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2018年10月22日決算特別委員会での質疑のまとめ
ヘルスイノベーションスクールについて
(松崎委員)
続きまして、ヘルスイノベーションスクールについて、何点か伺っていきたいと思います。ヘルスイノベーションスクールにつきましては、文科省の認可もおりて、開設に向けての準備が進んでいると認識をしておりますが、期待される効果について伺っていきます。まず、メディカルイノベーションスクール設置事業費の内容について伺いたいと思います。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
平成29年度に本スクールにおきまして支出した経費でございますが、5,290万4,049円となってございます。主な支出目的でございますが、国への設置認可申請や開設に向けた準備のほか、入学者や連携先機関の獲得・調整に必要な経費などでございます。
(松崎委員)
募集する学生には外国人の方が入るのかどうか。そして、日本で学んだことをそうした方々に還元していただくため、例えば修了後、本県での就業、あるいは県内の大学における研究の継続を義務付けたりするのでしょうか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
入学生の中に留学生は含んでおります。それから、このスクールで学びました留学生につきまして、本県のほうで就業等の制約というものは、現時点ではしていないところでございます。
(松崎委員)
次に、コストについて確認したいと思います。教員や学生を確保する、そのためのコストは累計で幾らになるのでしょうか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
教員を獲得する予算でございますが、現段階の試算でございますが、教員の人件費で約3億円程度を考えているところでございます。また、学生の獲得につきましては、平成30年度、今年度に入試を行いますので、これも予算として計上しておりますものにつきましては、学生募集入学試験経費といたしまして、511万8,000円を今年度計上しているところでございます。
(松崎委員)
それでは、ハードのほうですが、ヘルスイノベーションスクール、これを設置していくためのハード整備は累計でいくらぐらいかかりますか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
これも今年度の平成30年度の予算でございますが、来年度、当然スクールはスタートいたしますので、本年度の施設整備費につきましては現在、ビル内の内装工事だとか電気整備の工事や、そういったようなお金といたしまして2億6,700万円を計上しているところでございます。
(松崎委員)
それでは、運営コストは毎年度どれぐらいかかると見込んでいますか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
平成31年度以降、来年のスクールがスタートした後の運営費でございますが、こちらのほうも現段階では試算ではございますが、先ほどの施設の整備費、それから維持運営費、それから教員の人件費などを含めまして、毎年度6億円程度を想定しているところでございます。
(松崎委員)
今お聞きしたところ、コストの面ですけれども、教員の関係で3億、それから学生の関係で500万、それからハード整備のほうは2億6,700万で、運営コストについては毎年度6億ということでございました。では、お聞きしますが、学費収入のほうは1年あたりどれぐらいと見込んでおられますか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
学費の収入でございますが、県立保健福祉大学の一つの研究科でございますので、大学の本体と同じ授業料を見込んでおりまして、ヘルスイノベーションスクールの学生は1学年15名、2学年で30名となりますので、授業料につきましてはおおよそですが、1,600万円程度を見込んでいるところでございます。
(松崎委員)
教員等の部分、それからハード整備等が億単位、そして運営コストについては年間6億円に対しまして、学費収入のほうは1,600万円ということでございます。そうしますと、誰が聞いても大幅な単年度、各年度赤字ということになるわけですが、そこに、逆に、いわば目をつぶってでも新研究科を開設するということでございますから、当然それ以上の便益が県民に生ずるという見込みがあってのことだと受け止めています。
そうしますと、期待される効果は何なのかということを次にお伺いすることになるわけでありますが、医療とか未病産業の発展による経済効果、それから県民の皆様お一人お一人についての未病改善、これへの貢献ということに当然なるかなというふうに、設置目的、設置の趣旨からは思うわけでありますが、まずこの課程を修了しました学生の方々のうち、どれくらいの方々が、何人の方が神奈川県内に実際にお残りになると見込んでいますか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
まず、大変失礼いたしました。先ほどの答弁なのですが、授業料収入といたしまして1,600万円程度とご答弁させていただきましたが、そのほかに入学金というものもございまして、そういったお金、それから教員の外部研究資金というものの獲得もいろいろ考えているところでございまして、そういうのを含めますと、収入のほうが4,000万円程度になるのではないかと試算しているところでございます。大変失礼いたしました、先ほどの答弁の続きでございます。
続きまして、どれぐらいの学生が県内に残るのかというご質問でございますが、先ほどの留学生はもちろんでございますが、本スクールで修了いたしました15人の学生、トータル30名の学生に県内に残ってほしいというような制約は、実はしていないところでございます。ただ、県の政策に当然関連するような、例えば行政とかに就いてほしいとか、このヘルスイノベーションスクールを設置する場所が川崎の殿町地区、ライフサイエンス産業が集積したところでございます、そういったところの企業の社会人も積極的に本スクールへ入学させることによって、神奈川県においてスクールで学んだ知識等を還元していただければと考えているところでございます。
(松崎委員)
今、答弁の中では、県内に残ってほしいというような制約はつけていない。そして、逆に、殿町にああいった施設があるので、いろんな研究について携わっていかれるという、いわば期待を持っている、このような趣旨かと思います。では、お聞きしますが、その方々がどれくらいの経済効果のある商品開発を行うと見込む、あるいは想定をしておられるのでしょうか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
