平成30年3月5日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ

○ 「フードバンクかながわ」について

松崎      

 経済的な格差の拡大に加え、地域コミュニティや家族関係の変容により、高齢者や子どもの貧困など、社会的な弱者の孤立化が進行している現状がございます。いわゆる「食品ロス」が年間推計621万トン発生しているという状況もございます。

  この中で、廃棄されてしまう食品の寄贈を受け、支援団体を通じて生活困窮者などに提供する、いわゆるフードバンク活動による支援システムを確立するため、神奈川県労働者福祉協議会や神奈川県生活協同組合連合会などの12団体を構成メンバーとする「フードバンクかながわ設立準備会」が、4月の運営開始を目指して、準備を進めています。その事務所兼倉庫は私の地元金沢区に設置されるということでございます。本県が従来から行ってまいりました雇用政策や社会保障政策に、フードバンク活動が加わることで、より県民の皆様の幸せにつながるとの考えから、フードバンクかながわについて、何点か伺います。

  まず、フードバンクで取り扱う食品は、どんなものを誰から提供を受けているのでしょうか。

資源循環推進課長              

 平成28年度に農林水産省が実施した、全国のフードバンク活動団体77団体に対するアンケートによりますと、提供される食品は、ほぼ全ての団体が「常温食品」を取り扱っており、「冷蔵・チルド食品」及び「冷凍食品」を取り扱っているのは4割前後となっています。

  また、提供者は、個人、農家、食品製造業、食品小売業などで、個人や農家からは全体の約7割、製造業や小売業からは全体の約6割の団体が、食品の提供を受けていると回答しております。。

松崎         そういう食品がフードバンクで積極的に活用されれば、食品ロスの削減が進むと思いますが、県はフードバンク活動をどのように考えていますか。

資源循環推進課長                 食品の製造・流通段階における食品ロス対策としましては、食品原料の無駄のない利用や、パックを小分けにして容量を適正にする取組などがありますが、販売に適さないものの品質には問題がない食品を活用する方法の一つとして、食品関連事業者による、フードバンク活動の活用があると考えています。

松崎         県は、フードバンク活動に対して、どのように関わってきたのですか。

資源循環推進課長                フードバンク活動の活用により食品ロスの削減を進めていくためには、フードバンク活動に対する食品関連の企業の理解を広げていくことが必要と考えています。

  そのため県では、廃棄物の発生抑制などに関する企業向けの説明会を毎年実施していますが、昨年5月に開催した説明会では、フードバンク活動に関する情報提供を行いました。

  また、食品関連事業者や消費者、廃棄物処理業者などを対象に、今年の1月31日に開催した「食品ロス削減・食品リサイクル取組推進セミナー」では、実際にフードバンク活動に取り組む団体を講師にお招きしまして、食品の寄付から提供までの仕組みや具体的な提供事例などを紹介しました。

松崎        情報提供を行ったり、実際に団体を呼んできて説明をお願いしたりしているということでございますが、もっと強化をしていってもらいたいと思うわけでありますが、子ども食堂などの支援団体へ食品を配布する上で、どういう課題があると思っていますか。

資源循環推進課長                平成28年度の農林水産省が行った調査によりますと、支援団体への食品の提供に関係する課題といたしましては、質と量の両面で食品を確保することのほか、提供先の拡大や、他のフードバンク活動との連携の強化が挙げられています。

松崎        そうした課題があるということを県としても把握しておられるということですので、支援のあり方ということも考えていかなければいけないと思っておられると思いますが、私もそう思います。フードバンク活動と自治体との連携について、他の都道府県の取組を伺ってよろしいでしょうか。

資源循環推進課長                 平成28年度に農林水産省が行った調査によりますと、都道府県の取組といたしましては、フードバンク活動の普及促進のためのシンポジウムや、製造事業者とフードバンク活動団体とのマッチング事業を実施している県がございます。例えば、福岡県では、フードバンク活動の普及促進のためのシンポジウムを開催し、フードバンクに関係する団体の活動報告やパネルディスカッションを実施しております。

