令和7年7月22日 文化スポーツ観光常任委員会
○松崎淳委員 立憲民主党・かながわクラブの松崎です。
これから、私のほうでは、観光をテーマに少し掘り下げて質問していきたいと思っていますが、 当常任委員会では、18日から21日までの4日間、中華人民共和国香港特別行政区とマカオ特別行 政区を対象に海外調査を行うことになっております。 私自身、近年、観光部門の方々と直接向き合う、それも海外でということは、そういう機会が なかったので、今回、私なりにいろいろと調べてみた もらって、今日はそういったことを一つのきっかけとして質問をしていきたいと考えております。
香港とマカオのこの二つの地域ですが、言うまでもなく国際的に観光地として有名なんですけ れども、調べましたところ、例えば香港は中国の歴史的な文化と西洋の現代文化が融合した都市 であって、古い寺院や歴史的建造物、現代的なショッピングモールとか高層ビルが共存して、多 様な文化、それから食を体験できるということであります。また、多くの公園とか自然保護区が 設けられていることで、自然と都会のバランスが取れているなど、様々な要素を兼ね備えた魅力 的な観光地として親しまれていると。24年に香港を訪れた外国人の観光客の数ですが、4,450万 人ということであります。
一方、マカオのほうですが、世界でも有数のカジノ都市ということで知られていて、豪華なカ ジノリゾートですとかエンターテインメント施設が思い浮かぶわけですが、実は、ポルトガルの 植民地時代の面影も残っている歴史的な町であって、ポルトガルと中国の文化が融合している、食で言えば、ポルトガル風のエッグタルトといったものが有名なようで、24年にマカオを訪れた 外国人観光客は3,292万人となっております。
このように、両市とも地域の歴史とか文化などの資源をうまく活用しながら世界のトレンドに も合わせて、デジタルですとかサステナブルといった考え方、フィロソフィーを観光にも取り入れているようです。そして両都市の取組は先進的で本県でも学ぶところが多いものと期待しているところです。 私としましては、この香港、マカオ、本県の共通点も幾つかあると思うわけで、こうした先進 事例を大胆に取り入れつつ、神奈川ならではの多彩な観光資源ですとか地域コミュニティといった地域の力とデジタル技術もかけ合わせながら、公・民・官一体となって観光施策に取り組むことで、今よりも高い次元で本県の観光を守っていくべきではないかと考えおります。
今回、委員長、副委員長の御英断によりまして、香港・マカオという同じアジア圏で、我々も ある程度イメージがある隣国の先進事例を調査する機会を得ることができましたので、香港・マ カオといった海外の取組を参考にしながら、本県の観光行政の現状、課題、あるべき姿などについて、本日だけではなく、この1年間を通じて当局と議論をしていきたいと考えております。 そこで、こうした視点から何点か伺っていきたいと思います。 初めに、本県における観光の現状について伺います。
○観光課長 本県の観光の現状でございますが、まず、令和5年の観光消費額は1兆2,375億円で、コロナ 禍前の令和元年の1兆1,148億円を上回っております。また、令和5年の入込観光客数は1億 9,111万人で、コロナ禍前の令和元年の2億467万人に近づいてきております。観光客のうち、日 帰り客が約9割、宿泊客が約1割となっております。
○松崎淳委員 本県の入込観光客数は、コロナ禍前の水準にまで回復しつつあるということは、県にとっても 一安心されたと思うんですけれども、コロナで本当に大変な思いをされた観光産業に関わる方に とっても非常に喜ばしいことだと思います。
一方で、コロナ禍前後で人々の行動が変わりましたが、本県を訪れる観光客の9割が日帰り客 であることは変わらなかったんだなと思っておるところです。 そこでなんですが、次に、本県の観光振興施策の目標や目指す姿を伺います。
〇観光課長 本県では、神奈川県観光振興計画に基づき取組を進めております。この計画では、観光消費額 総額の拡大とともに、観光振興により観光客だけでなく地域の住民の理解や満足度を高めること で、「観光により地域が輝く神奈川」を目指しております。
