平成26年9月30日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 「ガソリンベーパー」対策について

松崎      

 PM2.5の報告資料によれば、前回の常任委員会以降も、県内で環境基準値を超える日が相当あり、改めてPM2.5濃度の低減に向けた取組が重要になってくると考えます。県が焦点を当てているガソリンベーパーに関する取組について何点か伺いたい。

 まず初めに確認となるが、ガソリンベーパーの対策には車側の対策とガソリンスタンド側の対策がある中で、県は車側の対策を進めるとしているが、その理由について改めて伺いたい。

小林大気水質課長                車側での対策を選択した理由としては、スタンド側の対策では、給油時のみのベーパーの回収であるのに対して、車側の対策では、給油時だけでなく、走行時、駐車時といったあらゆる場面でベーパーを回収できることが挙げられます。

 また、回収したベーパーを車の燃料として自ら再利用できる、という点もあり、この2つが挙げられますので、車側を選択したわけであります。

松崎        7月には、自治体向けの研修会を県が開催したとあるが、課長級、担当者の2回開催しており、大変力を入れていると感じるが、研修内容や参加した自治体について伺いたい。

小林大気水質課長                まず、7月4日に開催した課長級の研修会ですが、九都県市首脳会議の中に、大気保全専門部会があり、この場を活用しまして、九都県市の課長に加え担当者22名、計31名の参加のもと実施しました。

 内容としては、本県から5月の関東地方知事会議で知事から問題提起を行った経緯を説明した後、独立行政法人交通安全環境研究所の研究員から、ガソリンベーパーの対策の技術的な説明や、海外の最新の動向について講演をいただきました。

 次に、7月30日に開催した担当者向けの研修会ですが、県と横浜市及び川崎市で組織する「神奈川県公害防止推進協議会」の主催で開催したものです。

この研修会では、県内市町村をはじめ、九都県市及び関東地方知事会議の構成都県市にも広く参加を呼びかけ、42名の参加のもと、計量機メーカーである株式会社タツノにおいて、講演会の開催と計量機のショールームの視察を行いました。

講演会では、課長級の研修会同様、交通安全環境研究所の研究員から、対策技術や海外の動向について講演いただきました。

松崎         九都県市をはじめとする他の自治体は、この問題について、どのように受け止め、どのように考えているのか伺いたい。

小林大気水質課長                本県が主催した2回の自治体研修会の開催により、とりわけ九都県市の方に参加いただきまして、ガソリンベーパーに関する理解が進み、できることを、できるところから取り組むという認識が共有できたものと考えております。

 また、9月上旬に開催した静岡県と山梨県との2県との連絡会議においてもガソリンベーパーの問題を提起し意見交換をしたところです。

 このような取組を通じて、近隣都県市においても、1つは、国際的に見て、我が国がこの問題への対応が遅れていること、もう1つは、対策技術としてガソリンスタンド側での対応と自動車側の対応の2つがありますが、自動車側での対策を進めることが現実的かつ効果的、との理解が得られたのではないかと考えています。

松崎        本県県議会においても、最近は特に2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までには、開催の時に、多くの海外からの賓客がお越しになった際、果たして本県が世界標準でいるかどうか、という視点から様々な質問がなされている実態がありますが、私も議会の一員として、関心を持って拝聴しているが、これは単にオリンピックの時に良ければいい、というのではなく、各委員の先生方の思いは、本県をよりよくしていこう、という一念から出ているものだと思います。

 そういうことからすると、私もかつて子どもの頃、光化学スモッグ注意報とか警報が出て、殆ど空がいつ見上げてもどんよりと曇っていた、という記憶があり、屋内退避ということが現実にあったが、ああいったことは二度と味わいたくない、という思いでいっぱいで、やっぱりPM2.5対策ということも、東京オリンピックまでにということではなくて、今暮らしている子どもたちの空を、子どもたちに渡すときにはもっとクリーンものにしていきたいという思いがあるわけですから、今の対策としてしっかり取り組んでいく必要があると思います。

 そういう意味では、本県で取り組むとか、横浜市で取り組むとか、単一の自治体で取り組むだけでは、大空の問題は解決しないのは明らかでありますので、やっぱりそれは、日本国とかアジアとか、そういうレベルで考えなければならないが、まずは関東の九都県市では統一した基準で統一した行動が取れるよう、強く願っています。

 そこで更にお聞きしますが、報告資料の中でも、「九都県市や関東地方知事会議の構成都県市と連携し」とはっきり書いてあるが、今までの答弁も含めてどのような取組を考えているのか伺いたい。

小林大気水質課長                県は、さわやかな大気を維持したい、という思いがありまして、ガソリンベーパー対策として車側の対策を進めていくこととしましたが、ORVR車という大型の回収装置が装着された車を制度化しなければならない、ということになりますと、道路運送車両法や車検制度の改正が必要であり、そのためには国を動かすことが不可欠であります。

 これまでの本県からの問題提起や研修会により、かなり理解も深まってきておりますので、この秋に向けて、近隣都県市との連携をさらに深め、要望書の提出など国に強く働きかけていきたいと考えています。

松崎        九都県市のサミット、という場もあると思うが、もっと具体的な知事の行動はないのか。

小林大気水質課長                九都県市のサミットは11月12日に開催予定であります。九都県市が全て合意した中で提案する、というのが重要になって参りますので、それに向けて、研修会などもありましたが、それ以外にも個々に訪問するなどして、話をしております。

松崎        そうすると、そういう場面を使って国に働きかけを強めていく、ということで間違いないですね。

小林大気水質課長              そのように考えております。

松崎        一方で、車のユーザーなど県民に対しても、もっと理解を深めてもらって、普及啓発をしていくことが必要と思うが、そういった取組に関しては、どのように考えて行動していくのか。

小林大気水質課長                1月のシンポジウム以降、この問題はホームページに掲載するなど、広く発信しておりますけれども、御指摘のとおりこの問題は、まだ県民には十分に認識されているものではないと認識しております。

 そこで、県のたよりなど、様々な広報媒体を活用し、広く県民に情報発信したいと考えております。

 さらに、ORVR車の制度化に向け国を動かすためには、神奈川県民だけでなく、広く国民にもPRすることが重要であると考えており、九都県市などが一体となった啓発を行うことが重要だと考えておりますので、その部分の取組も進めていきたいと考えております。

松崎       (要望) 県民からの注目度も高い知事でありますので、自ら先頭に立って大切なことは広報していくとおっしゃっているわけですから、環境農政局としての広報活動も当然必要だが、認知度の高い、注目度の高い知事ご自身に局長からもお願いをして、メディアも含め登場していただいて、このことの大切さをPRしていくことが、県民に一番早く、しかも深く納得していただける手段の1つだと思いますので、そういうこともして頂きたいと思います。

 ガソリンベーパーについては、欧米では対策が進む中、東京でのオリンピック開催を前に、この問題は解決すべき課題であると思う。今暮らしている人々、次の世代の子どもたちに青空を青空として渡していきたい、ということを願うわけです。

九都県市や関東地方知事会議の構成都県市と連携し、九都県市サミットもあるようですから、そうした場におきましても、知事が先頭に立って公報や啓発、ORVR車の制度化に向けてしっかりと取組を進めていただくよう要望いたします。