立民・松崎委員
総務政策常任委員会
令和7年3月4日
〇 松崎淳委員
では、午前中に引き続きまして私の方から今度は基地問題について伺ってまいります。
本県には多数の基地が所在いたしており、第二の基地県とも呼ばれておりまして、基地問題解決のため、基地返還を目指すことが大変重要であると考えております。
12月のこの委員会で池子住宅地区の飛び地部分の返還について質疑したわけですが、引き続き、現在の状況を含め何点か質疑をしたいと思います。
まず、池子住宅地区にある横浜市の飛び地部分が平成16年に日米間で返還方針が合意をされており、横浜市は飛び地部分について、どのような、跡地利用を考えているのか、お伺いします。
〇基地対策課長
横浜市も構成市となっております、「神奈川県基地関係県市連絡協議会」におきましては、跡地利用の考え方を具体的に示したうえで、基地返還の要望活動を行っています。その中で、池子住宅地区の飛び地部分については「周辺住民が災害時に利用できる避難場所等としての利用を図る」ということにしております。
〇松崎淳委員
飛び地部分、これは実際には地元金沢区にあたりますが、防災訓練を実施していると私自身も把握し、承知をしております。最近の実施状況を確認の意味でお伺いいたします。
〇基地対策課長
池子住宅地区の飛び地部分におきましては、地元の町内会連合会が主催しまして、防災訓練を実施していると承知しております。新型コロナウイルス感染症による延期等はございましたが、近年では令和4年度、5年度、6年度にそれぞれ行われております。直近の令和6年11月に行われた訓練におきましては町内会の方々のほか、横浜市、防衛省、米海軍の方々を含め、100名弱が参加しまして、基地であることから通常は、施錠されておりますので、その施錠されているフェンスを開ける手順の確認であるとか、住民の避難場所への参集等が行われたと承知しております。
〇松崎淳委員
他にもですね、県内基地を広域避難場所として指定している例はありますか。
〇基地対策課長
県内では、横浜市、相模原市及び逗子市が米軍基地を広域避難場所として指定しております。
まず、横浜市ですけれども、こちら、池子住宅地区の一部の他に根岸住宅地区を広域避難場所として指定しております。
また、相模原市におきましては、相模総合補給廠とキャンプ座間のそれぞれ一部につきまして、広域避難場所として指定しております。
また、逗子市でございますけれども、池子住宅地区に隣接します、久木中・小学校共同運動場及び付近一帯を広域避難場所として指定しておりまして、その区域に一部基地が含まれているかたちで指定されています。
〇松崎淳委員
避難のためには基地に立入るということになるわけであります。日米地位協定上には、その根拠がありますか。
〇基地対策課長
災害時に住民の避難のために、米軍基地に立入る根拠といたしましては、日米地位協定第3条でいわゆる「管理権」として在日米軍に対して基地の管理・運営のための裁量が幅広く認められているということでございます。
それによりまして、通常は立入りを制限している基地内におきまして、米軍の裁量といたしまして災害時における避難のために立入りを認めるという場合があると承知しております。
また、都道府県又は他の地方の当局による在日米軍施設及び区域への立入りについてというものが平成19年4月に日米間で合意されております。この合意によって立入りを認めるという場合もあると承知しております。以上でございます。
〇松崎淳委員
災害時の避難以外の立入りにつきましては日本側の立入りについて定めはありますか。
〇基地対策課長
災害時の避難以外のケースにつきましてもいくつかの場合に米軍基地への立入りが定められているものがございます。
1つ目が、平成13年1月の日米合同委員会合意におきまして人道上重要で緊急を要する事態の対処に支援するために、我が国の緊急車両等が在日米軍施設区域へ立入り通行するというような手続きを定めています。また、令和4年7月の日米合同委員会合意におきましては、米軍基地の案内を伴う視察や米軍との協議等のために自治体職員等が米軍基地に立ち入る手続きが定められております。また、日米合同委員会合意ではなく、補足協定により、基地への立入りが定められている場合もございまして、平成27年9月の日米地位協定に関する環境補足協定が締結されまして、環境に影響を及ぼす事故が発生した場合等に環境補足協定に基づく立入りが認められることになっております。
〇松崎淳委員
池子住宅地区の飛び地部分の状況は今、お話しをいただいたところですが、他の県内基地の今後の返還見込みはいかがでしょうか。
〇基地対策課長
