2015年9月25日(金) 本会議一般質問
(質問要旨)
3.県政の主要課題について
(1)県債管理目標について
(松崎)
質問の第3は、県政の主要課題についてであります。
まず、県債管理目標についてお聞きします。
平成19年度の決算特別委員会以来、これまで私は本会議で2回、予算委員会で1回、決算特別委員会で4回、合計で7回の審議を通じて財政健全化の課題、特に県債の問題について、知事を初め県当局とさまざまな議論を行ってまいりました。
県としても、行政システム改革の一環として県債の新規発行額を自主財源の10%以内とする目標、1,400億円を上限とする目標や、プライマリーバランスの平成22年度黒字化目標など県債の発行抑制に取り組んでまいりました。しかし、平成22年度までにプライマリーバランスを黒字化することは、リーマンショック以来の世界大不況の影響を受け達成できませんでした。
そこで、私は、将来世代に対する負担軽減の観点から、プライマリーバランスの早期の黒字化や県民にわかりやすい県債管理目標の設定などを強く訴えてまいりましたが、平成25年2月にようやく目標年次を定めた県債管理目標が設定されました。
この目標は、臨時財政対策債を含む県債全体を対象としており、平成30年度までにプライマリーバランスを黒字化し、平成35年度までに県債全体の残高の減少を目指すとしたものであります。 目標の達成に向けて県債全体の発行抑制に取り組んだ結果、プライマリーバランスは目標を4年前倒しして平成26年度末に、平成3年度以来23年ぶりに黒字化を実現しました。この点は高く評価するものであります。また、県債残高や公債費の増加の主な原因である臨時財政対策債については、廃止と交付税への復元を国に強く求めてきましたが、こうした要望活動により配分割合の見直しが行われ、平成27年度発行可能額が大幅に減少したとのことであり、平成35年度までの残高減少の目標も達成できるのではないかと思っております。
私は、目標が達成されれば、より積極的な県債管理の目標を検討してもいいのではないかと考えております。
そこで、知事に伺います。
このたびの地方交付税の決定を受けて、平成27年度の県債の発行見込みと、今後、県債管理目標達成に向けどのように取り組んでいくのか知事の所見をお伺いいたします
(黒岩知事)
県政の主要課題についてお尋ねがありました。
はじめに、県債管理目標についてです。 まず、平成27年度の県債の発行見込みですが、7月24日に、本県の普通交付税の額が決定され、その中で、臨時財政対策債、いわゆる「臨財債」の27年度発行可能額も示されました。
県では、これまで一貫して、国に対し、「臨財債を速やかに廃止し、交付税に復元すること」と「廃止までの間、配分方法を見直すこと」を求めてきました。
こうした要請の成果もあり、交付税と臨財債の配分割合が見直され、交付税が当初予算額を約370億円上回る一方で、臨財債発行可能額は、当初予算額を約350億円下回る1,462億円となりました。
その結果、27年度の県債発行額も、予算計上額から約350億円減り、2,027億円となる見込みです。 次に、県債管理目標の達成に向けた取組みです。
27年度末の県債残高は、通常の県債の発行抑制に加え、臨財債発行可能額の減額によって、平成2年以来、25年ぶりに減少し、一時的に県債管理目標を達成する見込みです。
しかし、今後を見通すと、老朽化した公共施設の更新の増加や、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」の開催に伴う、新たな財政需要も見込まれており、この財源として、県債の活用も想定する必要があります。
また、臨財債も、一定程度の見直しはされたものの、28年度以降の取扱いについては、未だに不透明な状況です。 このため、県債残高の減少を継続的に達成できるか、まだまだ楽観できる状況にはないと認識しています。
したがって、今後とも、国に対して、「臨財債の速やかな廃止と交付税への復元」を粘り強く要請していくとともに、施策・事業の見直しや、優先順位の見極めにより、県債の発行抑制に努めてまいります。
(松崎)
県債管理目標について、県債を新規に購入されるお客様の立場にたって再質問いたします。本県の県債を購入していただく投資家向けの資料、いわゆるIR資料に掲載をされております各種の財政指標は、全国と比較しても本県、良好であります。しかし私は、この全国共通の指標は、本県の財政状況を正確に反映していないと考えております。本県財政の実情は、公債費が年々増加しており、厳しい状況にあると認識しております。
そうしたことから、県債管理目標に掲げている県債残高を減少させ、将来世代の負担を減らすことが、財政の健全化に繋がることはもちろん、現在の県債を購入している方々のリスクを減らし、県債そのものの評価を高めることになります。
そこで、こうした見地に立って、将来世代に向けて、知事の現時点での決意を伺います。
(黒岩知事)
先ほど申しましたけれども、今後オリンピックなど、新たな投資、これが想定されますので、県債も貴重な財源として活用していく必要があります。一方で、公債費の増大といったものは、財政の硬直化を進めるとともに、将来世代にとっては大きな負担となります。そこで、将来に大きな負担を先送りしないように、また必要な投資を行いつつも、県債を発行抑制し、少しでも早く県債残高の減少を継続的に達成できるよう取り組んでまいります。
(松崎)
取り組んでいくと、決意を述べていただきました。そのことをしっかりと受け止めさせていただきます。財政問題、特に県債全体の抑制については、これまで私、機会がある度に取り上げてまいりましたけれども、将来世代に負担を先送りさせることなく、計画的な財政運営を行うため、また神奈川県の将来展望を期待して、県債を購入してくださっている投資家のためにも、財政の健全化はまさに県政の主要課題そのものであります。現在必要な方策は、神奈川から経済のエンジンを回す、先進的な取組を進め、税収が伸びていく神奈川を実現させることであります。それと同時に、財政健全化に向けて義務的経費を可能な限り縮減することであります。
本県財政は、義務的経費である介護医療関係費や、公債費の負担が増加し、財政の硬直化はますます進んでおり、このまま義務的経費が増加を続ければ、後の世代に背負いきれない負担を強いる結果となり、エンジンを回そうにも燃料の供給すらおぼつかない状況になってしまいます。
これからも、来年度予算の編成時期を迎えますけれども、財政の健全化、特に県債の発行につきましては、これまで積み重ねた議論を的確に捉え、将来の世代に向けたメッセージとなる予算を編成していただきたいと思います。将来の世代に何を宝物として残し、譲り渡すのか、いま私どもが心を合わせ、規律ある財政運営に一意専心取り組んで、本県の将来を明るく照らしていきましょうと申し上げ、質問を終わります。