2017年3月3日 県民・スポーツ常任委員会質問要旨

(質問要旨)

ラグビーワールドカップについて

松崎       ラグビーワールドカップ2019の開催まで、あと1000日を切り、今、島村議員からの話もあったとおり、5月には予選プールの組分け抽選会が行われる。いよいよ各国のチームが開催地である日本に注目し、具体的な準備が始まる段階となった。今後、機運が高まっていくと思われる。

 1月に組織委員会から、公認チームキャンプ地の応募自治体について、プレスリリースがあった。公認チームキャンプ地は、各国の選手が持てる力を最大限に発揮するために準備を行う重要な場所である。しっかりと準備して受け入れなければならない。

 そこで、ラグビーワールドカップ2019の公認キャンプ地に関係して、県の取り組み状況について、何点か伺いたい。 まず、公認キャンプ地を構成する施設と主な条件を確認の意味で伺いたい。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 公認チームキャンプ地は、大会期間中に出場するチームが滞在するキャンプ地で、「練習グラウンド」「ジム」「プール」「屋内練習場」からなるトレーニング施設と「ホテル」で構成される。

 それぞれの施設について、ガイドラインより条件が示されている。例えば、「練習グラウンド」については、天然芝であること、「屋内練習場」は、バスケットボールコート1面以上の広さで、ラインアウトの練習が出来る高さがあること。「ジム」は、フリーウェイト中心のトレーニング機器をチームメンバーの半数以上が一度にセッションできる広さで、それに耐える床であること、「プール」は、時間で貸し切りが可能な屋内プールであること、「ホテル」はツインルーム17部屋以上、シングルルーム30部屋以上で、また食事や会議に使用する会議室を用意するなど、細かに必須条件や推奨条件が示されている。

松崎        県内の応募状況は、報告では4件だったとのことだが、このほかの市町村でも応募の検討はあったのか。また、応募に至らなかった原因は何だったのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 公認チームキャンプ地の募集にあたっては、県内すべての市町村に情報提供し、県としても検討の支援を行ってきた。 各市町村で、ガイドラインに基づいて様々なシミュレーションを行った。名前を挙げることは出来ないが、ガイドラインの条件に合わず、応募を断念した市町村が、複数あった。

 その主な理由は、1つは公認キャンプ地に適した天然芝のグラウンドが県内では限られていること、もう1つは天然芝であっても、チームが独占してグラウンドを使用できる独占使用期間が最長で9週間、さらにその前の芝生の養生期間の4週間を加えると、最長で13週間、グラウンドの使用が出来なくなるという条件があるため、サッカーや陸上競技など他の競技の使用との利用調整がつかなかったことが大きな理由であった。

松崎      そういったことが理由であったということで、断念したところの無念の思いというものを、報告にはないが、我々としても受け止めなければならないと強く思う。 

 さて、今後の公認チームキャンプ地の選定に向け、実地審査が行われるということだが、どのような審査が行われるのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 4月までの間に、組織委員会が、応募のあったすべての現地、現場を訪問し、ガイドラインに照らしてキャンプ地として適しているかどうか、非公開で審査を行うものである。

 審査項目は明示されていないが、練習グラウンドの芝の状態や施設の状態などを細かに確認して、改善点等が示されると聞いている。

 県としては、その審査を踏まえ応募した市と連携し、少しでも良い条件のキャンプ地づくりを目指し、夏に公表される「公認チームキャンプ候補地」に確実に選考されるように、組織委員会に必要な対応を図ってまいりたいと考えている。

松崎       4件という報告であったが、具体的にはどのような場所について、それぞれの市が手を上げているのか可能な範囲で教えてほしい。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 1月に行った組織委員会のプレスリリースでは、応募にかかる具体的な施設名は非公開となっている。藤沢市だけが神奈川県と共同応募になっているという部分については、構成する施設のなかで練習グランドを県立の体育センターを利用し、その他の屋内練習場、ジム、プールを藤沢市の秋葉台公園としたことで、共同応募となっている。これは、練習グラウンドが天然芝であることが必須のため、秋葉台が人工芝ということで、お互いを補い合う形で共同応募となった。

