平成28年 予算委員会質疑要旨(3月16日(水))

【ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組について】

松崎        次の課題に移ります。ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組について伺います。

 まず、今回の予算は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組が盛り込まれていますが、例えば、湘南港の改修等に関する基本設計の経費は盛り込まれているようでありますが、開催まであと5年を切ったスケジュールを考えると不安を覚えます。組織委員会との費用分担、また、具体の整備計画の話し合いについては、現在どうなっているのでしょうか。

オリンピック・パラリンピック担当課長        東京大会に向けた組織委員会等との役割分担については、昨年11月に、競技会場が所在する関係自治体、東京都、組織委員会、内閣官房をメンバーとする「関係自治体等連絡協議会」が設立され、組織委員会と自治体との役割分担等について検討しているところです。

 次に、具体の整備計画についてですが、現在、江の島島内の競技関連施設の配置や競技海面の範囲などについて、組織委員会との調整に向けた「神奈川県会場プラン調整素案」の検討を進めているところです。昨年12月に中間報告を公表し、各関係団体等への説明や意見交換を実施しているところです。

 今後、皆様から頂いた意見をしっかりと受け止めながら成案をまとめ、実際の会場整備、競技運営に反映できるよう、組織委員会との調整に臨んでいきたいと考えております。

松崎        確かに一方では丁寧にやってもらいたいし、公平性、透明性を確保してもらいたい。一方で早くしてもらいたいと相反する対応を同時に満たしていくことは、県の立場が大変であると理解します。私も含め、議会も一緒に頑張ってまいりたい。しっかり取り組むことについて要望します。

 そこで、昨年来、国内でもラグビー熱が非常に高まっています。この熱気を一過性にせず、2019年までさらに高めていかなければなりません。

 ラグビーワールドカップ2019開催に向けて、平成28年度はどのような取組を行うのかオリンピック・パラリンピック担当局長に伺います。

オリンピック・パラリンピック担当局長        平成28年度の取組ですが、共同開催都市である横浜市やラグビーチームを持つ企業などと連携し、県民の皆さんにラグビーを身近に感じてもらうための様々な取組を大々的に展開していきたいと考えております。

 まず、横浜市と連携した取組ですが、子どもたちにラグビーの楽しさを体験してもらうため、小学校へのタグラグビー指導者などの派遣を行ってまいります。

 また、一流選手の迫力あるプレーを見るのがラグビーファンになる近道なので、トップリーグや国際試合など魅力的なラグビーの試合を県内に誘致する取組等を進めてまいります。

 さらに、道路や広場などにコンパクトなコートを設け、少人数でラグビーをプレーするストリートラグビーという新しいスポーツイベントを検討していきます。

 併せて、横浜市以外の市町村や企業とも連携しながら、ラグビー関連のイベントや、親子でラグビー体験や試合観戦ができるツアーを企画するなどの取組を実施してまいります。

 こうした取組を今後も継続的して実施することより、2019年、横浜の地で桜色のユニフォームを着たフィフティーンが大活躍することを多くの県民が心待ちにするという機運を醸成してまいりたいと考えております。

松崎        桜のラグビーを来た選手が、大活躍してもらいたい県民みんなの願いであります。同時に機運の醸成としっかりと準備していくという2点を気配りして進めてくことは事務局も大変であると思いますが、県民の期待を担っている点から、よろしくお願いしたい。

 一方、大会が開催されれば多くの外国人が日本に来られて、横浜あるいは神奈川を訪れるということになるが、危機管理として重要なのが感染症対策である。昨年、韓国ではMERSが大流行し、186人のMERS症例が報告され、38人の方が亡くなられた。   

 流行時、韓国では約150カ国・地域から約1万3千人の選手団が参加した、ユニバーシアード大会が開催されており、韓国政府、自治体は様々な対応に追われました。感染症はいつ流行するかわかりませんし、韓国でも起きたことは日本でも起こりうることだと私は思う。となりの国だけれども違いが沢山あるという風な受け止め方ではなくて、逆にその韓国と日本の共通点を把握し、その一つ一つについてリスクを洗い出し、PDCAサイクルを回しながら、対応しなくてはならない。