池子住宅地区の飛び地部分のほかにはですね、日米間で返還が合意されているところについては根岸住宅地区の全てと、相模総合補給廠の北側外周道路部分がございます。根岸住宅地区につきましては平成16年に返還方針が合意されまして令和元年から返還に向けて国が共同使用しまして、原状回復作業を行っております。
また、昨年1月には根岸住宅地区の跡地利用として横浜市が区画整理事業を行うことが明らかとなりまして、横浜市が跡地利用に向けた準備作業のため、共同使用に加わっている状況がございます。また、相模総合補給廠の北側外周道路につきましてはこちらは平成25年に返還が合意されまして平成30年度末に市と米軍との間でフェンス移設工事等の詳細についての協議を完了しまして、現在、返還のための整備を市が進めている状況でございます。
〇松崎淳委員
是非ですね、返還に向けて具体的な動き、これがですね池子住宅地区飛び地の部分につきましてもこれが実際に返還に至るよう県においては取組を強化していただきたいと思うんですが、何か考えはありますか。
〇基地対策課長
米軍基地の返還というのは、米軍基地による基地負担の軽減のために非常に重要な取組だと考えておりますので、我々基地関係県市連絡協議会等を通じまして、関係市とも連携しながら基地返還に取り組んでいきたいと考えております。
〇松崎淳委員
是非、よろしくお願いします。
ところで、報告資料によりますと、昨年の11月から空母ロナルド・レーガンに代わり、ジョージ・ワシントンが横須賀基地に入港しているわけですが、それによって横須賀基地や海軍の住宅地区であります池子住宅地区において何か目にみえる変化はありますか。
〇基地対策課長
昨年11月に空母ジョージ・ワシントンが入港しており、その後の状況を我々も注視しておりますけれども、横須賀基地であるとか池子住宅地区等において特に大きな動きはないように我々としては把握していない状況でございます。
〇松崎淳委員
その空母の交代に伴い、艦載機の変更はありますか。
〇基地対策課長
昨年11月の空母入港に先立ちまして夏に我々、空母艦載機の機種更新についての情報提供を受けておりますけれども、国からの情報によりますと、4つの戦闘飛行隊のうち、1個飛行隊についてFA-18スーパーホーネット飛行隊からF35-C飛行隊になると、また、C-2輸送機というものがございますけれども、その飛行隊からCMV-22オスプレイ飛行隊にそれぞれ更新するとの説明を受けております。
〇松崎淳委員
F-35とそれからCMV-22ですね。
〇基地対策課長
その通りでございます。
〇松崎淳委員
ドローンなどの無人機が配備されるという情報はありませんか。
〇基地対策課長
国の方からはドローン等といった情報を我々受けていない状況でございます。
〇松崎淳委員
実は、無人機について気になる情報がありまして、1月11日の産経新聞によると横須賀を拠点とする第7艦隊の司令官がAIを組み込んだ無人機ですとか、無人艇などの新たな戦力が第7艦隊に導入されるという見通しを示している。それによりますと、国防省が高性能の無人機とか無人艇など数千規模で展開する「レプリケーター第1弾構想」、これを今年8月までに実施する方針でありまして、第7艦隊の司令官は新たな能力が第7艦隊に戦域に投入されることを歓迎すると述べた、ということなんですが、県では何か把握されていますか。
〇基地対策担当局長兼基地対策部長
お答えをいたします。
レプリケーター構想といいますのは、アメリカの国防省のホームページ等によりますと、2023年に発表された無人機とか無人艇に関する調達のプログラムでありまして、2025年夏までに数千の規模で調達が行われる予定であると。このようにホームページ等で承知をしてございます。
また、米国の別の公文書によりますと、レプリケーター構想というのは、ウクライナ戦争で無人機等が大規模に使用されているそうした状況を参考に構想されたものであると、こうした情報もございます。レプリケーター構想と我が国、我が国周辺地域との関係でございますけれども、公文書ということではないんですけれども、アメリカのインド太平洋軍司令官サミュエル・パパロ大将が昨年の10月にワシントンタイムズというアメリカの新聞のインタビューで答えた内容がございまして、それによりますと現在、アメリカが作成している中国を抑止するための軍事戦略に関係するものとの説明がパパロ大将から行われてございます。
第7艦隊司令官の新聞でのご発言でございますが、こうした状況を背景にしているものと考えられます。一方で、第7艦隊にレプリケーターによりましてどのような機材とか機種とかが配備されるのかということについては現在、情報を得ておりません。
