2021年3月1日(月)
総務政策常任委員会 立民 松崎委員

(松崎委員)

 続きまして、在日米軍基地における新型コロナウイルス感染症対策につきまして、伺ってまいります。在日米軍基地における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、これまで私、本委員会において、質疑を重ねて行ってまいりました。本年に入りまして、米軍関係者の感染者数がかなり増加しておりまして、改めて米軍基地における感染対策について、何点かお尋ねをしてまいります。

 まず、在日米軍が基地の感染者数を公表するようになった昨年7月以降におけ

る、県内米軍基地の感染者の発生状況について確認します。

(基地対策課長)

まず、陸軍関係でございますが、昨年7月以降これまでに米側が発表した感染者数を県が集計しましたところ、累計で50人程度となっております。海軍では昨年7月の公表以降、横須賀基地での感染者は県の集計で、累計600人を超えております。また、厚木基地では、累計の感染者数は県の集計で、100人を超えております。

最近の感染状況の推移ですが、本年1月に感染者の発生が集中しました。横須賀基地関係では1月22日に、その時点の感染者数ですが166人、厚木基地では1月22日時点で26人、陸軍関係では1月20日時点で14人となりました。

なお、直近の状況ですが、2月26日時点での感染者数は、横須賀基地では11人、厚木基地では2人、陸軍関係者では0人と感染者数は減少しているところでございます。

(松崎委員)

県内の日本側の感染者につきましては、1月の上旬が新規感染者のピークであるわけであります。今、お答えを聞いておりますと、日本側の感染者数の増減に基地の感染者が連動しているのではないかと受け止めさせていただきます。日本国内で米軍人等が感染している状況は、どの程度推測されているのか。

(基地対策課長)

米軍が公表しております感染事由を見ますと、最近入国して検査の結果、陽性が判明した以外に、これまで陽性が判明した方の濃厚接触者が含まれているということであり、米軍基地内かもしれませんが、日本国内で感染した方が含まれているということは言えると思います。

(松崎委員)

 県内基地の感染者と日本側の感染者数が連動している可能性があるということは非常に重要だと、そこは今後しっかりと見ていかねばならないと思いますし、また対策を講ずる上でもポイントになります。この重要性は当局も認識していると思いますが、そういうことでよろしいですか。

(基地対策課長)

米軍の感染者数につきましては、これまでもずっと感染者数を見ておりまして、日本国内、本県内の感染者数とあわせて、この状況について、引き続き注視して

まいりたいと思います。

(松崎委員)

では次に対策について伺います。まず、米軍人等の水際対策が重要になると思いますが、日本に入国する米軍関係者の検疫は、日米地位協定上、どうなっているのか。

(基地対策課長)

検疫に関しましては、日米地位協定に規定はありませんが、地位協定で定める日米合同委員会におきまして、平成8年に、人・動物及び植物の検疫に関する合意が行われまして、その中で検疫の実施主体が定められております。

この合意に基づきまして、日本の空港等を通じて入国する人員については、日本の当局が、米軍基地から直接入国する人員については、米軍が検疫を行うこととされております。

(松崎委員)

今年の1月5日に、米軍人が韓国に入国する場合には陰性証明を求め、在韓米軍もそれに応じるとのことでございます。また米軍は、1月7日以降、米国出国前72時間以内の新型コロナウイルス検査の陰性証明書を義務付けたとのことであります。日本に入国する米軍人の検査等は、現実には、どうなっているのか。

(基地対策課長)

日本に入国する米軍人等は、2週間の移動制限措置が義務付けられまして、その間に、PCR検査が行われているということでございます。

(松崎委員)

私は水際対策の重要性を考えますと、入国時の2週間の移動制限措置の前に、日本政府は韓国と同じように、まずは陰性証明の提出を求めるべきと思います。そこで在日米軍の水際対策について、見解を基地対策部長にお聞きします。

(基地対策部長)

水際対策というのは、この新型コロナ対策において一つの核になる、大変重要な部分でございます。今、課長からもお答えしましたように、在日米軍におきましては、入国時にあたりまして2週間移動制限を行い、その移動制限の期間中にPCR検査を行うと、PCR検査で陰性にならなければ、移動制限は解除されない、という取組を相当前から、少なくとも昨年の7月以降、実施をしてきたというところでございます。

本県といたしましては、水際対策を含めまして、在日米軍の新型コロナ対策として、常に最善の措置が取られることを求めてきておりますので、引き続き水際対策も含めて、最善の措置を求めてまいりたいと、このように考えております。

(松崎委員)

