【委員会記録-令和7年第3回定-20251007-000005-文化スポーツ観光常任委員会】
○松崎淳委員
立憲民主党・かながわクラブの松崎淳です。
ここから私のほうで、先進的な観光立県かながわを目指すということで、何点か伺ってまいります。
本県議会は、8月18日から21日までの4日間、世界屈指の旅行先でありアジア有数の観光地でもある中華人民共和国香港特別行政区及びマカオ特別行政区に当常任委員会を派遣しまして、独自の観光戦略に基づき先進的な取組を進めている両都市の事例について調査を実施いたしました。
調査に臨むに当たりましては、私も自分なりに両都市の取組等を調べ、それらを踏まえた本県の観光戦略強化のための方策を考察していましたが、観光客の増加や地域経済の発展に資する独自の取組や、持続可能な観光実現に向けた先進事例を現地で実際に目の当たりにし、両都市の優れた戦略や取組を取り入れることが、本県における観光政策の推進において必ず役立つものであると確信を得たところです。
香港では、九龍地区にある総合芸術文化施設、香港文化センターや、中国の伝統絵画から現代アートまで幅広いコレクションを誇る香港を代表する美術館、香港芸術館、スポーツ、レジャー、エンターテインメント、ダイニング、ショッピングが体験できる香港最大の複合施設、啓徳体育園を視察し、国家を挙げて推進するサービス産業、観光産業の現状を見たほか、在香港の日本総領事館を訪ねまして、香港が進める重点施策でありますメガイベント戦略や、中東からの流入施策、スマートツーリズムなどについて意見交換を行いました。
また、マカオでは、その代名詞でもあるカジノをはじめ、ハイブランド店、高級ホテル店、高級飲食店等が多数入る巨大複合施設、ギャラクシーマカオや、世界でも有名なカーレースであるマカオグランプリの歴史等を知ることができるグランプリ博物館を訪ねたほか、脱カジノ依存を目指すマカオ政府観光局の方々から、文化、食、テクノロジー、スポーツなどとの融合を図り、観光に新たな価値を付加することで消費額を高めるツーリズム+(プラス) のお話を伺いまして、観光を核として多様な産業との連携を図ることで、より深い体験の提供を目指す姿勢や、テクノロジーやSNSがどんどん発達する中で、若い人たちの取り込み、また常に新しい感性への訴求に挑戦する精神に深く感銘を受けました。
一方で、観光による経済効果の最大化と住民の福祉維持のバランスに苦慮されておられるのも事実でありまして、かつて香港では、交通渋滞緩和のためにロードプライシングの導入を検討したわけですが、車両ナンバーとか通行履歴が記録されるため、プライバシー侵害の懸念から地元住民の反対があり実用化を見送ったほか、マカオではオーバーツーリズム対策として旅客税の研究に着手し、大多数の市民から賛同を得たものの、観光業界等との調整が折り合わず、検討中止となるなど、両都市とも試行錯誤しながら解決手法を模索している最中です。
私としては、本県の持つポテンシャルの高さやこれまでのよい取組などを生かしつつ、香港、マカオの優れた部分、それから本県と親和性の高い部分、本県の課題解決に資する取組などについては、適宜取り入れるところは取り入れながら、より高次元で実効性のある観光施策の展開につなげていくべきであると考えています。本日は、この調査で得られた事例や最新情報の共有を織り交ぜつつ、本県として取り組んでいくべき観光施策について議論してまいりたいと考えておりますが、まずこうした視点から何点か伺っていきたいと思っております。
さて、香港、マカオの事例を見ますと、国を挙げて積極的なMICE誘致戦略が際立っております。観光消費額を高めるためには、MICE需要の積極的取り込みが重要であると改めて実感をしております。2回定例会におきましても、本県におけるMICE誘致の取組についてかなり掘り下げてお尋ねしましたけれども、改めて県のMICE誘致に対する認識について確認します。
○観光プロモーション担当課長
MICE参加者は、滞在時間が長く、消費単価が一般の観光客の2.5倍と高い経済効果が見込まれるとされておりますので、県としても重要なターゲットとして捉え、誘致に取り組んでおります。具体的には、近年、MICE誘致の国際競争が激化する中、歴史的建造物など通常の会議施設とは異なる特別な会場、いわゆるユニークベニュー呼ばれておりますが、ユニークベニューの活用が誘致の鍵となっていることから、県ではユニークベニュー施設における柔軟な受入れ体制の構築や、プロモーションを通じたMICE誘致に取り組んでいるところでございます。
