平成26年9月30日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 市町村と連携した地球温暖化対策の推進について

松崎      

 引き続きまして、市町村と連携した地球温暖化対策の推進について、何点か伺っていきたいと思います。先ほどは、新アジェンダについてもお伺いしたところでありますので、先ほどのやりとりも踏まえて何点かお伺いしていきます。

 県民の中の370万人を超す方々が住んでいる横浜市では、低炭素型環境モデル都市を目指しまして、私の住んでいるところでは、金沢区の臨海部におきまして、横浜グリーンバレー構想を策定して、事業展開をしております。これは、環境を切り口として、産業育成と環境教育の充実に取り組み、経済の活性化とともに温室効果ガスの削減を進める方法でございます。そこで、この構想にも触れながら、市町村と連携した地球温暖化対策の推進について何点か伺います。

 まず、金沢区というところでありますが、私が住んでいる金沢区という場所柄から、特に感じることでありますけれども、地球温暖化対策一つを見ても、横須賀、逗子、葉山、鎌倉、藤沢あるいは川崎といった、横浜市周辺の市町における取組みは、県とも市町村間でも情報があまり共有されずに、バラバラに取り組んでいる印象を受けます。

 地球温暖化対策は、地域を越えて取り組んでいくべき最たるものであります。県として地球温暖化対策を進めていく方向を示しつつ、市町村と協力しながら進めていく必要があると考えていますが、これまで県として市町村とどのように連携して取り組んできたのか伺います。

村岡環境計画課長                地球温暖化対策の基本的な方向性につきましては、県民、事業者、市町村といった各主体相互の連携・協働の促進などを基本方針としています県の地球温暖化対策計画で示していますが、計画の策定にあたりましては、市町村からもご意見をいただいて調整を図っています。

 また、施策を進めていく中では、地球温暖化対策に関する情報の共有や意見交換の場としまして、全市町村が入りました「かながわ地球環境保全推進会議」の行政部会、県・市町村の実務担当者会議、それから、ヒートアイランド対策など市町村と連携して取り組むべき個別テーマがある場合には、連絡協議会を設置して連携を図ってきました。

 ヒートアイランド対策につきましては、具体的には、横浜市、川崎市と県、それぞれが観測しています気温観測データを共有するといった取組みを行っております。

松崎        今の答弁ですと、市町村と連携しているということであります。しかし、県との連携が見えないものの一例でございますけれども、先ほど申しました、金沢区で展開している横浜グリーンバレー構想がございます。まずは、県で承知しているこの構想の概要を確認します。

村岡環境計画課長              横浜グリーンバレー構想は、エネルギー施策の展開、それから、環境・エネルギー産業の育成、環境啓発拠点の形成という3つの視点から構想されておりまして、これらの視点に基づきまして、様々な事業を展開してございます。

 主なものとしては、金沢区総合庁舎などを対象とした低炭素技術集中導入モデル事業、それから、地元企業が開発したエネルギーマネジメントシステムを事業所に導入しまして、使用電力をリアルタイムに観測する金沢臨海部エネルギーマネジメント事業、さらには、市内の大学等と連携しました環境教育事業などを展開しています。

 同構想は、横浜市の中でも、住宅団地、それから工業団地、公共施設、海など横浜の様々な要素がコンパクトに集まっている、そうした金沢区をモデルに、将来的には全市的に展開するということで、日本の環境モデル都市として認知されることを目指す。そういった構想であると承知しています。

松崎        そうしますと、温室効果ガス削減に向けて様々な事業を展開している横浜グリーンバレー構想は、地球温暖化対策という面で、県が目指す方向と同じではないかと考えるわけです。お聞きしたいのですけれども、横浜グリーンバレー構想の推進にあたりまして、神奈川県としてどう関与してきたのか伺います。

村岡環境計画課長                構想の推進ということについて申しますと、県が直接、関与してきたということはないというのが現状です。

松崎        それでは、地球温暖化対策という共通の目的のために、グリーンバレー構想以外で、何か横浜市と連携してきたのか伺います。

村岡環境計画課長                地球温暖化対策を進めるに当たり、横浜市と連携することは重要と考えておりまして、具体的なプロジェクトの実施という段階では、県としても連携した取組をしてございます。

 具体的には、横浜市は、低炭素都市を目指す中で、CO2排出源である交通部門の施策にも力を入れておりまして、昨年10月から、日産自動車と協働して、国内初となる超小型モビリティを活用した大規模なカーシェアリング実証実験を実施しています。

