令和5年3月9日 予算委員会・一般質疑(立憲民主党・民権クラブ 松崎委員)

(松崎委員)

 続いて教育委員会関係の答弁に移らせていただきます。

 これまで、人口減少社会における正に差し迫った課題として、次世代育成関連の取組について、福祉子どもみらい局に確認してきましたが、学齢期へとステージが上がると、今度は、小学校・中学校・高校での生活が、子どもたちの中心になってまいります。

 そこで、これから、教育に関する取組について、取りあげていまいります。

 合理性に乏しい、いわゆるブラック校則というものがあります。一例を挙げると、今年1月、広島の中学校で、雪の降る寒い日に、ジャンパーを着て登校した生徒が、校則に基づいて、着てこないようにと教員から指導を受け、その後、発熱したという報道がありました。このように、常識と相いれないことが、校則の名のもとに、まかり通っているのは、生徒たちの声が、学校や教育委員会に届いていないからだと思います。

 このような、いわゆるブラック校則は、本県の県立高校にはないと伺っております。確かに字面上はないということなのかもしれませんが、ネットで検索すると、神奈川でも生徒のものと思われる書き込みがヒットするほか、いわばブラック指導ともいうような教師の不適切な指導についての書き込みもございます。

その中からいくつか御紹介したいと思います。

厚木市の男子高校生です。「古典の授業で、先生に『基本飲み物を飲むことは禁止』とされていた。うちの学校は70分授業なので、必然的にのどは乾くし、エアコンの温度も先生が管理していて自由が利かない中での水分補給禁止は、むしろ授業の妨げになると思う」。

秦野市の男子高校生の書き込みは、「バレー部の顧問が反抗的な態度をとった3年生部員に対して殴る蹴るの暴行を加えていた」。

平塚市の女子高校生は、「指定以外のマフラーをしたりネックウォーマーをしたら、マフラーを取り上げ、卒業するまで返さない。コートは指定のもの以外でも、ある程度、指定のものに似ていると許可されるが、そのルールが細かく、ボタンの色や、見えない内側の色までも決まっている。ボタンの色や見えない部分の指定をする意味が理解できない」。

「スマホは使用禁止で、電源を切れば持込み許可されるが、もし大地震が起きたり、火災などの災害が起きた時は、保護者と連絡するまで、電源を入れるため時間がかかる。その時に生死にかかわるようなことが起きてからでは遅い」。

「全てにおいて、それが何のためにある校則で、どのような生徒を作り上げたいのか。ただただルールを守ることが正しいのか。理不尽なルールに反発をできなくするという教師は、教師としてそれでいいのだろうか。子どもの意見に耳を向け、彼らの意見を尊重し、校長に提案するなど、そもそも教師が上司や校長に意見を言うということがよくない雰囲気がある時点で子どもたちの手本にならないであろう。理不尽でストレスを抱え学校に行く人を少しでも減らすべきだ」。

川崎市の高校生。性別「その他」。「髪の毛を眉毛より長くしてはならない。耳にかかってはいけない。理由は工業高校だから。機械に巻き込まれるから。ロン毛じゃあるまいし、そんなわけないだろ。ちなみに注意した先生は、茶髪で、髪の毛も長いし意味不明」。

川崎市の男子高校生。「男子はツーブロック禁止。生徒会に一応、目安箱が置いてあって、生徒からも改善の声が多く、一時期は校則見直しの検討があったが、結局改善されず。理由は『頭髪が原因で事件や事故に巻き込まれる恐れがある』。ほんとに時代遅れ」。

ネットの書き込みで真偽のほどは分からないといわれるかもしれませんが、こういう声が上がっているということは、やはり何かあるはずです。大人はこういう子どもの声を無視してはならない。校則に限らず、施策を検討するに当たって、当事者である生徒の声を聴くことが必要だと思います。

教育委員会においても、施策を検討するに当たって、当事者である生徒の声を取り入れていくべきと考えるんですけれど、これまで教育委員会では、どのような取組を行ってきたのか、伺います。

(教育局企画調整担当課長)

当事者である生徒の声を聴く取組としては、日本青年会議所神奈川ブロック協議会と連携して、毎年8月に実施しているハイスクール議会がございます。

また、このハイスクール議会における高校生からの提言を受け、高校生が教育委員会に直接、意見を伝える機会として、平成27年度から高校生版教育委員会を実施しています。

(松崎委員)

高校生版教育委員会は、これまでどのような形で開催してきたんでしょうか。

(教育局企画調整担当課長)

 高校生版教育委員会は、県教育委員会と同人数である6人の高校生を公募して、「高校生活とSNSの適切な関わり」など、事前に決めたテーマについて、高校生が意見を述べ、教育委員と意見交換する形で行ってきました。