○松崎淳委員 本県の目指す姿は「観光により地域が輝く神奈川」ということでありましたが、まさに世界の トレンドである持続可能な観光を本県としても実現していくべきであって、その意気込みは共通 しているのかなというふうに受け止めました。
一方で、今、課長から答弁がありました地域の住民の理解、あるいは満足度を高めていくとい う、そういう具体的な取組については、非常に難易度が高いというふうに感じておりまして、やっぱりそこは先ほども申し上げましたけれども、先進事例に学んでいきたい部分でもあります。 そこでなんですが、本県の観光が目指す将来像について、先ほど伺ってきているんですけれども、それでは、目指すべき姿を実現するための前提として本県の観光の強みですとか弱みについてどのように考えているのでしょうか。
○観光課長 本県の観光の強みは、主に二つあると考えております。 一つは、県内各地に海や山、湖といった自然、それから、それらの景観、温泉、宿泊施設、都 市観光、グルメ、歴史、スポーツ、文化、祭りなど、観光コンテンツが豊富にあることで、多様化する観光客の志向、ニーズに合わせて旅行体験を提供できること、二つ目に、羽田空港や都内 からのアクセスのよさといったことが挙げられます。 一方、弱みとして、際立ったコンテンツが不足していること、他県と比較して日本人観光客の 消費単価が低いことなどが挙げられます。
○松崎淳委員 今、課長から、弱みとしては、際立ったコンテンツが少ない、観光客の消費単価が低いといったお話がありました。これについては、首都東京に隣接しているという立地のおかげで、多くの 方が気軽にこちら神奈川のほうへ立ち寄ることができますが、逆に、目当ての場所に行った後は、 さっと帰れてしまうといったことが消費単価が低い要因の一つではないかなと考えます。 私の地元の金沢区は、江戸時代に広重にも描かれた金沢八景という景勝地、また八景島シーパ ラダイスのような場所がありますけれども、都市と自然が共生した町並みで、多くの観光客にも 訪れていただいているところです。ただ、金沢区の町並みを維持していくためには、町中が観光 客で混雑しているというよりも、こうした歴史や自然だけでなく、住民の営みを含めて大切にしていただける観光客を呼び込み、しっかりと現地にお金を落としていただける仕組みや仕掛けが 重要だと思っております。
そこで、地域経済を活性化させるためには、県も目標としているとおり、観光消費額を高めて いくことが重要であると考えており、そのためには、まず、滞在時間を延ばす取組として、例えばナイトタイムエコノミーを活性化させるべきと考えていますが、どのように取り組んでいるのでしょうか。
○観光プロモーション担当課長 ナイトタイムエコノミーは、その前後の飲食や、さらには、より高い経済効果を期待すること ができる宿泊につながるものであることから、重要な視点であると私どもも考えております。 県では、これまで国や鉄道事業者等と連携し、県内のナイトタイムコンテンツを掲載した特設 ウェブページを作成したり、海外メディアの招請事業を行ったほか、近隣自治体との連携により、 海外のインフルエンサーを招聘するなどして、夜だからこそ体験できる神奈川の魅力を発信して きました。今後もナイトタイムコンテンツを発掘し充実させることで、観光客の滞在時間を延ばし観光消費額の増加につなげていきたいと考えております。
○松崎淳委員 香港やマカオの事例を調べておりますと、マカオにはカジノがあるということでもあるんでしょうけれども、一方で、カジノを脱するというような意味合いも込めながら、ナイトクルーズですとかナイトマーケット、また音楽とダンスとか、アート関連のイベントなど、夜のエネルギッ シュな雰囲気、これを創出して観光客ですとか地元の住民の方々でも楽しむことができる魅力的 なアクティビティを用意したナイトライフエリアというものを整備しております。 また、夜間の観光客を増やすためには、安全確保ですとか地域住民の理解というものも不可欠ですけれども、うまく取り込むことで地元の飲食店などの活性化にもつながると考えております。 