2020年9月28日
総務政策常任委員会 立民 松崎委員
(松崎委員)
引き続き、根岸住宅地区の返還に向けました、最近の動向について、何点か伺っていきます。根岸住宅地区返還に向けた取組につきましては、本県、関係市、横浜市も含めて、長年取り組んできたところであります。この委員会では、私もこれまでも機会あるごとに、取り上げてきたところであります。
そこで返還に向けた最近の状況や、今の段階での返還後の跡地の利用につきまして何点か伺っていきます。
まず、根岸住宅地区の返還に向けました、これまでの経緯について伺います。
(基地対策課長)
根岸住宅地区ですが、平成16年10月の日米合同委員会合意におきまして、全部返還の方針が合意されました。
この合意では、根岸住宅地区の返還時期は、横浜市と逗子市にまたがります池子住宅地区の横浜市側に新たに計画されている住宅建設が完了した時期とされておりました。
しかし、池子住宅地区の新たな住宅建設については、国と地元との調整が整わず、根岸住宅地区の返還時期は示されてきませんでした。
なお、その間も、県と横浜市は、基地関係県市連絡協議会を通じまして、根岸住宅地区の早期返還の実現を繰り返し求めてまいりました。
そうした中で、平成30年11月に、日米合同委員会において、平成16年の合意を見直す新たな合意が承認されました。
新たな合意では、池子住宅地区の横浜市域での住宅建設の中止と併せて、根岸住宅地区については、早期の引き渡しに向け、原状回復作業を速やかに実施するため、共同使用について、日米間で協議を開始することや、返還の時期について作業の進捗に応じて、日米間で協議することが合意されました。
さらに、昨年11月ですが、日米合同委員会において、根岸住宅地区の共同使用が合意されたところでございます。
(松崎委員)
それでは、返還に向けました、国の原状回復作業の今の進捗状況について伺います。
併せて、新型コロナウイルスの影響で当初から予定が遅れている状況がありましたら、教えて頂きたい。
(基地対策課長)
これまで、国、防衛省南関東防衛局から受けている説明でお答えします。
根岸住宅地区の返還にあたりまして、国は、地区内にある住宅等の建築物や、地下にある埋設管等の撤去などと併せて、土壌調査なども予定しています。
こうした作業に向けまして、今年度は既に、埋設管などの地下構造物に係る現地調査と配置図等の作成業務、また、地区内に所在する建物など地上にある工作物の現地調査、配置図等作成業務、土壌調査に向けた土地の使用状況等の調査業務などに着手していると説明を受けております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の予定から遅れが出ている業務は無いということですが、調査業務などの実施に先立って予定していた地権者の方々への説明会などは、感染拡大防止の観点から、資料の郵送により実施したという説明を受けております。
(松崎委員)
新型コロナウイルス感染症の影響は、直接には無いけれども、地権者の方々へ
の説明会というのは、郵送により行われたということであります。大勢の方々が
関心を持って、ずっと待っておられた、そして、やっと行われる説明会であった
訳で、これも大きな影響だと私は思います。
では次にお聞きしますが、横浜市は跡地利用計画の策定を目指しております。それについて県にはどのような説明がありましたか。また、その内容について、どう把握していますか。
(基地対策課長)
横浜市が策定している跡地利用計画についてお答えいたします。
平成16年の返還方針の日米合意を受けまして、これまでに、地権者組織である、米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会が跡地利用を検討し、平成29年5月に協議会案をとりまとめております。
協議会でまとめた街づくりの方向性に、横浜市は、新たな街づくりの方向性も付加して、跡地利用基本計画の策定作業を進めてきたと伺っております。そして、今月18日の横浜市基地対策特別委員会におきまして、横浜市から、根岸住宅地区跡地利用基本計画案が示されました。
この基本計画案では、新たな街づくりの方向性としまして、跡地を3つにゾーニングして、跡地利用を進めていく構想が示されております。
具体的には、3つのゾーンですけれども、教育施設が多く立地する山手地区に近接する立地を活かした文教ゾーン、根岸駅や吉野町駅からのアクセス性に配慮した住宅地ゾーン、既存の根岸森林公園を活かした森林公園ゾーンという3つのゾーニングを行いまして、併せて道路等のアクセスの向上や公共公益施設、教育施設等の整備の検討を進めていくというように聞いております。
(松崎委員)
文教ゾーン、住宅地ゾーン、森林公園ゾーン、これに併せて公共施設等を整備していくというお答えでした。
さて、根岸住宅地区には、民地を所有している方々が約180人いらっしゃいます。昨年度に横浜市が実施した、この民地所有者へのアンケート調査では、返還にあたりまして、土地の境界確定を行うことを求める声が多かったと聞いております。昨年の第3回定例会でもその点を、私から指摘させていただいた訳でありますが、その後の県と市の対応はどうなっていますか。
(基地対策課長)
根岸住宅地区は、昭和22年に接収され、既に70年以上が経過しております。住宅地区内のほとんどの土地境界が不明確な状況と聞いております。
委員のお話のとおり、昨年、横浜市が実施しました地権者の方々へのアンケート調査では、回答者のうち84パーセントの方が、土地の位置や面積をはっきりさせてから返還して欲しいと希望しておりました。
