令和4年第3回定例会(後半) 次世代育成・デジタル戦略推進特別委員会質疑概要
令和4年12月13日(火)

松崎委員(立民)

ここから私から何点か伺っていく。子ども・子育て支援についてである。

子ども・子育て支援のこれまでの取組については、報告資料により、保育所等の整備や、県独自地域限定保育士試験の実施等による保育士の人数の増加により、「保育所等の待機児童数」は着実に減少してきており、一定の成果があがっていることは分かったが、出生数は減少を続け、少子化は加速している。

国は「こどもまんなか社会の実現」を目指して、来年度には「こども家庭庁」を設置し、子ども政策を強力に推進する。

こうした中、県の子ども・子育て支援について、気になっている事項を中心に、どのように取り組んでいくのか、確認していく。

小児医療費助成制度の拡充 

松崎委員(立民)

○ まず、小児医療費助成について伺いたい。小児医療費助成については、所得制限の撤廃など、市町村に費用を負担させればよいというものではなく、県としても考えを整理する時が来たとの問題意識を持っていたところ、今定例会で、知事から小児医療費助成制度の対象を、来年4月から現行の6歳までから、小学校卒業の12歳まで引き上げるとの答弁があった。小児医療費助成制度の拡充は、我が会派としても重要事項であり、9月定例会の本会議でも岸部議員から質問したところである。このことについて、何点か伺う。

○ 市町村を下支えするため、県は小児医療費助成の拡充を行うのだと思うが、県内市町村の小児医療費助成制度の実施状況はどのようになっているのか。

長谷川子ども家庭課長

○ 県内市町村の小児医療費助成制度の実施状況ですが、令和4年4月1日時点の状況となります。各市町村が助成対象としている児童年齢、所得制限の有無、一部負担の有無、この状況について説明させていただきます。

○ まず、助成対象のお子さんの年齢ですが、入院の場合は、大井町、松田町、清川村、この3つの自治体は高校卒業年度まで、その他の自治体は、すべて中学校卒業年度、15歳までとなっています。

○ また、通院の場合は、川崎市は小学校卒業年度までとしており、大井町と松田町は高校卒業年度まで、その他の市町村は、すべて中学校卒業年度までとなっています。

○ 次に、所得制限については、横浜、川崎、相模原の3政令市をはじめ、所得制限を設けているのが13自治体、設けていないのが20自治体です。その所得制限の基準や対象年齢などは、様々となっています。

○ さらに、窓口の一部負担金については、横浜、川崎、相模原、茅ヶ崎の4つの市に窓口負担がございます。それ以外の市町村については、窓口負担はありません。

○ なお、横浜、川崎など7市が、令和5年度から、所得制限の撤廃や対象年齢の引上げ等を予定していることを、県としても承知しております。

松崎委員(立民)

○ 今、所得制限の撤廃ということで横浜市が決定したとの話があったが、すべての皆さまが待たれていた決断だったと思う。市町村は最低限、これを進めることが大切だと思う。

○ 今回の県の小児医療費助成制度の拡充は、市町村が負担している予算・財源を県が負担するものである。多くの財源がこの事業に投入されると思うが、それだけのものがあれば、県自らが子ども・子育て支援施策を拡充するということも出来たのではないかと思うが、どうして、施策の選択の中で、小児医療費助成の拡充に舵を切ったのか。

長谷川子ども家庭課長

○ 県としては、子ども・子育て施策の主体は市町村と考えております。

○ その市町村は、子どもが安心して医療を受けられるよう、また、長引くコロナ禍による経済の圧迫や物価高騰などにより、子育て世帯の生活が大変厳しくなっている中、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、多額の財源が必要となるにも関わらず、小児医療費助成の拡充を図ろうとしております。

○ このような状況を踏まえまして、県としましても、子育て施策の最前線で努力されている市町村をなんとか下支えし、県と市町村が一体となって、子ども・子育て施策を充実させていくことは大変重要ではないかと考えたことから、このたび、小児医療費助成の対象年齢の引上げを行いたいと考えたところでございます。

松崎委員(立民)

○ 横浜市の決断は多額の財政負担が伴うが、それでも決断をして、小児医療費助成を拡充する。その支援を県として行おうという、そこに重点を置いたということは、私ども県会議員としても、基礎自治体を支援しなければならないという思いが強いので、一定の理解をするところである。

○ 次に実務的なことを伺うが、令和5年4月から実施するとのことだが、それまでに時間があるようで、実はあまりない。システム改修などを考えると、どのように準備していくのか。