○松崎淳委員
今、ユニークベニューの話がありました。香港はまさにそのユニークベニュー、これをうまく活用しながら、MICE開催地としての存在感を高めているようでありまして、香港ディズニーランドでは、パークの中のシアターの貸切り とビュッフェディナーを組み合わせたナイトショーの観覧、それからキャラグリといいますけれども、キャラクターグリーティングなど特別な時間を提供しているほか、シャティン競馬場、それから、ジ・アバディーン・マリーナ・クラブなど、通常メンバーシップを取らなければ入れないような会員施設、それからインターナショナル・コマース・センター(ICC)にあるスカイ100香港展望台など、特別感を演出するベニューに事欠きません。
貸切りは、施設だけではなくて、トラムとかオープントップバスとかハーバークルーズなどの乗り物も対応しています。また、中国茶道、お茶ですね、それからカンフー教室といった中国ならではの文化体験を企業のチームミーティングのコンテンツとして活用すると。それから、山東、四川、江蘇、広東の中華四大料理、これがそろうグルメ天国として、食の魅力を生かしたPRを積極的に行っております。本県にも地域特性とか特別感を演出できる魅力的なユニークベニューが、これは数多くあると思いますので、それらをうまく活用していく必要があると考えます。
前回、MICE誘致につきましては、かながわDMOとも連携しながら取り組んでいくという御答弁、お話がありました。そこで、現在どのような体制でどのような取組を進めているのか、県が抱えている課題認識も含めて伺えますか。
○観光プロモーション担当課長
MICE誘致の実現には、会議主催者に対して、会議施設の予約だけでなく、宿泊、食事、視察や観光などの各種手配を専門ノウハウを有する人材が一括して行うサービスの提供や、会議開催に係る費用の一部助成といったインセンティブなどが不可欠とされている中で、県では、専門性、継続性の観点からもそれらに対応することが困難という課題がございました。そこで県では、令和6年度、昨年度からですが、かながわDMOにMICE誘致に一元的に取り組む窓口を設置いたしました。これにより、MICE分野の専門人材による旅行会社への継続的な営業のほか、MICE会場の予約手配等の一括対応、インセンティブ旅行等を対象とした助成制度などをワンストップで提供できるようになっております。
○松崎淳委員
これは競争ですからね。議論をうまくきれいにまとめたいわけじゃないんで、競争なんで、しっかりそこはアジアの諸国との間で優位にどうやって立つかという観点で取り組んでいってほしいので取り上げています。
MICE先進都市である香港では、以前からMICE誘致と開催支援に関するワンストップ体制、これを確立していたと。そこは本県と大きく違うところです。ホテルの確保とかビジネスの支援とか文化・レジャー体験とか観光プログラムのアレンジ、それから国際空港での専用入国審査カウンターを設置する、それから訪問者への歓迎パッケージを準備する、こういったきめ細やかなサービス提供を行っています。また、ミーティング・インセンティブ、それからコンベンション、展示会、それぞれの部門があるわけですが、誘致支援のサービスを提供しておりまして、国を挙げてMICE先進都市としての体制整備とブランディング、これに取り組んでおります。
専門人材をはじめとしたMICE誘致体制をしっかりと整えて、MICE主催者に対していかにシームレスなサービスを提供できるか、またいかに特別感を演出できるかが、他の競合都市との差別化、それから訪問都市としての魅力向上を図る上で極めて重要になるということを物語っております。本県には、観光庁が選定するグローバルMICE都市である横浜市もありますので、率先してMICE誘致競争を牽引していく、引っ張っていくことを期待しています。
さて、次に、他の競合都市との差別化を図り、神奈川県としての独自性を強力に打ち出していくためには、県内の魅力的なユニークベニューの掘り起こしとその活用が不可欠であります。かながわDMOでは、ユニークベニューに対する支援は何か行っているのでしょうか。また、行っている場合は、具体的な内容を伺えますか。
○観光プロモーション担当課長
かながわDMOでは、県内のユニークベニューを対象に、各施設からのニーズに応じたセールス支援を実施しております。例えば、MICEを受け入れるためのプログラムづくりがしたいという声を受けまして、横浜マリンタワーの展望フロアの貸切りプログラムだったり、相模原市にある築250年の旧家を再生したかやぶき古民家レストランである寿麹庵で、懐石料理の特別なティーペアリングを体験するプログラム、また650年の歴史、世界最古の芸能であります能を、能楽師による講座等を通じて横浜能楽堂にて学び、体験できるプログラムなど、ユニークベニュー施設と連携しながら開発に取り組んできております。
