見直しております。

  その主な工夫内容についてご紹介させていただきますが、

これまで定期性預金は3ヶ月程度でおこなっておりましたが、9か月程度までの長期運用も取り入れ、利回りの向上を図っております。

  長期運用後に残る資金につきましては、日々の支払に支障が出ない範囲内で短期の運用も行っておりますが、これまで、これにつきましては1日間に限定していた債券現先という取引をおこなっておりましたが、これにつきましては、土日をまたぐ運用も行うことにより、資金の動きが無い週末も効率的に運用を図ることといたしております。

  加えて各金融機関への預け入れ上限額を引き上げ、金利の高い金融機関への預入れ可能額を増やした、このような工夫を行っております。

松崎:     それでは、運用方法の見直しの効果はあったのでしょうか。

花田会計課長:     先ほどの答弁で少し挙げさせていただきましたが、平成24年度全体の資金量が9.2%減少したのに対しまして、運用収入額の減少率は8%にとどまっております。

  また、運用の見直しは平成24年6月から実施しておりますので、6月以降の10ヶ月間について、23年度と24年度の資金量などの条件が同じと仮定して比較してみた場合には、23年度の方法で運用した場合に比べて24年度は運用収入が約3,500万円増加するという計算になり、効果があったものと考えております。

松崎:     運用対象となる金融機関の考え方はどうなっているのですか。

花田会計課長:     公金の運用対象となる金融機関の選択につきましては、神奈川県公金管理方針において、「金融機関の経営情報を収集し、自己資本比率や格付け、不良債権比率などの指標の分析を中心に、金融情勢も踏まえた総合的経営の判断の下に、預金の払い出しを確実に行える健全性の高い金融機関を選択すること」と定めております。この方針の基に、財政状況や法令順守状況を踏まえ総合的に判断することとしております。以上でございます。

松崎:     今、みずほ銀行が信販会社を通じて暴力団など反社会的勢力に融資していたとして、取り上げられておりますけれども、みずほ銀行は運用対象に入っているのでしょうか。

花田会計課長:     みずほ銀行は、会計局における運用対象金融機関に入っており、会計管理者保管現金及び基金を合わせた預金額の1日当たり平均額で見ますと、平成24年度は、全体額約5,154億円の内、みずほ銀行への預金額は約496億円でした。

  また、平成25年度は9月までにおいてですが、全体の1日当たり約5,019億円のうち、みずほ銀行への預金額は約715億円となっております。以上でございます。

松崎:     今回の、みずほ銀行の不祥事が判明した後に、運用の対象金融機関として何か対応を取ったのでしょうか。

花田会計課長:     この度のみずほ銀行の提携ローンに多数の反社会的勢力との取引が存在していた事案に対しましては、9月27日に金融庁からみずほ銀行に対し、業務改善命令が出されております。

  これを受けて会計局では、この度のみずほ銀行の、この事案については、「県民の信頼を著しく損なうものである」と判断し、会計局で定めている規定を踏まえ、業務改善命令が出された9月27日をもって、みずほ銀行を会計管理者保管現金の運用対象金融機関から除外する措置を講じております。また、基金の運用についても、同様の対応をとっております。 

  なお、過去においても、平成19年に、暴力団と関係の深い団体へ融資し、金融庁から処分を受けた金融機関について、運用の対象から除外したという事例がございます。

松崎:     みずほ銀行は県債の引受けも行っているわけなんですが、24年度の引受実績はいくらだったんでしょうか。

落合資金・公営事業組合担当課長:                 本県の市場公募債、それから銀行等引受債を合わせました発行額4,046億円でございます。そのうちみずほ銀行の引受額は319億円でございます。その内訳といたしまして、シンジケート団を組みまして、あらかじめシェアを決めて引受を行う市場公募債、これにつきましては、発行額2,887億円のうち254億円、入札等で行いました銀行等引受債につきましては、発行額1,159億円のうち、65億円となってございます。

松崎:     今回の件(反社会的勢力に対する融資)で、県債の取扱いにつきましては、どのように対応しているのでしょうか。

落合資金・公営事業組合担当課長:                 本県では、県債の引受金融機関が金融庁から行政処分を受けた場合、国債入札に係る財務省の処分、それから総務省の判断に基づいて対応してきてございます。

  具体的には、金融庁の業務停止命令を受けた場合、財務省が国債入札停止等の処分を行った場合、財務省の処分期間中は本県債の引受からも除外する、こういった対応をとってきてございます。

  今回金融庁から出された処分が「業務停止命令」ではなく「業務改善命令」であったこと、財務省において国債入札停止等の処分を行っていないこと、それから総務省においても、地方債の取扱いについては特段の対応を取っていないといったことから、現時点では国の動向を注視している状況でございます。

  今後ですね、新たな処分が行われる際には、その状況を見て、改めて本県債の取り扱いについて判断したいと考えてございます。

松崎:     最後に、県民から預かった大切な公金でございますから、運用するにあたっての考え方につきまして、改めて会計管理者に所見を伺いたい。

会計管理者:         県民の皆様からお預かりしている大切な資金でございまして、その金額も多額に及んでおりまして、会計管理者が保管する現金は24年度で日平均で2000億、基金につきましては6500億円と多額に及んでおります。こうした公金を適正、かつ計画的に運用するために運用方針を定めておりますけれども、運用に当たりましては、まず元本の確保、安全性の確保が第一で重要でございます。それから流動性の確保、これは日々の県の支払いに支障が生じないようにすることが重要でございます。こういう2つの前提の中で収益性を確保していきたいと考えております。

  特に本県は、財政状況が非常に逼迫しているということで、平成24年度に資金の運用の状況を分析しまして、24年度から運用の方向を見直しまして、収益性を高める工夫をしております。

  それから、これを運用する金融機関につきましては、当然ながら財務状況の健全性というのが重要であります。それとともに、法令を守っていくという状況についても確認することが重要と考えております。今回のみずほ銀行の、反社会的勢力に対する融資につきましては、本県は暴力団排除の条例を策定して社会全体で暴力団を排除するという中で起こっていることでございまして、県民の信頼を著しく損なうというものでございますので、新たな運用については、これを停止するということでございます。

  今後、こうした公金の運用につきましては、社会状況、それから金融状況を十分に注視しながら収益力を高めて適正な公金の管理をしてまいりたいと考えています。

松崎:     今公金運用につきましていろいろと尋ねたわけなのですけれども会計管理者の運用につきましては、適切に対応されていることから、県債についても、これからの動向を注意深く見守っていく途中の状況であるというふうに理解させていただきます。

  現在のような超低金利の中では、24年度に運用方法を見直して効果を上げたということ事態、評価しているところであります。   財政状況は依然として厳しいわけです。公金運用にあたりましては、安全な運用を第一に心がけつつも、運用方法を工夫して、少しでも有利に公金を、しかも安全に健全に活用していただく、ということを引き続きお願いをさせていただきたいと思います。