2015年9月25日(金) 本会議一般質問

(質問要旨)

1.ひとが輝くふるさと神奈川

(2)古典邦楽の振興について

松崎        次に、古典邦楽の振興についてお聞きします。 古来より受け継がれてきた日本の伝統芸能は、将来へ引き継いでいくべき日本固有の文化であり、日本を訪れる外国人にとっても大変興味深いもので、より多くの方々に知っていただきたい貴重な財産であります。

  伝統芸能の中でも、とりわけ、三味線、囃子、筝曲、日本舞踊、能楽といった「古典邦楽」については、一般的な認知度が高いにも関わらず、将来を担う若い世代の演奏家は、大学の邦楽科を卒業しても、アルバイトをしながら邦楽を続けているのが現状で、途中で挫折をしてしまうケースも多くあります。私は、このままでは、近い将来、邦楽が途絶えてしまうのではないかと危惧しております。邦楽が絶えるということは、日本の重要な文化の一つが廃れてしまうということであります。

 邦楽は、クラシック音楽やオペラ、ミュージカルなどと比較すると、人目を引くような、いわゆる華やさが少なく、商業ベースにも乗りにくいです。ある程度、行政が積極的に関わっていかない限り、守り育てていくことは難しいと思います。

 行政には、まさにこうした分野に光を当て、取り組んでいただきたいのですが、そもそも古典邦楽は、「一子相伝」という傾向もあるため、県内にどのような団体が存在し、どのような活動をしているのか、充分に把握し切れていないのが実状ではないかと思います。

 また、東京と比較すると、県内で邦楽に触れる機会は少ないように感じております。誰しも身近に鑑賞できれば、より多くの方が邦楽に関心を持つことができますが、各市町村において、個別に邦楽を扱うことは、事業規模や財政面などから、極めて厳しいと思います。実際には、邦楽の保護に関しては、国の施策が中心となっていることは承知しておりますが、一定程度のスケールが期待できる本県としても、邦楽を次世代につなげていくための方策をトータルに考える時期に来ているのではないでしょうか。

 そこで、知事に伺います。

 日本の伝統的な文化である古典邦楽について、県民に興味や関心を持ってもらい、守り育てていくため、これまでの取組を踏まえ、県としてどのように取り組んでいこうと考えているのか、知事の所見をお伺いします。

(黒岩知事)           

 次に、古典邦楽の振興についてです。

 県民の皆様が、ゆとりと潤いを感じながら、心豊かな生活を送れるよう、様々な文化芸術の鑑賞機会や、参加機会の拡充を図ることは、県の重要な役割であると考えています。

 古典邦楽は、次世代に継承していくべき日本固有の文化であり、県は、これまでも、古典邦楽をはじめとする伝統芸能を身近に感じていただけるよう、様々な機会を提供してきました。

 具体には、まず、鑑賞機会の提供として、日本古来の伝統音楽の一つである、雅楽や聲明、人間国宝「竹本駒之助」の女流義太夫、正倉院の復元楽器によるコンサート等を、県民ホールや音楽堂などで行ってきました。

 また、地域の伝統芸能をクラシック音楽や現代ダンス等と組み合わせ、新たな芸術文化として再発信する「リ・古典」プロジェクトを開催しています。

 次に、参加機会の提供として、子どもたちを対象に、県内各地で、能楽や日本舞踊のワークショップ、雅楽の出前講座を実施しているほか、文化芸術活動団体の公演等への助成を行い、県民参加の裾野を広げています。

 今後、東京2 0 2 0オリンピック・パラリンピック競技大会の開催等を契機に、国内外から、日本固有の文化への関心がより高まっていくものと考えています。

 引き続き、県は、古典邦楽の魅力を、多くの県民の皆さんに知っていただく様々な取組みを、県内各地で展開するとともに、現代の若い作曲家たちに、伝統楽器を使って新しい音楽を創造してもらうための支援をしてまいります。  

 さらに、市町村や関係団体にヒアリング等を行い、地域との連携をより一層深めながら、古典邦楽をはじめとする伝統芸能を、将来にわたり守り育てるよう、積極的に取り組んでまいります