これらのプログラムについては、県がこれまで開発した富裕層向けの高付加価値観光コンテンツと併せまして、かながわDMOが運用するインセンティブ旅行向け助成制度の対象とすることで、旅行会社に対し積極的に活用を提案しております。また、かながわDMO自身がランドオペレーターとして各種手配を行うことで、こうした施設へのMICE客の送客を促しております。
そのほかでございますが、ユニークベニュー施設における多言語対応や、什器備品の充実といった受入れ環境整備の支援も行っております。
○松崎淳委員
DMOと連携しながら、ユニークベニュー施設の魅力向上に取り組んでいく、その姿勢は分かりました。また、MICE参加者のニーズとかトレンドを把握して、各ユニークベニュー施設の声を、それも正確に捉えながら、引き続きかながわDMOにおいて実効性のある伴走支援を行っていただきたい。また、MICE主催者に対して訴求力のあるサービスを提供していただきたいと思います。磨き上げもしっかりやってください。
次に、海外のMICE競合都市では、MICEイベントの前後において工場見学などを通じまして、その企業の技術とか経営理念などについて学ぶ産業施策、いわゆるテクニカルビジットの機会を提供することがグローバルスタンダードとなっております。国内に目を向けましても、例えば愛知県などは、国内外から訪れるMICE参加者の企業視察ニーズに対応するため、この地域ならではのコンテンツとしてテクニカルビジットプロジェクトに取り組んでおりまして、県内の視察の受入れが可能な企業を取りまとめた一覧、それから見どころを紹介する動画を作成しましてウェブサイトで公開しています。簡単に見ることができます。
本県には、京浜臨海部など伝統的かつ高度なものづくり技術、それから世界有数の環境技術を持つ企業が集積しておりまして、そういった需要にも十分応えることのできる素地があると思います。県では、そういった切り口での打ち出し方は行っていますか。
○観光プロモーション担当課長
国際会議では、会議本体にエクスカーションやテクニカルビジットなどのオプショナルプランを組み合わせることが主流となっておりまして、会議主催者の多様なニーズに応えられるメニューを用意することで、県内周遊にもつながると考えております。
研究者や技術者の方々からは、御自身の専門とする分野と親和性の高い研究施設や企業等との交流を望む声も多いと聞いておりまして、本県でもテクニカルビジットの可能性を探るため、パシフィコ横浜と連携して、令和5年度より有識者を招いた現地調査等に取り組んでおります。
例えば、横須賀で市内に集積する研究施設を活用し、地元企業の産業技術や研究の視察を行うプログラムを提案するため、横須賀リサーチパークや一般社団法人電力中央研究所などとの意見交換を行いました。また、日本の伝統的な和紙のすき入れの技術や3Dホログラムなど、伝統技術と先端技術を融合した印刷技術を有する国立印刷局小田原工場や、日本のものづくりの伝統の技や文化を体験できる花升木工社寺建築横浜作業所などに対しても現地調査を実施の上、テクニカルビジットとしての活用に向けて働きかけを行うなど、テクニカルビジットを通じたMICE誘致にも取り組んでおります。
○松崎淳委員
本県ものづくりの産業の広がり、裾野、それから奥行きの深さということを考えれば、産業観光ということは一くくりではなかなかできないくらい、この分野は掘り下げれば掘り下げるだけ新たな価値を創造していくことができると私は考えています。MICE参加者がその土地の地域、文化、産業、神奈川の産業に触れるということで、ネットワークを生み出したり、また開催都市の産業等の発展自体を促す、そういう都市経済のサステナブル化にもつながると思います。県内の地域資源を生かした様々なコンテンツをMICE参加者に提供すると、このことで聞いてきたわけですけれども、MICEのイベントの前後に活用するコンテンツの幅をもっと広げていただいて、MICE開催地としての魅力が産業の発展にもつながっていくというふうに好循環を生み出していただきたいと思います。
それから、次に、観光消費額を高める取組としてナイトタイムエコノミーの活性化、これも重要な役割を果たすと考えているのでお聞きします。
