平成27年3月3日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 農作業用アシストスーツについて

松崎      

 農業技術センターで農作業用アシストスーツの実証実験が開始されるという 記者発表がございました。私も関心をもって聞いていた一人であります。

本県農業は、担い手の高齢化が進んでおり、重い荷物を持つことが多い農業においては、アシストスーツのようなものの活用の場面は多いと思われます。本県農業を推進するためには、未来志向の取組も重要であると考えますので、農業技術センターが行っている農作業用アシストスーツの開発、実証試験について、何点か伺います。

まず、農作業用アシストスーツとはどのようなものでしょうか。

農政課長              

 農作業には、農作物の収穫や肥料等の運搬、積み込み等、肉体的に負担の大きい、きつい作業が多くあります。アシストスーツは、肉体的に負担の大きい、それらの力仕事をモーターなどの動力によって、補助するものです。

今回実証試験を行うアシストスーツは、重たい物を持ち上げる作業や、運搬時の歩行などを補助する仕様となっています。最大30kgの重量物を持ち上げる際に、最大10kg分をアシストする設計となっています。

松崎       電動アシスト自転車というものがありますね。きつい坂道を、かつて登っていた感覚でぐっと踏み込むと、少しこぎ方には工夫が必要なのですが、非常に楽だったりします。あのようなものと考えてよいのでしょうか。

農政課長                私は電動式自転車に乗ったことがないので、少し分からない部分はありますが、このアシストスーツを体験させてもらったところ、短い時間でしたので、十分な効果を感じたわけではありませんが、荷物を持つときにひざと腰を曲げて荷物を持ち、それを持ち上げるときに、曲げた腰とひざを伸ばそうとするのを補助してくれるような感じを受けました。

松崎         アシストスーツは既に市販されているのですか。また今回試験するアシストスーツは、市販されているものを試験するのでしょうか。

農政課長                今回試験するアシストスーツは、和歌山大学が平成22年から農林水産省の委託を受けて開発を進めているものです。この度、実証段階に達したもので、まだ市販はされているものではありません。

今回、本県で試験に使用するアシストスーツは2台で、農林水産省から借りて試験を行います。

松崎        具体的にはどのような実証試験なのですか。また、いつから取り組むのでしょうか。

農政課長                農業技術センターでは、本県野菜の大産地である三浦半島で箱詰めされた1

0kg程度の重さのキャベツ箱の運搬作業と、米の集出荷施設での30kg程度の米袋の運搬作業を対象に試験を行います。

試験内容をもう少し細かくご説明します。1つは、アシストスーツを装着し

た時と装着していない時で、同じ作業をしたときの心拍数等の肉体的負担を計測し、効果を評価するものです。もう1つは、様々な年齢や性別の異なる生産者を対象に、実際に農作業に使用していただいて、アンケート調査を実施し、普及に向けての基礎的データとするものです。

実証試験には、昨年12月から取り組んでおり、平成27年度まで実施予定となっております。

松崎        実際に実証試験に参加された生産者の方のリアルな反応はいかがでしょうか。

農政課長                現在試験は継続中ですので、細かな試験データ等はまとまっておりませんが、実際にアシストスーツを装着して作業を行っていただいた生産者の方からは、腰の負担が軽くなった、またアシストスーツをもっと軽くしてもらったほうが良い、もう少し装着しやすくしたほうが良い、などの感想や意見をいただいている状況です。

松崎         30kgの米袋や10kgのキャベツ箱の重さは、聞いただけでも重いですね。アシストスーツは現状はまだ市販もされていない訳ですから、ない中でずっと働いてこられたということを考えると、やはり農業の担い手や、農業について議論するときには、色々な議論が新聞紙上でもありますけれど、やはり現場で実際に働いている人の大変な苦労、当然北風、三浦半島でしたら海風も吹くでしょうし、真冬でも働いておられることを考えると、まずはそこの苦労をよく受け止めなければなりません。且つアシストスーツが実際に使われて、本当にこれが使いやすいとおっしゃってもらえることが、やはり到達目標ではないかと、今何点かお聞きして思いました。

なお、先程このアシストスーツは市販されていないとのことでしたが、実用化についてはいつごろか、目標などあるのですか。

農政課長              農林水産省のプロジェクトチームで、アシストスーツの小型、軽量化を今後

進めていくことになっております。より使いやすくしたうえで、28年度を目処に、製造・販売を開始する予定と聞いています。

松崎         それこそ今まで大変なご苦労の中で働いてこられて、高齢化といった課題等がある中ですから、なんとか使い勝手のいいように、そしてまた導入するにしても価格が非常に高いもので長年に渡ってローンを組むようなことになると本末転倒だと思います。市販されて、県としてもこれは導入すべきであるという判断に立つような場面がきましたら、導入促進について補助等も含めて色々ご検討いただけないでしょうか。

農政課長                まだ最終的にどの程度の価格になるか見えていない状況もございます。ただ先ほどからの委員のご指摘のとおり、農家の方がアシストスーツを使うことによって軽労化が図れるということになればそれは非常にいいことですし、作業が少しでも楽になるのであれば農業をやってみようと思っていただける方も出る可能性も大いにあると考えますので、普及に当たっては県としても努力していきたいと考えております。

松崎        非常に前向きな答弁をいただいたと受け止めさせていただきます。アシストスーツに限定して、あとは支援はいらないと言っている意味では全くありません。むしろ本県の農業がどのような世代の方にとっても継続ができるという、安心感が持てるかどうかについての大切な事柄だと思い、お願いしました。

ですから是非ともアシストスーツの普及と、あたたかい陽気の農作業に適しているような日ばかりではありませんので、そういった中でも安心して働けるという環境作りが農作業の実際の場面に即した県の取組の一つの大きな柱として位置づけられるように願ってやみません。