〇松崎淳委員
アメリカが作成している中国を抑止するための軍事戦略、大変アメリカ軍にとって重要なものだと認識しておりますけれども、どのようなものなのか。
〇基地対策担当局長兼基地対策部長
それにつきましては、限られた情報しかないんですけれども、インド太平洋軍司令官のパパロ大将が同じワシントンタイムズ紙に昨年の6月にインタビューで答えた内容で言及がされております。
それによりますと、台湾周辺の地域に大量にドローンのネットワークを構築しまして、中国軍が台湾に渡るような状況を感知すると、ドローンによって当面の対処行うと。それによって、アメリカは本土等から本格的に介入するための時間を得る、そういう戦略であるということでございます。また、パパロ大将によりますと、ドローンには無人機とか無人艇も含まれるということでございます。
〇松崎淳委員
答弁にもありましたが、無人の航空機、それから水上艇、無人の潜水艇は具体的にどういう機種なのか、何か情報はございますか。
〇基地対策担当局長兼基地対策部長
先ほど私答弁の中で、アメリカの他の公文書によるとお話をしたのですが、正式には、アメリカの連邦議会調査局CRSという組織のCRSレポートというところに書かれている内容でございますけれども、その最新のレポート、昨年の12月に出されております。それによりますと、国防省はレプリケーターのシステムについては限定的にしか公表していないということで、議会調査局としてもあまり情報を得ていない具体的な機種についてはそういった趣旨のことがございます。一方でCRS報告書の中ではいくつか機種について例示をしているものがございまして、まず、飛行タイプのドローンがございますけれども、スイッチブレードを含めまして複数の機種が例示をされております。これにつきましてはメーカーのホームページ等まで調べたんですけれども、細かい諸元とかはわかりませんでしたけれども、いずれもたとえば人間が手で持っている写真が紹介されているですとか、小型のドローンでございました。それから無人の潜水艇につきましては1つだけ例示がございました。これはアンドゥウィル社という会社のものでございまして、長さが19フィート、約6メートル、重さは約3トン、連続して10日間の任務を遂行することが可能であるということが記載をされています。
無人の水上艇については例示されているものはございません。これらが実際に第7艦隊に配備されるかどうかについては不明です。以上でございます。
〇松崎淳委員
お調べいただいていることだと思いますが、もう少しお聞きします。第7艦隊司令官インタビューこちらではこの夏までに実施されるレプリケーター構想の第1弾だということですが、第1弾であるということは第2弾以降もある前提としていると思えるのですが、どうですか。
〇基地対策担当局長兼基地対策部長
先ほどのCRSレポートの中に第2弾構想というものが記載がございますけれども、レプリケーターの第2弾は中国のドローンに対抗していくことに焦点を当てるという記述がございます。
ただ、それ以外の記述はございませんので、具体的な内容は不明となっております。
〇松崎淳委員
無人艇とか無人機はいずれ第7艦隊に配備されるとなりますと、国内とりわけ県内にはどのような影響が考えられるか、また、仮に影響がある場合、県としてどのように対応していくのかお伺いします。
〇基地対策担当局長兼基地対策部長
仮に配備をされるということになった場合に、具体的にどういう形で第7艦隊の方に配備されるのかということによって県内への影響というのは異なってくるという風に考えております。例えば、ドローンが、ウクライナで使われているような徘徊型自爆ドローンのように、あるいはミサイルのように使われる、国内での運用を前提としない、あくまでも現場での使用という、限定した配備であるのか、それとも例えば偵察など、訓練を目的として国内でも一定程度運用することがありえるのかどうかによって県内・国内での影響というのは異なってくると思います。この辺はしっかり情報収集をして参りたいと思っております。仮に国内で何らかの運用が行われる場合には、ルール作りが大切になってくると思われます。飛行機タイプの航空型のドローンは航空法でも一般の航空機とは適用される条文が異なります。それから、個別法によって飛行禁止区域が細かく定められるとか様々な規制がございます。そうした日本国内のルールというものを在日米軍には日本の航空法が直接適用されるわけではありませんけれども、日本のルールに合わせた形でルール作りをしていくことが大変大切になってくると思います。そうした意味でこれからレプリケーター関係、情報収集に努めますとともに、今後の状況に応じまして関係自治体とも協議を行い、必要なルール作り等の働きかけを国に行って参りたいと考えております。