マカオを代表するナイトスポットといえば、まずはカジノを思い浮かべるかもしれませんが、マカオではカジノ以外のナイトスポットも多数そろっておりまして、ポルトガル風の街並みが残るタイパ地区からゴールデンリール、それから、ザ・パリジャン・マカオ、ザ・ベネチアン・マカオ、ギャラクシーマカオといったきらびやかなエリアをオープントップバスで巡る日帰り観光ナイトツアー、これも毎日行われておりまして、高級ホテル内、それから統合型リゾートに併設された洗練されたバー、レストラン、これも多数存在をしておりまして、多様なスタイルに合わせて多様な選択肢があります。また、夜になっても市街地には人通りが多くて、カジノリゾートホテルが運行するシャトルバスのほかにも、公共の深夜バス、それからタクシーも終夜運行しておりまして、安全面、交通面でもさほど不安はないと思われます。観光客でも夜遅くまで遊べるマカオでは、限られた時間を有効に活用して旅を満喫するための体制がもうしっかりと出来上がっているというふうに見て取れました。
本県においても、滞在時間を延ばす取組としてナイトタイムエコノミーは重要な視点であるというお考え、これは前回委員会で聞いたんですけれども、今取り組んでいる取組はありますか。
○観光プロモーション担当課長
県では、欧・米・豪の富裕層向けのナイトタイムを満喫できるコンテンツとして、例えばプライベートガイドと巡る野毛ホッピングツアーや、箱根小涌谷にある岡田美術館を閉館後に貸切りにするガイドツアーなどを開発し、海外旅行会社等にセールスを行っております。また、県の外国語観光情報ウェブサイトにおきましてナイトライフの特集ページを作成いたしまして、神奈川県の夜ならではの楽しみ方を紹介しておりますほか、SNSでもライトアップイベントや夜景観賞などのナイトタイムコンテンツのPRを行っております。
○松崎淳委員
海外調査に行った香港、マカオはもちろんのこと、世界各国の観光地ではナイトタイムエコノミーの活性化、これも当たり前のように行われておりまして、消費機会の拡大、それから旅行者の消費単価の向上に取り組んでいるわけであります。
例えば、かつて私が訪れましたフランスのニースは、観光先進国フランスにおけるパリに次ぐ第二の観光都市でありまして、温暖な地中海性気候と美しい海岸線が魅力の高級リゾート地として知られておりますけれども、実際行ってみますと、夜明けまで明かりが灯されて、ニースほどナイトライフが充実した地中海の町は見つからないと言われるほどに観光客で常ににぎわっております。ニースで最も華やかで広い通り、プロムナード・デ・ザングレには、カジノ、それからル・ネグレスコ─ネグレスコホテルですね─のような古い歴史を誇るホテル、またミシュランの星つきレストランも数多くありまして、波の音と町のネオンを眺めるヨーロッパ最大のビーチリゾート、この雰囲気はもう本当に身近に、肌で感じるふうに味わうことができます。
そのほかにも、いろいろな客層に対応する宿泊施設、それから心配なく散策できる安全性、それから観光客も地元住民も楽しめるバー、クラブなど、顧客層にも過ごし方にも重層性とか多様性がもう手に取るように分かるんですが、形成されておりまして、一過性の盛り上がりなどにはもうとてもとどまらない観光の在り方について深く考えるきっかけになりました。これは2008年のことでありました。
ナイトタイムエコノミーの活性化によりまして、日中に限定されない消費の場が生まれ、地域経済の活性化や新たな雇用の創出につながることが期待されるとともに、滞在時間の分散によりまして、オーバーツーリズム対策にも貢献する可能性があると考えます。本県でも、安全確保や地域住民の理解を得た上で、積極的に推進していけるといいなというふうに思っております。
また、次に、観光消費額が高い外国人観光客を誘致するには、トレンドに合わせて観光コンテンツを多角化していく必要があると考えます。マカオでは、独自の1プラス4政策の下で、観光を中心に、ヘルスケアとウエルネス、金融、科学技術、貿易・文化・産業の四つの施策を推進し、プラスアルファの価値を付加することで観光地の魅力や質を高めております。
世界的にも、既存のコンテンツに加えて新たな体験型・高付加価値コンテンツやウエルネスツーリズムの視点といった多様なニーズが生まれている中で、県ではそうした流れにどのように対応していくのでしょうか。
○観光プロモーション担当課長