松崎       今、お話のあった福岡県に私は実際に行って、福岡県の方にお話しを伺ってきましたが、福岡県では子どもたちの貧困に対する支援のための出先を4か所設置して、各出先において食事の提供などを行っておられるということや拠点ごとにチームのメンバーがいて、各ご家庭を訪問したりしているということでございました。食品の提供等についても、生協等連携を知事の肝いりでされて、質と量の確保についても十分な体制をとっておられるということで非常に心強い思いがいたしましたし、また本県としてもそういった点については、どのような事例であるのかということをお調べいただきたいと思います。 設立準備会からは、拠点として横浜市金沢区に事務所を置き、各地域の生活困窮者支援団体などと連携を図りながら、県全域に事業を展開していきたいと聞いています。県としてこれまで、設立準備会とどのように関わってきたのか伺います。

資源循環推進課長                昨年6月14日に、資源循環推進課のほか、生活困窮者支援、子ども支援、消費生活、食品衛生、食育など、フードバンク活動に関係する担当課が集まり、フードバンクかながわ設立準備会からの活動概要の説明を受けた後、支援団体との連携や食品管理の課題などについて、情報交換を行いました。

  また、県では、かながわ3R推進会議食品リサイクル等推進部会において、食品ロスの削減や食品リサイクルの取組の推進に向けた方策等の検討を行っていますが、昨年12月に開催したこの部会に設立準備会事務局をお招きしまして、食品を提供する側の企業がフードバンク活動団体を利用する上での課題など、情報交換を行いました。

松崎         福岡県のように直接連携して、県自体が子ども達の支援にこれを生かしていくという活動もあれば、団体が立ち上がって、フードバンクかながわに対して県が関わっていくやり方も私は一つの道であると考えております。聞くところでは、3月11日(日)に、はまぎんホール ヴィアマーレにおいてフードバンクかながわ設立記念フォーラムが開催されるとのことですが、どのような内容か把握していますか。

資源循環推進課長                設立記念フォーラムは、12団体からなる設立準備会が主催し、フードバンクかながわ設立の経過報告と趣旨説明を行い、県内の生活困窮者支援団体などが、それぞれの団体の活動紹介やフードバンクかながわへの応援メッセージについて、リレートークを行うと聞いています。

松崎      

知事も行かれるのですか。

資源循環推進課長                設立記念フォーラムの開催にあたりまして、フードバンクかながわから依頼がありまして、知事及び環境農政局長が出席する予定となっております。

松崎         フードバンクかながわは、地域のフードバンク活動団体とも連携していくと聞いておりますが、県内こうした団体はどのくらいあるのですか。

資源循環推進課長                平成28年度に農林水産省が行った調査によりますと、全国では77団体が把握されており、県内につきましては、その後に設立された団体も含めまして、現在把握しているのは6団体でございます。

松崎         6団体が支援をしているという場面と、単体で子ども食堂がある場合もあると思いますが、子ども食堂に支援しているNPOなどはどのような状況になっていますか。

資源循環推進課長                 単体で活動しているという団体でございますが、子どもの貧困対策のために活動している子ども食堂のほか、児童養護施設、障害者施設、生活困窮者支援団体などがあると聞いております。

松崎         その地域や数はご存知ですか。

資源循環推進課長                 個別の地域や数については把握しておりません。

松崎         地域や数というような現場の状況を県として把握する必要があると思いますが、いかがでしょうか。

資源循環推進課長                 保健福祉局と連携しながら把握に努めてまいりたいと考えております。

松崎         わかりました。ぜひよろしくお願いします。さて、地域のフードバンク活動というのは子ども食堂のような支援団体に食品を届けていると思いますが、子ども食堂のほかどういう支援団体に食品を届けているのでしょうか。

資源循環推進課長                 さきほど答弁いたしましたような、子どもの貧困対策のために活動している子ども食堂のほか、児童養護施設、障害者施設、生活困窮者支援団体などがあり、個人や災害支援団体への配布もあると聞いております。

