2016年9月23日 本会議一般質問
(質問要旨)
1.いのち輝く神奈川の実現
(1)使用者による障害者虐待について
(松崎)
平成27年度「使用者による障害者虐待の状況」によると障害者虐待が認められた障害者は、前年と比べ増加している。こうした虐待に対して障害者虐待防止法は、障害者への虐待を禁止することはもとより、事業者の責務として虐待防止の措置を定めた。また、都道府県労働局が都道府県と連携して、障害者雇用促進法、労働基準法、最低賃金法に基づく監督等の権限を行使する仕組みが整えられた。
しかし、使用者による障害者虐待は、仕組みが整えられ取組を進めているにも関わらず増加傾向にある。使用者による虐待は、あってはならないことであり、虐待をなくすために様々な仕組みが整えられてきたにも関わらず根絶できないこと自体、深刻なことである。
そこで、使用者による障害者虐待に対する県の取組について、どのように考えているのか伺いたい 。
(知事答弁)
松崎議員のご質問に順次お答えします。
いのち輝く神奈川の実現について何点かお尋ねがありました。
まず、使用者による障害者虐待についてです。
現在、県の障害者権利擁護センターや市町村が、使用者による障害者虐待の通報を受け付けた場合は、通報者や事業者から状況を聞き取り、事実の確認を行います。
その結果、使用者による虐待の疑いがある場合は、労働関係法令に基づく指導権限のある労働局に報告し対応を求めています。
また、県は、市町村が障害者虐待に対する通報に適切に対応できるよう、毎年、担当職員に対する研修を行っています。
さらに、今年度は、虐待の発見から、関係機関への報告や解決に向けた取組み、再発防止に至る一連の実践内容等を紹介する事例集を新たに作成することとしています。
一方、障害者虐待を減らしていくために、障害者を雇用する使用者に、障害者に対する正しい知識・理解を普及していくため、出前講座などを実施しています。
しかしながら、使用者による障害者への虐待が全国的に増加傾向である事実を重く受け止めなければなりません。
そこで、使用者による障害者虐待の根絶に向けて、これまで以上に、労働局など関係機関と緊密に連携して取り組んでまいります。
(松崎)
障害者虐待防止法は、施行後3年を目処に検討を加え、必要な措置を講ずるものとされておりますが、法律の施行から4年が経過しようとしている現在におきましても、未だにどのように検討していくのか明らかにされてはおりません。
使用者による虐待については、通報を受けた市町村や都道府県で事実確認を行うこととされておりますが、使用者に対して任意の事情聴取に限られており、事実確認が困難な場合が多いことが課題であります。
そこで、労働局と県、市町村との緊密な連携体制を確保するよう、本県が関東甲信越地区に呼びかけ、本年7月に国へ要望したことは承知しています。
この要望を実現することが肝要であります。
そこで、知事として要望の実現に向けどう取り組んでいくつもりなのか、お伺いいたします。
(知事答弁)
本県では、障害者虐待防止法の見直し検討の時期に合わせて、労働局等との緊密な連携体制の確保について国に要望したところです。
本県における労働局との連携については、これまで虐待事案に関する報告や連絡調整、会議出席などを行っていましたが、今年度はこれらに加えて、事例集作成の際に、労働局からも情報を収集し、互いの取組みを理解することを通じて、より一層の連携強化を図ってまいります。
今後も国の動向も注視しながら、機会をとらえて国に働きかけ、要望の実現に向け取り組んでまいります。
(要望) 使用者による障害者虐待に対する指導権限、こちらは今、法律上、労働局にありますが、課題を直接肌で感じているのは、まさに本県などの地方自治体だと思います。私はそれが事実だと思います。
本県が自ら課題解決を図るため、ここはやはり法改正が必要ではないかと感じております。要望について国からなかなか答えが出てこないことも含めて、県としてすべきことは全て行いまして、働く障害者の権利が確実に擁護されること、これを実現することだと思います。障害者虐待の根絶をぜひ実現していただくよう、知事に要望します。