2019年10月1日(火) 

総務政策常任委員会(立憲民主党・民権クラブ 松崎 淳委員)

(松崎委員)

先日の台風15号による被害は、県内でも甚大なものでした。

 特に、東京湾沿いの高波被害が激しく、私の地元である金沢区で、多くの中小企業が被災し、今もその復旧に苦しんでいます。

 9月26日には、知事も視察に見えて、私も同行したところです。

 具体的な被災状況は、高波で1.7キロメートルの護岸が830メートルにわたって崩れ、臨海部に海水が押し寄せた結果、下水が逆流し、横浜市が9月17日に記者発表した被災状況によれば浸水被害地域は、金沢区福浦・幸浦で約4平方キロメートルにわたり、今わかる範囲だけでも約480社・750棟に被害が発生し、社屋だけでなく設備・機械・自動車・商品・重機等がほとんど全損する被害となりました。そして、今なお被害調査は継続しております。

県は現時点での全県の被害を約500件、301億円としておりますが、うち横浜市が300億円で、更に被害が拡大する可能性が高いと見ています。

 そうした被害に対して、県は、9月12日には相談窓口を設置し、翌週からは、金沢臨海部産業団地に設置した現地相談窓口において相談を受け、9月19日からは巡回相談も開始して、被害を受けた中小企業の声をきめ細かに聞いていただいています。

また、具体の支援として、無担保枠8,000万円で最大2億8,000万円融資できる「令和元年台風第15号特別支援融資」を新設するとともに、横浜市を指定地域とするセーフティネット保証4号の発動を国に対して要請し、国のセーフティネット保証4号の発動を受け、即日、無担保枠8,000万円で最大2億8,000万円融資できる別枠の融資制度も開始し、合計で無担保枠1億6,000万円・最大5億6,000万円融資できる金融面の支援を速やかに実施しました。

 県の一連の速やかな対応は、被災した中小企業にとって大きな支えになると考えており、私からも改めて感謝申し上げます。

 こうした自然災害を目の当たりにして、私としては、機動的な対応とそれを支える財政出動の重要性を再認識したところです。そこで、緊急に何点か伺ってまいります。

 今回創設した制度融資について、財政面ではどのような対応になっているのか伺います。

(黒岩財政課長)

 今回創設した制度融資につきましては、被災した中小企業者等が、運転資金や設備資金として、最大5億6千万円の融資を速やかに受けられるよう、2つの特別支援融資を新たに設定したものです。

 また、これに加えまして、これらの融資を受ける際の保証料についても、県では、神奈川県信用保証協会が保証する保証料の一部に対して補助を行い、企業負担の軽減を図ることとしました。

 これら2つの財政面については、既決予算の中で対応することとしました。

(松崎委員)

 既決予算で対応したとのことだが、そのメリットは何でしょうか。また、既決予算で十分なのでしょうか。

(黒岩財政課長)

 既決予算のメリットについては、一刻も早く被災した中小企業者等への支援を開始できることが挙げられます。

 また、現時点では、事業所管部局からは、まずは既決予算対応でお願いしたいと伺っています。

(松崎委員)

 現在、関東経済産業局及び横浜市とともに国・県・市合同による調査が続行されている状況があります。更に、被害が拡大するという見通しを語る関係者がほとんどであるが、そうした場合はどのように対応するのでしょうか。

(黒岩財政課長)

更に被害が拡大した場合は、その拡大した規模や緊急性等を踏まえ、なお既決予算で対応できるのか、それとも、補正予算案を提案するのかなど、最善の対応を事業所管部局と検討していきたいと思っています。

(松崎委員)

 補正予算についてもしっかりとした支援をするためには必要と言わざるを得ない状況だと思いますので、検討を進めて実行していただくよう私からは要望します。

さて、被災された企業の支援のため、国・県・市が一体となって支援策について、協議を進めていると仄聞しています。被災企業からは、台風による損害保険では、水による被害はあまり想定されておらず、充分に手当されないなど資金や会計面で深刻な状況であり、視察を終えた知事も会見で、「国・県・市が一丸となり被災した企業に対して何ができるか知恵を絞りたい」「廃業に追い込まれることを何としても避けたい」とはっきりと明言され、力強い支援について話していました。

 そこで、災害への対応は、多くの県の役割の中でも極めて優先度が高く、被害者への対応や2次被害の防止など、素早く機動的な対応が今回は必要であります。今回の災害に対する財政出動について、どのように考えているのか、総務局長に伺います。

(小板橋総務局長)

 今お話しのありましたとおり、今回の台風第15号につきましては、非常に、横浜市、あるいは三浦半島地域をはじめ、大きな被害が出ていると承知しています。私も現地に行かせていただき、非常に被害の大きさを実感させていただいたところです。

 特に、今具体の話もありました480社、概ね500社近い被害を被っている企業が金沢区に集積している状況だと認識しています。

 こうした中で、県としては、最大限、すぐに対応できることからということで、「特別相談窓口」を設置し、「巡回相談」を実施させていただいた、あるいは、今お話しいただきましたけども、県として特別融資の枠を用意させていただくとともに、国に対して要請をさせていただき、「セーフティネット保証4号」を獲得させていただいたうえで、トータル5億6千万円の融資枠を確保したということで、最大限の努力をさせていただいているところが現状です。

 その後も、国・横浜市・県の三者が一体となって、現地調査が更に進められている状況がございます。こうした状況を今産業労働局を中心にして、状況分析や今後の対応策等について、検討がなされていると承知しているところです。

 そうした中、総務局の役割ですが、各局が把握した今回の被害状況に対して、各局がどう対応するかをご整理いただいたものについて、その正当性を十分に吟味したうえで、下支えをする総務局として最大限の支援、バックアップをしていくということが財政部門を持つ総務局の役割であるとの認識ですので、今後、県民目線に立った支援策がどういうところにあるのかということを各局に相談しながら、最大限の対応を総務局としても果たしていきたいと感じているところです。

(松崎委員)

 今回、まさに被災地の方々から、状況をお伺いし当局に質問しているところですが、答弁の中には、既決予算での対応をまず行った、しかしながら被災規模が拡大を踏まえていけば、そこのところは補正予算を見込んでいかなければならないという一定のご認識を示された、また、総務局長からは最大限の支援ということで、また、同時に県民目線に立った支援ということも明言されましたので、そこのところしっかりと踏まえてご対応いただきたいと思っています。

 それと、実際に現場に行って思うことですが、今回の県の対応は極めて特徴的な対応であったと私は思っています。それは何かと言いますと、通例は基礎自治体の市町村からのいろいろな報告を受けて県が動くということですが、今回の場合は災害復旧・復興に対し、基礎自治体である市町村の声を待つことなく、県自らが自分の手で現地窓口を創設したこと、そして、知事を始めとして、県職員が積極的に自ら現地に赴いて、被災者の声を直接きめ細やかに聞いていただいていること、このことについては、一定の評価をさせていただきたいと思っています。  また、今回の災害被害は、特に500社近い企業に集中して多大な被害が出たということも、今回の大きな特徴ですけれど、経営が立ち行かなくなる事態について、知事も言及されています。それを何としても回避して、本県経済を守らなければならない、つまり、非常に本県にとって重大で深刻な課題があります。金沢の産業団地は、横浜市の手だけではなくて、県も研究所を置いて、多くの企業を県自らの手で誘致してきたという実績がある、そういう土地柄でございますので、被災された方々の操業再開の見込みは、厳しいものが依然としてございますけれど、現状に即した希望の持てる対応を国・県・市が一体となって実現していただくように県のご尽力、そして役割発揮を更に強く要請してこの質問は終わります。