松崎         整理しますと、県としては多くに支援しておられる地域のフードバンク活動団体については把握しているけれども、その先の具体的な活動場面を含めて、子ども食堂やその他の状況についてはあまりよく把握をしておられない、逆にいうと市町村がそこは把握をするという整理なのでしょうか。

資源循環推進課長                 今おっしゃったとおり、地域に根差した団体というのは市町村と連携した取組をかなりされていると聞いておりますので、市町村の方である程度把握していると考えられます。この辺は先ほどの答弁のとおり保健福祉局と連携して把握に努めてまいりたいと考えております。

松崎         そうですね。そこから先については市町村の分野だからということではなく、どのような状況にあるのか、何が可能なのか、県はどのようにしたら関与できるのかという観点はいつも持っておいていただきたいと思います。要望として申し上げておきます。

  フードバンクかながわとこれまで地域で活動しているフードバンク団体と比べますと、どんな特徴があると考えていますか。受け止めるイメージからすると、フードバンクかながわというのは今までにはない食料の調達、質と量の確保など、幹をなすような意味合いを初めて持った位置づけなのかなと、そして今までの活動は現場に根差した、子どもたちへの気遣いの傍にあるという木の枝のような意味合いを持っておられるのに対して、新たなフードバンク活動というのは後ろからしっかりと支えていくような太い幹のようなイメージを持っていますが、そういうお考えでおられるのかどうか、お聞きします。

資源循環推進課長                 フードバンクかながわの事業構想案によりますと、2つの特徴が挙げられております。一つは原則、生活困窮者などの受益者に直接食品を配布するということはせず、食品メーカーと福祉団体を結びつける中間組織を目指しているという点にあります。もう一つは県内すべての自治体や地域密着で活動しているフードバンク団体との連携・協働関係を構築し、県全域に事業を展開していくことを目指しているという点にございます。県全域を対象に様々な関係者が連携してフードバンクシステムの確立を目指している点において、現時点では県内の他の団体にはない特徴ではないかと考えております。

松崎         先行会派からもフードバンクかながわについてはしっかりと質問されていたわけですが、私どもとしてもフードバンクの新たなる展開かなと思われ、また当局からも話があったとおり、中間組織であり、連携があり、さらに全県的な広がりがあるという意味では、本県の環境と福祉の両面に寄与する取組かなというふうに思われます。したがいまして、県全体で事業を展開していくフードバンクかながわに対して、県は支援すべきだと思いますが、見解をお聞きします。局長いかがですか。

環境農政局長         フードバンクかながわの設立につきましては、私にも早い段階から直接いろいろなご相談がありました。地域でフードバンク活動は徐々に広がりつつありますけれども、やはりそこに食料の質と量を安定的に確保していく、そこが今ネックになっています。それを、全県的に広域的にネットワークを作って、対応していこうということであります。私どもにとっても食品ロスの削減につながるということで、県としてもぜひ支援をしたいと、なかなか財政状況が厳しいけれども県の一定の負担を考えますと申し上げましたが、団体側の方から県はお金はいいから、それよりもいろいろな企業との連携あるいは団体との連携、そういったところに側面的に支援してほしいと、そういうふうなお話があったところでございます。

  今日のお話にもありましたが、これまでもやってまいりましたけれども、食料を安定的に確保していく、そういう意味で食品関連事業者あるいは生産者団体といったところときっちりと連携しながら支援していきたいと、それからもう一つは最終的に必要なところに行きわたるような配分のところ、そこは今後4月以降は福祉・こども未来局になりますけれども、市町村と連携し全体がきちんと機能するようにしっかりと支援していきたいと考えております。

松崎         (要望) フードバンク活動は貴重な社会資源の一つと言えると思います。本県が行ってまいりました、雇用政策や社会保障政策にこの活動が加わることで県民の皆様の幸せにつながると受け止めております。フードバンクかながわは食品ロス削減および社会福祉の増進に寄与することを目的に、相互扶助の社会づくりを担っておりますから、その取組が推進されますように県としても積極的に、今局長から答弁があったとおり、サポートしていっていただくことを要望します。