次に、香港、マカオでは、MICEの誘致に力を入れていて、特にマカオは、23年、24年は2年連続でアジア最優秀会議都市、またBEST BT-MICE Cityに選ばれるなど、M ICE市場の確立を目指しているようであります。MICE参加者の消費額は、一般の観光客と 比較して高いと言われておりまして、観光消費額を高めるためにはMICEの誘致も有効な手だてであると考えます。 そこで、日本のMICEの開催状況は世界と比較してどうなっているのか、また県にはパシフィコ横浜という国内最大級のMICE施設がありますけれども、世界のライバルとなる都市と比較してどのような現状にあるのかお伺いします。
○観光プロモーション担当課長 まず、日本のMICEの開催状況ですが、国際会議協会の発表によりますと、2024年の国際会 議開催件数を国、地域別で見ますと、1位アメリカ、2位がイタリア、3位がスペインと欧米が 上位を占めておりまして、日本は7位でございます。 また、パシフィコ横浜のある横浜市とライバル都市の比較ですが、アジア太平洋地域で見ます と、1位シンガポール、2位ソウル、3位バンコク、4位東京、5位香港でございまして、横浜市は31位となっております。
○松崎淳委員 今の課長の答弁からは、国際会議の開催件数については、日本は欧米に続く7位ということで、 国としては健闘しているのかなと思いますが、都市別ですと、会議施設を有する横浜市は、アジ アの中でも大きく差が開いているとのことでありまして、まだまだ先進事例には学ぶ余地がある のだと考えています。
そこで確認したいのですが、そもそも県ではMICE誘致についてどのように取り組んでいる のでしょうか。
○観光プロモーション担当課長 MICE参加者は滞在時間が長く、消費単価は一般の観光客の約2.5倍と経済効果が高いこと から、県としても誘致に取り組んでおります。具体的には、近年、MICE誘致の国際競争が激 化しておりまして、歴史的建造物など通常の会議施設とは異なる特別な会場、いわゆるユニーク ベニューの活用が誘致の鍵となっていることから、県ではユニークベニュー施設における柔軟な受入れ体制の構築やプロモーションを通じたMICE誘致に取り組んでおります。
〇松﨑委員 つまり、取組自体もアップデートしていくというお考えであるということであって、そこは受け止めます。それですと、お聞きしたいこととしては、MICEの誘致に当たりまして、どのような課題を認識していって、またそれを踏まえて今後どうやって取り組んでいこうと考えているのか、ここのところしっかりお聞きしたいと思います。
○観光プロモーション担当課長 MICE誘致の課題としましては、先ほど海外都市との誘致競争が激化していると申し上げましたが、例えば、会議主催者に対して、会議施設の予約だけでなく、宿泊、食事、視察や観光など、各種の手配を一括して行うサービスの提供であったり、会議開催に係る費用の一部の負担な どのインセンティブがないと誘致の実現に結びつけることが難しいという現状がございます。 そこで、県では、昨年度から新たに、神奈川DMОにMICE分野の専門人材を配置しまして、旅行会社への継続的な営業やMICE会場の予約手配等の対応を一括して行うとともに、ユニークベニュー施設側の要望に併せて、例えば紹介動画の作成であったりMICE客の受入れに当たっての会場設営といったユニークベニュー施設のセールス、支援までを一元的に行う窓口を設置 しております。 また、MICEのうち、県内でのインセンティブ旅行等を対象に、主催者や旅行会社に対して MICE開催に係る経費を助成する制度も創設をいたしまして運用を開始しております。このよ うに、神奈川DMОや、それから代表的な施設であるパシフィコ横浜ともしっかり連携をしながら、MICE誘致に取り組んでまいります。
