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2018年11月1日決算特別委員会での質疑のまとめ

EBPMを重視した政策立案について

(松崎委員)

 次の質問でございますが、総括でもありますので、やはり県民目線に立って、どのような事業が行われて、どんな効果が実際に上がったのかということを、きちんと押さえていくことを、さらに続けさせていただきたいと思います。決算数字そのものだけではなくて、中身についても若干、伺いたいと思うわけですが、先の話にはなりますが31年度予算編成通知、こちらではEBPM、つまり証拠に基づく政策立案を重視するということが示されております。ただ、そのことを言うまでもなく、既に29年度についても目標や効果についてどのように見込んで、そしてどうなったのかということを検証したいと思います。

 まず、未病女子対策でございますが、この事業の概要を確認したいと思います。

(鎌倉未病対策担当課長)

 未病女子対策でございますけれども、未病女子ナビといたしましてインターネットのホームページ・女性専用サイトの運営ですとか、もしくは女性の健康未病フェアといたしまして、例えば骨密度や女性の体の状態を測定できるブースですとか、女性の健康課題を扱うセミナー等を行うイベントを実施しております。

(松崎委員)

 この事業の成果はどうですか。

(鎌倉未病対策担当課長)

 これまでの成果ですけれども、数値で把握しているものとしましては、例えば、平成29年2月にインターネットホームページを開始いたしまして、累計でだいたい10万件ぐらいの閲覧を得ています。もしくは、市町村とか企業と連携したセミナーでは、参加者数が約3,200人程度ということでございます。

(松崎委員)

 この事業を行うにあたりまして、期待していた効果は何でしょうか。

(鎌倉未病対策担当課長)

 未病女子対策ですけれども、やはり未病改善の取組の一環として行っておりますので、女性が自らの健康課題に気づき、自ら実践していただくということを目的としております。普及啓発事業でございますので、それを図るのはなかなか難しいなかではございますが、参加者の方や閲覧された方から役に立ったということを頂いていておりますので、一定の効果があったものと考えております。

(松崎委員)

 この事業は行動変容ということではなかったのかなと思うのです。そうすると行動変容につながっているかどうかを把握しなきゃいけませんよね。行動変容に実際つながっているかということを、ちゃんとアンケート等で把握をされているのでしょうか。

(鎌倉未病対策担当課長)

 例えば、イベント等に出ていただいた方に、どうだったかということで、今後、取り組んでいきたいとか、そういったアンケートは頂いております。

(松崎委員)

 一応、答弁いただいたというふうに受け止めさせていただきますが、ただ、税金を使って事業を実施する以上は、やはり事業の目的に照らして十分な効果が上がったのかということ、これはチェックが必要不可欠だと思います。データのフォローも含めて検討をしっかりお願いしたいと思います。

 いま伺ったのは1点目でございまして、これから2点目を伺いますが、数字的な根拠に基づいて政策を立案する姿勢というのは必要だと、いつも感じているところですが、政策に数字的な裏付けを与えることを狙った事業といいますと、思い浮かぶのが外国人観光客ニーズ分析調査等事業でございます。概要について伺います。

(今井国際観光課長)

 外国人観光客ニーズ分析調査等事業でございますが、平成29年度、主なものといたしましては、外国人観光客の本県への来訪実態を把握するために、外国人観光客実態調査を行っております。外国人観光客に対しまして訪問の目的、また、移動手段、訪問先、訪問した地域の満足な点などアンケート調査を行っているものでございます。

調査方法といたしましては、羽田空港、また、県内の主要な観光地におきまして、実際に外国人観光客から意見を聴取するヒアリング調査と、また、県内のホテル等の宿泊施設を抽出し、調査票を置いて行う留置調査の2つで実施しているところでございます。また、訪日外国人のローミング、またWi-Fiのデータを活用した動態分析等も行っております。

(松崎委員)

 どれくらいの外国人観光客のデータが集まりましたか。

(今井国際観光課長)

 平成29年におきましては、トータル1,974票、うち留置調査が542、他が羽田空港・観光施設等での調査でございます。

(松崎委員)

 そのデータを分析した結果、分かったことは何でしょうか。また、それが30年度の事業にはどのように生かされていますか。

(今井国際観光課長)

 約2,000件の調査票を回収した結果、例えば、県内の観光地では横浜、箱根、鎌倉、江の島の順に外国人観光客の訪問が多い。また、国別で言いますと、中国、台湾、アメリカの順に多い。また、地域別に見ますと、横浜ではタイ、箱根では韓国、鎌倉ではフランス、江の島では中国等の来訪者が多い。また、目的といたしましては、3分の1の方が自然観光を目的としていることなどが分かっているところでございます。また、満足度の観点から申し上げますと、店員・係員の言語力、また、施設・店舗の利用可能時間、また、案内板・施設・店舗での言語表記などの点の順で不満度が高いということが分かったところでございます。