〇松崎淳委員
今の御答弁、大変神奈川県にとって重要な御答弁だったと思います。新しいアメリカ軍の戦略に基づく新しい組立てに対しても我が国の法律が直接適用されるわけではないけれど、航空機関連の法令等々についてしっかりと遵守していただけるような形にもっていけるよう、県としては働きかけを国に対して積極的に行う、という趣旨だと思います。そこで、お聞きしますが、レプリケーターにしましてもヘルスケープの情報については我が国ではほとんど伝えられておりません。重要な動きが進行しているという印象を持ちました。しっかりと情報収集して状況に先んじてルール作りができるように是非、働きかけていただきたいと思っておりますが、先ほどから質疑してきました池子住宅地区の飛び地部分、これも含めまして今後の基地返還に関する考えも含めてこのあたりのお考え、改めて局長にお聞きしたいと思います。
〇基地対策担当局長兼基地対策部長
お答えをいたします。返還に向けての取組でございますけれども、平成16年に上瀬谷通信施設等の横浜市内の6施設の返還方針が合意されました。また、平成18年には米軍再編の一環として相模総合補給廠の一部である相模原駅付近の区域やキャンプ座間の一部で現在の座間総合病院等になっている区域といった大規模な返還がこれまで実施されております。これらの基地の返還は進みましたけれども、当時の合意し、未だに返還されていない池子住宅地区の飛び地部分と根岸住宅地区について、これは、最優先で早期の返還を求めてまいります。一方で、これらの返還が進んだ結果、現在、県内に所在している米軍基地は米軍の司令部や日米安全保障体制上重要とされる基地が多くなっており、従来あったような大規模な返還は予定されておりません。今後は、こうした状況を踏まえ、地元のニーズを踏まえた、返還が実現できるよう、よりきめ細かく地元の希望を伝え、返還を求めて行く必要があると、このように考えております。米軍基地の返還につきましては、基地負担軽減のために、重要な取組であり、地元市と共にさらなる返還が実現するよう粘り強く取り組んでまいります。
〇松崎淳委員
要望を申し上げます。
まず、基地返還につきまして、我が国の安全保障環境が厳しい中、いかに工夫を凝らして基地返還を求めていくか、これが神奈川県が求められていることであり、積極的に是非ご対応いただきたいと思います。また、米軍基地が存在する以上、基地の活用も大切でありまして、基地の避難場所としての活用を良い事例として米軍にも理解が得られるよう取組について地元市と共に今後とも進めていただきたいと思います。また、レプリケーター等の動きは大変重要だと思います。ウクライナ戦争でも、航空あるいは水上のドローンが大量に使用され、戦争のやり方が根本的に変わったことを私たちはインターネットで配信される情報を通じて日々、目撃しております。そして、その変化が東アジア、在日米軍にも及んできたということだと思います。現時点では、断片的ないくつかの情報ということではありますが、インド太平洋軍司令官や第7艦隊司令官という組織のトップが発言していることは大変重要であります。しっかりと情報収集に努め、県におかれては、無人機や無人艇に関するルール作りがなされるように適時適切に国に働きかけていただくよう要望をいたします。
まず、基地返還につきまして、我が国の安全保障環境が厳しい中、いかに工夫を凝らして基地返還を求めていくか、これが神奈川県が求められていることであり、積極的に是非ご対応いただきたいと思います。また、米軍基地が存在する以上、基地の活用も大切でありまして、基地の避難場所としての活用を良い事例として米軍にも理解が得られるよう取組について地元市と共に今後とも進めていただきたいと思います。また、レプリケーター等の動きは大変重要だと思います。ウクライナ戦争でも、航空あるいは水上のドローンが大量に使用され、戦争のやり方が根本的に変わったことを私たちはインターネットで配信される情報を通じて日々、目撃しております。そして、その変化が東アジア、在日米軍にも及んできたということだと思います。現時点では、断片的ないくつかの情報ということではありますが、インド太平洋軍司令官や第7艦隊司令官という組織のトップが発言していることは大変重要であります。しっかりと情報収集に努め、県におかれては、無人機や無人艇に関するルール作りがなされるように適時適切に国に働きかけていただくよう要望をいたします。