 そのほかの自治体については、各市が持っている運動施設、トレーニング施設で対応できるため、神奈川県とは共同ではなくそれぞれが応募している。

松崎        実地審査後、公認チームキャンプ地が決定するまでの、スケジュールはどのようになっているのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 4月まで、組織委員会による実地審査が行われた後、夏ごろに「公認チームキャンプ候補地」が決定される。そして秋に大会日程が明らかになった後、組織委員会からチームに対して「公認チームキャンプ候補地」の情報が提供され、チームが現地視察を行う。その視察の結果を踏まえ、チームは組織委員会と調整を行い、来年の春以降、順次「公認チームキャンプ地」が決定されるという流れになっている。

松崎        公認チームキャンプ地に選ばれると、市と各国チームの交流は、どのようなことが行われるのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 各チームが最初の公認キャンプ地に入る際、ラグビーワールドカップの公式行事であるウェルカムセレモニーという歓迎イベントが実施される。また、地域住民の皆さんとの交流を深めるコミュニティーエンゲージメントというイベントがある。これは、キャンプの地元自治体とチームの間で調整して、任意に行われるイベントであり、前回のロンドン大会では、選手やコーチによるラグビー教室、地域住民への公開練習や練習後の写真撮影、サイン会、住民のみなさんとのウォーキングフットボールなどのイベントが実施されたとのことである。   

 これらのイベントについては、公認チームキャンプ地が決まった後、組織委員会がチームと調整を行い決定することとなっている。   

 公認チームキャンプ地が、選手の身体を整える滞在場所であることを踏まえつつ、可能な限り多く、地元との交流を図るイベントが実現するよう、県としても組織委員会にイベントの実現を働きかけていく。

松崎        是非よろしくお願いしたい。キャンプがやってくるということで、自治体はもちろんだが、実際にそこに暮らす住民の皆様からすれば、またとない本物の選手と交わることのできる絶好の機会である。この委員会では、1年を通してどのようにレガシー、あるいは子どもたち世代に繋げるかということを考えてきた。大きな動機、私もラグビーをやってみたい、やってみようというその動機が生まれる場面だと思うので、キャンプ地は、試合に向けて練習をする場であることは承知しているが、今答弁があったとおり、様々な機会を積極的に提供していけるように県としても尽力してほしい。 大会開催に向けた今後の主な予定に「ボランティアの募集概要発表・募集開始」とあるが、当委員会に対してはこの様な形での報告は、初めてだと思う。具体的な内容について教えて欲しい。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 大会の成功に向けては、ボランティアの皆さんと力を合わせていくことが不可欠であると思う。現時点では、ラグビーワールドカップ2019のボランティアに関する内容については、組織委員会からは示されていない。しかし、ボランティアは「大会運営」だけではなく、「観光案内や会場周辺における観客への案内等」を行うボランティアも含まれることが想定される。

 本県では、ワールドカップの翌年に、オリンピック・パラリンピックがあるため、業務内容が共通する部分があるので、オリンピック・パラリンピックの組織委員会等と調整するよう、ラグビーワールドカップ組織委員会に求めているところである。

松崎        東京2020オリンピックと共通する部分があるから、ラグビーの組織委員会にオリンピックの関係と含めてボランティア募集等の調整を行うということであるが、そんなに簡単な話なのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 重なる部分というのは、「観光案内や会場周辺における観客への案内」ということで、ラグビーワールドカップの大会そのものの運営については、共通ということにはならないと考えている。