○松崎淳委員 一言でMICE誘致と言っても、相手様のそれぞれ志向されているものが一体何なのかとか、 様々、そういうところをよく分析してかからないことにはいけないということがまず一つと、それから、そこで事務局を束ねるような立場の人たちと、もともと友達であるとか知り合いである ということは物すごくアドバンテージになると思うので、やっぱりそういう意味では人材育成と いうものを根幹に置いておかないと、ただ政策だけだとなかなか上滑りするのではないかと思っています。 一応、今お聞きしたところで、県の取組とか課題に対する考え方は理解をするところではあり ますが、私が調べたところでは、香港では24年から26年にかけて既に60件を超える大規模な国際 MICEイベント誘致済みということでありまして、26年には世界癌会議、また国際造園家連盟 世界会議などの著名な会議も開催されるそうであります。 MICEというのは、開催される何年も前から各国都市で誘致競争が繰り広げられておりまし て、他の地域との差別化ですとか、他の都市と競合しない魅力的な要素を提供することが必要となります。海外調査においても、このあたりにヒントが見つけられないか確認してみて な と考えているところであります。 次に、MICEの参加者ではなくて、一般の外国人観光客の誘致についてであります。 観光消費額が高い外国人観光客を誘致するには、トレンドに合わせて観光コンテンツを多角化 していく必要があります。世界的には体験型のコンテンツの需要が高まっていると言われて久しいわけですけれども、また、ウエルネスツーリズムといったものも注目されてきたわけですが、 県ではこうした新しいニーズというのか、主流となってきたニーズについてどう対応しているんでしょうか。
○観光プロモーション担当課長 委員の御指摘のとおり、特に欧米の富裕層では、現地の伝統産業や歴史・文化に触れて知見や 見識を深めて自分のライフスタイルを見直したり、旅行を通じてリフレッシュするというウエル ネスツーリズムへの関心が高まっていると認識しております。また市場規模はさらに拡大すると 予測されております。 県では、これまでウエルネス志向の海外からの富裕層観光客向けコンテンツとして、貸切りで 禅体験や茶会体験を楽しむツアーであったり、箱根旧街道をプライベートガイドと歩くツアーな ど、通常の営業では提供していない上質なプログラムである高付加価値コンテンツと読んでおり ますが、これをこれまでに30件開発してまいりました。こうしたコンテンツを県に代わって海外 の現地で観光PRを行ってくれる観光レップを通じてセールスを行うなど、新しいニーズに対応 しております。
○松崎淳委員 ここまでのそういった答弁での戦術的なお取組については一定の評価をしたいと思います。た だ、ウエルネスツーリズム一つを取りましても、例えば森林浴とか、あるいはまた温泉など自然 療法を活用したプログラム、あるいは地域の食材の活用、それから地元の専門家と連携した体験 というふうに、様々実は枝分かれをしていくんですね。それぞれについて、やっぱりどういう質、 あるいは内容なのかということを、ほんの短いタイミングで に見られていくというも のがあるので、やっぱり最初にコンタクトを取った方々には、特に注意を払って、どういうこと を たがっているのかということをやっていかないといけないと思います。 また、ウエルネスツーリズムでは、健康アプリとかウエラブルデバイスといったものも当然活用していくわけで、コンテンツの提供者だけではなくて、アプリやデバイスの開発の側の人たち とも幅広く産業の関わりというものがありますから、その期待できる部分についても県では注目 をもっとしていっていただきたいと思っています。 次に、観光コンテンツの多角化という観点からお聞きしますけれども、本県では京浜臨海部を はじめとして各分野製造業が盛んであります。こうした産業体系なども観光資源になり得るわけ であります。県経済の屋台骨でもある製造業などのものづくり産業を支えるという意味でも、人 を呼び込みにぎわいを創出する観光と、ものづくり産業をかけ合わせるということも当然考えな ければいけませんし、相乗効果を大いに期待できるとも考えていますけれども、この点に関して はどのように取り組んでいるんでしょうか。