 そこで、世界が注目するラグビーワールドカップ、そしてオリンピック・パラリンピック大会にあたり、どういった対策をとろう、あるいはとっているのか、保健福祉局長にお聞きします。

保健福祉局長        感染症発生時の危機管理、ここで本当に重要なことは、平時からの体制整備、そして、いざ発生した際の迅速な初動対応であると思っています。   

 韓国におけるMERSの感染拡大の原因につきましては、WHOは、平時からの体制整備や初動対応の問題とともに、多くの見舞い客や患者家族が病室内に滞在する習慣などを指摘しています。共通点という面で申しますと、我が国でも患者を家族や知人が見舞う習慣はあります。ただ日本では、例えばMERSの疑いが出た者が発生した場合には、感染症指定医療機関に入院させるなど、面会制限が徹底しておりまして、医療機関での感染拡大の可能性は低いと考えています。   

 しかし、ラグビーワールドカップ、あるいはオリンピック・パラリンピックの開催時には、多くの外国の方々が日本を訪れます。感染症が国内に持ち込まれる可能性もあると思っています。あらかじめ万全の対策を講じておくことが重要であると考えています。

 そこで、現在、国では、検疫所での水際対策や法制度を整備するとともに、感染症に関する知見の集積などを行っています。また、県では、平時から厚生労働省や検疫所、保健所設置市などと、365日24時間、緊急時に連絡がとれる体制をとっておりまして、医療機関等で感染者の発生が確認された際には、速やかに県に報告が来て、必要に応じて健康危機管理対策本部を設置するなど、迅速に対応できる体制を整備、整えています。さらに、感染症指定医療機関を、県では第1種で1病院、第2種8病院を指定しています。また、感染症流行状況を常時監視いたしまして、県民に対し病気や流行状況に関する情報提供を行っています。今後とも、こうした取り組みをさらに強化して、関係機関とも連携して、万全の体制でオリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップに臨めるように努力してまいります。

松崎      風しんの流行も大変懸念しているところだが、昨年は12名まで減少しているということだが、6年、7年の周期で増えたり、減ったりするということもよく知られていることのようでありまして、そうすると、患者さん増大期と、このワールドカップやオリンピック・パラリンピックの時期がちょうどと言っては語弊があるかもしれないが、重なってくるやに聞いている。

 そうした意味では、感染症はMERSだけではなくて、そのいざに備えるということと、発生の際にその極小化を図るという、その2本立ての構えを是非とも徹底していただくように心よりお願いさせていただきます。

 多くの外国人の方が、県内を訪れるということは、観光消費増加ということはもちろんなんですが、同時に外国人のニーズに合った商品やサービスの提供を通じまして、さきほどより申し上げてきました中小企業の売上を拡大をする好機ともいえるわけであります。そこでお伺いしますが、ビジネスチャンスを生かして、外国人向けの新商品・新サービスの開発に取り組もうとする意欲ある中小企業に対して、県はどのように具体的にサポートするのかお聞きします。

中小企業支援課長                中小企業が、外国人観光客向けの新商品・新サービスの開発を行う際には、やはり外国人のニーズに合ったものを提供する必要があります。そのため、これまで県では、公益財団法人神奈川産業振興センターと連携いたしまして、外国人向けの商品開発の経験者等を中小企業に派遣いたしまして、企業に対するアドバイスを行ってきました。

 また、商工会・商工会議所等と連携してビジネスプラン作りをサポートをしております。

 このような取組を通じまして、これまで多言語対応の電子案内板ですとか、あるいはスマートフォンを利用した外国人向けの交通案内アプリなどの商品を生み出しまして、実際観光協会や旅行会社への取引に結びつけることができました。こうした事例はまだ数が限られているところではございますので、今後とも引き続き、産業振興センターや商工会、商工会議所等と連携いたしまして、外国人向けの商品企画などを支援してまいりたいと考えております。