最善の措置を常に求める、私も強くそこのところはお願いをまずはしておきたいと思います。

同時に、水際対策に関連して、最近の状況を何点かお聞きしたいと思います。報告事項にもありましたが駆逐艦ラファエル・ペラルタ、新たに横須賀に入ってきているわけですが、この要員のコロナ対策はどうなっていますか。

(基地対策課長)

今回のラファエル・ペラルタの入港に関しましても、感染症対策の厳格な措置を徹底するとの説明を国から受けているところでございます。

(松崎委員)

それは今説明があった、最善の措置を求めた結果、最善の措置をしっかりやってもらっているという理解でよろしいでしょうか。

(基地対策部長)

ラファエル・ペラルタの入港時におきまして、これは当然、必要な措置、水際対策を実施しているものと考えられますが、具体的な情報提供がなかったものですから、しっかりとした新型コロナウイルス感染症対策を実施するようにということを、県から国に求めたという経緯がございます。

(松崎委員)

そこのところは重要ですね。やっぱりしっかり求めるということは、個別具体の事例に即して行うよう、私からも要望します。

それから、先行会派の質疑にもありましたが、厚木基地で行われるCBRN訓練の要員について、14日間の移動制限などコロナ対策が実施されているとのことだが、それは今聞いている在日米軍で行われているコロナ対策と同じものなのでしょうか。どうなのでしょうか。

(基地対策課長)

今回の訓練の要員に関しましても、在日米軍が定めました、新型コロナウイルス感染症の措置と同様の措置であると国から説明を受けております。

(松崎委員)

それでは次に入国した後の米軍の対策について伺ってまいります。以前、当委員会で聞きましたところ、米軍は基地からの外出制限を実施しているとのことでしたが、さっき説明がありましたが、1月に感染者数がうんと増えてきた、その際には制限は強化されたのでしょうか。

(基地対策課長)

米軍では、基地の外で自由に行動できる範囲を、感染リスクに応じて段階的に見直すなどの措置を行っております。具体的には例えば横須賀基地では、昨年12月中旬に、それまで本県とその周辺では、東京都と川崎市が対象となっていた、自由行動範囲外のエリアに横浜市を追加しました。さらに、自由行動範囲外にあたらない横浜・川崎以外の県内全域も、感染の拡大のリスクが高い、ハイリスクエリアとして指定いたしました。

ハイリスクエリア内では、レストラン内での飲食の禁止や、動物園、水族館、博物館、フィットネスセンター、スイミングプールなどの施設への訪問も禁止されております。

さらに、本年1月6日以降は、夜8時から朝5時までの外出の禁止も定めております。

なお、基地の外での居酒屋、バー等への入店は、昨年3月以降継続して禁止されております。

(松崎委員)

今、御説明があった内容というのは、米国本土において、各州知事が権限を行使して、外出制限を加えたり、あるいは飲食店等でインドアダイニングはダメだけれど、アウトドアダイニングはいいといった、こういった形で規制を強める、こういった行動をとっているわけでありまして、そういったところと、それから米軍が海外、つまり我が国の領土で行っている規制が、パラレルにシンクロしているのかどうか、この辺の情報についてはどういう風に受け止めていますか。

(基地対策部長)

米本土におきまして、私共も報道によって概要を把握している範囲でございますが、それぞれの州の感染状況に応じて、州知事の権限で、場合によっては厳しい制限をする、州によってちょっと違うという状況でございます。在日米軍におきましては、まず米軍全体の中で、現在の感染状況に応じまして、一定の行動制限のレベルを引き上げたり下げたりする他に、現地の司令官の権限におきまして命令書を出す、メモランダムという文書になるのですが、かなり具体的な地域とかエリアを指定して、行動を規制するということを行っております。

こういう状況でございますので、どちらかといいますと米本土の国防省の意向プラス在日米軍の現地の司令官の意向、この二つによって規制が決まっていくとこのように私共は受け止めているところでございます。

(松崎委員)

 今の答弁を聞いていましても、米軍の外出制限というのは感染状況に応じて、厳しくなったり緩めたり、ということかと。そうすると、そういう対応がどうなっているかという情報共有が日本側、あるいは本県との連携が非常に重要になるかと思うわけであります。後ほどさらに情報共有の問題について伺います。

 最近の状況についてお聞きしたいのですが、ワクチン接種のことが、先行会派の質疑の中でも出ていましたが、私共も関心を深めているところでありますが、米軍基地でワクチンを接種した人数やワクチンの種類は分かっているのでしょうか。

(基地対策課長)

