総務政策常任委員会 開催日:令和3年12月9日(木)

菅原委員

 本定例会に提出された内部統制評価報告書及び審査意見書については、先行会派でも質疑されたが、我が会派としては、監査委員から「内部統制の運用上の重大な不備に該当する」との指摘がなされたことを非常に重く受け止めて考えており、地方公共団体にこの制度が導入された趣旨を確認した上で、当局に反省を求める立場から、何点かお伺いをさせていただきます。

 まず、そもそも、内部統制制度は、どのような背景、経緯で地方公共団体に適用されるようになったのか、あらためて確認させていただきたいと思います。

総務局副局長兼総務室長

内部統制制度でございますけれども、企業における粉飾決算などの不祥事をきっかけに、商法、会社法等に基づき民間企業において先行して導入されまして、地方公共団体においても、不適正な経理処理の発生などの課題が指摘されていたという背景がまずございます。

こうした中、第31次地方制度調査会から、人口減少社会において、行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくために、その要請に対応した地方行政体制を確立することが求められている、との答申をいただいております。これを受けまして、平成29年の地方自治法の改正により、監査制度の充実強化などと一体的に導入されたという経緯がございます。

菅原委員

 背景や経緯はご説明いただきましたので、理解いたしました。

では、次に、内部統制制度が導入された地方公共団体には、どのようなことが求められているのか、制度が導入されたことで、どのような効果が期待されているのか、お伺いしたいと思います。

総務局副局長兼総務室長

 各地方公共団体においては、内部統制制度を運用するにあたりまして、地方自治法あるいは総務省の示すガイドラインに基づき、内部統制の基本となる「方針」を定め、「体制の整備」を行う必要がございます。

そして、内部統制制度の導入・運用により、組織目的の達成を阻害する要因、いわゆるリスクがあることを前提に、法令等を遵守しつつ、適正に業務を執行することが、より一層求められることになります。

 期待される効果につきましては、内部統制の取組により、組織としてのマネージメントが強化され、業務の効率化により、職員にとっても働きやすい職場環境が実現し、それによりひいては、行政サービスを向上させるということが期待されているところでございます。

菅原委員

 内部統制制度の導入は、最終的に、行政サービスの向上を目指すものと今お話がございました。この制度では、議会や監査委員への報告が法律で義務づけられているが、その趣旨はどのようなところにあるのか、お伺いさせてください。

総務局副局長兼総務室長

まず、監査委員については、地方公共団体の財務事務の執行や行政事務一般について監査を行う、その専門的な知見を生かすことが効果的であるという趣旨から、監査委員による審査が地方自治法上定められております。

また、議会については、議会が知事から独立した立場から監視する役割を担っていただいておりまして、内部統制についても、その監視機能を発揮していただくという趣旨から、内部統制報告書の提出がこちらも自治法上定められているものでございます。

菅原委員

 議会の役割を理解させていただいたところです。そうした内部統制制度をうまく機能させるために、地方公共団体としては、どのような視点を持って制度を運用していくことが重要なのか、お伺いさせてください。

総務局副局長兼総務室長

内部統制は、全ての職員が、その趣旨を理解し、日常的にリスクを想定しながら、その発生の防止に留意しながら、主体的に適正な業務執行に取り組むよう、制度運用を図っていくという視点が重要と考えております。

また、内部統制は、継続的に見直しを行いながらよりよいものとして構築していくものですので、長期的な視点に立って取り組んでいくことも重要と考えております。

松崎委員

 関連で何点か伺いたいのですが、これまでの菅原委員の質疑で、地方公共団体に内部統制制度が導入された趣旨を確認してきたわけであります。

当局の答弁にもありましたように、内部統制は、地方自治法の大改正により導入された制度であり、私が監査委員を務めていた時期に導入の準備が進められておりました。私の認識として、この内部統制は、地方公共団体が、自らリスクを把握し、また、リスクが発生した際も、外部からの指摘や干渉を受ける前に、初期段階から主体的に適切に対処し、行政サービスの透明性を確保し、円滑な行政サービスを継続的に提供するために極めて重要な制度と認識しています。

そこで、まず、この内部統制制度について、当局として、どのように認識しているのかを、あらためて確認したいと思います。

総務局副局長兼総務室長

内部統制制度につきましては、地方公共団体における不適切な経理処理の発生などの状況の中、地方自治法の大改正により、導入されたものであり、地方自治体にとって重要な取組と認識しております。

