総務政策常任委員会(立民・松崎委員)2020.03.03(火)

(松崎委員)

まず「中期財政見通し」について伺っていきます。

将来の財政状況を的確に見通すことで、今後の財政運営の方向性を定め、そして財政健全化に向けた道筋を明らかにする「中期財政見通し」は、我が会派としても非常に大切であると考えてまいりました。

また、現行の推計期間中であっても、税制動向などの財政状況の変動も見据える必要があり、推計時点と比べて大きな変動があれば、適切な時期に見直す必要があると議論してきました。そのような中で、「中期財政見通し」を1年前倒しで示したことに関して、まず、当局に感謝を申し上げます。

先日の我が会派の代表質問でも申し上げましたが、令和2年度の当初予算案は、減収補塡債の発行や財政調整基金の取り崩しでようやく収支を均衡させたもので、まさに綱渡りの財政運営であります。

しかし、厳しい財政状況の中でも、必要な財政需要、行政課題に対しては的確に対応し、県民の暮らしを支えていかなければなりません。災害への対応を含む国土強靭化対策や昨年、本県に甚大な被害をもたらした台風15号・19号のような大規模水害等へ備えるための水防災戦略に基づく対策、また施設の老朽化対策など、県債の需要は高い状況です。一方で、過度の県債の発行は、財政の硬直化を招き、公債費として県財政を圧迫することになるため、県民サービスとのバランスという点から、発行額をコントロールしていくことが重要です。

将来を見据え、持続可能な財政運営を行う必要がますます重要になっている中で、今回「中期財政見通し」が報告されましたので、大事な点を順次伺っていきます。

まず、総括的な事から伺っていきます。前回の中期財政見通しでは、5年間の推計期間としましたが、乖離が生じたことから1年前倒しで推計することになりました。なぜ、今回も5年間の推計にしたのか、そこを伺います。

(黒岩財政課長)

推計期間を5年とした理由ですが、中長期的な視点を持って財政運営にあたるためには、ある程度長いスパンで財政収支を示す必要があると考えております。

例えば3年間の推計ですと、推計期間の初年度は当初予算額と同額としていることから、実質的には2年間の推計となってしまいます。一方で10年間と長い推計を行いましても、国の大きな制度改正など社会情勢の変化に対応できず、推計値と実態が大きく乖離してしまうという問題があります。こうしたバランスを考慮いたしまして、今回の推計期間も前回と同様、5年間としたものでございます。

(松崎委員)

一応答弁として伺っておきますけれども、これに関することはまた後々聞いてまいります。

さて、5年間の財源不足額は、前回の中期財政見通しに比べると、3,750億円だったのが2,600億円へと縮小しているが、この要因は何なのでしょうか。

(黒岩財政課長)

縮小している理由ですが、前回の推計が平均で申し上げますと、約940億円の財源不足に対しまして、今回は約650億円となっており、約300億円弱縮小しております。

具体的な理由ですが、まず歳入についてでございます。県税、地方譲与税が消費税率の引き上げや地方法人課税の偏在是正の影響により、前回の推計から、平均で言いますと約670億円の増額となっている一方で、歳出については、公債費や介護・医療・児童関係費が前回の推計から増えてはおりますけれども、その増加幅は公債費が約70億円、介護・医療・児童関係費が約410億円と、この2項目の合計で約480億円の増と、歳入と比べますと、伸びが緩やかになっております。

このように歳出の増が歳入の増を上回ることになっていることが原因で、前回の推計と比べて縮小しているものでございます。

(松崎委員)

縮小したとは言いましても、巨額の財源が不足する見込みであるわけであります。今回示された不足額をどう評価しているのでしょうか。

(黒岩財政課長)

評価ですが、今回財源不足額が縮小したとはいえ、5年間で2,600億円という財源不足は依然として巨額なものだと認識しております。今後もこうした巨額の財源不足の解消に向けて、今回の中期財政見通しの中でお示しした様々な財源対策に全力で取り組んでいかなければならないものと考えております。

(松崎委員)

どうして財源不足が生じるのですか。

(黒岩財政課長)

財源不足が発生する要因ですが、まず税収につきましては、地方と国における仕事量が6対4であるのに対し、税源配分は逆の4対6となっており、地方の仕事量に見合った税源が確保されていないということでございます。