平成27年度から毎年実施してきましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年度から今年度までは開催を見合わせています。

(松崎委員)

 当事者である生徒が、教育委員会に直接、意見を表明できる場というものは、大変、重要であります。コロナ禍の3年間、様々に、学校生活において、制限をされてきた高校生。自分の考えを言葉でなかなか伝えられない不自由さを実感してきたのではないかと思います。

 ブラック校則のことを調べていると、ネット上で制服が販売されていることに気づきました。コスプレ用とうたっていて、各県立高校の実名が入っています。もともとは本人や御家族が、捨ててしまうより他の人の役に立てばよいという思いで提供したんでしょうけれど、ネットの匿名の仕組みの中で、全く違った扱いが横行しています。

 このような実態について、教育長の見解を伺います。

(教育長)

 今、委員から、お話をいただいて、驚いているところでございます。

 おそらくインターネット上で転売等がされる中で、そのような扱いがされたと思いますが、他の人の役に立てば、という生徒の思いを考えると、こうした状況を知れば生徒は大変傷つくのではないかと思います。

 一部の県立高校では、PTAが中心になって、利用しなくなった制服を希望する生徒に譲る取組を行っているところもあると聞いているが、お話のあった事例は、正に顔が見えないインターネットの怖さ、これを表したものであり、こうしたことを子どもたちに理解させる上でも、情報の授業等で、情報リテラシーをしっかりと醸成していく必要性を改めて感じたところでございます。

(松崎委員)

 自分の着ていた制服なんですよ。それをインターネット上でコスプレ用として売られているわけであります。それを知った子どもたちの心、傷つきますよ。そして、ショックは計り知れないと思います。大人への過程にある、そういう高校生の状況を考えると、そのような思いを自分事として発言してもらう必要もあるのではないかと思うんですが、そのためにも、高校生の意見表明の場が必要かと思います。

ぜひとも、先程、答弁のあった高校生版教育委員会、これを復活させていただきたいと思います。また、その際には、いままでどおりということではなくて、より生徒が参加しやすい仕組みにできないかと思うんですが、教育長の見解を伺います。

(教育長)

 当事者目線を大切にして県政を運営していくという方向の中で、教育施策を進める上でも、高校生の意見を聴くことは、大変、重要であります。

 高校生版教育委員会は、当事者の声を直接、聴くことができる貴重な機会ですので、コロナ対策の出口が見えてきた中、来年度から、ぜひ再開したいと思います。

 その際には、これまでのように教育委員会と同数の6名にこだわることなく、対面に加えて、オンライン参加も取り入れて、希望する高校生が全員参加できる、新しいやり方にしていきたいと考えています。

(松崎委員)

 高校生版教育委員会の復活にあたり、いつ頃、どのようなテーマで実施するのかなど、現時点で決まっていることがあれば、その概要を伺います。

(教育長)

高校生版教育委員会は、これまで、11月の平日の午後に実施しておりました。これを高校生の目線で、参加しやすさということを考えると、やはり夏休みに入った直後の7月下旬位が望ましいと考えています。

 また、テーマについては、現在、教育委員会として、最も大きな課題と捉えております、いわゆる教師不足の問題について、高校生の目線で分かりやすく、みなさんの身近な教師の仕事ってどんなものだと思いますか、その魅力って何ですか、みなさんが教師を目指すとしたら、どんなことが不安ですか、では、みなさんの目線で、どうしたら教師を目指す人が増えると思いますか、こういったことについて、率直な意見やアイディアを伺いたいと考えています。

(松崎委員)

実は、今回、提起した私の問題と、今、教育長が述べられた教師不足の問題は、1つにつながっていると思います。つまり、そういう学校で教師を勤めたいか、いや違う、これから先、こういう学校だったら教師を勤めたい、あるいは、こういう教師像だったら私はなってみたい、そういう風に、今の高校生たちが、本当に思えるかどうかというところが、正に問題の核心だと思うんです。だからこそ、真剣に深刻に捉えた、その1つ1つの課題について、きっちりと意見を交わして、また、教育委員の先生方からも、見識や御見解を伺う中で、私は神奈川らしい1つの教育の在り方が見出せると思うし、はじめて教師不足に対して、何らかの答えが出てくると思います。 ぜひ、今日のやり取り、答弁をいただいて、ここから新たな、やっぱり学校とか、あるいはまた、教師像というものを探っていく中で、より望ましい、そして私たちが安心だなということを実感できるような学校、教育、そして1人1人の教師像を追い求めていただくことを要望申し上げて、私からの質問を終わります。