令和5年3月9日 予算委員会・一般質疑(立憲民主党・民権クラブ 松崎委員)

(松崎委員)

子どもは、言うまでもなく宝であります。少子化が加速し、人口減少社会において、すべての子どもが幸福で健やかに成長できる社会を作っていくことが、子どもたちの明るい未来と、県全体の明日につながります。子ども子育て施策を充実させていくことは大変重要なんです。県では、来年度予算案として、様々な子ども子育て施策を計上しており、私がこれまで課題意識を持ってきた施策を中心に確認してまいります。

まず、病児保育事業についてであります。子どもが病気で自宅での保育が困難な場合に、病院や保育所等で病気の子どもを一時的に保育する、預かる病児保育事業は、就労している保護者が安心して子育てと仕事を両立させるために不可欠なものであります。私にも4歳の子どもがいて、同年代の子どもをもつ保護者の方から、子どもが病気だが、あるいはその回復期だが、子どもの預かり先がない。病児保育を利用したくても、電話がつながらないなど、病児保育は利用しづらい、といった声を聞いてまいりました。そのことから、12月13日の「次世代育成・デジタル戦略推進特別委員会」で質問し、県内の病児保育施設の予約の受付方法が「電話予約」が74%で、「WEBシステム予約」は26%にとどまる現状を把握し、私から、ICTを活用した病児保育事業の利便性の向上と、県による事業費の補助の検討を意見、要望させていただいたところ、令和5年度当初予算案において、私の提案は予算化されました。

その内容を含め、県における病児保育の今後の展開について、確認いたします。まず、新たに実施する病児保育支援事業費補助の事業内容と、どのくらいの施設に補助する見込みなのかを伺います。

(次世代育成担当課長)

病児保育支援事業費補助は、病児保育施設の利便性を向上させるため、従来の電話に代わり予約システム導入等のICT化を支援する事業となっています。具体的には、ICT化の補助のうち事業者の自己負担分を県が市町村に補助するもので、事業者のICT導入経費は、実質、無償となります。令和5年度は、14施設に補助する見込みとしています。 

(松崎委員)

施設の予約方法として、ICTを活用することについて、病児保育施設側はどう受け止めているんでしょうか。

(次世代育成担当課長)

多くの病児保育施設では、ICTに精通した人材がいないことに加え、利用者数が安定せず、経営が厳しいといった現状にあります。

 そのため、費用のかかるシステム導入をする資金的な余裕がなく、また、現在の電話による申込み方法から変更するメリットを感じていない状況にあります。

(松崎委員)

病児保育施設の施設数とそれからICTを導入していない施設数、また、病児保育施設の年間利用者数、それぞれどのくらいかを確認します。

(次世代育成担当課長)

県内における病児保育施設数は、25自治体に73施設あり、そのうち、ICT未導入の病児保育施設数は 42施設となっています。また、病児保育施設の年間利用者数は、延べ2万人となっています。

(松崎委員)

2万人ということでだいぶ多いなと思います。病児保育施設において、ICT化が進んでいない現状はわかったんですけど、私は病児保育の利便性にはICTの活用が大事だと思います。今回の事業では、14の病児保育施設にICT化を実施するとのことでしたが、これを広げていかないといけないと思います。県はどのように取り組んでいくのか。子どもみらい部長に伺います。

(子どもみらい部長)

来年度、ICTを導入する14施設に対しまして、事業の効果を検証するためのアンケートなどを随時行いながら、職員の負担軽減や職場環境の改善、施設の利用率の向上など、ICT導入の効果について確認をしていきます。こうした効果などを未導入の施設にもしっかりとお伝えすることにより、病児保育施設へのシステムの導入が進むよう取り組んでまいります。

(松崎委員)

病児保育施設のICT化の推進に向け一歩踏み出したことは評価しております。今後は、病児保育自体を広げていくことも考えていかなければならないと思っております。33自治体のうち8自治体では、病児保育施設がないとの答弁だったが、この現状を県はどのように考えているんでしょうか。

(子どもみらい部長)

 県内どこに住んでいても、自らが住む身近な地域で、病児保育が受けられることが大切だと考えています。しかしながら、病児保育を未実施の市町村の多くは、病児保育を実施する、医療機関や保育所がないなどの理由から、その実施が進まないという現状があります。そのため、県では、未実施の市町村に対しまして、地域のボランティアが子どもを預かるファミリーサポートセンター事業の活用などを提案してまいりました。県としては、すべての市町村で、病児保育施設が利用できることが望ましいと考えています。

(松崎委員)

病児保育施設がない自治体の現状を今お聞きしましたけれど、病児保育は、保護者が安心して子育てをするために不可欠なもので、広げていくべきものと考えております。病児保育の今後の展開について、県としての考えを福祉子どもみらい局長に伺います。

(福祉子どもみらい局長)

 ただ今、所管の課長、部長から、病児保育のICT化導入の推進などの取組につきまして、答弁させていただきました。

県としましては、病児保育施設のICT化が進むよう、未導入の施設に県の担当者が直接出向いて、ICT導入の効果などを丁寧に説明するなど、積極的に取り組んでまいります。 また、病児保育がない市町村においては、隣接する市町村の病児保育施設を利用することができないか、こういったことを検討しまして、病児保育の空白地帯を作らないようにしてまいりたいと考えています。

(松崎委員)

知事に伺いたいんですが、今局長から空白地帯という言葉がありました。病児保育の空白地帯があるということは、つまり子育て支援の空白地帯だと思います。こうした空白地帯が本県の中にあること自体が問題だと思います。知事はどうご認識されていますか。

(知事)

 病児保育は、保護者が安心して働き続けられる環境と、子どもの健康管理という観点から、大変重要な事業であると認識しています。

現在、私自身が、子育て世代の県職員と、子ども施策について直接意見交換を行っていますが、この中でも共働きの職員から、子どもが熱を出して出勤が困難になったなどの切実な声がありました。

 県はこれまで、病児保育の実施主体である市町村に対し、開設時の施設整備費や運営費を補助してきましたが、病児保育の更なる充実のため、令和5年度当初予算案に、施設のICT化を図るための事業を計上しています。

病児保育施設のICT化は、利用者の利便性の向上につながり、施設で働く保育士等の負担の軽減や効率的な事業運営などにも寄与することから、市町村と緊密に連携して、着実に推進していきます。

また、病児保育を未実施の市町村に対しては、県から、近隣市町村間での共同実施を提案するなど、病児保育が広がるように、空白を無くすように取り組んでまいりたいと考えています。

 今後も、病児保育の充実を図り、安全安心な保育の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

(松崎委員)

知事から力強い答弁をいただきました。今後の病児保育事業を県が力強く後押しをして展開していくように、そして空白地帯を無くすように努めていただくことをお願いして次の質問に移ります。