また、地方交付税等については、現状の地方財政計画が十分な一般財源総額を確保しているとは言えず、本県への配分についても不十分だと考えております。

このように財政需要に見合う、十分な財源が確保されていないという現状の地方税財政制度上の課題によるところが大きいものと考えおります。

(松崎委員)

つまり、仕事に見合っただけのお金が入ってくる構造になっていないというわけです。

総括的なことは分かりました。関係することはこれまでも色んな形で聞いてきましたが、今日も色々と聞いていきたいと思います。

さて、推計をする上で影響が大きいものについてお聞きをしていきます。

  前回の推計に乖離が生じた理由の一つに税制改正がありましたが、3年度以降に大きな影響を生じる税制改正には、どのようなものがあると、今見込んでいるのか、伺います。

(浅羽税制企画課長)

3年度以降に大きな影響が生じる税制改正といたしましては、今回常任委員会報告資料の中でもご報告させていただいておりますが、令和2年度税制改正における法人事業税の課税方式の見直しというものがございます。

具体的には現在、収入金額課税が適用されております電気供給業への課税を2割程度見直すもので、令和3年度以降の法人事業税に毎年度10億円程度の減収が生じるものということで推計しております。

(松崎委員)

先日の本会議答弁において、知事から法人二税の超過課税の延長方針が示されております。個人県民税の超過課税についても、延長を前提に推計していますが、これはなぜですか。

(黒岩財政課長)

個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税については、平成19年度から10年間の取組み全体を示す、神奈川水源環境保全再生施策大綱に掲げる施策を推進するために、県民の皆様に負担をお願いしているものでございます。この大綱の計画期間が、令和8年度までとなっていることから、今回の中期財政見通しでは、制度が継続されるという予見のもと、推計を行ったものでございます。

(松崎委員)

大変な議論を経て、私もその時県会議員としてそこに加わりましたが、水源関係のところの税制は出来上がっていると認識しています。今の答弁で理解をさせてもらいました。

次に県債の発行に大きな影響を与える推計について聞きます。

地方交付税と県債残高に大きな影響を与えている臨時財政対策債は、どのように推計したのでしょうか。

(黒岩財政課長)

臨時財政対策債につきましては、令和2年度以降も制度は継続されるものとして推計をいたしました。

具体来な推計方法といたしましては、国の中長期の経済財政に関する試算や本県の介護・医療・児童関係費の伸びなどから基準財政需要額を見込み、収入額については本県の県税の推計から基準財政収入額を見込みました。

こうしたことで、地方交付税と臨時財政対策債の総額を推計したものでございます。そして臨時財政対策債については、令和2年度の当初予算案と同じく、そのうち50パーセントが配分されるものとして推計したものでございます。

(松崎委員)

臨時財政対策債の場合、いずれ国から措置されるという前提のもとに計算をしてきていると思うのですが、そうならない、つまりめぐりめぐって地方で何とかしてよ、という話になりかねないではないか、という危機感もあるわけであります。ここのところはしっかりと引き続き、国に対して廃止を訴えていく必要があると思っています。

その一方で、現実としては臨時財政対策債を見込まなければならないということでありました。地方交付税と臨時財政対策債の割合を2年度の当初予算で見込んだ割合で推計したという答弁でありました。恒常的な財源不足を解消するためには、地方交付税の総額確保、そしてまた県債残高の5割以上を占めるに至った臨時財政対策債の増加リスクも依然としてある状況であります。これが現実です。私は、臨時財政対策債制度そのものが本県の財政健全化にとって最大のリスクだと受け止めております。

そこで県としてこれまでも臨時財政対策債の廃止・縮小を国に対して要望してきたことは承知していますが、新たな中期財政見通しでは、どうこの問題を捉えているのでしょうか。

(黒岩財政課長)

臨時財政対策債につきましては、本来国が確保すべき地方交付税の財源不足に対応するための代替措置として導入されたものでございますが、地方自治体の財政の硬直化につながる公債費増大の最大の要因となっております。

こうしたことから速やかに廃止・縮減し、本来の地方交付税に復元することが必要であると、これは従前と変わらずそのように考えているところでございます。

(松崎委員)