そのため、県と県内の基地関係市とで構成します基地関係県市連絡協議会で、本年8月に実施しました要望の中で、根岸住宅地区内の境界画定について、国有地と民間の境界はもちろん、民地間の境界についても確定させるよう、新たに国に求めたところでございます。
(松崎委員)
そこは、大変重要なことだと思います。やっと返ってきたと思ったら、自分の土地は、確かにあることは分かっているにもかかわらず、どこが自分の土地なのか分からない、また面積も分からない、隣がどこまでなのか分からないままで返されたというのでは、返された側の日本国民としては、使用も何もできない。そもそも自分の土地が分からない状況のままでは、それは返還されていないのと等しい状況かと思います。ですので、やはり県としては、そういうところをしっかりと、ハッキリさせてくださいということを、地元横浜市と一緒になってこれからも要望して頂きたい。
それから、第1回定例会の本常任員会でも取り上げたところでありますが、横浜市は市立大学病院の再整備の候補地として、根岸住宅地区の跡地の使用を検討するということでしたが、現状はどこまで検討が進んでいるのか。また県としてどう把握しているのかお答えください。
(基地対策課長)
横浜市は、本年1月に開催された、米軍根岸住宅地区返還・まちづくり協議会において、根岸住宅地区の跡地を市大医学部と市大附属2病院の再整備の候補地の一つとして今後検討していく旨、説明を行ったと承知しています。
そして、今回、市が策定しました、根岸住宅地区跡地利用基本計画案におきましては、文教ゾーンは、市大医学部と附属2病院の再整備の最有力候補地と位置付けています。
(松崎委員)
最有力候補地ということでありますが、跡地利用については、そもそも土地の所有者の方々がいる訳でありますから、民地の所有者の方々の意見を十分踏まえる必要があると私は考えています。また、横浜市立大学病院は私の地元である金沢区に置かれておりまして、再整備の件は非常に皆様の関心が高いところであります。こうした地域の方々へは、やはり丁寧な説明が必要だと思います。そこで、横浜市の対応についてですが、市はどう考えているのか、どう把握しているのかお答えください。
(基地対策課長)
横浜市が策定した、根岸住宅地区跡地利用基本計画案につきましては、横浜市は事前に地権者の方々へ、郵送により説明を実施したとのことです。
また、この基本計画案ですが、本年10月30日からから11月30日まで、市民意見募集が予定されています。
これに先立ち、横浜市は10月上旬には、根岸住宅地区が所在する中区、南区、磯子区と、現在の市大医学部と附属病院が所在します金沢区におきましても、連合町内会長・自治会長が集まる区連合町内会定例会の中で、説明を実施する予定との連絡を受けております。
(松崎委員)
今の答弁を聞いていますと、ようやくある程度の動きが見えてきたのかなと思います。
地元横浜市の考え方というものを尊重しつつ、同時に本県としては支援をしていく必要があります。返還、跡地利用を言葉にすれば一言二言ですが、実際にやるとなると、色々な作業が待っている訳でありますから、しっかりとサポートをしていく、一緒になって連携して取り組んでいく必要があると思います。
跡地利用に向けては、まずは早期返還の実現が何よりも重要です。そのためには、県と市がこれまで以上にしっかりと連携して頂いて、取り組む必要があります。そして、早期返還の実現をさせなければならない訳ですが、今後の取組、あるいはどんな考え方で取り組んでいくのか決意を含めて伺います。
(基地対策部長)
根岸住宅地区は、平成16年の日米合同委員会により、全面返還の方針が合意された5つの基地のうち、最後に残されている基地であります。早期返還に向けた国の作業がようやく着手されるなど、返還に向けたプロセスが、今進みつつあります。
根岸住宅地区の早期返還は、地元にとっては長年の悲願でありまして、これまでも、円滑な実現、及び返還実現までの基地の安全管理等について、国に働きかけてまいりました。
そうした中、市大医学部と市大附属2病院の再編整備の最有力候補地として、検討を進めていくという、跡地利用の核となる要素を含んだ、計画案が横浜市から示されたところでございます。
今後も、横浜市と連携しまして、返還後の跡地利用の考え方を国や米側に示しながら、早期返還の実現に向けしっかりと取り組んでまいります。
また、これまでも、横浜市は、跡地利用計画案の策定段階で、地権者の方々、地元の意向に配慮して対応されてきましたが、今後も、計画を具体化していく中でも、地元の意向に配慮していく、そうした姿勢で臨んでいく意向と承知しています。
県としては、横浜市と、緊密に連携させていただきつつ、国に対し、最終的に、地元の意向に沿った返還が実現できるよう、働きかけてまいります。
(松崎委員)
非常に横浜市民にとっては、長年待ち続けた返還であります。この他にも、横浜市内には、未だ返還されていない基地や、返還がこれから先どうなるのか見えてこないけれども、地元としては、返還を切望している基地もございます。
そんな中、この根岸住宅地区について、今日、取り上げたわけですが、ここは、平成30年の返還方針の見直しが日米合同委員会で合意された際、当時の政府は、3年を目途に返還実現を目指すと、発言されていた訳であります。 実際のところは、国の原状回復に向けた作業が、順調に進むことを前提にしたものだと思います。県として、返還の実現に向け国の動向に注視しながら、跡地利用については市としっかりと連携をとりながら、住民本位の計画となるように、実現に向け取り組んでいただくことを強く要望して、私からの質問を終わります。