平成30年3月16日 環境農政常任委員会での質疑のまとめ
○ 緑化協力金制度の廃止について
松崎
緑化協力金制度について、何点か伺っていきたいと思います。 最初にいただいている私が見た緑化協力金制度に関する県からの報告では確か、「緑化協力金制度の廃止」と書いてあり、「次の理由から廃止することとする」とあり、最初に書いてある文言が、「県が受け入れている寄附の内容や方法が多様化しており、制度の意義が薄くなっている」というふうにある。その後に、賛同ボタン方式では費用対効果が低い、不賛同ボタン及び係員申出方式を賛同ボタンに変えても費用の回収が困難と書いてある。費用回収が困難ということに関しては、定期監査で出た意見への対応であったと聞いています。
ここで、非常に疑問が沸くのは、本日お話のあったところでは、廃止ではなく見直しとなったわけであるが、見直しということの詳細を伺うと、存続をしていく、さらに強化をしていくという方向であるということです。当委員会に対する報告としては、まず廃止を報告し、次に見直しを報告し、その見直しの内容は存続であり、強化であるということになるのでございます。
私どもの会派では、制度の意義が薄くなっていると当初報告をされていることを大変重いなと思っておりまして、したがってそれに関して一律廃止でいいのかということも含め、この常任委員会にて質疑をしてきました。制度の意義が薄くなっていると仰っていたということを受け止めつつ、疑問を呈しながら質疑を行ってきたわけですけれども。今日の見直しの内容である存続そして強化ということ、この辺りがどのようにつながるのかなということを思うわけです。この点については、ちょっと後で聞きます。
まずお聞きしたいのは、環境農政局として、あるいは神奈川県として意思決定プロセスはどうなっているのか。
自然環境保全課長
今回常任委員会にて報告申し上げました廃止、見直しの方向性につきまして、当然、環境農政局内での議論を重ねました。その上で、担当副知事まで報告し方向性を諮りまして、委員会にて議論をいただいたと認識をしております。
今後は、具体的には、今現在ございます実施要綱において現実的な運用を定めているわけですが、それは要綱の改正という形で、今いただいた議論を踏まえまして正式に決裁という形をとってまいります。
松崎 私がお聞きしているのは、今後、正規の手続がどうかということではなくて、むしろ当委員会に対する報告までがどうなったのか、そして、当初の報告から本日のような変更まではどうなったのかということです。その点に絞ってもう一度お答えください。
自然環境保全課長 まず当初報告に至るまでは、御指摘にありましたとおり、定期監査の平成29年度にあった指摘、こういったことを踏まえ、これまで県の各駐車場の所管部局から寄せられてまいりました意見、これは苦情も含みますが、制度についての御意見、こうしたものも含めて昨年の夏以降、担当課、環境農政局内での議論を積み重ね、どういう制度にこの先どうするのがいいか、色々なケースを考えてまいりました。
その結果、一部答弁が重なって恐縮ですが、寄附の方式として今日的な方式が出てきている、一方では緑化協力金の任意性の確保というものについて難しい面も出てきている。費用対効果といった面も含め、制度としては一律に廃止という結論を導き、報告申し上げたところでございます。
松崎 その後、変更までは。今日、変更しているが。
自然環境保全課長 当初2月27日の報告時点から、その後、当委員会での色々な議論、質疑をいただきまして、それを踏まえ、改めて個々の駐車場ごとに見ていけば、それは必ずしも費用対効果がないと言えるものばかりではなく、賛同方式であれば任意性も確保できている、また、寄附金については今後依頼をしていく道もあり得るのではないかということから、全体的な制度見直しの中で、この制度をみどりの保全の中でより活かしていく方向を探ったということでございます。
そういったことを局内で、あるいは短い間ではありますが、各局、駐車場管理者、第三セクターの皆様にも御意見を伺って、本日の報告の方向に見直しを図ったものでございます。
松崎 議論というのは常に行われるべきですし、よりよいものにしていくということについては、むしろ議会という場こそが、よりよいものにしていくという議論の場であると、私は議会人として思っております。 そういった意味では、報告の後に変更があったことについて、それが直ちにいけないと言うつもりはないのですが、私が申し上げたいのは、局内で7月末から延々と議論をされてきたものが一体何だったのか、そして指定管理者から意見を聞いたらこうだったと仰るけれども、それがどうして検討の過程で行われなかったのかという疑問が残るわけでございます。ここは指摘するに留めますが。
もう一つお聞きします、先ほど後で聞くといったことについて。