○観光プロモーション担当課長 京浜臨海部は、長きにわたって日本経済をリードしてきた工業エリアでございまして、高度な ものづくり技術や世界有数の環境技術を持つ企業が出席しております。また、近年では、環境、 ライフサイエンスなどの新たな成長分野の企業や研究所などの立地も進んでおります。 県では、京浜臨海部の産業集積を一つの観光資源と捉え、ものづくり技術に触れる工場見学や 工場夜景など、産業観光が楽しめるスポットとしてPRをしてまいりました。ふだんは見ること ができない製造現場に触れることができる産業観光は、楽しみながら本県のものづくり産業への 理解を深める機会となることが期待できますので、引き続き京浜臨海部をはじめとした県内の産 業観光スポットを県の観光情報ウェブサイト等でPRしてまいりたいと考えております。
〇松崎淳委員 今、課長から答弁がありましたけれども、一見観光業と縁遠いと思われるものづくり産業も、 見せ方の工夫ですとか観光客御自身で直接参加していただける体験、これを提供することで観光 資源になり得るということですから、引き続きものづくり産業と観光をかけ合わせるといった視 点から取組を進めていただくことを期待しております。 次に、産業や技術といったところで少し角度を変えます。 科学技術が発展して、社会的な課題もデジタル技術によって解決できる場面も増えてきている と感じております。観光分野にもデジタル技術を積極的に取り入れてスマートツーリズムですとか観光DXを進めていく必要があると考えます。これまで県ではどのように取り組んでいるので しょうか。
○観光プロモーション担当課長 スマートツーリズムということでは、例えば県では昨年度デジタル技術を用いまして実在しないものを再現する拡張現実、いわゆるAR技術で歴史をテーマとしたデジタルラリー、神奈川歴-17- 旅ARラリーを実施しました。このデジタルラリーでは、チェックポイントを県内の全市町村に 設置しまして、ゆかりのある人物や出来事、現存しない建物など、スマートフォン上で見えるようにするものでございました。 また、観光DXの促進ということでは、観光事業者が行う非接触型チェックインシステムやキ ャッシュレス決済の導入等に対して補助を行っており、昨年度は3件の事業者が活用しておりま す。今後も観光事業者のニーズも踏まえながら支援していきたいと考えております。
○松崎淳委員 ホテルとか旅館業など観光業界では、そういう、今おっしゃったような、いわばバージョンが 変わっていく、技術レベルが飛躍的に上がっていくということに対して人材の面から非常にキャッチアップするのに大変御苦労があるというふうに伺っております。 また、それに対してどのようにキャッチアップ、あるいはまた先進的に取り込んできたのかと いう、後からフォローしていくというのは非常に難しい、それぞれのやっぱり企業秘密ということもありますし、なかなか共通した、共有した情報をお互いの業界でレベルアップを図るという ところまではなかなかいきづらい面があります。それだけやっぱり死活問題とか生存競争という 面にも絡んでくる事柄なので、ちょっとセンシティブな面がございますが、しかし情報共有をしっかりと進めいただかないと、やっぱり本県全体としての対応力というもののアップになかな つながらないので、そこのところをやっぱり県がリーダーシップを少し発揮する必要があるというふうに強く感じているので申し上げておきます。 それと、もう一つは、コロナ禍でやむにやまれず業界を離れたという方々が大勢いらっしゃい ます。一方では、ホテルの開業というものが相次いでいるわけでありまして、人手不足ということがこの二つの側面から深刻な状況、これ各方面から取り巻いております。こうした課題を解決 するためには、私としては、やはり今申し上げたもう一つのデジタル技術というものを活用して いくべきだというふうに考えております。 県としては事業者支援に取り組んでいるということでありますけれども、この分野のサービス は刻々と変化をいたしますので、今後も時代のニーズに合った内容となるよう見直しをしていた だきながら支援を拡大していっていただきたいというふうに思います。 ここまで観光消費額を高める取組を中心にお聞きしてきましたけれども、重要なことは、本県 の観光を持続可能なものにしていくことであると考えております。県として今後どのように取組んでいくのか、観光振興担当部長にお聞きします。
