2015年9月25日(金) 本会議一般質問

(質問要旨)

2.くらし輝くふるさと神奈川

(3)ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及について

(松崎)   

  次にネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの普及についてお聞きします。

 今年はCOP21が開催され、地球規模の課題である気候変動問題にどのような対策を講じていくのか、ポスト京都議定書となる新たな枠組みの合意に向けて交渉が行われます。近年の大型台風や集中豪雨などによる災害を思い返すと、交渉結果の如何にかかわらず、私たち県民一人一人がそれぞれの立場で温室効果ガスの削減に資する適切な選択をし、行動に移すことが求められていると考えます。

 中でも二酸化炭素排出量が増加傾向にある家庭部門と業務その他部門は、効果的な取り組みが求められるところであります。しかし、特に家庭部門においては、無理や我慢を強いるような省エネの取り組みでは長続きがせず、この夏のような猛暑の中では熱中症などの命にかかわるリスクが伴うことも考えられるため、いかに無理のない形で取り組むかが本県においても課題と言えます。

 以上、述べた視点に立って、住宅のスマート化、スマートハウスの普及を進めることが非常に重要であります。

 ホームエネルギーマネジメントシステム、略称HEMSを導入し家電や創エネ設備とつなげると、電力使用量の見える化が図られるとともに、つながった設備を自動制御することができるため、無理のない節電が実現します。

 県ではスマートハウスの普及を図るため、昨年度まで2年度にわたり、HEMSを中心とした関連設備の一体的な導入を支援する補助事業を実施してきました。この補助事業が始まった際はHEMSの認知度はかなり低い状況であったと思いますが、現在はCMで普通に目にするようになるなどスマートハウスの普及が加速していて、本県の取り組みも、こうした流れを生み出すのに確実に貢献したところであります。

 さらに、県ではこの6月補正予算で新たにネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、略称ZEHの普及を図る事業を立ち上げました。

 年間の一次エネルギー消費量が正味でゼロとなる住宅であるZEHは、スマートハウスよりも高度な省エネ設備の導入や断熱化が求められるもので、早くもハウスメーカー等により普及が始まっております。

 ZEHは住宅のスマート化や省エネ、創エネ機器による二酸化炭素排出量の削減、光熱水費の削減といった効果に加え、断熱化によりヒートショックの防止など健康への好影響もあると言われていることから、私は、スマートハウスの次を見据えた取り組みとして注目しているところであります。 既に補助事業の公募が始まっているとのことですが、多数のお問い合わせをいただいていると仄聞しており、関心の高さがうかがわれると受けとめております。   

 そこで、知事に伺います。   

 新たに開始したネット・ゼロ・エネルギー・ハウス導入事業にどのような効果を期待し、また、その普及によりどのような姿を目指すのか、知事の所見をお伺いします。 以上です。

(黒岩知事)           

 次に、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEHの普及についてです。

 ZEHは、消費するエネルギー量が、太陽光発電などで創出するエネルギー量以下になる住宅であり、地球温暖化対策としても、普及拡大が求められています。

 一方、ZEHを実現するには、高断熱の壁や高効率の空調設備などを導入する必要があるため、費用は標準的な住宅に比べ、1割から2割程度高くなります。国は、ZEHの普及を促進するため、費用の一部を補助していますが、光熱水費の削減効果を考慮しても、初期費用の負担感が大きいことから、まだ普及が進んでいません。そこで、県としても、国の補助制度と歩調を合わせた補助制度を創設し、普及を後押しすることにしました。

 ZEHの普及による効果としては、二酸化炭素排出量や光熱水費を大幅に削減できます。また、断熱性能が高く室内の温度差が少ないため、特に高齢者のヒートショックの防止などが期待されます。

 さらに、県の補助制度では、太陽光発電設備と併せて、蓄電池を導入することを要件としましたので、昼間、発電した電力を蓄電して、電力系統への負荷を軽減できます。

 今後、そうした効果を確認し、広く発信することにより、多くの県民にZEHの先進的な環境性能や居住性を知っていただき、本格的な普及につなげていきたいと考えています。そして、自ら消費するエネルギーは自らつくる、エネルギー自立型の家・ビル・街の実現を目指してまいります。

 答弁は、以上です。