 地方公共団体というのは公金を扱う主体でありまして、財務に関する事務の透明性の確保が特に重要であります。また、財務以外につきましても、毎年発生してしまっている不祥事の発生防止も重要です。

 内部統制はこうした観点から、あらかじめリスクを把握し、リスクの発生を未然に防止し、仮に発生した場合も適切に対処し、再発防止に取り組むことにより、事務の適正な執行を確保していくものであり、非常に重要な取組と認識しております。

松崎委員

 内部統制につきまして、非常に重要な取組と認識しているとの答弁がありました。

そうした認識にも関わらず、内部統制の自己評価報告対象所属を3つの局の本庁所属に限定したという運用は、矛盾していると厳しく指摘せざるを得ません。監査委員からも「重大な不備」と指摘されておりますが、私としても同感でございます。

重大な不備という重い指摘を受けてしまいましたが、今回、内部統制を初めて実施するに当たり、関係法令やガイドラインに定められた方針を整備したり、置くべき責任者を置くなど体制を整備した上で実施したのかどうか、どうでしょうか。

総務局副局長兼総務室長

 内部統制に係る方針につきましては、本県におきましても、地方自治体の規程ですとか、総務省から示されたガイドラインに基づき、令和2年4月に「神奈川県内部統制基本方針」を定めまして、内部統制の体制や手順を定めた要綱、実施要領を整備したところでございます。

 体制整備につきましては、内部統制を推進していく責任者を設けておりまして、主なものとして、全体の事務を推進する内部統制推進責任者として総務局総務室長、各所属における内部統制に当たる内部統制推進者として各所属長、独立的立場から内部統制の評価を行う独立的評価責任者として組織人材部長を充てるなど体制整備を図ったところでございます。

松崎委員

 実施にあたる推進責任者であるところの、答弁いただいている総務室長に伺いますが、自己評価の報告を行う所属を政策局、総務局、会計局の本庁所属に限定をして、それ以外の各所属はどうしていたのでしょうか。内部統制におけるリスク対応策の実施と報告には書いてあるんですね。具体的にこれはどのようなことを指すのでしょうか。リスク対応策の実施というのは、内部統制制度で特に求められていた対応なのかどうか、この点いかがでしょうか。

総務局副局長兼総務室長

 リスク対応策の実施につきましては、各所属において事務ミスなどのリスクが発生しないよう、日々の業務を行い、まず未然防止という点、リスクが発生した場合には、リスク対応策に問題がなかったのか、このような再検討を行うということがリスク対応策となります。内部統制制度を令和2年4月から実施しておりますけれども、各所属におきまして、このリスク対応策については実施していただいておるところですが、その後の報告書につきましては、29所属に絞らせていただいたということでございます。

松崎委員

今お聞きすると、リスク対応策の実施をしたという3局以外のところで行われたのは、日常業務でも当然とるべき対応であって、今回の内部統制制度の導入で新たにあるものではないのではないかとも思うわけです。本県の各所属に求められているのは、やっぱり内部統制制度によれば、自己評価の実施と報告であったと言わざるを得ません。

例えば今ご答弁いただいていて、推進責任者の立場の、総務局副局長兼総務室長であられますが、一所属としての総務室の自己評価を行う立場でございます。それから制度所管所属としての側面があります。それからチェックする側である独立的評価所属である行政管理課も所掌範囲となっている立場であります。こうした受検する立場とチェックする立場が重なっていることは、私は課題と考えるわけですが、どのように認識しておられますか。

総務局副局長兼総務室長

 体制整備の部分で、ガイドラインに基づきまして、内部統制推進責任者である総務局総務室長が、独立的評価責任者を兼任しないようにするなど、一定の工夫を行ったものでございますが、委員のご指摘、ご懸念は、もっともであると思います。