問題に対する認識は、私ども会派も私もまったく同じであります。臨時財政対策債の状況によっては、県債残高がまたかつてのように増加する、そして大変な財政危機を招くといった可能性も否定できません。そこで、臨時財政対策債のリスクを少しでも減らすために、今後どう取り組んでいくのか、財政部長に伺います。

(落合財政部長)

臨時財政対策債については、委員もご指摘されたように、これまでも本県として廃止・縮減を国に強く働きかけてきております。私どもとしてもリスク要因の一つであろうと考えております。その結果といたしまして、本県の臨時財政対策債の配分率につきましては、ピークの8割から直近では5割に下がっており、また国におきましても、いわゆる骨太の方針で臨時財政対策債の発行額の圧縮に取り組むと、平成30年度以降明記されております。それを受け、地方財政計画におきましても、その考え方が反映されまして、臨時財政対策債が総額として抑制をされており、一定の改善が進んでいると考えております。

しかし、こうした改善が進んだと申しましても、臨時財政対策債は依然、本県の県債残高の半分以上を占めるとともに、その償還のために新たな臨時財政対策債の発行を強いられるなど財政硬直化の要因となっていることも事実でございます。

こうした状況は本県だけではなく、他団体、特に都市部の団体等において顕著だろうと考えており、共通なことから関係団体とも連携しながら、臨時財政対策債を速やかに廃止・縮減し、本来の地方交付税に復元するよう、引き続き国に対して粘り強く求めていきたいと考えております。

(松崎委員)

私は先ほど申し上げたように、この臨時財政対策債そのものが本県財政の最大のリスクであると認めているのですが、部長も同じ考えですか。

(落合財政部長)

本県にとりましても、廃止・縮減を求めておりますので、リスクと捉えております。

(松崎委員)

分かりました。しっかりと取組みを続けていかなければならないという認識でございますので、どうぞよろしくお願いします。

次に、昨年、甚大な被害を県内にもたらした、台風15号19号についてでございます。自然災害に対する対応は、財源に限りがある中でも県債を活用するなど柔軟な対応も必要であると12月の本常任委員会で取り上げ、質問しましたが、今回の推計ではどのように見込んでいるのでしょうか。

(黒岩財政課長)

自然災害に対する対応については、令和2年度当初予算にも計上しております水防災戦略の経費につきましては、令和3年度は2年度と比べまして、約60億円の増で見込んでおります。さらに4年度は、さらに20億円の増で見込んでおり、それ以降は増額という形で個別に見込んでおります。

また、水防災戦略に係るものを除く公共事業・県単独土木事業につきましては、国の防災・減災、国土強靭化のための緊急対策に対応するため、今年度の肉付け予算で大幅に増額しており、その規模を維持して推計をしております。

しかし、今年度補正予算で対応したような大規模な災害の復旧等については、現時点ではその頻度や規模などを想定することは困難でありますので、推計の中には含めておりません。

(松崎委員)

では、次に。今後、老朽化に伴う多額の維持修繕コストが見込まれている、県の公共施設の老朽化対策は、どのように見込んでいるのでしょうか。

(山田施設整備課長)

県公共施設の老朽化対策は、平成29年3月に策定した神奈川県公共施設等総合管理計画に基づいて、庁舎施設、警察関連施設、道路施設など18の個別施設類型に分類して取り組んでいます。総合管理計画では、令和2年度末までに、施設ごとの特徴を踏まえた個別施設計画を類型ごとに策定することとしており、公営企業施設の2類型を除く16類型について、個別施設計画を策定済みのものは9類型、一部策定済みのものは3類型、策定中のものは4類型となっています。中期財政見通しにおける維持修繕コストの推計にあたっては、個別施設計画を策定済みの施設は当該計画を、未策定の施設は過去の実績や国監修のライフサイクルコストを参考に推計額を算出しています。

(松崎委員)

では、今回の中期推計の中で、施設の維持更新費、これの将来見通しは全体としてどのように推移すると見込んでいるでしょうか。

(山田施設整備課長)

今回中期推計を行った、令和2年度から6年度の5年間における施設の維持のために行う、修繕、補修及び改修又は老朽化よる建替えに伴う費用である維持更新費の将来見通しは、概ね年間約600億円から800億円前後で推移し、合計約3,700億円となっています。このうち最も多い令和3年度は約840億円、最も少ない令和6年度は約590億円となっています。