どれぐらいの商品だとかそういったものにつきましては、すみません、ちょっと具体的なご答弁はできませんが、本スクールの教育研究により、超高齢社会を乗り越えるため、ヘルスケアに関連する各分野でリーダーシップを発揮し、様々なイノベーションを起こすことができる優れた人材を育成し、これらの人材が科学的根拠に基づいたアプローチによって、県をはじめとする社会的な課題を解決することを期待しているところでございます。
(松崎委員)
私も、是非リーダーシップを発揮していただきたいと思います。我が県としては、やっぱり期待の人材を育てていこうということでこれを設置するわけでありますから、当然です。では、逆にお聞きしたいのですが、なかなか想定しがたいということでありましたから、そうすると、県内企業に対する経済効果もなかなか想定しておられないということでよろしいですか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
現時点では、そこまでは試算していないところでございます。
(松崎委員)
それではお聞きしますが、この一連の施策の成果はどうやって検証するのでしょうか。
(藤原ヘルスイノベーションスクール設置準備担当課長)
本スクール教育研究活動の効果の検証でございますが、研究科に所属する教員で構成される教授会というものがございまして、そこで毎月、教育研究内容の議論を行うところでございます。そのほか、定款で定める役員会、経営審議会、教育研究審議会におきまして、研究科の運営について審議を行い、必要に応じて研究科の教育研究の見直しを図ってまいるところでございます。 さらに、大学が策定しております中期計画、年度計画につきまして、毎事業年度終了後に、業務実績について評価委員会の評価を受け、必要な場合には改善の勧告をすることとなっているところでございます。県といたしましても、評価委員会の議論の状況などを見ながら、研究科が適正に業務運営を行っていくことができるよう、指導、助言など必要な支援をしてまいります。
(松崎委員)
今のお答えですと、教授会、それから評価委員会ということになりました。そして、県としては業務改善にいろいろ意見も言いながら取り組んでいく。まあ、伴走者としての役割も果たすということですね。私は、少し違うなと思うのですよ。というのは、ヘルスイノベーションスクール設置の議論にあたりましては、県民のためのシンクタンク機能を担うということも非常に重要なこととして、たしか取り上げられてきたと思うのです。
そうしますと、実際にこの効果があったかどうかということは、どのような研究を行ったかということにとどまらなくて、実際にヘルスケア・ニューフロンティア、あるいは未病改善を通じて、県民の罹患率が例えば低下をした、あるいは健康寿命が延伸をした、ここにどうやってたどり着くのかということが、やっぱり最終目標、到達目標だと思うのですよ。したがって、よりよい人材を育てていただく、そのことが結局こういう形で、県民の皆様にとって、ここはあってよかったなということに結び付くことが私は成果だと思っています。そして、そのことが出てくることで、県民の皆様、一般的にこのヘルスイノベーションスクールは必要だということに、大きな声につながっていくのだというふうに私は思うのですが、その貢献ということについて、もう一度ちょっとお聞かせを願えないでしょうか。
(市川健康医療局長兼未病担当局長)
ただいま松崎委員からご指摘いただきましたように、ヘルスイノベーションスクールにつきましては教育機関でございますので、当然人材育成、そして研究、そしてやはりこれを県が設置するという意義といたしましては、シンクタンク機能をここで担っていただく、これは県としてもしっかりやっていきたいと思っております。そして、そのシンクタンク機能で何を研究していくのか、どんなものをやっていくかというより、それはやはり県の様々な課題を解決するためのその頭脳として、その役割を果たしていただくということです。
その課題というのは、やはり新しいいろんな産業、特に未病に関する産業もいろいろ出ているものをもっと広く展開する、あるいはそういうのを使うことで県民の健康寿命が延び、いつまでも生き生きと暮らせる世の中にする。また、これはその結果としてですが、やはり超高齢社会になりますと、医療費、介護費、様々なそういった経費がかかります。そういったものに関しても、ここでのシンクタンク機能を活用して、適正に運用ができるように、そういうふうにして県民の皆様にここでの研究の成果もお届けできるようなスクールにしたいと考えております。
(松崎委員)
非常に腹にすとんと落ちるというか、明快な答弁を頂いたと受け止めました。そこで、なお一つお聞きしたいのですが、そうしますと、その考え方の下でしっかりと取り組んでいくためには、やはり大きなPDCAサイクルを回していかないといけないですよね。これ、市川さん、どういうふうに回していこうと考えておられますか。
(市川健康医療局長兼未病担当局長)
具体的なPDCAサイクルにつきましては、先ほどの例えば健康寿命を何歳下げるとか、そういったものの数字というよりも、研究科でどういった研究をどのぐらいすることでそこに至るかという、まずその具体的なものは、中期目標に基づく中期計画を実行していくところだと思います。県といたしましては、やはり未病の改善による健康寿命の延伸、ここは非常に大きな県としての施策のポイントになっておりますので、それはこのヘルスイノベーションスクールだけではなく、県全体としてどうやって県民の健康寿命を延ばし、その政策を進めて効果を出していくかというのは、全体として考えていかなければいけないのではないかと考えております。
(松崎委員)
全体として考えていかなければいけない、私も同感です。ただ、全体として考えるといったときは、全体として本当に考えなければいけないと思います。ともすると、論点が拡散してしまったり、問題の所在が見えなくなったりするということも、全体として考えたときによく起きることですから、その点は十分留意をしていただきたいと思います。その上で、やはり本県に暮らす県民の方々の健康寿命が延伸されて、一人ひとりがこの神奈川で暮らしていて良かったなと思えるような街にするということを到達目標としながら、一生懸命取り組んでいっていただきたいと思いますし、私たちもその点につきましてはしっかりと意見を申しながら、協力もさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。