役割分担等の明確化などを図りまして、齟齬のないよう、あるいは誤解が生じないようなことで、進めてまいりたいと考えております。

松崎委員

今の点も含めまして、「重大な不備」という指摘を受けることは前代未聞でございます。当局として、どのように受け止めているのか、お伺いします。

総務局副局長兼総務室長

監査委員からのご指摘でございまして、これは重く受け止める必要があると考えているところです。

 令和2年度につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応の先行きが見えないという状況の中、

またそのような状況でしたが、内部統制制度は地方自治法に根拠を有する制度でございます。

 令和2年度は、財務等を所管する総務局、政策局、会計局の本庁所属29所属に絞って評価対象所属としましたが、実際に事業を執行している各局の事業所管所属においてこそリスク発生の可能性は高いということも考える必要があろうかと思います。こういったところで、内部統制の運用によってリスクの発生を防止することが重要であると改めて考える必要があるという受け止めでございます。

 今回は、内部統制も初めてのことであり、各所属や、制度所管所属等の負荷の程度を計りかねていたという状況ではございますが、このように、監査委員からご指摘を受けたということにつきましては、重く受け止め、反省をする必要があると考えております。

松崎委員

率直に反省という言葉もいただいたわけで、気持ちは受け止めたいと思います。今回の内部統制の運用について、そのように受け止めているならば、私は2つのことに早急に取り組まなければいけないと思っております。一つは、今回の県の報告書・監査委員の意見を県民に公表することであります。それから二つ目は、令和3年度こそは、制度趣旨に則って、全庁・全所属に対して適確な制度運営を徹底していただくことでございます。この二点につきまして、最後に、総務局長としての決意をお願いします。

総務局長

 ただいま副局長から令和2年度の内部統制制度の状況についてご説明をさせていただきました。昨年度、ちょうど一年前でございますが、新型コロナウイルスの収束が見えないという状況の中、県民の命を守る業務を最優先するという状況の中で、ちょっと言い訳になるかもしれませんが、内部統制制度についても初めて実施するということで、どれくらいの規模になるのか、その影響度が計りかねていたということで、やむを得ず自己評価報告の対象所属を絞ってしまったという事情でございます。

 しかしながら、今回の監査委員からのご指摘は、我々としても非常に重く受け止めているところでございます。

内部統制制度は、地方自治法に基づく制度であるということ。これは、組織としてのマネージメントを強化し、職員にとって安心して働きやすい職場環境をつくるという目的をなすものであるということでありまして、さらにその背景として、民間の損失補填の問題や我が県でも経験してしまいました不適正経理の問題だとか、そういったものが起因するというようなことでございます。

その観点からいけば、リスクは早いうちに摘み取っていかなければいけない、組織の中、まずは所属の中でひとつずつチェックを確実にできるような場面でなければいけないということ。それによって、信頼性の高い行政サービスが行われるというような形になると思います。

この点については、もう一度しっかりと私どもで受け止め、全庁にも伝えながら、今年度やっていきたいと思っております。

お話がありましたように、今回の内部統制につきまして、県の報告書・監査委員の審査意見書を、法律に則り公表してまいります。

 令和3年度につきましても、現在、コロナの新規感染者数や病床利用者が少ない状況になっておりますが、新型コロナウイルス感染症への対応は県庁の中で引き続き続いています。そこでできるだけ各所属の負担を軽減するような工夫を考えながら、例えば調査を一度やったということもありますので、調査やそういったものの期間を長くみるなどして、負担の分散化など工夫をして、全所属を対象として実施してまいります。

 今後の感染状況によっては、さらにどうなるかという部分もあるかもしれませんが、いろいろと工夫を出しながら、関係機関と協議しながら、実施していきたいと思います。

また、内部統制制度を通じて、県民の皆様に対して、より透明性が高く、信頼いただけるような行政を推進していくこととなりますので、それに努めてまいりたいと思います。

松崎委員

 令和2年度の内部統制におきましても、局長が言われたとおり、十分な期間を設けるなど実施方法を工夫すれば、全所属を報告対象として実施することも可能だったのではないかと考えるところであります。

地方自治法の改正により導入された内部統制制度を、重大な取組と認識されていたというお答えもありました。令和2年度において、対象所属を限定した扱いは極めて残念、遺憾と申すほかありませんが、監査委員からの「重大な不備」との指摘を重く受け止めた上で、令和3年度こそは、内部統制を再スタートさせるという意識をもって、真摯に取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質疑者に戻したいと思います。

菅原委員

 松崎委員からもあったとおり、反省して今後しっかりと取り組んでいただくことを要望します。