ワクチンを接種した人数につきましては、情報はございません。ワクチンの種類につきましては、星条旗新聞の記載によりますと、アメリカのモデルナのワクチンと記載がございました。

(松崎委員)

モデルナのワクチンということでございます。県内の米軍基地におきまして、変異株の感染が確認されたとの情報はございますか。

(基地対策課長)

県内の米軍基地におきまして、変異株の感染に関する情報はございません。

(松崎委員)

もし、米軍基地内で変異株の感染が確認された時は、神奈川県としてはどのように対応するつもりか。

(基地対策部長)

新型コロナウイルスの変異株でございますが、前提として変異株については、かなりまだ未知の部分が相当程度ありまして、それから在日米軍基地の中におきまして、変異株に対し、どの程度の能力を持っているのか現時点で不明でございます。

そうした前提のうえで、仮に、米軍基地内で変異株の感染が確認され、なおかつ日本側で対応しなくてはならない事態が生じた場合には、県民の安全を最優先、そして米側に対しては、人道上の配慮というものを念頭に、関係機関とも連携しつつ、必要な対処を行っていくものと考えております。

(松崎委員)

この必要な対処の中には、例えば患者さんの治療ですとか、あるいは必要な医療的処置が含まれると理解してよろしいでしょうか。

(基地対策部長)

その時に必要な対応が何なのかは、状況によって変わってくるかと思いますが、そういう意味では前提条件はあまりつけずに、ただし日本側の能力とか、県民の安全というものが最優先にくる前提のもとで、必要な対処について関係機関、それから他の部局とも連携をはかってまいりたいと考えております。

(松崎委員)

人道上の見地ということもおっしゃっているので、そこは一定の理解はしたいと思います。問題は情報だと思います。アメリカ側が外出制限などの感染症対策を講じるにあたりまして、自治体との情報交換も非常に重要だと考えますが、連絡体制はどのようになっていますか。

(基地対策課長)

感染症対策にかかる米軍との連絡体制ですけれども、平成25年1月の日米合同委員会合意に基づきまして、米軍基地内の医療機関と、その基地が所在する地域を管轄する日本の保健所との双方で、情報交換を行うことが定められております。これによりまして米軍基地で、感染者が発生した場合には、米軍の病院や診療所から、県、又は市設置の保健所に、当該感染に関する情報がもたらされております。

今お話しいたしました感染者に関する情報以外にも、例えば本県の感染対策の取組ですとか、情報交換する必要があるものは多岐にわたります。そうしたことを踏まえまして、基地対策課では、在日米陸軍、海軍に、新型コロナウイルス感染症対策に関する広範な内容につきまして、適宜、情報交換をしつつ、得られた情報につきましては、必要に応じて関係部局にも共有するなどしております。

(松崎委員)

 今おっしゃった、県が在日米陸軍、海軍に、新型コロナウイルス感染症対策に関する広範な内容について、適宜情報交換をしている、その適宜情報交換しているとおっしゃっている広範な内容というのは、どういう種類のものですか。あるいはどういう関係のものですか。

(基地対策課長)

私共から米側に提供している内容といたしましては、主に県の取組でございます。例えば、緊急事態宣言の発出などに伴いまして、県が取組方針など改定しました場合にはその内容についてお知らせしたり、それから県民の方や事業者の方にお願いしている内容などにつきまして、米側にもお知らせしてきております。

 また米側からお尋ねを頂いた事項、例えば新型コロナウイルスの対策本部の方に報告された県内の感染者数、感染の動向などについて適宜お伝えをしております。

 米側から私どもに情報提供されている情報としましては、主に米軍基地における外出制限などの行動制限の規制措置の内容でありまして、基地司令官が新たに命令書を更新した場合に、その内容につきまして運用も含めて、解説などいただいているところでございます。

(松崎委員)

 最後におっしゃったその命令書、更新されるたびにそれはきちんと本県に伝えられるという理解でよろしいですか。

(基地対策課長)

 先ほど申し上げました命令書ですが、各基地によって、かなりの頻度で更新されておりまして、更新のたびに、更新しましたという連絡が、都度都度来ているわけではございませんが、内容につきまして、適宜情報連絡を取る際に確認させていただいたりとか、大きく変わった時に連絡をいただくなどの情報交換はしております。

(松崎委員)

 そこは齟齬とか異論はないと受け止めておけばよいということですね。

 米軍基地におきまして感染症対策は重要だということは言うまでもないわけですが、県としては県内米軍基地と連携してしっかりと取り組んでいただく必要がございます。そこで日米地位協定の課題への対応も含めまして、今後の取組についてお聞きしたいと思います。

(基地対策部長)