 県はこの取組を支援するために、県庁第2分庁舎脇のスペースを超小型モビリティの貸出や返却用の駐車場として活用する協力を行っています。

 このほか、横浜市とNTTドコモが協働しまして、「ベイバイク」というコミュニティサイクル事業を、平成23年度から3年間の社会実験を経まして、今年度から本格実施してございます。この事業に関しましても、交通政策や観光振興と並びまして、CO2削減という県の地球温暖化対策の方向と合致することもありますので、県庁の敷地を貸出返却拠点の1つとして活用する方向で、現在調整をしておりまして、実は、明日から運用開始することになっています。

 また、このコミュニティサイクル事業は、採算面から、なかなか民間ベースに乗せることが課題となっております。そこで、利用料金の負担の一部を県の補助事業として採択するということで実施を応援してございます。以上です。

松崎        今ここでお聞きしているのは、政令市というのは独立性が非常に強いから、県はあまり手を出してない。県域は逆にもう県という存在はすごく大きいので、そこでがんがん頑張るんだということのままでいくと、トータルとして県民から見た場合、例えば大気というのは、別に国境もなければ県民境もない。あるいは海もそうですね。水質もそう。そういうようなことからすると生きていく生態系の保全もそう。そういうところに神奈川県と政令市とあるいは市町村という、われわれ人間が人為的に作った境目によって、その施策がとぎれたり、くっついたり、県民からしても非常に見えにくい、わかりにくいものになっているのではないかという問題です。それをより誰でもわかる話に変えるためには、お互いがお互いのものを、あるまま共有しあいながら独自性も持ちつつ、一緒になって進めていくということをもっと強力に進めないと、このままだと環境の悪化のほうが先にいってしまうんじゃないかという、ある意味危機感から申し上げているのであります。

 そこで、次の質問なのですけれど、環境を切り口としたその県の対応、それも部局を超えて横断した対応というのが必要な場面も多いと思うのですけれども、市町村との連携にあたって、庁内での連携をどういうようにしているのか、そして、先ほどからお伺いしていますけど、横浜がやっていることだから県はやらなくていいみたいな、そういう発想というのはもうやめてほしいんですよ。で、しっかりと連携をしてお互いに見える形で、県民からわかりやすい形でやってもらいたいんですよ。そこのところをいったいどうしていくのかというのをぜひお答えください。

村岡環境計画課長                今回のコミュニティサイクル事業をご説明申し上げますと、県庁の敷地を活用したいという横浜市からの申し出に対しまして、施設の管理の所管は総務局でございますが、この取組が県の温暖化対策、観光振興、交通政策の推進に資するということで、その活用ができるよう関係課でバックアップしております。

 そのほかにも、温暖化対策を別の角度で見ましたエネルギー関係につきましては、産業労働局と連携していく必要があります。また、今後、ヒートアイランド対策や、温暖化を緩和する措置を実施しましても、なお、避けられない影響への対処を考える適応策というものが今後クローズアップされてくると考えられますが、これらは、防災対策、それから高齢者などの弱者対策、そういったものも様々な部局において対応が必要となってくるものでございます。

 これらにつきましては、これまでも庁内横断的な会議組織で調整してきたところではありますが、委員ご指摘のように、政令市だからということではなく、市町村との連携というものを、県として全面的にそのことを意識しながら、今後連携を密に、情報交換、それから連携していくということで県としての受け止めができるようにしてまいりたいというふうに考えてございます。

松崎        金沢区からみていると、金沢は例えば東京湾に面していて、東京湾ということで見た場合だけでも、対岸には千葉県富津というところがあって、それから横浜から少し行った先に川崎市がございますし、それからこちらがわの相模湾方向に行くと進んでいけば、横須賀・三浦、そして鎌倉、藤沢となり、逗子、葉山ですね、それぞれの自治体が思い思いの取組をするというのは地方自治ですからもっと盛んになってもらいたい、当然のことです。一方で何度も言いますけど大気のこととか水のこととか生態系のこととかそういうことに取り組もうとしたら、鎌倉からあっさりと地域を越えてタイワンリスがあるいはアライグマがきたようなことがあるわけですね。