(松崎委員)

今の答弁で、多い年と少ない年、そして全体で3,700億円ということでしたが、年度ごとの推計をもう一度答弁してください。

(山田施設整備課長)

令和2年度約750億円、令和3年度約840億円、令和4年度約790億円、令和5年度約730億円、そして最後令和6年度約590億円となっております。

(松崎委員)

総額が3,700億円ということですから、大変な巨額というように捉えるほかないと思っておりますし、そのことをしっかりと見込んでいかないと県民の皆様に何より安全を確保しながら、公共サービスを提供することが困難になるということでございますから、その費用はどうしてもこれは見込んでおかなければならないと受け止めるわけであります。

ここで伺いますが、具体的に今答弁のあった多額の費用を要する施設でありますけれども、改修・更新が必要な施設というのはどのようなものがあるのでしょうか。

(山田施設整備課長)

本推計期間中に改修・更新等の維持更新費で多額の費用を要する施設は、老朽化対策として施設の長寿命化を図る工事や耐震補強工事などを行う、約230ある庁舎等施設と、約170ある学校施設のほか、県道等の維持管理や修繕を行う道路施設の3類型になります。これら3類型の施設の維持更新費は、施設の老朽化対策にかかる経費全体の約6割を占めています。

(松崎委員)

今、膨大な数の施設の更新が必要であると報告されました。道路につきましては、それを数で報告するのは難しいだろうということは私も理解いたしますが、いずれにしても公共の施設であることに変わりはないので、そうしたものの必要な経費はしっかりと算定をしていかなければならないと思っていますし、実際見込んでおられるのかな、ということは受け止めさせていただきました。

次に、今回の中期財政見通しにおいても堅持された「県債管理目標」について、いくつか伺ってまいります。

台風15号・19号、それぞれの台風、昨年甚大な被害を本県にもたらしました。こうした気候非常事態に対応するための水防災戦略などで県債を活用するということが打ち出されておりますが、その中で「令和5年度までに県債全体の残高を2兆円台に減少させる」という県債管理目標を据え置くことにした、その認識を聞きます。

(三澤資金・公営事業組合担当課長)

今回の推計では、令和5年度の県債残高は3兆510億円と、目標を510億円上回っています。しかし、今年度の健全な財政基盤を構築し、将来にわたり必要な県民サービスを維持するためには、仮に現時点の見込みが目標額を上回っていたとしても、県としては現行の目標年度を先送りすることなく、県債管理目標の達成を目指していくことが適当であると判断し、現行目標を据え置くことといたしました。

(松崎委員)

今の答弁をもう一度おさらいをすると、厳しい状況だけれども目標達成を目指していくんだということであります。

しかし、今日質問したところの臨時財政対策債の国の状況による増加リスクもあるというのが現状だと思うので、私、そして我が会派としましても、本当に大丈夫なのかと率直にそういう思いを持っております。そこで、毎年どのくらい臨時財政対策債などを圧縮、縮減すれば目標達成できると見込んでいるのでしょうか。

(三澤資金・公営事業組合担当課長)

今回の推計では、令和3年度から令和5年度までの県債発行額を平均で約1,740億円とすれば、令和5年度末の残高は3兆円を下回る見込みとなっています。毎年の縮減額が令和3年度から令和5年度までの3年間で臨時財政対策債やその他の県債を合わせて、約170億円抑制することで、目標の達成は可能になると考えております。

(松崎委員)

170億円を毎年圧縮する、色んな事業で続けていかなければならない県民サービスや絶対に欠かせないものが多々ある中で、命に直結することも多々ある中で、170億円を毎年圧縮するという、その心意気は分かりますが、実際に実現可能なのでしょうか。

(落合財政部長)

今、所管課長が申し上げましたが、県債管理目標達成のためには今後毎年170億円の発行抑制が必要になってくるという状況でございます。

そうした上で、県民生活に不可欠な事業において県債発行を抑制することは適当ではないと考えております。また、今後の景気動向次第では将来的に臨時財政対策債の増額発行などもあり得る、そういったことも考えられます。そのために、引き続き臨時財政対策債の廃止、その配分割合の見直しなどによる縮減を国に強く働きかけていきたいと考えております。