県では、令和2年度より、海外の富裕層を誘致するため、通常の営業では提供していない上質で特別感のあるプログラム、高付加価値コンテンツの開発に取り組んできました。先ほど委員からも御指摘ございましたが、近年のトレンドとして、日常生活だけでなく、旅先でのウエルネスへの関心が高まっていることから、例えば昨年度、新たにベトナムの富裕層を対象に、医療機関での専任の医療通訳つきのきめ細やかな人間ドックと、ラグジュアリーホテルでの温泉療養や地域食材を使用した体に優しい料理を楽しむことができる観光コンテンツを開発いたしました。
ほかにも、ユニークベニューの活用促進の一環として、MICEの企画運営等を担う会社の担当者を対象に、貸切りの小田原城天守閣で行うマインドフルネス瞑想などを盛り込んだモニターツアーを実施するなど、多様なニーズへの対応に取り組んでおります。
今後も、そこでしか体験できない価値あるコンテンツを充実させ、県に代わって海外や現地で観光PRを行う観光レップや、かながわDMOを通じてセールスを行うことで、積極的な誘客につなげていきたいと考えております。
○松崎淳委員
香港、マカオの視察に行ったその結果に基づく議論を通じまして、本県の観光振興に当たって採り入れられるであろう香港、マカオの優れた部分や、本県が抱える課題解決に資するであろう取組などを紹介、また議論してきましたわけですけれども、これらの中で今後本県の参考とすべきものはありそうか、率直なその認識を聞きたいと思います。
○観光プロモーション担当課長
先ほど委員より、香港、マカオにおける特徴的な取組である地域特性や特別感を演出できる魅力的なユニークベニューの活用ですとか、MICE開催に向けたワンストップ対応、安全確保や地域住民の理解に配慮した上でのナイトタイムエコノミーの活性化などを伺いました。本県が今後観光施策を進めていく上で、非常に参考になるものと受け止めております。
また一方で、香港、マカオにおいても、観光による経済効果の最大化と住民の福祉維持のバランスに苦慮しており、両都市とも工夫を凝らしながら解決手法を模索されているとも伺いました。そうした面についても併せて参考にしていくことが重要であると考えております。
○松崎淳委員
確かに重要だと思います。特に最後に触れられた点については、やっぱり国が違っても悩む点というのが案外共通項があるんだなということを実感いたしますので、そこは一度しっかりと深く受け止めていただきながら、どのような解決策が図れるのかということを、今日あしたすぐということではなく、むしろしっかりといろんな知恵とか知識を集めていただいて、よりよい方策というものを練っていただきたいというふうに思います。
それから、香港、マカオの事例を参考にして観光消費額をいかに高めるかという観点で、私だけではない、当委員会における議論は進んできているわけですけれども、今回、観光振興条例について報告がありましたことで、せっかくですからこの条例に関連してお聞きしたいと思います。
例えば、観光振興条例の1条に、観光の振興により将来にわたる持続的な本県の経済社会の発展が図られる観光立県かながわの実現は極めて重要であるというふうに書いてあるんですが、それでは聞きますけれども、条例制定から今日まで、例えば観光客数はどういうふうに変化したのか、また県として観光立県かながわの実現という高いゴールを掲げているわけですけれども、これは具体的にどのように取り組んでいくのか、ざっくばらんにちょっと答えていただきたい。観光課長、いかがですか。
○観光課長
まず、観光客数の推移でございますが、条例を制定した平成21年の入込観光客数は1億8,357万人でしたが、コロナ前の令和元年には2億467万人にまで増加いたしました。その直後にコロナ禍となり、令和2年は1億849万人と半減いたしましたが、少しずつ回復しまして、令和6年はコロナ前を超え、過去最高となる2億806万人となりました。
一方で、本県の人口も減少局面に入り、宿泊業をはじめとする観光産業の人手不足のほか、観光需要の回復に伴うオーバーツーリズムといった課題が顕在化している中で、観光立県かながわの実現というゴールに向けては、これまでとは異なる視点での取組なども必要な段階に来ているというふうに認識しておるところでございます。
そこで、県は例えばかながわDMOや市町村と連携し、積極的なMICE誘致やナイトタイムエコノミーの活性化など、観光客の人数ではなく質を重視し、観光消費額の向上を目指す取組を進めることで、観光産業の稼ぐ力を高めていきたいというふうに考えております。