  もう、市境とか県境とかあんまり意味がないんですよ。だからやっぱりそういうところに対してどういう風に取り組むのかということが広域自治体である県の役割、もう少し広げると、東京湾ということで言えば九都県市だったりもしますけども、そういう取組が、アマモの植栽とか色々となされてはいますが、やっぱり環境ということに関して言えば、もっともっと県が前面に出て、担うべき役割はあるはずなんです。これは私が思いつきで言っているのではなくてですね、県民の方々、あるいは産業界もそうですし、働いている労働界の人もそうですし、自治会・町内会の人もそうです。どの方にお会いしても出てくる声なんですよね。この声に対して神奈川県がどう応えるか、ということが最も大事なことだと思っています。

  そこで、先ほどもお答えいただきましたけれども、環境農政局長にお答えいただきたいのですけれどもね、すべての主体が取り組まなければならない地球温暖化対策は、県としてももっと前面に出て市町村とともに取り組んでいく必要があると考えております。特に政令市だからとか、一般市だからという、その自治体の性格とか置かれた位置づけというのは、生態系とか大気とか水にとってはあまり関係のないことでありまして、そういういわば必要としている取組がなんなのかというところからの発想をぜひともお願いしたいと思っておりまして、ここまで市町村との連携について伺ってきましたけど、今後、どういう風に具体的にこの取組や連携を強化していくのか、お伺いします。

金子環境農政局長                今ご指摘のとおり、地球温暖化対策をはじめ環境問題というのは神奈川県の範囲だけでなく、最終的には地球規模で考えなくてはいけないということでございます。私としても、県内の市町村との連携というのは本当に重要で、さらに進めていかなければならないと考えております。直近で、地球環境対策としての、神奈川県としてのテーマが地球温暖化対策計画、これを、いずれ、そう遠からぬうちに、改定をしていくことになると思います。これは、国のほうでエネルギーミックス、削減目標などが固まってきましたらば、それを受けて見直しをするということになりますが、こういった機会に、市町村の取り組んでいられる様々な施策、こういったものを、もう一度情報を十分に共有させていただいて、そういったもののなかで非常に先進的な取組、いろいろ、横浜市だけでなく色々な取組があると思うんです、そういった情報をもとにすべての市町村で共有をして、いいものはどんどん取り入れていくと、そういった姿勢をとっていきたいと思っています。

 具体的に何かというところになりますと、今はなかなか、市町村との会議というのは色々な場であるんですけれども、主には担当者クラスでやっている会議が多くなっておりますので、やはりもう少し権限がはっきりしている課長クラスで本当の政策的なことも含めた協力もしていくと、そういった場も設けていくこともあり得ると思っています。

 いま、業務部門とか家庭部門での温室効果ガスの削減というのが、あまり製造業と比べると進んでいないといった実態がございまして、特に地方自治体としては、一般県民の方、家庭での削減の取組というのをある程度強く訴えていくということが重要だと思っています。その点ではやはり、基礎的自治体である市町村というのが、より住民の身近なところで様々な行政施策を展開されていますので、こういった機会も使って、一人ひとりの皆様の行動を少しずつ変えていただく、そういった呼びかけは市町村のほうがより得意とされるところかなもと思いますので、そういった家庭向けの呼びかけというところでは、市町村の力を頼みにしながら、さらに県としての連携も深めていく、そのように考えています。

松崎        いま答弁をいただいたわけですけれども、県民の側からすると、あっちの町ではこんなことを言っている、こっちの町ではこういう取組をしている、いろんなアナウンスがなされて、神奈川県もこんなことを言っている、で、そうするといったいトータルとしてどれくらい、神奈川県としては、県民としては、一人当たりどれくらいの効果が上がるのか、あるいはまたどれくらいの先行きの見通しが明るくなるのかということについて、はっきりしない、という声を多数実はいただいているわけであります。

 温暖化対策とか環境問題対策ということはもう、しょっちゅういろんなところで聞くけれども、ではいったい具体的にどんな効果が上がってきているのかもよくわからない、そういうこともまた聞くわけでありまして、窓口はたくさんあるけれども、いったいトータルとしてどうなるのかということが示せていないのではないかなということを思います。

 そういうことからすると、要望ですけれども、地球温暖化防止というものは、ひとり県のみ、あるいは市町村のみで対策が可能ということではないので、やはりお互い連携して、中身を共有して、取組をトータルとして評価をするということも、大変必要なのかと思います。精度を上げて、ピンポイントで対策を打つということと同時に、トータルとして息の長い取組をするという両面があろうかと思うので、それぞれについて、県の役割、市町の役割がございますから、市町村の役割についても、県がきちっとリーダーシップを発揮すべき面は発揮するということを意識していただいて、一緒になって取り組んでいただき、成果を具体的に上げるように、お願いをしたいと思います。