また、合わせて活用可能な財源を確保できる場合には、県債の発行抑制、前倒し返済ほか、県債が一時に集中しないような県債発行の平準化など、こういった取組みによりまして、県債残高の削減を進めて、県債管理目標を達成していきたいと考えております。毎年170億円の発行抑制は容易なことではないと認識しておりますけれども、後年度の健全な財政運営を構築し、将来にわたっても必要な県民サービスを維持するためにも現在の県債管理目標を堅持いたしまして、目標達成を目指してまいりたいと考えております。

(松崎委員)

私は、今やっている事業のすべてを廃止してしまえとか、そういう極論を言うつもりはありません。むしろ本県が行ってきたヘルスケア・ニューフロンティア政策によって、例えばコロナ対策で治療薬として、富士フィルム株式会社が治療薬アビガンを開発するに至った経緯の中で、本県が果たした重要な役割というのは、ヘルスケア・ニューフロンティア、この本県の政策あってのことだったと思います。また、例えば、理化学研究所との色々な深い連携のもとに、PCRに変わるかもしれないくらい有望な検査方法が見つかっている、実証研究に入っている、ここのところについては本県の先導的、先進的な果たしてきた役割の大きさ、やはり市町村では担えない部分だったと理解をしておりますから、何もかもすべてを削るべきだ、やめるべきだとは思いません。ですが、どの分野に進むのか、その中でも大事なものは何なのかということをかなり厳選していかないと、あらゆるところに手を付けた結果、どれかが当たるであろうという政策は、財政的に考えれば、もはや取り得ないと思います。県民の将来や命に関わる、直結する分野にまずは先行的に投資をする、という明確な旗の下に進む、あるいは考え方を明示しないのだけれども、結果において良い結果が打ち出せるという見込みの高いものに考えを絞るとか、色々な考え方があると思います。EBPM(Evidence-based Policy Making)ですよね、要はきちんと成果が出せて、そして県民の皆様からご指示をいただけるような政策展開に必要な原資を優先的に割り当てていくという考え方を、もっとしっかりと絞り込んで出していくという方向へ行かざるを得ないのではないか、と思っております。

それともう1つ。県債というのは借金であり、借金とはつまり後の世代に負担を転嫁するものでありまして、それを軽々しく発行すれば何とか帳尻が合うという形で財政を運営し始めたら、それは後々の世代に大変な負担を残し、結局本県の先行きに暗い影を落とすことになりますので、そこのところはやはり、県政の背骨にあたる考え方の部分ですので、現役世代には現役世代のご負担をいただきながら、県政を進めるという、この考え方を堅持していく必要があると思っております。なにしろ、確かに右肩上がりで伸び続けていた県債残高は、県債管理目標の設定をして、減少傾向に向かっているということでありますが、将来どうなるかは分かりません。したがって、今のところで公債費について推計をどう考えているのか、どう見ているのかということを含めて伺いたいと思います。

(三澤資金・公営事業組合担当課長)

公債費の推計ですが、令和2年度の2,972億円以降当面上昇を続けまして、令和4年度に3,270億円まで上昇する見込みです。令和5年度には一度3,120億円まで減少するものの、令和6年度は3,140億円となり、3,000億円を超える水準で高止まりするものと推計しています。

(松崎委員)

公債費がどんどん伸びていき、県財政の負担、県財政の硬直化していた時代がありました。その頃を考えると、県債管理目標が明確に設定され、減少に転じてきたということは今までの取組みの成果だと受け止めています。高止まりをしているということはあるのですが、しかしそういった状況があるというのもまた事実であります。

もう一つは、将来の県民の負担ということを先ほど申し上げましたが、それを取り除きつつ、今の県民の暮らしを支えるという二つの物差しでもって適正な財政運営を図っていかなければならないという課題があります。このことはこれからも変わらないと思います。そうしますと、県債管理目標達成に向けてどう取り組んでいくのかということ、そしてまた、令和6年度以降の目標についてはどのように考えているのか、ということを総務局長の決意も含めて伺います。

(小板橋総務局長)