在日米軍基地における取組、新型コロナウイルス対策に対する取組としましては水際対策、そして入国した後の感染防止、この二つに分かれております。

水際対策としては、日米合同委員会合意に基づき、日本の空港等から入国する場合は、日本側が検疫を行い、基地から入国する場合は、米側が検疫を行います。こうした措置の課題につきましては、米側が行う部分がブラックボックスになってはならないということ。今後もしっかりと情報提供を求めてまいりたいと考えております。

また、米軍は、入国時に移動制限を行い、さらに基地からの外出制限など、ある意味で日本以上に厳しい制限を課している状況でございます。

一方で、何が最善の取組なのか、その時々の状況によって変わりうる面があると私は考えております。在日米軍基地の新型コロナ感染症対策については、他の国に駐留する米軍の事例も参照に、常に最善の措置が取られるよう、国に働きかけてまいります

さらに、日米地位協定も含めた制度面の課題につきましては、現時点では、当面の対策が優先されるべきと考えますが、いずれしっかりとした検証を国として行い、米側と協議を行うよう、働きかけてまいります。

(松崎委員)

 今ご答弁があったところにつきまして、措置の課題として三点。まず一点目は米側が行う部分がブラックボックスになってはならない。そして、しっかりと情報提供を求めていくということ。

二点目は、他の国に駐留する、韓国ならば韓国でありますけど、米軍の事例を参照に、常に最善の措置が取られるよう、国に働きかけていくという方針ですね。 

その上で三点目ですが、日米地位協定を含めた制度面の課題について、しっかりとした検証と、米側との協議を国に求めていく、この部分ですね、日米地位協定を含めた制度面の課題について、しっかりとした検証と米側との協議を国に求めていくとは、具体的にどんな考え方なのでしょうか。

(基地対策部長)

今まさに米軍基地の新型コロナ感染症対策について、走っている状況でございます。検証はそれを並行してと言いますか、そういった形になろうかと思いますが、私どもが今一つ感じているのが、先ほど課長からも答弁した米側との情報の交換、共有ということ、これはまさに神奈川県が自主的に行っているものでございます。各自治体もそれぞれの地域の実情や米側、パートナーの状況に応じてやっているものと考えていますが、こうしたものが制度化できないか、という思いはございます。

ただそれを制度化するにあたりましては、日米地位協定上になんらかの形で反映していくのか、それとも運用改善という形でやっていくのかは、それは日米地位協定に関する自治体間の考え方の違いといったものがあろうかと思いますので、そこは県市連絡協議会または渉外知事会の構成員ともしっかりと私どもの課題認識を共有させていただきながら、国に対して一方的に検証とか協議を求めるだけではなくて、私どもとしましても積極的に提案を行えるよう、今後課題の共有を深めてまいりたいと、このように考えております。

(松崎委員)

つまり、独自に行っている情報交換、制度化、これを本県としてはしっかりとした検証をし、そして米側との協議、このテーブルにのっけてもらいたい、ということで国に求めていくということの理解でよろしいですね。

(基地対策部長)

委員のおっしゃる通りでございます。

(松崎委員)

 在日米軍基地におけます、この新型コロナウイルス感染症対策につきまして、特に水際対策、そして変異株の問題も伺ってきたところでございます。世界ではコロナ感染症が依然として猛威を奮っております。そして変異株の登場という、新たな事態にも直面しています。それは本県も例外ではありません。わが国でも200名を超えました。その中で我が国は外国人の入国禁止を行っておりますので、感染症対策だけを優先するのであれば、米軍人の入国も禁止することが望ましいわけであります。しかしながら人員の移動は起きております。これが現実です。

そうであるならば、在日米軍に対し、本県としては、万全の新型コロナ感染症対策を求めていく、ということに他なりません。その際には、米側が行う部分がブラックボックスになってはならない。しっかりと情報提供を求めていく。そしてまた、他の国に駐留する米軍の事例も参照に、常に最善の措置が取られるよう、国に働きかけていく。さらには、日米地位協定を含めた制度面の課題、それは例えば独自に本県が行っている情報交換の制度化につきましても、しっかりとした検証と米側との協議を国に求めていく。この県の姿勢が本日、明確に示されたわけであります。

そこで、県としては、的確に情報交換、情報収集、これを続けていただいて、国や米側に機敏に働きかけを続けていただきたい。併せて、しっかりとした検証と米側との協議にのせるべき、日米地位協定の課題を明確に定義し、なるべく早い時期に結果を出せるよう、高い目的意識を発揮して、取り組んでいただくよう、強く要望して私からの質問は終わります。