当初の報告の中に意義の薄くなった制度とあるのですね。私、今回は緑化協力金制度なのですけれど、別に金額の規模で大小を決めるつもりはなくて、制度というのはすべからく制度趣旨があり、制度設計がある。簡単に言うと、制度趣旨について徹底的に議論を行い、それが固まれば、今度は制度設計をどうするかについて、きっちりと具体的な議論をしなくてはならぬ。
そして、それについて実際行ってみたら政策効果はどれくらいあるのだろうかということを、極力科学的に客観的に測定をした上で実施をし、かつそれで終わりにしないでPDCAサイクルを毎年度回す。なぜかというと、公金を扱っているからです。県民の皆様にとって貴重な、1円たりとも無駄にできないお金を使う以上、こういったことをやらなくてはならないと思っております。
で、申し上げますが、今回、意義の薄くなった制度とはっきり書いてある。これを私が非常に重く受け止めたというのは、そういうことなのですよ。制度趣旨について議論をし、制度設計について見直しの余地がなく廃止であると結論づけておられる以上は、政策効果につきましては、これはもう得るものよりも失うものの方が大きいと、それくらいの覚悟を持って結論づけておられるものだと受け止めておったのですが、これについては今どのようにお考えなのでしょうか。制度趣旨、制度設計、政策効果、この3点についてお考えを述べてください。
緑政部長 委員の仰るとおりの話で、確かに最初の報告では、制度の意義が薄くなっていると。これについては、緑地の保全という政策目的に対して寄附をお願いすること自体全体の意義が薄くなったと申し上げたつもりはございません。緑化協力金という駐車場利用者に20円を上乗せし、不賛同ボタンという形で任意性が確保できないという形で運用してきた制度の課題が、事業を実施する中で出てきたと、そういったところを踏まえてそういった手法について意義が薄くなってきていると、弁解のような答弁になりますが、考えたところでございます。
緑化協力金の制度そのものの目的は、緑地を保全、それをしっかり維持管理していくという目的は、変わらず今後も存在する大きなものと思っておりますので、今度新しく、緑化協力金制度を見直して引き続き行ってまいりますが、その中で、どれだけ効果があったかということについてはしっかり検証していきたいなと。
また、緑化協力金制度につきましては議論の中で、県民の意識を高めるという意味で非常に重要であるという御指摘もありましたので、それについての政策効果、なかなか意識についての政策効果を測ることは難しいと思っておりますけれども、例えばアンケートをするなど、そういった形で意義を検証してPDCAサイクルを回しながら引き続き緑化協力金制度を続けていきたいと考えております。
松崎 収受の方式ということに集約できるような課題の提示であったかと思うのですが、ならば収受の方式についてどうしましょうかということについて、やはり議会に諮る、あるいは県民の皆様から声を伺う。そうしたことを真摯に行っていただきたいと思います。
そして、その上で制度についても意義が薄くなっているのかどうか、そこは制度趣旨、制度設計ですから、よくじっくり御検討いただくのが筋であり手順であったかなと思います。 今回は、制度について廃止と仰った上で見直しに変えて、そして存続となり強化をしていくと。話の筋や軸がぶれているのですよ。議案でないので採決という話にはなりませんが、議案で採決となったらおおごとですよ、これもおおごとなのですけれどね。話の筋や軸がぶれているこということをもう少し深く認識をしていただきたいなと思うのですよね。そんな答弁しか得られなかったというのは非常に残念なのですけれども。委員会の議論というものを、もう少し真摯に受け止めるという必要があるのではないですかね。
我々がなぜこれにここまで時間を割いて議論をしているかというと、制度そのものについての廃止というのは出たからなのですよ。我々の認識とはえらく違うなという部分があったから、逆に言うと、ここまで議論が深まったのかなと思っておりますので、見直すべきはむしろ当局の意思決定プロセスだし、制度趣旨や制度設計、さらには政策効果についての認識だと思いますよ。そういったところについて自ら見直していただいて、そして意思決定プロセスをしっかりと私たち、少なくともカウンターパートである常任委員会に対し、理解、納得がいく形で説明していただかないと困る。そしてそれはひいては県民から見て納得のいく形で取り組んでいただきたいということにつながるので、こういったことを強く申し上げて、次の質問に移ります。
環境農政局長 なお、恐縮ではございますが、先ほど緑化協力金の議論に対しまして、議会への説明が不十分であった、あるいは検討プロセスが適切ではなかったのではないかという御指摘につきまして、局の責任者としてお詫び申し上げますとともに、真摯に受け止めましてまたしっかりと対応をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い致します。