○観光振興担当部長 観光産業は、旅行業や宿泊業を中心に、小売店、飲食店、交通事業者など、関連する分野が非 常に多岐にわたる産業でございます。そして、観光振興は地域経済の活性化に大きなインパクト を持っておると考えております。 その一方で、観光客が集中する一部の地域や時間帯においては、交通渋滞やマナー違反などに より、地域住民への影響や観光客の満足度の低下などが懸念されております。 そこで、本県の多種多様な観光資源を活用することによりまして、観光客の分散、周遊を図り、 県内各地の観光消費につなげることによりまして、観光客へのマナー啓発などにも併せて取り組んでいきたいと考えております。 こうした取組を通じまして、観光客とともに地域住民の理解や満足度を高め、本県の観光を持続可能なものといたしまして、観光振興計画に掲げる「観光により地域が輝く神奈川」の実現に取り組んでまいります。
○松崎淳委員 持続可能な観光と言ったときに、様々なフェーズがあると思います。当然と言えば当然ですけ れども、地域の自然環境を保全する、あるいは脱炭素といったようなそういう切り口もあると思 うんですけれども、それは結構高い次元の話でありまして、私どもは、暮らしている町の中で考 えると、やっぱり観光で生きている人がいる、そして、もう一方で、委員からも指摘しています けれども、乗降客が増えることで困るという現状というものがあるわけでありまして、この辺りをしっかり、やっぱり両方の切り口で議論していく必要があると思います。 もちろん、どの町も自分の町ならば活気があったほうがいいということは言うまでもありませ ん。横浜のみなとみらい、鎌倉の小町通り、箱根湯本の駅前などがコロナのときのように静まり返ってしまというのは非常に、寂しいというよりは困るわけでありまして、ここはしっかりとやっぱり活力というものを取り戻していきたいと思うわけでありますが、一方で、観光客の方々が 私有地に立ち入ったり、あるいはまた列車の運行に影響があるような形で踏切の周りにいつもたむろしておられるというような地域があると思うんですね。あるいはマナーを守っていただけな い、コンビニの周りでも人が集まって深夜まで騒いでいるというようなことでは困るということ でありますから、京都市や私のふるさとである奈良市もそうですが、対応している事例、あるい は簡単に解決できないとみんなが感じているところをどうやっていったのか、どうやっていこう としているのかというところは、情報もしっかりとセンシティブに収集していただきながら、持 続可能な形で観光振興を図っていただくということを県にはぜひお願いをしたい。そのことによりまして、やっぱり雇用の創出ですとか地域経済の貢献ということを観光の側面と産業等を組み 合わせるような形でも見出していっていただきたいというふうに考えております。 それでは、要望を申し上げます。 今回の質疑を通じまして、ひとまず本県の観光の現状ですとか県の取組については一定の理解 をいたしましたところです。
ところで、先日、ハワイ州観光局の日本向けインスタグラムPVを拝見をいたしましたところ、 ハワイ州の圧倒的な自然に根差す暮らし、あるいはフード、人々の日々の営み、これを映像と音 声で雄弁に紹介をしているんですね。その後、一番最後に、「大切なものは、ほんの少し遠くに ある」と一言で結んで終わります。非常にハワイと言えば誰もが知っている経験豊富な国際的な 観光地であることは言うまでもないんですけれども、このような形で、ふだんをありのまま見せ ながら、それが観光プロモーションの域をそれとなく超えてくるというものを私ちょっとある種 の感動を持って受けておりました。 今後は、世界の観光トレンドが目まぐるしく変化してくる中で、ニーズを捉えながら本県の強 みを生かした取組が必要になると考えておりまして、そうした方向で取り組んでいただくことを 要望したします。また、9月のこの常任委員会におきましては、海外調査の結果にも触れながら 本県に取り入れられるものがないか議論を交わしていきたいと考えていますので、よろしくお願 いします。 以上で、この質問を終わります。
(休憩 午前11時45分 再開 午後3時26分)