公債費につきましては高止まりをしているということで、今後当面3,000億円くらいの県債が続くということでございます。ただこれは逆に言うと、公債費を多く支払うということは、県債残高を大きく引き下げることにつながるという側面もございます。

一方で、公債費を払っていて、また新たな県債を同じように過大に発行してしまえば、県債現在高は減りませんが、公債費を多く払いつつ一方で県債につきましては過度に頼らず、過度に発行しないということができれば、いい方向にいけるだろうと考えております。

県としては今後も、先ほど財政部長、資金・公営事業組合担当課長からお話させていただきましたが、基本的には臨時財政対策債の廃止、あるいは縮小につきまして、粘り強く国に対して働きかけていくことが一番の原則です。本来であれば、地方交付税でいただくべきものが借金をするという形になっているという非常におかしな状況になっているわけであります。それを根本的に解決したいということが、私どもの最大の願いであり、またそれに向けて最大限努力をしていくことが重要であると考えております。

また一方で、ご指摘いただきましたように、施策事業の見直しに加えまして、どこに優先順位をつけるかということをきちっと絞り込んでいくことも非常に重要であると考えております。それを委員からお話ありましたように、県民の命を守る、あるいは安全・安心を確保していく、これは最低限、最も重要視しなければならない、県としての事業であると考えております。そこに対しては、優先順位を高くしながら、予算配分をしていくということが非常に重要であると考えております。そうした取組みをすることにより、義務的経費の割合を少しでも下げていくということで、今硬直化している県財政を少しでも緩和していくということを何とか一歩ずつ進めていくということが大切だと考えております。

一方でご指摘いただきましたが、この目標を達成することだけに固執するあまり、今申し上げたような、県民の命を守る施策が滞るという自体は避けなければなりませんので、そこはやはりバランスを考えながら、どうしていくかということは、毎年毎年の予算編成の中で慎重に判断していくということが重要であると考えております。

加えて最後にご質問として、令和6年度以降のお話をいただきました。これについては冒頭課長からもお答えさせていただきましたが、社会情勢の変化というものがまだまだ見通せない部分もございます。したがってまたその時になりましたら、その時の社会情勢、経済情勢を踏まえた上で県として慎重な判断をその時点でさせていただくということになると考えております。いずれにしましても、いかなる時であったとしても、持続可能な財政運営を目指して、しっかりと取り組んでいくということが最も重要であると考えております。

(松崎委員)

中期財政見通しについては、今回1年前倒しで見直しをしたということを大変高く評価しています。それは私どもの質問を通してしっかりと形になったというだけでなくて、やはり適時適切に見直すという弾力性や柔軟性をもって財政というものは対応する必要があるということです。

ただ一方で県債管理目標を、安易に簡単に変えていくというのは厳に慎むべきであると考えているわけであります。ですので、気が早い話ですが、次の中期財政について、また財政の状況によっては、何も5年間をきっちりと最後まで変えてはならないと思ってはおりませんので、適時適切な見直しというものは常に念頭に置いておいていただきたいと思っています。

要望申し上げます。忘れもしない9月9日、そして10月12日、台風15号、19号、私の地元金沢区においては特に15号台風によって、200社を超える地元企業が被災をして、被災総額250億円と今算定されています。そうした中にあって、県におかれては知事ご自身が現場に来られ、そしてまた県幹部の皆様が現場に来られて、実情を踏まえた対策をとっていただき、特に財政出動も含めまして新たな支援策、支援制度をしっかりと確立をしていただいた。やはりそういう風に県土の強靭化を含めて、これからも非常事態に対応するため、水防災戦略やこの他の老朽化対策などもやっていかなければならないと思います。そういった意味では持続可能な財政運営と言いつつも、必要な処置はこれからもどんどん取らなければならないというわけでありまして、会派としても県民の暮らしを支えるために必要な需要、行政課題については的確に対応していただきたいと申し上げてきたわけであります。

中々本県の財政は、歳入で歳出を賄えない厳しい状況にありますが、知恵を絞り、また県民のために、持続的な発展のために、努力を重ねていきたい。また、当局とともに汗をかかせていただきたいと思うわけであります。我が会派としても今後を注視し、応援していきますので、なお一層の当局のご尽力を切に要望して、この質問を終わります。