令和4年第3回(12月)定例会次世代育成・デジタル戦略推進特別委員会質疑概要
令和4年12月13日(火)

松崎委員(立民)

○ 幼稚園、保育所への支援について取り上げていきたいが、特に今日は、病児保育事業について、伺う。子育て経験者は誰もが、子どもが急に病気になって、預け先に困ったという経験があると思う。病気の子どもを、保護者が家庭で保育できない場合に、病院や保育所等で預かる病児保育事業は、保護者が安心して働き続けられる環境と、子どもの健康管理の観点からも重要な事業である。病児保育事業の現状と課題を確認し、課題解決に向けた今後の取組を確認する。

病児保育事業では、病気の子どもを預けられることは分かるが、具体的には、どのような状況の子どもを預けることができるのか、また、県はこれまでどのような支援を行ってきたのか伺う。

山﨑次世代育成課副課長

○ まず、病児保育事業の対象となる児童についてお答えします。病気の回復期には至っていませんが、当面の症状に急変が認められない児童や、回復期ですが、集団保育が困難な児童が対象となります。

次に、病児保育事業に対する県の支援としましては、病児保育事業の実施主体である市町村に対し、運営費等への補助を行っています。また、病児保育事業を実施するための、施設の整備にかかる費用の一部を補助しています。

松崎委員(立民)

○ 県の病児保育事業に対して、補助制度などにより支援を行っていることは分かったが、県内市町村で病児保育事業を実施している数と、施設数、利用人数はどのくらいになるのか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 県内で病児保育事業を実施している施設数は、令和4年4月1日現在で、25市町で73施設でございます。利用人数は、年間約2万人となっています。

松崎委員(立民)

○ 2万人と聞いて、大変多いなと実感するが、この実情を、県はどのように評価しているのか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育施設を利用したい保護者からは、「予約が取りにくい」といった声もあり、可能であれば、施設の数が増えることが望ましいと考えています。 

一方で、病児保育施設の利用者数は、病気の流行に左右されるため、利用者数が安定せず、経営が難しいという現状があることも、施設側から聞いています。そうした中で、現在、県内では、25市町、7割以上の市町村が病児保育事業を実施している状況となっていますので、一定程度評価できるのではないかと考えています。

しかしながら、病児保育事業を実施していない市町村は、現時点で8市町村ありますので、県内のより多くの地域で病児保育事業を行っていただけるよう、県が後押しすることも必要と考えています。

今後、病児保育施設の数がさらに増えれば、利用する保護者も、より利用しやすくなると思いますが、まずは、現在事業を実施している病児保育施設が、安定的に経営できる環境を整えることが大切であると認識しています。

松崎委員(立民)

○ 病児保育事業を実施できていない自治体が、8市町村あるとのことだが、どのような理由からできていないのか。また、このような市町村に対して、県からの支援が必要だと思うが、何か支援できることはあるか伺う。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育事業を実施できていない、8市町村の理由としましては、一番多い理由が、地域に病児保育事業者自体がいないが、5市町村あります。

また、そういった事業者はいないのですが、地域のボランティアが子どもを預かる「ファミリー・サポート・センター事業」で対応しているが、2市町村あります。

残りの1つの市町村は、「今後、病児保育事業を実施していく予定」だと聞いています。

県としましては、病児保育事業を実施していない市町村に対して、病児保育事業を実施している近隣市町村との共同実施や、ファミリー・サポート・センター事業で、病児を預かる方法を提案するなど、地域の実情に即して、市町村の取組などを支援していきたいと考えています。

松崎委員(立民)

○ 今ご説明のあったような市が病児保育事業を行いながら、一方で現在行っていない市町村でも、病児保育事業が進むように取り組むよう要望する。また、病児保育を実施していない8市町村以外の市町村では、十分な取組が行われているのか。必ずしもそうではないと思う。私自身、利用者の方から声を聞くことが多いが、病児保育事業の課題があれば伺いたい。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育事業につきましては、県では、病児保育を利用する側、いわゆる保護者と、事業者側それぞれにおいて課題があると認識しています。

まず、病児保育施設を利用する側から見た課題としましては、市町村等からの周知が不十分で、保護者に病児保育事業自体が知られていない、病児保育施設の場所、利用時間などの情報が入手しにくい、病児保育施設の利用申込の受付方法が、主に電話で、一人の受付応対に時間がかかるため、電話がつながりにくいなどの課題があると考えています。

次に、病児保育施設の事業者の課題としましては、利用者数が安定しないために、病児保育施設の約5割が赤字経営となっており、経営状況が厳しいといった課題があると考えています。

松崎委員(立民)

○ 今、色々と伺ってきたが、当局から様々な課題が示された。病児保育が知られていないといった課題、病児保育の情報が入手しにくいといった課題、電話がつながりにくいといった課題などがあるということだが、私も地元でそうした話をよく聞くし、本当にそうだと思う。

今年9月には、相模原市が病児・病後児保育に関するアンケートを実施した。その結果によると、病児保育を知らないという方が、4割にも上っており、「予約の状況確認や手続き方法」に改善の必要性を感じている方が36%、さらに自由意見では、予約や利用手続きをシステム化してほしいといった要望も寄せられるなど、データ的にも証明された形である。

いざ使おうと思っても、情報がとれない、電話がつながらないというのは、大変困った状況である。こうした状況を改善するためにも、現場のICT導入が急務であると思う。

そこで伺うが、病児保育施設におけるICT化、つまりパソコンやスマホによる予約方法の実施状況は、どの程度なのか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 今年度、本県では県内の病児保育事業に係る実態調査を行いました。その調査結果によりますと、病児保育施設における利用申込の受付方法は、電話が、約7割、受付システム、いわゆるICT化が進んでいるところが、約3割となっています。