(松崎委員)

 その集まったデータ、不満のお話もありましたけれども、どこを改善すべきかなど事業をブラッシュアップしながら、データ収集とその生かした方ということを考えていかなければいけないと思うのですが、その点についてはどう考えていますか。

(今井国際観光課長)

 例えば、先程申し上げました、外国人観光客の訪問地域での不満な点3項目といたしまして、一つ、店員・係員の言語能力の対応策といたしまして、県のほうで多言語コールセンターという事業所向けの通訳電話サービス、また、施設・店舗の利用可能時間の対応策といたしましては、観光情報のWEBサイト等でのナイトスポットの紹介を充実させる、また、案内板・施設・店舗での言語表記への対応策といたしまして、民間施設への多言語表記に関する補助などの事業を行っているところでございます。

(松崎委員)

 しっかりとそれは生かしていただきたいのですが、それで十分事足りているかどうかということについては、さらに突き詰めていく必要があるのかなと受け止めさせていただきます。

 3点目を伺います。マグネットカルチャー推進事業について何点か伺いたいと思いますが、まず、ベトナムとの交流を生かした音楽舞踊劇の共同制作、こちらで結果的にどれくらいの集客が図られたのでしょうか。域外から来た人数も分かれば教えていただきたいと思います。

(松村マグカル担当課長)

 平成29年度に行われましたベトナムの上演でございますが、目標値は4公演におきまして定員数の7割くらい、約450人を目標として取り組みましたが、実績としましては470人という結果でございました。

(松崎委員)

 市民ミュージカルサミットはどうですか。

(大場文化課長)

 市民ミュージカルサミットでございますが、平成29年度の実績、出演団体数が3で観客数が670でございます。数値目標につきましては、目的は他の団体の交流、人材の育成・レベルアップということでございまして、数値目標については特段、定めておりませんでした。

(松崎委員)

 今、定めていなかったということもありましたけれども、やはりイベント毎に集客数など、今後目標を立ててしっかり効果測定をしながら進めていただきたいと考えるのですが、その点の考えを伺いたいと思います。

(大場文化課長)

 市民ミュージカルサミットにつきましては会場の定員もございますので、それに対する目標値など、今後、有識者等の意見も聴きながら検討させていただきたいと考えております。

(松崎委員)

 最後の質問ですが、目的をより効果的に達成するためには、アプローチする層もある程度絞り込んで取り掛かる必要があります。そういうことを意識して事業構築にそもそも取り組んでいただきたいと思うわけです。最後に、政策の立案にあたりまして、この新たなEBPMの考え方に基づく文化をこれから定着させていかなければならない。しかし、振り返ると様々な課題がありそうだとうことについてどのように考えているのか、政策部長に伺いたいと思います。

(中谷政策部長)

 本県では、これまでもできる限り統計データなど客観的な指標を活用した政策運営に努めてきており、例えば、グランドデザインなどにおいてプロジェクトごとに複数の数値目標を設定して、主に政策評価の場面で統計指標等を活用した多角的な分析を行い、政策改善を図ってまいりました。一方、このEBPM、証拠に基づく政策立案ですが、政策評価の場面はもとより国や地方の公共団体における施策事業の企画段階から、統計データにより得られた情報を根拠として立案することにより、効率的かつ効果的に行政を推進していこうというものでございます。

ただ、このEBPMの推進にあたっては、メリットがある一方で課題もあると考えています。具体的には、施策の目標となるデータが欲しくても現在の統計項目の中には存在しなかったり、また、データに基づき立案する際には合理的な思考により課題を解決する能力が求められることから、データ分析・活用の専門的な知見を持つ人員も必要となると考えてございます。こうしたことから、EBPMについては国においても検討段階、試行段階でございまして、県ではその動向に注視しながら、有識者にもご助言をいただきながら今後の行政運営を見据えた研究・検討を進めているところでございます。

しかしながら、本県は財政一つ見ても、そういった検討・研究を待っていられるほど余裕があるわけではございませんので、本県もできるところから始めていきたいと考えております。そのためには、まずは施策の具体的な取り組みと成果、この因果関係を意識した政策を検討する職員に意識付けが必要と考えており、年度当初に研修の機会を設けたところでございます。その上で、政策議論や予算調整といった場において、施策事業の取組と成果の因果関係、こちらを明らかにするよう各局に求め、この夏には政策レビュー、そして現在、予算調整の議論も行っているところでございます。

本県は、先程、松崎委員からお話がございましたように、31年度予算編成方針を見ても約600億円の財源不足を抱え、引き続き厳しい財政状況が続いております。そうしたなかで、政策的にも財政的にも、効果的・効率的な行政運営を展開することが益々重要になると考えております。そのため、この根拠に基づく政策立案、EBPMの考え方を踏まえまして、できる所からとはなりますが、しっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えてございます。