松崎        別立ての組織なので、困難が大いにあると思っている。また、2019でボランティアをされたら、2020もやろうと思う人がいるという可能性は高いとは思うが、両方の組織委員会にそれぞれ任せておいたら、いつまでたっても進まないのではないかと懸念している。時系列でもそういう課題があると思う。また、横浜市や開催自治体などの現場の自治体が、ボランティアが欲しいというニーズが絶対にあると思う。そうなれば、県が募集するボランティアと横浜市が募集するボランティアで、同じ人が2つ自治体からオファーを受けるということが考えられる。そのような混乱が起こるという懸念はないのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 横浜市と神奈川県が共同開催であるので、そういったことも踏まえながら、どのような人材を求めていくのかなど、ボランティアの役割を明確にし、必要なボランティアの数やどのように募集するのかについて、横浜市と十分調整した上で組織委員会と話をしていきたいと考えている。

松崎        そのようにおっしゃるが、横浜市はすでにボランティアセンターを設置するという話を進めているということが聞こえている。県は今そのような段階であるが、横浜市のほうが先に始まっているわけで、この場合、横浜在住だけでなく近隣の方も含めて、横浜市がどんどん募集してしまうことになる。そのような時に、県がいざ募集しようとしても誰を募集するのかということになりかねないと、懸念している。そういった点を含めて、県としてきちんと対応してもらいたいが、いかがか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 横浜市からスポーツボランティアセンターの設立についての話を受けているので、そのあたりを調整していきたいと考えている。

松崎        もう1つは、報告の中に「チケットの概要発表・販売開始」とあり、その報告が具体的にあったのは初めてかと思うが、今年の冬以降ということであるので、本当に時間がないと思っている。ワールドカップラグビーの決勝のチケットなどは、関心が高い。前回のロンドンの際の状況も含めて、きちんと対応していかないといけないのではないか。前回のロンドンの際は、日本円に換算して五万円という高値であったことを聞いている。

 このような状況がわが県で起こることも考えられる。このようなことを、どのように整理して、チケットの募集・販売について考えているのか。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 現時点では、チケットの販売方法や料金については、明らかになっていない。価格などを決定する組織委員会、また、ワールドラグビーにおいては、現在最も効果的な販売方法を検討し、「チケット販売戦略」の策定に向け、準備を進めている段階であると聞いている。

松崎        それは、今の時点の話であるが、私が聞いているのは今後どのような考え方で臨んでいくのか、どのような形にすればお客様に対して、楽しんでもらいつつ、常識的な金額の範囲で、運営がされるのかを考えるべきではないかといっている。

ラグビーワールドカップ・大規模イベント担当課長  

 チケットの販売戦略、また組織委員会が策定しているものと開催都市がしっかりと連動して、チケットの料金を払っても観に行きたいと思うような、機運の醸成を引き続き図っていきたいと考えている。

(要望)     ワールドカップラグビーを所管する組織委員会など、主催者側の権限に属するところなのかもしれないが、残念な結果を招かないということが大前提だと思う。大勢の方々に楽しんでいただける価格設定というものも大切だと思うので、県がどこまで言えるかについては、分からないが、県民の方々が最大の購入者になれるようにと運営側に伝えてほしい。

 今回は、アジアで初めて開催されるラグビーワールドカップである。従って、本県に来られる外国人の方々もアジアの方々が非常に多いと考えられる。そういった方々が気軽に楽しめるという側面も、この大会にはあると思う。

 公認チームキャンプ地は、各国の選手が大会で最高のパフォーマンスを発揮するためのベースキャンプとして重要な場所であると同時に、住民の方々にとっても生のラグビーを触れることのできる大切な機会であると考えている。

 私ども、自治体に身をおくものとしては、住民の方々の触れる機会が確保されるということを期待している。

 また、万全の受け入れ態勢を作っていただくと同時に、組織委員会としっかりと連携を図っていただき、今申し上げた意見も含め、住民の皆様のご要望を極力実現できる方向で対応していただきたいと思っている。 「ボランティア募集」、「チケット販売」といった場面でも、具体的な準備が進んでいるという段階になるので、決勝戦の開催地である横浜市ともよく調整を図っていただきたい。そして、連携を図っていただき手順が重なるとか、お互いが補い合えないといったことにならないように、またそういった懸念がないように、横浜市が伝えてこないようなことに対しても、こちらが見えていることについては、連携をとっていただきたいということを強く要望する。