松崎        やはりですね、このラグビーにいたしましても、オリンピック、パラリンピックにいたしましても、県内の働いている人、そしてまた多くの企業の皆さんが、オリンピック、パラリンピック、ラグビーが来てよかったな、そして県民の皆さんが笑顔になったなということのなかには、やっぱり働いているその一人ひとりの方々に対する思いみたいなものっていうのは、私は大切にしていきたいなと思っております。

 そこで、もう1点伺いますが、世界的なスポーツイベントである、ラグビーワールドカップ2019の決勝戦は横浜で開催され、海外から4万人もの観客が訪れ、長期滞在するといわれている。この観戦者を観光客として、県内を周遊していただくことが、県内経済の活性化にとって重要なことだと思います。先日の本会議において、知事からは、観戦客が県内の観光地を周遊して楽しむツアーを1,000本、企画・商品化するとの答弁がありましたが、今後、具体的に、どのように進めていくのか、知事の見解を伺います。

黒岩知事                ラグビーワールドカップ2019に向け、県内の観光地を周遊するインバウンドツアーを1,000件企画・商品化するには、まず、外国人を引きつける神奈川の魅力を数多く作り上げていく必要があります。  そのため、県がこれまで取り組んできましたマグカル、かながわシープロジェクト、新たな観光の核づくり、商店街観光ツアーなどを加速してまいります。併せて、市町村と連携し、今まで目が向かれなかった地域の資源を改めて外国人の目線で掘り起し、観光資源として磨き上げてまいります。

 また、来年度のできる限り早い時期に観光施設、宿泊施設、交通事業者等と協議会を設置し、そうした観光地や観光資源を周遊する広域的なモデルルートの開発に着手します。その際には、神奈川の歴史、伝統文化、舞台芸術鑑賞、和食と地酒、商店街ショッピングなど外国人が思わず行きたくなるようなテーマを設定し、そこでしか体験できないプログラムを盛り込んでまいります。その後、開発したモデルルートを基に、ツアーとして企画、商品化してもらうために旅行業者と商談会を開催してまいります。

 さらに商品化されたツアーについては、安心して参加していただけるように、協議会として内容や、安全面をチェックし、一定の水準を満たしているツアーを認定してプロモーションを展開していきます。このように官民一体となった仕組みを構築し、インバウンドツアーの企画・商品化をスピード感をもって推進してまいります。

松崎      

 民間と一体となって取組を進めていくと、魅力ある1,000本のツアーを企画・商品化するという答弁があった。そのことも含め、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた施設整備や機運醸成、感染症対策、中小企業政策、観光政策を充実強化していくことであるが、両大会を成功させるために、トータルとして、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、知事の決意を伺います。

黒岩知事                元々、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今県が進めている政策を全部それに間に合わせるように、一つのゴールとするように進めてまいりました。その後に、2019年ラグビーワールドカップの横浜決勝戦が決まりました。

 それならば、今までに進めていた2020年までに間に合わせるのではなく、1年前倒ししようということです。これに間に合わせるために、例えば、マグカルであるとかシープロジェクトであるとか、様々な施策を早くゴールにたどり着くよう加速するというものです。ある意味、期限が限定されたということは、施策を進めるうえでは追い風になると思っており、県民一体となって頑張って、その日に向けて備えて行きたいと考えております。

松崎        知事から様々な観点から前倒しも含め、加速をさせていくという力強い答弁がありました。

 実際のところ、3年とか4年というのは、時間があるようで、あっという間に過ぎてしまう期間ではないかと思う。同時に訪れる外国人すれば、初めてのジャパン、初めての神奈川、初めての横浜、海老名、川崎でどのような思い出をつくるのかについて十分意を砕いて準備を進めていかなければならない。

 また、心細やかに、心優しく、どうお迎えするのか、じっくり落ち着いて考えることが受け止めさせていただきます。精力的に関係機関と調整し、準備を進めていただきたい。