長谷川子ども家庭課長

○ まず、全市町村を対象に、正式に今回の制度拡充についての説明・周知をすることが必要と考えましたことから、12月7日にオンラインを使いまして、市町村説明会を開催しました。今回の対象年齢引上げについて、経緯や趣旨を説明するとともに、市町村からも来年4月の実施に向けて、様々な課題があるということで、ご質問への回答をしたところでございます。

○ その中で、委員からもお話がありましたシステムの改修についてもご意見をいただいておりまして、そういった市町村の小児医療費助成の関連システムの改修について、県からも改めてお願いをしたといった次第でございます。

○ ただ、市町村のシステム自体は、個々に会社ですとか、つくりも違うということですので、4月の実施に間に合うように、県としましても、システム改修に必要な要綱の早期改定ですとか、適時適切な情報提供、そういった必要な協力を行って、市町村の準備が順調に進むよう対応していきたいと考えております。

松崎委員(立民)

○ 今の答弁では、我が国が抱えるDXの推進の課題を語っている。当委員会はそういうことについても触れてきている委員会だが、今日のところは、適時適切な情報をしっかりやっていただいて、4月からの事業実施ということではっきりしているわけなので、しっかりと取り組むようお願いする。

○ そのうえで、保険者である市町村は、保険医療機関等に対し、療養給付に関する費用を支払うが、市町村が支払事務を委託している神奈川県国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金も、システム改修が必要になるのではないか。

長谷川子ども家庭課長

○ 各市町村は、支払事務につきましては、今、委員からお話がありましたとおり、国保連や支払基金、こういった団体と個々に委託契約を締結していると承知しております。

○ 県は契約当事者ではありませんので、契約内容の詳細までは承知しておりませんが、契約内容によっては、国保連や支払基金のほうでシステム改修が必要になるといったようなことは、事前に確認をしていたところでございまして、市町村説明会では、市町村に、まずは団体との契約内容の確認をお願いしているところでございます。

○ その際、市町村からも、国保連や支払基金に、県からしっかり説明をしていただきたいというようなお話もいただいていましたので、まずは速やかに、県のほうから、今回のテーマの制度拡充についてのご説明を、それぞれ団体のほうに差し上げているところで、また、システム改修についても、必要な調整を、団体と市町村の間にも入って、県としてもなんとか4月をめざして、進めていきたいと考えております。

松崎委員(立民)

○ 答弁は一応理解したが、先ほどの答弁の中でもあったけれども、システムにはそれぞれベンダーがいて、それぞれシステムの言語が微妙に異なっていて、そのオリジナルの言語は、そこに入っているベンダーしか、実は組み立てることができないという、我が国の自治体DXの過重な課題が、実はここにあるわけである。それを一つひとつ、ベンダーが改修する。そのための時間が果たしてとれるかどうか。実は、ものすごい時間との競争になるかもしれない。

○ したがって、県として、今、部局は確かに福祉子どもみらい局で行われているけれども、デジタル関係の部局があるので、そういったところとよく連携を取っていただいて、しっかりと4月から事業が実施できるように、時間との競争になるけれども、作業を進めてほしい。

○ そのうえでお聞きするが、作業に当たって準備をしていただかねばならない、そのつもりはあるということは理解したが、子ども施策はやっぱり待ったなしだと思う。市町村の負担、これを軽減しようということで今回、財政的な措置を県として見ていこうとなったわけだが、市町村は、子ども施策をさらに充実させていきたいという思いがあると思う。そうすると、県として財源を活用して、市町村に一層、子ども施策の推進ということをやっていっていただきたい。そこのところの働きかけとか、どういう考え方で臨むのか。

長谷川子ども家庭課長

○ 委員ご指摘のとおり、市町村にとりましては、県からの補助額が対象年齢で6歳分増加しますので、その分の財政負担を軽減することができます。

○ この浮いた財源の活用につきましては、先日の市町村説明会においても、市町村における更なる子ども施策の充実強化について、お願いさせていただいたところです。今後も引き続き、お願いベースとはなりますが、市町村に対して、小児医療費助成の拡充でも構いませんし、その他子ども・子育て施策の充実強化、いかなる形でも構わないので、なんとか、他に財源を回さずに、子ども・子育て施策の更なる充実強化に向けて、活用していただけるよう取り組んでまいりたいと思います。

松崎委員(立民)

(要望) ○ つまり、市町村が決めることなので、失礼になってはいけないけれども、浮いた財源というものが、全く関係のないところに行ってしまったというのでは、なんのこっちゃということになりかねない。必ず、そこのところは、引き続き子ども施策の充実に使っていただけるような形で、工夫をどのようにしていくかというのは、市町村に情報提供をしつつ、場合によっては話し合いをしていただいて、しっかりと県として連携しながら、子ども施策がこれで充実するようにやっていただきたい。よろしくお願いする。