松崎委員(立民)

○ 正確には、電話74%で、受付システムが26%ということで間違いないか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 電話74%で、受付システムが26%となっています。

松崎委員(立民)

○ 病児保育施設に電話が何回線もあるわけではない。私も電話がつながらないなど、保護者の利用がうまくいっていないということをよく聞いている。  

こうした状況を改善するためには、電話による予約方法を見直し、ICT化、つまりパソコンやスマホによる予約方法を採用するなど、利用しやすい環境を整えた方が良いと思う。ICT化が進まない理由をどう考えているか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育施設で、ICT化が進まない理由としましては、やはり経営が厳しい施設が多い中、システム導入費用を捻出することが困難なためと考えています。

松崎委員(立民)

○ 明快な理由だと思う。国の補助メニューなどはないのか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育事業に対する補助メニューとしては、国の「病児保育事業等の予約業務のICT化を行うためのシステム導入に係る補助制度」があります。

 内容としましては、システムを導入する病児保育施設に、その初期費用の一部を国と市町村が、補助するものです。ただし、一部費用は、事業者の自己負担が残る形となっています。

松崎委員(立民)

○ 補助メニューがあるならそれを活用するように事業者に促せばよいのではないか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育施設にとって、利用者からの申込みが、電話で受付ができるため、費用のかかるシステム導入に、メリットを感じていない状況もあるのではないかと考えています。

松崎委員(立民)

○ そうすると逆に県はICTを導入することをどう考えているのか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 病児保育施設のICT化の普及・導入は、利用者側にとりましては、施設の空き状況がスマートフォンなどで見える、いわゆる病児保育の見える化が進み、また、利用申込がしやすくなるということで、大変有効な取組と認識しています。

病児保育施設の事業者にとっても、当日の予約状況一覧がシステムから出力され管理がしやすくなる、また、利用申込者全員に当日の朝にリマインドメールが届くので、キャンセル忘れがなくなったり、次のキャンセル待ちの方の繰り上げがスムーズとなります。そうしますと、空き室がなくなり、施設にとって定員まで有効に活用できるようになります。さらに予約電話の電話応対時間が減り、その分職員が保育に集中できるなど、事業者にとって効率的な運営が図られることが期待されているのではと考えています。

県としましては、市町村を通じて、病児保育事業者にとってのICT化のメリットをしっかりお伝えしながら、病児保育施設のシステム導入を促していきたいと考えています。

松崎委員(立民)

○ 促していきたいでは甘いのではないか。利用したいのに電話がつながらなくて、困っている家庭が現実にあるわけで、事業者がシステム導入に踏み切れないのは、導入費用がかかるからだということがはっきりしている。県がそれを肩代わりするくらいの覚悟が必要なのではないか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 委員ご指摘の通り、本県としましても、病児保育施設におけるICT化の重要性は十分感じておりますので、病児保育施設のシステム導入を、市町村を通じて施設に働き掛けてまいりたいと考えています。費用面につきましては、今後、前向きに検討していきたいと考えています。

松崎委員(立民)

○ 重要な答弁をされたと受け止めるが、今も病気の子どもを抱え、預け先がなかなか見つからずに困っている方がいるわけで、検討ということではなくて、やはり覚悟や決意を述べていただきたいが。とっくにそういった時期は来ていると思う。いかがか。

山﨑次世代育成課副課長

○ 現在、県では、令和5年度の予算編成中でございます。病児保育事業の利用促進が図られ、保護者にも病児保育施設にも、双方にとって有益となる取組となるよう、本県としても、しっかり事業に取り組んでいきたいと考えています。

松崎委員(立民)

○ 実行しようという当局の思いは受け止める。ただ、今の答弁では、来年度事業をやれるのか、やれないのか、はっきりと分からず、しっくりこないが。部長どうか。

松谷子どもみらい部長

○ ただいま、委員から、病児保育施設の負担分を県が負担したらどうか、というご提案をいただきました。

所管課から縷々答弁をしてきましたが、私も病児保育を進める上では、ICT化は大変重要な視点だと認識しています。これからしっかり庁内で検討、調整を進めていきたいと思っています。

現在、予算編成作業中ではありますが、県の保育施設の補助メニューがありますので、そういった中に病児保育事業のICT化が進むようなメニューの追加を検討するなど、来年に向けて工夫しながら実施していきたいと考えています。

松崎委員立民)

○ 県は、病児保育を充実させていくため、今後、どのように取り組んでいこうと考えているのか、最後に伺う。

山﨑次世代育成課副課長

○ 本県といたしましては、病児保育施設のICT化について、しっかり取り組んでいきたい、と考えています。それとともに、病児保育事業の認知度の向上を図ることが何よりも重要だと考えています。

それにより、利用者の増加や、それに伴う施設の収入の増加、さらに、赤字経営の改善につなげていき、病児保育施設自体が安定運営できるように下支えしていきたいと考えています。

具体的には、保護者が病児保育事業の情報を入手しやすくなるよう、市町村の病児保育情報を集約して、県のホームページ上で一元的に情報発信していきたいと考えています。この取組につきましては、市町村が実施する病児保育事業の取組の後押しになりますので、保育の実施主体である市町村の意向も確認しながら、県として、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

松崎委員(立民) ○ 要望を申し上げる。病児保育事業は、保護者が安心して働き続けられる環境と、子どもの健康管理の観点からも重要な事業である。ICTを活用して病児保育事業の利便性の向上を図ることは、病児保育事業者の安定経営と負担軽減の側面からも有効である。県が事業費を補助するなど、是非考えていってほしい、このことを強く要望する。