また、観光客に対してルールやマナーの遵守だけではなく、本県への愛着と一定の責任を持って観光を楽しんでいただきたい旨を併せて発信するなど、観光客の行動変容を促す取組により、観光客を受け入れる地域住民の満足度も高められるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○松崎淳委員
大事なことは、やっぱり人数とか消費額は、知らないというわけにいかないので、この物差しは必要で、これからも持ち続ける必要はあるんですけれども、そこを目がけてそれだけに光を当てて進もうとすると間違うと思います。やっぱり大事なことは、地域でこれまで本県で暮らしている我が県の住民にとっても満足度が高まるということがなければ、観光ときちんと両立するということがなければ、観光立県というのは成し得ないというふうに思うんですね。と同時に地域経済の活性化とか持続可能な地域づくりということも重要だという、そういう組立てなのかなというふうに感じるわけです。
実際国のほうでは、付加価値の高い旅行者というのは、単に1旅行当たりの消費額が大きいのみならず、一般的に知的好奇心とか探求心が強くて、旅行による様々な体験を通じて地域の伝統文化、自然等に触れることで自身の知識を深め、インスピレーションを得られることを重視する傾向にあるというふうに言っておりまして、このような旅行者を誘致するためには、その地域ならではの特色をストーリーとして魅力的に伝えられるコンテンツとか人材の整備が必要でありまして、これに取り組むということが、消費額の拡大だけではなくて、観光以外の様々な産業を通じた地域経済の活性化とか持続可能な地域づくりの実現にもつながるということであります。そこで、そこに力を入れていっていただきたいと思うのです。
まず、神奈川県の場合は、都市と自然が共生し、歴史文化資源も豊かでありまして、他県と比べても、観光のポテンシャルは潜在的なものも含めて高いと思います。また、観光産業は本県における重要産業でありまして、さらなる観光振興を図るということで、地元の雇用創出とか地域経済活性化にもつなげていきたいわけであります。
観光の現状については、コロナ前に戻ったということだと思うんですけれども、ここから先はどうやれば観光でお金を稼ぎながら、観光客、事業者、従業員の皆様、そして住民の皆様、行政、それがウィン・ウィンの関係を築いていけるか、こうした視点を前提とした施策を展開していくことが求められると思います。
観光振興は、外から地域に人を呼び込んでお金を落としてもらう仕掛けであるわけですけれども、恒常的に非日常が体験できることを期待している観光客と、日常生活の中にある住民との間で摩擦が起きやすいという部分、起きやすいんじゃない、起きているわけですね。だから、この観光振興を図ることでしっかりとお金を稼ぎ、地域経済や地元の雇用創出に貢献するという、少なくともその観点から、住民の満足につながるということは絶対に必要であると思います。
先ほどニースの事例を紹介しましたが、フランスは滞在型の観光に19世紀からはっきり取り組んでいるわけであります。もう一つ、エクサン・プロバンスというところにもこのときに訪れているんですけれども、地域に根差したワイナリーの見学とか試飲とか、そこを訪れた人が地域の暮らしと、直接住民の方と交わることのできる旅というものを提供するというよりも、そこにいれば自然と触れ合うというような形で、暮らすように旅をするという体験、これが実際そこにあります。実際そこに触れました。それで、地元の方が多数、笑顔の方々と何時間も交流をしましたが、深く感銘を受けました。そういった人生を豊かにしてくれるなというふうに直感するような旅のスタイルというのは、本県にとって大いに参考になるというふうに私は思っています。
一方で、観光客にも一定の責任を持って観光をしていただきたいと思うわけです。当局には、今回の海外調査結果からよい事例を取り入れていただきたいですし、これに限らず、他の事例をうまく取り入れて、世界の潮流にも合わせながら、神奈川の観光を新たなフェーズに移行させていく、バージョンアップさせていく必要があると考えています。
それでは、要望を申し上げます。
今回、香港、マカオの海外調査を通じまして、独自の戦略に裏打ちされた優れた取組ですとか、時代の先を読む視点など、数多くの学びを得ることができました。本日の質疑を通じて、本県でも今後取り入れていくべき観点、本県でも展開、応用していくことのできる取組などが一見は明確になったかと思います。その後は世界の潮流を正しく読み取っていただき、ニーズを捉えていただきながら、本県の強みを積極的に活用し、また掘り起こしていただきたいということを要望して、この質問を終わります。